※この作品はR-18です。

超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽-   作:アメリカ兎

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エピソード21 旧神と体育会系ロボット

 

 バーチャフォレストでレオルドを待っていたエヌラスが、上空からの騒音に見上げると一台の輸送ヘリが飛んできていた。VTOL機らしく、主翼にプロペラが付いている。

 側部ハッチが開き、そこに固定されたレオルドが居た。機体を傾けて固定しているラックを解除。上空から落下してくるレオルドはエヌラスの姿を見ると、ブースターを吹かして着地の衝撃を和らげながら降りた。

 

《お待たせしたっす!》

「よう。にしても、なんだあの輸送ヘリ?」

《はい! オペレーターのヨルドさんが操縦する輸送用ヘリです! 美人なんですけど、ちょっと性格キツイんすよ……》

「いるよな、そういうの」

《まぁいいっす! シャニさんもロゼさんも、朝のアームドソウルスの襲撃があったせいで修繕工事切り上げて帰っちゃったですし、俺も今日は暇してたっすから》

 残された作業はやり残しがないかのチェックだけだったので、それをシロトラに任せて作業員達は早々に撤収。

 

《それで、クエストの内容は何ですか?》

「ほれ」

《ふんふん。スライヌの耳……でも、ヤンキーキャットはこの辺にいないっすよ?》

「マジかよ」

《そうっすね……洞窟とか、その辺りに》

 ゲイムギョウ界の地理には疎いエヌラスにとって、仕事柄詳しいレオルドの情報はとてもありがたいものだった。

 

《まぁ、終わったら一緒に行きましょう》

「悪いな。んじゃま、スライヌの耳集めだ。オマケで尻尾も持って来いって書いてあるしな!」

 エヌラスは右手に無銘の倭刀を、左手にレイジングブル・マキシカスタムを召喚する。レオルドも両手にサブマシンガンを持ち、弾倉をチェックして構えた。

 

《レッツ・ボーダー!! オリャー!》

「っしゃーのやろー! 狩りの時間だー!」

 二人が意気揚々と武器を手にしてスライヌを中心に狩り始める。

 レイジングブル・マキシカスタムのバヨネットを持ち上げて、スライヌの顔を正面から粉砕した。レオルドも一匹のモンスターに向けて二挺のサブマシンガンを連射する。ロボットらしからぬ射撃の下手さにエヌラスが眉を寄せた。

 

「結構外すのな」

《うっ。面目ない……数撃ちゃ当たる戦法なんすけど》

「いや、狙え? ちょっと貸してみてくれ」

《どうぞ》

 エヌラスはレオルドからサブマシンガンを預かり、銃身のバランスと照星を合わせる。二連装マガジンによって装弾数を大幅に上げたその銃は確かに携行性に優れて閉所でバラ撒く分には効果的だろう。トリガーガードに指を引っ掛けて回す。これを片手に持って、撃つ。片腕で反動を吸収して、更には狙いを付け続けなければならない。

 

「ふむ」

《どうっすか? やっぱり、なんか悪いところとか》

「強いていうならお前の頭が悪い」

《ガーンッ!》

「連射力は確かにあるみたいだが……お前の火器管制システム、どうなってんだ?」

《それ、頭部のFCSっすか? まぁ要領の都合で全体的にバランス良くって感じっす》

「なるほどね」

 グリップを握り、残弾を軽く確認するとエヌラスはその場で軽く跳ねる。

 

「いいかー、この手の銃ってのはな……こう使うんだよ、っと!」

 言うが早いか、エヌラスはモンスターに向かって駆け出していた。接近して、外さない距離まで接近してから引き金を引く。反動は控えめであるが、それは採用されている銃弾の口径が小さいことを意味していた。連射重視の設計であるということは、恐らく――こう使うのが妥当だろう。

 ほぼ銃口を突きつけている状態で、一匹が蜂の巣にされた。続けて二匹目。攻撃を避けると同時に、ノールックで背後に向けて片方を連射する。背中に弾丸を暴雨のように受けたスライヌが息絶えた。空を飛んでいるトカゲ、リザードマンの攻撃を歩きながら避けてこめかみに当てた銃口がマズルフラッシュで焼いた。蹴り飛ばして、銃を横にして回転するようにモンスターを牽制。残弾は僅か。

 

「ふんっ!」

 手短な一匹を蹴り飛ばし、正面に立つモンスターを足蹴にして宙返りしながら残りの弾丸を全て叩き出す。着地と同時に残弾が0になったサブマシンガンをレオルドに返した。

 

