『美奈、なんでお前までここにいんだよ』
朝の連行から戻ってきたドレッド。昼休みに馴れ馴れしく話しかけてくるのは昔の仲間だったからだ。
朝からずっとさっきまで個室で監禁されていた。光一つない部屋で四時間近く手錠に繋がれていたと言うがドレッドは『寝てた』と笑ってパンを食べ出した。
『ちょっと、パン飛ばすな』
私達はここに入る前までは学校にも行かずに毎晩バイクに跨がる暴走族だった。街中を爆音とともに走る快感と注目を浴びる視線が気持ち良かった。
そんな時の仲間だった…一番頼りになったのが川嶋ヒロだった。何かあるとすぐに駆けつけ、仲間がやられると我先にと駆け出す男。そんなヒロは嫌いではなかった。そして、ヒロが私のことを好いていることも知っていた…
『なんでこんな場所にあんな小粒がいるんだ?』
ヒロはパンを食べながら見つめる先には、私も気になる小牧の姿があった。私達はこの学校の存在を知っていた。不良、暴走族、ヤクザ、薬中…色々あるが、やはり闇に住む住人にはそれなりの情報が入り、知らない常識も多いが知らなくても良いことを知ってしまうこともある。
そんな罪人の集まる建物に、小牧みたいな子が居ること事態が不思議でしかたなかった。そして、私の妹とダブって見える小牧をほおっては居られなかった。
『聞いてくりゃいいじゃん』
そう呟くと左手にパンを持ち、右手をポケットに突っ込むヒロ。そのままズンズンと小牧に歩み寄ると…
『よぉ、豆食うか?』
ヒロはポケットから飴を取り出し小牧の机に四つの飴を転がした。
そんなヒロを見つめる小牧。
『なんですかあなたは。これは豆じゃなくて飴です。朝、先生に連れてかれて頭がおバカさんになったのですか?どうしようもないおバカさんですね』
と、隣に居る金髪ギャルの方を向くと、持っている食べかけのお弁当を再び食べ出した。
『真理、いらないの?じゃ〜私、貰うかな〜』
隣に座る金髪ギャルは少しニヤけながら机の上にある飴を全部摘まむとそのままポケットにしまう。『ありがと〜』と、笑顔でヒロに挨拶すると再び小牧と喋り出した。
相手にされないヒロ。
そんなヒロを遠くから見つめていた私は思わず吹き出してしまった。
敗北感に包まれながら戻るヒロ。『ありゃ、かなりの強敵だ』と笑い飛ばした。そして…
『お前が気になるのもわかる気がするな』
と、少し笑みを浮かべ私の肩に手を乗せるヒロ。そのままポンポンと肩を二回叩くとその場を離れた。