※この作品はR-18です。

僕らはみんなわがままで   作:やまのじ

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そんなことがあったんだ…

 

 

僕は静に話す渡辺さんを見つめながらただ頷くばかりだった。

 

 

 

事件後、嵐の中たくさんの救急車が学校の職員玄関に並ぶ。そして、重傷者は病院へ運ばれ、軽傷者は保健室で手当された。

 

幸いにも軽傷ですんだ私は、手当もせずに小牧のそばにいた。

 

泣き疲れて眠る小牧に寄り添うように座る黒髪の子。私を見つめ…

 

 

『美奈さん、ありがとうございます』

 

 

と、小さな声で呟くと目を擦りながら小牧の頭を優しく撫でた。そんな二人を見つめる私。なんて声をかけたら良いのかもわからず、壁に寄りかかり腕を組みながら無言で外を見つめていた…

 

どのくらいだろう…会話もなく時間だけが過ぎていった。なんとなくそばに居てあげたかったし居てほしかった。一人で居たら嫌な事ばかり思い出してしまいそうで…怖かった。

 

 

『私…綾乃です。山倉、綾乃』

 

 

黒髪の子がポツリと呟いたのは自分の名前。

 

 

『あ…綾乃…ちゃん…ね』

 

 

いきなり話しかける黒髪の子、綾乃は私のことをジッと見つめていた。

 

 

『やっと…名前教えてくれたね』

 

 

私は口元を押さえ唇を震わせた。そして、ニコッと笑みを浮かべると目頭を熱くした。

 

 

小牧と仲が良かった金髪ギャルと綾乃。私も小牧が好きで、小牧が好きなこの二人とも仲良くなりたくて、何度か名前を聞くも教えてはもらえないでいた。

 

普通の学校とは違う施設。信頼関係はすごく大事だった。小牧のように簡単に人を信用してしまうのも危なっかしいが、綾乃のように用心深い人も少なくはなかった。

 

 

『おう、遅くなりました!』

 

 

大声を出すヒロ。

少し肩で驚く私。急いで目を擦ると思わず吹き出してしまった。

 

 

『ふふふっ』

 

 

そんな私を見て笑う綾乃。

 

 

私は、笑みを浮かべる綾乃を抱き締め、そして『やっと認めてくれたんだね』とおもいっきり抱き締めた。

 

 

『何やってんだ?お前ら』

 

 

ノシノシと歩み寄るヒロはあちこち包帯で巻かれていた。張り詰めた緊張感と、ヒロが来たことによる安心感から緊張の糸がほぐれたのだろう。私は綾乃と小牧を抱き締めたまま泣いたんだ…

 

 

 

この事件での死者は40人を超えた。そして、その中に金髪ギャルの春奈も犠牲者の一人にあげられていた。

 

 

悔やんでも悔やみ切れなかった…

 

 

『あの時、私が守ってあげれていたら綾乃も小牧も…ここまで辛い思いはしないですんだのかもしれない』

 

 

あの時のことを今も悔やんでいた。

 

 

『あの時はどうすることも出来なかった。自分を責めちゃダメだと思う。春奈もそんなこと望んではいないよ』

 

 

廊下の方から声がする。振り向くと山倉さんが立っていた。そして…

 

 

『明日、真理の顔見に行こ?』

 

 

と、優しく微笑む山倉さん。そのまま何も言わずに寝室に向かう山倉さん。そして、僕のベッドに潜り込むと声を殺しながら泣いていた…

 

 

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