仲良くなるのに時間はそうかからなかった。そして、私達が仲良くしていることで自然と仲間が増えていく。きっと思ってることは同じだったんだ。
日を重ねる事に険悪な雰囲気だった教室も少しづつ明るい雰囲気に。掃除の時間も残る人が徐々に増えてきていた。もちろん帰る生徒も少なくはない。遊びながら掃除をする人も少なくはない。でも、小牧の人柄は人を惹きつけるなにかを持っていた。そんな小牧の笑顔に皆が着いてきていた…
…いつもそうだ。良いことがあると…その後には必ずと言って良いほど悪いことが起こる…
この楽しくて幸せな日々。それは何かの前触れでもあった。そして、いままでの罪を清算してくださいと私達に与えた罰なのかもしれない…
ある日の朝…
『皆さん、大型台風が直撃するみたいなのでわかり次第お伝えします。』
朝は晴れていた。少し風は強かったが電車も動いていた。登校に支障がなかったため授業は普通に始められた。
『台風来るのがわかってるのに休みになりゃ良かったのによ〜。な?』
小牧に話しかけるヒロ。そんなヒロに『そ〜ですね』と適当にあしらう小牧は相変わらずだった。
午前中は風が気になるくらいで晴れ間はあった。が、お昼を過ぎると遠くの空に真っ黒の雲がわかるくらいまで接近していた。
『今日、そろそろじゃね?どっかいかね〜か?』
私達に話しかけるヒロ。『おバカさんですね。雷におへそ取られれば良いのです。』またしても小馬鹿にする小牧。そんなことを言われても嬉しそうにするヒロが少しキモかった。
とわ言うものの、そろそろ下校の合図が出てもおかしくはない状況。私達もすぐ帰れるように準備を始めた。
『あれ?もう帰り始めてる生徒がいる〜』
窓の外を指差す金髪ギャル。一斉に窓際に群がるクラスの皆。そして、一斉に文句のオーケストラが教室内を響かせた。
クラスは担任の先生に一任されていた。担任の指示があるまでは勝手な行動はしてはいけないのだ。
刻々と刻まれる時間。風が窓に激しく吹き付け、空一面真っ暗となっていた…
『マジかよ〜、先生ヘルプミー』
真っ黒の雲はやがて雨をも降らせ始めた。そしてその雨と強風は見事に混じり合った時…
『これが嵐というんだ!』
人差し指を立てながら熱心に説明するヒロ。だが、誰も聞いている人はいなかった。
そんな時だった。
『何してんのあなた達!』
廊下を歩く小柄な女性。そのまま教室に入ると『早く帰りなさい』と、腕を組みながら教卓の前で仁王立ちした。
『…せ、先生ですか?』
恐る恐る聞く小牧。
『当たり前でしょ、放送聞かなかったの?随分前に流したよ?』
女性にしてはサバサバとした口調で堂々とした態度。見た目は綺麗だし先生が入った瞬間、香水の香りが教室内を華やかにした。
でも…この先生…なんとなく…私と同じ匂いがする。
そんなことを思いながら急いで荷物を担ぎ準備を整えた。
『あ〜!誰の仕業だ?』
先生を見るとスピーカーの音量調節をいじっていた。悪戯かはわからないけどOFFになっていた。
『まぁ、自業自得だ!皆、濡れて帰りなさい』
と、満面の笑みを浮かべる先生は楽しそうだった。だが、次の瞬間!
ダーン!
と学校内に響き渡る音と同時に一斉に電気が消えた!と同時に悲鳴を上げる女性の声が廊下に響き渡る。
『はい!静に!落ち着きなさい!皆、一回教室に入って!』
テキパキと動く先生。担任でもない先生なのに一生懸命動いていた。私達の担任とは全然違うじゃん…
そんなことを思いながら再び席に戻り前を見ると…先生が口元に人差し指を立てていた…
バチバチと窓を打ち付ける雨の音…風が窓をガタガタと揺らす音…そして…
上の階から聞こえて来るのは…
『皆!窓際に行きなさい!』
少し慌てる先生。
『早く帰りて〜んだけど』
一人の生徒が愚痴を零すように呟くと
『早く行けっ!!!』
真剣な眼差しをした先生。そして、教室の出入り口付近にある非常ボタンに走り出した時、廊下の窓から人が沢山降ってきた!