※この作品はR-18です。

超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽-   作:アメリカ兎

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episode9 ベッドの下とクローゼットは男の秘密の花園(R)

 エヌラスに付いていくネプギアが太ももを悩ましく擦り合わせる。考えうる限り、最も人目につかない場所で、かつ何かあったらすぐに駆けつけることができる場所を見つけてネプギアに背を向けた。

 

「あ、あの……絶対。絶っ対。絶っ……、対に。見ないでくださいね」

「誰が見るか。そういうのに興味が無いわけじゃないが好き好んで見たいとは思わん」

「…………」

「見 ね ぇ よ!」

 目を潤ませながら上目遣いで必死に睨むネプギアに念を押してエヌラスはその場を離れてため息を漏らす。何が楽しくて子守なんぞしなければならないのか。それもあんな真面目で清楚で可憐で純粋な乙女を。

 すぐに考えを振り払い、倭刀とレイジング・ブルを召喚して今夜の食料探しに精を出すことにした。この近場であれば適当な食材が見つかることだろう。

 

 ネプギアは周囲をこれ以上ないほど注視して、耳を澄ませる。呼吸音の一つでもあろうものなら斬りかかる覚悟だ。気配もない。近くにエヌラスが潜んでいないかも周囲の茂みをかき分け、木々の枝も見上げて厳重に警戒して本当に動物一匹いないことを確認した上で胸を撫で下ろす。

“早く済ませて、戻ろ……”

 再三確認しても誰も見ていない。なるべく茂みの近くに姿を隠し、パンツを下ろそうとスカートの中に手を潜り込ませた。

 

 エヌラスの前に現れたのは、野犬だった。まぁ食えないこともないだろうが、これを捌くとなるとそりゃもう食欲がどうとかではない。適当に追い払うことにした。それから川の近くまで来て、釣りをしようかと思ったが道具がないので“電導(コイル)”を回して魚を適量捕獲することに成功。

“調味料ねぇけど焼けば食えるだろ”

 そして、ふと顔を上げると川の対面に大きな影が立っていることに気づいた。それは、なんとも言えない間抜けな顔をしたモンスター。森の中に生息する、名称は「べまモン」。総じて顔がキモいほど美味と噂されている。

 

「…………」

「…………」

 サイズも上々。そしてキモい。どう形容したらいいか分からないほど邪悪な醜さは一周回って真顔でキモい。とにかく、キモかった。メス豚のアクメ顔の方がまだ賞賛されるレベルのキモい顔にエヌラスは無表情でレイジング・ブルのハンマーを起こす。とりあえず顔面を耕すことを最優先事項とする。夢に出そうだ。というか出る。間違いなく悩ませるレベルのキモさ。だが、身の危険を野生の勘で感じ取ったのか、丸々と太った全長二メートルほどのキグルミじみた体型のべまモンは小走りで川を飛び越えるとエヌラスの横を通り抜けようとする。横顔もキモい。走り方もキモい。なんというかもうこの生き物は「この世全ての醜さ(とにかくキモい)」を背負う事を運命づけられて生まれたんじゃないだろうかと思えるほどの確信がもてるキモさだった。

 

「って、待てやゴルァァァァァァッ!」

「……!」

「ちょっおま、早ッ!? キモッ!?」

 ホバー移動と見紛う足の動きで走り去ろうとするべまモンは上体が固定されていてむしろ顔を見ない分背後から襲いかかった方がいいのではないだろうかと思う。だが、呆然と見逃している場合ではない。

 

“電導加速(アクセル・コイル)”! 逃すか晩飯ぃぃッ!!」

 木の幹を足場代わりにして跳躍するエヌラスが、ふと気づく。

 これは来た道を戻るのではないだろうか――ということは、つまり……。

 

“ええい、背に腹は変えられねぇ! どうにでもなりやがれェ!”

 例え変態呼ばわりされようがこの際一向に構わん! エヌラスはべまモンの追跡を始めた。

 

 

「……?」

 パンツに掛けた手を止めて、ネプギアは周囲を見渡す。気のせいだろうとそそくさとパンツを下ろしてその場に屈んだ。露わになる局部。

 堪えていたダムが堰を切る――その瞬間、横顔が形状しがたい醜さのモンスターが現れて恐慌状態一歩手前までネプギアは理性を手放しそうになった。心臓が跳ね上がり、思わず排泄が止まってしまう。

 

“キモい! すごくキモい! なに、なになになになんなんですかアレ!?”

