超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
「…………さて。ネプテューヌさん? ネプギアさん? どうして私がお二人を呼んだかは、もうわかっていますね?」
「は、はい……」
「うー、まさか本当に言いつけるなんてあいちゃん酷い……」
「ネプテューヌさん。聞いていましたか」
「聞いてるよー」
「確かに、私は言いました。お風呂場でエッチなことはしてはいけない、と。ネプテューヌさんはこれに承諾したはずですね?」
「しました……」
「なのに、エヌラスさんとお風呂場で一体なにをしていたんですか?」
「背中を洗いっこしただけなのにぃ……」
お風呂から上がったエヌラスとネプテューヌ、ネプギアだったがそこで待ち受けていたのは笑顔のイストワールだった。ユウコはと言うと、現在はエヌラスを正座させている。
「いいですか? 一緒にお風呂に入るのは確かに構いません。ですが、万が一のことを考えて私は言ったのです。間違いが起きてからでは遅いんですよ?」
「はい……」
「はーい……」
「……というより、もしかしますけれども。それが目的で一緒にお風呂に入りたいと仰ったのですか?」
「ぅ……流石いーすん……鋭い」
「ネプテューヌさん……? 今、なんと?」
「ま、まさかぁ! そんなはずはないよぉ!」
ナイトウェアに着替えて冷や汗をダラダラ流すネプテューヌに近づいて、イストワールは睨みつけていた。鼻先が触れるほど近い場所で睨まれてネプテューヌは堪らず目をそらしている。
「…………」
「…………」
その一方でエヌラスはと言うと、押し黙るユウコの前でただ正座させられていた。
「……怒ってるか?」
「別に怒ってないけど」
「……なら、なんで俺正座させられてんだ?」
「そりゃー、形だけでもお叱りしとかないと私にも立場ってものがあるし」
「しっかりしてやがる……」
「はぁ……本当に、いかがわしいことしてないんだよね?」
「背中洗っただけだっつーの」
「マッサージって、あのマッサージ?」
「そのマッサージ」
「意味深じゃなくて?」
「特に意味は無い」
「意味ねえなら不用意に乙女の肌に触れんな!」
「理不尽じゃねぇこれ!?」
頭をぺちぺちと叩かれる。一応、怒っているつもりらしい。
「まぁ、私はできる女だから別にお前が誰に手を出そうといいけどさ……ネプちゃん達はそういう相手じゃないんだから、気をつけろよ」
「…………」
「わ、私なら別にいいけど……その、でも、ユノスダスだけでだからな」
「あー……うん、おう。その時が来たら、頼む」
顔を赤くしながらそっぽを向いたユウコが咳払いを一つ挟んでネプテューヌたちの方へ向き直る。
「――ですから、聞いていますか?」
「はーい。聞いてまーす……むぅー、いーすんは固いんだから……」
「当然です! 私はネプテューヌさんとネプギアさんには健全なお付き合いを期待しているんですから」
「むっ。つまりいーすんはエヌラスのこと信用してないの!」
「むしろネプテューヌさんのほうが信用なりません」
「酷くない!?」
「まぁそれは置いておきましょう。とにかく! 今回は見逃してあげますが、今後このような事が起きた場合はネプテューヌさんだけでなく、エヌラスさんの処遇についても考えなければなりませんからね。そのことも考えておいてください」
「はい……ごめんなさい、いーすんさん」
「もー、背中を流してただけなのになんでこんなに怒られなきゃいけないかなぁ……」
イストワールからの折檻が終わって、ネプテューヌとネプギアが立ち上がる。
「……でもま、考えてもみればエヌラスは邪神とずっと戦ってたわけだし少しくらいは大目に見てやってもいいかな」
「ユウコ……」
「そういうの、本当は真っ先に私に頼ってほしかったけど……なんかこう、色々複雑みたいだし」
エヌラスにネプテューヌが飛びついて、思わぬ重量に姿勢を崩した。
「ユウコもエヌラスのお説教はそこまでにして、お風呂入ってきたら?」
「んー、そうしたいんだけどせっかくだし温かい飲み物でも作ろうかな。後は朝食の用意とか」
「もう朝ごはんのこと考えてるんですか?」
「そりゃね。夕飯が残ってたらそのまま出すけど、全部食っちゃったし。仕込んどかないと……」
横目で見るのは、ネプテューヌに潰されたエヌラス。なんとか起き上がり、抱きつかれたまま立ち上がる。
「ま、あんま口うるさく言う気はないけど――ネプちゃん、ギアちゃん。程々にね。イーちゃんにまた怒られちゃうから」
「はい。ありがとうございます」
「ユウコは優しいなぁ~。いーすんと交代してくれないかな」
「あはは。商業国家は私じゃないと回んないし、それはダメかなー」
笑いながらキッチンへと向かうユウコにイストワールは胸を撫で下ろした。
「ふぅ……またエヌラスさんがボロ雑巾になるかと思いましたが、杞憂で済みました」
「俺の身の安全考えてくれてありがとうな……」
「アイエフさんとコンパさんはもう寝てしまいましたし……私は今のうちに頼まれごとを片付けてしまいましょう」
「何か頼まれたのか?」
「はい。ユウコさんがハァドラインについて気になることがある、とのことなので」
イストワールも自分の仕事に集中するためか、執務室を後にして教会を降りて行ってしまった。残るのは三人。
「……ね、エヌラス。ベッド行こ?」
「今から?」
「だって~、さっきまでのアレでおあずけっていうのはいくらなんでもあんまりだよぉ~。エヌラスだってそうでしょ?」
「……思い出させんな」
ネプテューヌとネプギアの裸を見てだけでなく触れた実感まで思い出してしまいそうになる。
「それとも……そういう気分じゃない?」
「分かったよ。お前のわがままに付き合うが、俺も疲れてんだからちょっとは加減しろよ?」
「やったー!」
「お姉ちゃん、喜びすぎじゃ……」
「だってぇ、前はぷるるんだけじゃなくてノワールにまで先を越されたからね。こっちでぐらいわたしが一番乗りじゃないとヒロインの名が廃るってもんだよー。それにほら、主人公だし!」
「ぷるるん……」
その名前に聞き覚えがあるが、思い出そうとして――どうしてか悪寒が走った。なぜかはわからないがどうしても背筋が薄ら寒くなる。
「どうしたの、エヌラス?」
「い、いや……なんというか寒気がした」
「そーだ、今度ぷるるんも呼んでおかなきゃ! エヌラスがこっちに来たの知ったらきっと大喜びだよ」
「あー……うん、俺もプルルートに会うのは楽しみだ……はは」
「どうして顔青いんですか?」
「なんで、だろうな……すげぇ嫌な予感しかしない」
思い出す。イジメられて――イジられて――弄ばれて……それもまぁ悪い気はしないかなとか思っていた自分。頭を振ってそのイメージを払拭する。
「まぁいいか。今はもうベッドで泥のように寝たい」
「泥のようにまぐわいたい? もう、ほんとエヌラスはエロエロだなぁ」
「……ネプテューヌ。テメェベッドで覚えとけよ」
「え」
硬直するネプテューヌを連れて、ネプギアと一緒にベッドへ向かう。
「あの、わたし――どうなっちゃうの?」
「後のお楽しみだ、たっぷりとなぁ。もうひとつ思い出したことがある」
「なんですか?」
「ネプテューヌ。泣いても許さねぇからな、覚悟しとけ」
「まさかの初回ハードコア仕様!? でもちょっと楽しみかも」
そんなこと言っていられるのも今のうちだ。エヌラスはネプテューヌを背負いながら部屋へと入った。