小太りの男性教師が来ると警報が鳴らされ沢山の大人が駆けつけた。そして、乱闘をしていたドレッドを含む数人を羽交い締めにし、そのまま教室の外へと連れ出された。
『おはようございます』
何事もなかったように話す小太りの先生は私達の担任の先生だった。自己紹介も無く、ざわめく生徒に目もくれず淡々と出席をとる先生。そんな先生の話を聞く生徒が居るとは思えなかった。険悪な空気が漂うなか、前方に座る生徒だけが前を向いて真面目に聞いていた。
『お前、名前なんて〜の?おっぱいおっきいね、触らせてよ』
うるせ〜な!
私の周りにはバカっぽいのしか居なかった。
『無視すんなよ、好きなんだろ?』
あまりにもしつこい横の生徒。
私はボールペンをペンケースから出し、そのまま勢いよく男の顔に突き刺そう…と思った…けど、さっきみたいに連行されるのも面倒だったので額に肉と書いて喉元を掴む…
『私はそんな安くね〜んだよ、ん?』
あまり事を荒立てたくは無かった。少し見下した目、そして、怒鳴るのではなく静かに威嚇すると意表を突かれたのかキョトンとした表情を浮かべる男。その後、何も言わなくなり、そのままHRは終わった。
ホントくだらね〜人間だな〜。なんてことを思いながらも前に座る生徒がすごく気になっていた。
私は休み時間を利用し、朝の子どもに話を聞いてみることにした。
『ちょっといいかな?』
教室内はバカどもがうるさく、何かと大声を張り上げていた。そんな中で会話なんて出来るわけもなく子どもを廊下に連れ出した。
無表情で後ろを付いて来る子ども。
呼び出したは良いが何を聞いたら良いのかわからなかった。
『あ、あの…飴食べる?』
『……子ども扱いはやめてください。用がないなら戻ります』
少しムッとした表情を浮かべ、教室に戻ろうとする子ども。
『こ、子ども!ごめん、そんな気は無かった』
思わず子どもと呼んでしまった。
すると、教室に戻ろうとする子どもはピタッと立ち止まり振り返る。そして、私のことを見上げながら睨んできた。口を尖らせほっぺたをふくらませる姿はやはり子ども。
『私は子どもじゃないです!小牧です。こ〜ま〜き!小牧真理です。ホントにもぉ!最近の若いのは!』
と、怒りながら教室に戻る小牧。席に座ると隣の金髪ギャルに爆笑され、さらに不機嫌になっていた。
険悪な雰囲気漂う空間なのに、そこだけ…小牧と金髪ギャルの二人の空間だけは何故か華やかに見えた…
小牧…真理か…
妹みたいだな…
と、小牧を見つめながらふと思った…