超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
――五人で風呂場に集まるともなると、流石に狭い。湯船はネプテューヌとエヌラスが入り、今はプルルートがノワールの背中を流している。ノワールはネプギアの背中を流していた。
「んー……エヌラスに背中洗ってもらいたいな~」
「どんだけ俺をこき使う気だよ……」
「だめ~?」
「はいはい。もう少しゆっくりしたらな」
こうしてのんびりと風呂に入るというのも久々のような気もする。……果たして本当にのんびりという表現が正しいのかはともかくとして。
「へへー。エヌラス独占状態ー」
「も~、ねぷちゃんのイジワル~」
「だけどさすがに五人も入れないですよね……」
「そうね。入れても……三人かしら」
「ふっふーん」
どや顔でネプテューヌはエヌラスに背中を預ける。足の間に身体を滑りこませて密着した体勢にノワールが顔を赤くした。
「…………」
「ん、なにノワール? 羨ましい?」
「べ、別に羨ましくなんてないし!」
「もー、素直じゃないなぁ。そんなんだから友達いないんだよ」
「エヌラスは友達よね?」
「へ? ああ。そりゃあな」
「ほら見なさい。もうぼっちなんて言わせないんだから」
「んもー、エヌラス。そこは嘘でも「ノー」と言わないと」
「いや、それただのクズの所業だからな?」
「エヌラスだってクズじゃん」
「俺は度し難いクズだからただのクズと一緒にされちゃあ困る」
「うわぁ……言ってて悲しくならない?」
「お前に対する殺意しか湧かない」
「う、うぅ……背筋が寒い……」
身体を震わせるネプテューヌにエヌラスが抱き寄せて頭を軽く叩く。
「むぅ~、二人だけ恋人っぽくてズルいよ~。エヌラス、早く~」
「あぁ、はいはい」
「ねぷぅ……はぁ、しょうがないかー。ぷるるんに譲ったげる」
「いつからお前のモノになったんだよ……」
エヌラスはプルルートの後ろに座り、背中を流し始めた。それがくすぐったいのか身をよじらせる。
「エヌラス、くすぐったいよ~」
「これでも優しくしてるつもりなんだけどな」
「そうなのぉ~?」
「そうだよ」
「便乗おじさん……」
「誰がおじさんだ」
「でも、エヌラスさんって私達の中では一番年長者ですよね。外見的に」
「それはなにか? 俺が老けて見えるってか?」
「ち、違いますよ! 大人っぽいって意味です!」
ネプテューヌとプルルートはともかく、ネプギアもノワールもまだうら若い乙女だ。
エヌラスは男性ということもあるが、外見年齢で言えば変身後のメンバーと差はそれほど開いていない。それでも周囲からの視線では「少女たちを引き連れる危ない趣味の犯罪者」か、はたまた「親戚の子に囲まれている面倒見のいいお兄さん」に大きく二分される。残念ながら九割の確立で事情の知らない人間は前者である。事情を知っていても後者を選ぶ確率は一割に満たない。可哀想なことに。
「なんかー、こうして見るとエヌラスって意外に“お兄ちゃん”って感じだよ」
「なんだかんだで面倒見はいいですし」
「そうね。手は掛かるけど」
「えへ~。お兄ちゃんだねぇ~」
「やめろ、妹は一人でいい。十二人もいらねぇ」
「えー、でもでも義理の妹とかって恋愛ゲームじゃ定番じゃない?」
「血縁だろうが非血縁だろうが妹ルートだけは選ばねぇ」
「二次より三次?」
「義理より本命だ」
「なんかぁ、チョコレートみたい~」
「時には甘くほろ苦い……ってやかましいわ。ほら、もういいか?」
「え~。もっとぉ~」
「もう背中はいいだろ。他に――」
「前も~……ダメかなぁ……」