「と、まぁこんな感じか? 外すくらいなら当たる距離で撃て。こんな感じに」

「ぬらっ!?」

 体当たりしてくるスライヌの頭を掴み、地面に叩きつけると足で押さえつける。その愛くるしい顔に向けてエヌラスはレイジングブル・マキシカスタムの撃鉄が叩く50口径の弾丸を容赦なく、装弾数五発を全て撃ち込んだ。哀れスライヌは跡形も残らないゼリー状の何かになっている。

 

《え、えげつねぇっす……》

 若干引いているレオルドはサブマシンガンの弾倉を交換しながらも、エヌラスの動きを真似てみた。

 

《どりゃー!》

「ぬっらぁぁぁ!?」

《あれ、蹴っただけなのに……》

 しかし勢いあまってスライヌを蹴り飛ばしてしまっている。ロボットが蹴ればそうもなるだろうに、エヌラスはそんなレオルドの間の抜けた行動に思わず笑ってしまった。

 

「お前、なんかロボットらしくねぇな」

《そ、そうですか?》

 一周回って愛嬌がある。出来の悪い後輩、というような感じだ。エヌラスの視線は、続けて背中に背負っている巨大な片刃のグレートソードに向けられる。

 

「白兵戦はどうなんだ?」

《あ、コレっすか。よっこいせ》

 サブマシンガンを組み合わせ、背面中央にマウントしたグレートソードを構えた。刀身を収納していたのか、スライドして展開した幅広の大剣を切っ先を下に向けている。正眼に構えないのは、そういう流派らしい。

 

《せいっ!》

 ブンッ。重い、空気を裂く音。その風切り音だけで使われている金属が相当重量のあるものであるのが窺える。スライヌは風圧だけでコロコロと吹っ飛ばされていた。

 大腿部のブースターを吹かして接地性を高める踵のローラーで土埃を舞い上げながら、レオルドは回転するようにグレートソードを振るった。それだけで三匹、のみならず剣圧で小型モンスターが仰け反っている。その隙をカバーするようにエヌラスは深紅の自動式拳銃と白銀の回転式拳銃でレオルドの周囲に集まるモンスター達を一掃した。

 

《こんな感じっすけど……どうっすか?》

「すげぇ重量感だな……」

《これ一本で五百は固いですね》

 それは流石に手本代わりに振れる重量ではない。だが、エヌラスとて魔術師だ。その基本構成から似た形状の物を、その場で“鍛え上げる”ことはできる。

 眼前に突如現れる炎にレオルドが《アッツイっす!》と叫んだが、無視して鍛造するのはおよそ同等のサイズの偃月刀。自分が普段使うサイズより一回りほど大きく、幅が広い。

 

「これくらいか?」

 ヒュンッ――。風を切る音も軽い。振ってから一瞬遅れて聞こえてくるほどだが、それでは軽すぎる。重量をかさ増しする為にエヌラスはもう一工夫を施した。

 

「うし、こんなもんか」

 軽くにしても、片腕で振るには多少堪える。風切り音も刀のような軽さから西洋剣のような重みのあるものに変わっていた。両手でレオルドの構えを真似てみる。

 

「ぬらーっ!」

「お、っと」

 突進してくるスライヌを避けて、二匹目の体当たりに偃月刀――斬馬偃月刀とでも命名する――を全身を使って振り下ろす。

 ズドォンッ!!

 土煙が上がり、飛びかかってきたスライヌは真っ二つになっていた。地面に埋まった切っ先を引き抜いて、最も効果的な初撃は何かを考えると、自然と左手が飛んでいる。

 

「そうだなぁ、こいつだと……牽制にジャブだな、後はこうやって」

 肩口からタックル――のように見せかけて抜身の居合。柄頭が強烈にリザードマンの腹部を打ち付けていた。反動で後ずさる身体を踏み止め、軸を据えた切り上げで吹っ飛ばす。

 

《おぉ……すげぇっす! そんなん今まで考えたこと無かったです!》

 素直に感心するレオルドも真似てみるが――やはり殴られただけでスライヌの顔に拳がめり込んで面白いように吹き飛ぶ。

 

「いや、お前がやると……まぁそうなるわな」

《あ、あれー? あれぇ?》

 不思議そうに首を傾げていた。

 

《ま、まぁいいっす! 自分のことは! それより、スライヌの耳は集まったっすか?》

「あ」

 すっかり忘れていたエヌラスは、うっかりとでも言うように声を挙げる。

 

《まさかとは思うっすけど……忘れてましたね?》

「いやー……はは。雑魚敵倒すのが愉しくてすっかり忘れてた」

《ダメじゃないっすか》

「うるへ。いくらでもいるんだからいいだろ?」

 気を取り直して、エヌラスとレオルドはスライヌの耳集めを始めた。ついでに尻尾もいくつか。

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