外から見た時は四階建ての大きな校舎だと思っていた。でも、僕のクラスは2ーA。教室は3階に位置し、下る階段はあっても上る階段が見当たらない。しかも、隣のクラスは学年違いの3ーAで2クラスしかなかった。
『ん〜…この校舎は四階建てだよね?』
と聞くと、少し困った表情を見せる山倉さん。違う話題に切り替えてきたのでそのまま話を続けた。
山倉さんもあまり詳しくはないのかな?
深く考えても変わるわけでもなく、この学校の方針と割り切るようにした。カメラがこれだけ設置してある学校。今更、何があっても不思議ではない。
でも、案内されればされる程、謎の多いい学校だ。四階建てなのに上る階段がない。隣のクラスが学年違い。職員室と保健室が各階にあり他の特別教室が一つも見当たらない。
聞きたいことは沢山あった。でも、親切にしてくれてるのに困らせたくはなかったから…気にするのは辞めよう。
結局、案内といっても案内されたのは三階の廊下から職員室までと、階段を下りてすぐの職員室と下駄箱だけだった。他の階も同じだからと省かれてしまいそのまま教室に戻ることにした。
僕の前で仲良く話しながら歩く三人。
ほんと仲良しなんだね。三人が楽しく会話している様子を見ているだけで微笑ましかった。
これが普通の学園生活なんだろうな…なんて思っていた時、視野の端のほうで黒い物体を感じたのだ。端のほう、つまりは窓の外に現れた物体。何か黒い物体が落ちたふうに見えた気がした。
『あ、あれ!?今、何か落ちなかった?』
思わず大声が出てしまった!心臓がドクドクと脈をうつ!
一瞬、ほんの一瞬だったからハッキリとはわからなかった。鳥?カラス?でも鳥にしては大きな物体だった。
山倉さん達も少し驚いた表情で外を見、僕を見た!
『気のせいだね、ごめんね驚かせちゃって』
と、少し笑って見せた。
笑って見せたは良いが多分、顔は引きつっていたのだろう。変に不安にさせるような言動にすぐ後悔した。
女の子は男と違って少し怖がりな所があるのだと思う。気をつけないと…と思いながらも、やはり気になる外の様子。
僕は、ちょっとした興味で下を覗こうとした!
『蒼太!お昼休みが終わるぞ!ほらそこ!教室に入りなさい!今すぐに!!』
少し早歩きで近づいてくる吉谷先生。綺麗な顔立ちに真剣な眼差しや乱暴な口調は小柄な体型をより大きく見せた。
優しく明るいイメージから一変した先生の威圧的な言動に僕は何も言えず立ち尽くしていた。
そんな僕の前に立つ先生。
ゆっくり目を閉じ、そして、ゆっくりと目を開く。
『ほら、蒼太!もうすぐ授業だから早く準備しなくちゃダメだぞ。綾乃、蒼太のことお願いね』
と、僕の目線に目を合わせ怒ったフリをした。そして、すぐにニコッと微笑む先生。さっきまでの威圧感はなく、優しくて少し香水の香りが漂ういつもの先生に戻っていた。
『はい』と教室に入ると少し教室内がザワついていた。
僕はゆっくりと自分の席に座り次の授業の準備を始める。そして『は〜』と溜息を吐いた。
そんな僕を見ていた山倉さんが気を使ってか『帰り、一緒に帰ろ?』って誘ってくれた。
怒られた訳ではないが少し凹んでいた。
朝までは君付けだったのに呼び捨てになっていた。
何か意味があるのか?
それとも、あの男っぽい性格がそうさせているのか?自分の中で勝手に難しくしているだけなのかもしれない。でも、謎が多いこの学校でやっていけるのか不安が募る一方だった。