顔を赤くしながら言うプルルートが上目遣いで懇願してくる。悔しいことにかわいい――そんなことを思いながらエヌラスの手が迷っていた。いいのか。本当にいいのか。本当に前の方まで手を出していいのか。いや何を今更迷う必要があるのか。いや、だがしかしそれではまるっきりロリに趣味のある人種ではないか? いや待て逆に考えるんだ。ロリコンでもいいさと思っちゃっても、いいわけあるか! ロリコンではない、断じてロリコンではない! 再三重ねて言えば、ロリに欲情している時点でそれはもう手遅れな気もするが決してロリにのみ興味があるわけではないのだ。強いて言うならばロリもまた女性なわけで、未発達な少女体型の成人女性もいるわけで。それは例えばユウコとかいう胸と態度ばかりデカイくせにやたら家庭的で手料理は舌鼓を打つほどに美味いお節介な国王とか。ロリ巨乳に匹敵するかと聞かれれば微妙なラインなのでこの話題は保留とする。つまり何が言いたいかと言うと――この状況下ではロリコンなのを、強いられているんだ! だが敢えて言おう! 俺はロリコンじゃない。
「……エヌラス~? 別に恥ずかしがらなくてもいいんだよ~?」
「見てるこっちの身にもなりなさいよ、プルルート」
「聞いてるだけで恥ずかしくなってきました……」
「……本当にいいのか? その、前の方も」
「あたしはぁ、全然構わないよ~。むしろぉ……して欲しいくらいだから」
「そういうことなら……まぁ、しょうがねぇな」
「ひゃん」
エヌラスの手がプルルートの肩から腕に掛けて洗い流していく。
「おっとー? わたしの時と態度が全然違うぞー? どういうことエヌラスー」
「お前には遠慮しない。情けも掛けない」
「ひどっ!? もうちょっと優しくしてくれてもいいじゃん」
「百歩どころかこれ以上どう譲歩しろってんだ」
「あ、でもエッチしてる時のエヌラスは優しいから好きかも」
「っ――!? な、なに言ってるのよネプテューヌ!」
「えー、だって本当のことだよー? ねーぷるるん」
「そうだよ~」
「そんなこと言われたって……その、私一回しか……ゴニョゴニョ……」
赤面しているのは密事のことを思い出しているのか、そんなノワールの顔を見てプルルートが思い当たったのか手を叩いた。
「あ~、そっかぁ~。いっつもねぷちゃんとあたしだったもんねぇ。ごめんね、ノワールちゃん」
「ごめんノワール。そうだよね、溜まってるよね。いっつもこーんな眉つり上げてるの欲求不満だったんだ」
「ち、違うわよ! ツリ目なのは生まれつきよ!」
「じゃー、今晩のオカズはノワールだね!」
エヌラスは話半分なのか、プルルートの身体を洗い終えてシャワーで流している。
「なんか言ったか?」
「んもぉ、いつもならそこで「手を出すならオカズじゃねぇ、ご飯だ」とか言うのに」
「いや、プルルートの身体洗うのに夢中だった」
「ロリコン」
「ぷるぅ……エヌラスの変態さん……」
「そういう意味じゃねぇし! で、なんの話だったんだ!?」
強引に話題を変えようとするエヌラスに、ノワールが耳まで赤くしながら口を開く。
「だから、その……今夜は私と寝ない? って話なんだけど……む、無理にとは言わないわ」
「わたしとネプギアの姉妹丼でもいいよ」
「だからお姉ちゃん、そういうこと……もう~……」
「……ノワールで頼む……」
「へッ!? い、いいの!? ネプテューヌとかじゃなくて!」
「なんで意外そうなんだよ! 俺がそんなにロリコンに見えるか!? テメェら俺をなんだと思ってやが――いやいい、聞きたくない! もう想像できたから言わなくていい!」
「ロリコンで変態の度し難いクズ!」
「えっとぉ、ロリコンで変態さんかなぁ~」
「意識高いロリコンの神様」
「えっとえっと……エッチなお兄さん……」
「オブラートに表現を包んだネプギアだけが俺の癒やしだった。ほぼロリコン評価ってどういうことだよ!」
「だってわたしやぷるるんに欲情するってことはそうだと思うんだ!」
「だったら変身すればいいだろ!」
「なにその神様理論! 筋肉モリモリマッチョマンの変態め!」
「そこまで筋肉モリモリでもねぇだろ!」
「ありがちな細マッチョの美味しそうな身体のくせにー!」
「逆に食っちまうぞテメェ!」
「へっへーんだ、美味しくいただかれた後だからおかわり自由だもんねー! そうしたらロリコンの評価ステータスうなぎ登りだよー!」
「テメェ絶対いつか泣かすから覚悟しとけぇぇぇぇぇぇッ!!!」
わおーん。遠くでオオカミの遠吠えが聞こえた。こうしてユノスダスでの夜が更けていく。