 腰を抜かしてへたり込むネプギアの前で正体不明の醜さを凝縮百%した自然が生みだしたべまモンの背中に五十口径の弾丸が、ようやく狩猟用としての務めを果たした。とはいえこのようなキモさに生涯を費やした相手では一度限りの鉄砲玉でも地獄で閻魔にノーカウントコールを全力で抗議したくなるに違いない。

 

「ヒィィィッ!?」

 振り返ったその顔を見てネプギアが思わずすくみ上がった。だが更にそのガン開きの左目が鮮血をまき散らして爆ぜた。もはやスプラッター映画の収録を生本番で参加させられている状況だ。次いで、その胴体に二発撃ち込まれてべまモンがよろよろと後退る。

 ネプギアの頭上を飛び越えたのはエヌラスだった。その顔が狩人のそれになっている。再度、火を吹いたレイジング・ブルマキシカスタムが今度はべまモンの足を撃ち抜いて機動力を削いだ。これで逃げることがいよいよ出来なくなる。

 ガックリと膝を着いたべまモンの目がネプギアと交錯した。胃からこみ上げてくる吐き気に青ざめ、口を手で覆い隠す。――結果的にそれが悲鳴を抑えこむこととなる。

 

 隠れていたバヨネットを展開して、べまモンの眉間に突き立てる。マズルスパイクが顔面の骨格を粉砕し、更に撃ち込まれた弾丸が真っ赤な花を開く。反動で引き抜くと同時に氣を込めた倭刀で左腕を切り落とし、高々と右足を振り上げる。

 

「ア・ク・セ・ルッ、インッパクトォォォッ!!!」

 恐らく、本日放った技の中で一番の殺意を叩きつけられた。哀れ、べまモンはどこから首でどこから寸胴なのか分からない上半身が爆発四散する。ベシャベシャとぶちまけられる臓腑と骨格、その返り血を浴びてエヌラスが満足気に髪をかき上げた。

 

「悪は去ったッ!!!」

 ――いや何言ってんだこの野郎はと言いたくなる気持ちは分からんでもないが、そう叫びたくなるのもまた否めない。それほどまでにキモいのがべまモンなのだ。そのキモさから、一目見た瞬間に気絶する人間が出ることから一部で珍味として扱われるレベルで。正直な話、エヌラスは超電磁(レールガン)抜刀術・壱式“迅雷”で消し炭までが許容範囲内だった。

 きっかり装弾数五発を撃ち切ったレイジング・ブルマキシカスタムのシリンダーをスイングアウトして、血糊の付いた倭刀の汚れを振り払う。

 

「はぁ。よっし、これでオーケー……………………」

「――――――――――――」

 謎の達成感と満足感に無邪気な笑みを浮かべたエヌラスが、パンツを完全に下ろして腰を抜かしているネプギアに気づいた。口を押さえていた手が緩やかに下ろされ、慌てて丸出しになっていた局部を隠そうとする。

 

「えっ、や……嘘、待って、ダメ……!?」

 ネプギアの切なる願いもむなしく、途中で寸止めされていた排泄が再開される。滴が溢れ、それは勢い良く地面に染みていく。

 

「やっ、だ……ァ……止まって、よ……!」

 シャアァァァ……。まだ陰毛すら生える気配のないまっさらな秘部は排泄の一部始終を包み隠さずエヌラスの前で済ませていった。

 都合、十数秒にも渡るその小水を見てしまった。一部始終、全部、最初から最後まで。

 

「…………ごめんな」

 エヌラスは思わず素の声で謝ってしまう。罪悪感の塊とも言えるズボンの中で屹立している息子には「テメェ節操なさすぎやしないか」と言いたくなるが「男なんてそんなものだ」とギンギンに物語っている。

 

「ひっ……ひぐっ……えぅ……!」

 もうどうしていいか分からなくなってパニック状態のネプギアが泣きじゃくる。その顔を見て性的衝動に駆られ、自分がどうしようもなく浅ましいケダモノなのだと自己嫌悪に陥った。だがしかし、一度服を脱いでさえしまえば身体を重ねることに出会った日数も年齢(とし)の差も無いのではないだろうか? そこまで考えて、馬鹿馬鹿しくなった。自分がそうでも、そんなことをされたいたいけな少女の心にどれほど深いキズを作ることになるか。生涯引きずることになるであろう心的外傷を植え付けるつもりはない。いやもう手遅れかもしれないけれど。

 やはり、べまモンとは「この世全ての醜さ(ひたすらにキモい)」を背負った罪深きモンスターなのだろう。貴様の生まれた価値など死んだ後の肉片でしかないというのに。

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