空がオレンジ色に染まる頃、僕達は和装造りの大きな門の前に立っていた。
代々受け継がれて来たのだろう歴史漂う木彫りの表札には小牧の二文字が。
そんな歴史漂う門構えに敷居を感じさせる二段の階段。一段二段と足を運ぶ山倉さんは、この雰囲気に似つかわしいインターホンを人差し指で鳴らした。
はぁ〜…
僕は驚いていた。右、左と何度も見てしまうのだ。だって、和風の塀が途切れることなく続いているのだから。ここに来るまでずっと同じ塀。家紋のような模様が彫られた塀がずっと続いていた。小牧さんはお姫様だったんだ。
自動で開く門。ゆっくりと開く門の隙間からは手入れの行き届いた庭園が広がっていた。そして、通路には着物を着たお婆さんと六人の男性が僕達を出迎えてくれた。
『綾乃様、お久しぶりで御座います』
深々と頭を下げるお婆さん。そんなお婆さんに『やめてくださいシズさん』と、少し困ったように肩に触れる山倉さんが居た。
この状況がよく飲み込めていない僕はただ見つめるばかり。そんな僕に『お荷物お預かりしましょうか?』と、髭を生やした白髪の男性に声をかけられる。僕は『あ、あ、大丈夫です。ありがとうございます』声が裏返りながら慌ててお断りするのであった。
そんな僕を見る山倉さんは少し微笑み『これは真理へのプレゼントなのです。そして、こちらの男性は山野蒼太さん。真理が心を許した方なのです』と、お婆さんに笑顔で紹介してくれた。
『あ、山野蒼太です。こ、このたび…』
『堅苦しい挨拶なんて良いのですよ山野様。お話は良く聞いてましたよ。お嬢様に会いに来て頂けた、それだけで私は胸がいっぱいです』
再び深々と頭を下げた。
『でわ、お嬢様のお部屋に案内いたします』
門は自動で閉まると僕達の後ろを歩く四人の男性。お婆さんと白髪の男性の後に着いて行くとまたしても驚かされた!
両開きの玄関を開くと何処かの高級旅館を思わせるような広々とした世界が広がっていた。天井には大きなシャンデリアがあり床にはカーペット。そして、スーツ姿の正装された男女10人が一斉にお辞儀をしていた。
石で敷き詰められた玄関とカーペットの間に光沢ある板の間。皆、板の間で靴を脱ぎ、そのまま歩いて行く。僕も汚れた靴を脱ぐと…
『お預かり致します』と、靴を両手で持ちそのまま何処かへ持って行かれてしまったのだ。
フカフカとしたカーペット。すれ違う度にお辞儀をする人達。清潔感漂う香りは僕をドンドン緊張させていった。