超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
episode24 “こちら側”と“あちら側”
次元連結装置――それこそが全ての元凶だった。元は次元を超えたシェアエネルギーの確保と共有による拡大を図ったものである。未知との邂逅に胸を踊らせ、不安を抱えながらもその計画は国を超えてアダルトゲイムギョウ界の技術を結集して作られた。
《キンジ塔で我々の計画は最終段階を迎え、そして無事に起動しました。ですが、その土壇場でエヌラスが突然襲撃を仕掛けてきたのです。計画を持ち掛け、我々の同意を得て誰よりも情熱に満ちていたはずの男が。……結果、不完全な形として装置は起動。この世界が崩壊に至る原因となりました》
「じゃあ、どうして戦争まで併発してるのよ。おかしいじゃない」
《全ては“リセット”の為です。キンジ塔を計画の場所に選んだのには理由があります。
曰く、最後の一人は世界を“再世”することが出来る。
曰く、世界を支配する力を得ることが出来る。
曰く――大いなる“C”への挑戦権が得られるなど、様々な伝承があります》
「大いなる……」
「“C”?」
《その力を授かることが出来るのは、最後の生き残りだけ。だからこそ我々は全面戦争の宣戦布告を掲げ、戦っているのです。当面の目標はエヌラスの脱落ですが、上手くいくかどうか》
アルシュベイトを差し向けたのがこのバルド・ギアであることをネプテューヌ達は知る由もないが、それでもその話には納得がいかなかった。
シェアエネルギーの確保。それは、エヌラスの体質からしたら確かに重要なことだ。だが、それとこれでは話が違う。
「そもそもアナタが次元連結装置なんてものを開発してなければゲイムギョウ界に被害が及ばなかったんじゃないかしら?」
「そうだそうだー! 頻発する地震のせいで実績解除のノーセーブクリアが失敗したんだから! おこだよ、激おこプンプンネプテューヌ様だよ!」
「お姉ちゃんのそれは完全に私利私欲のような……」
《それにつきましては、大変申し訳無いことをしたと思っています》
深々と頭を下げるバルド・ギアに、これ以上の非難を浴びせたところで解決しない。ネプテューヌ達は起きてしまった以上、責めるのをやめた。
《もし、よろしければの話なのですが。そちらの世界へ私も同行させていただいてもよろしいでしょうか? 被害の調査と、上手くいけばの話ですが……もしかすればそちらでの災害を抑えることが可能かもしれません》
「本当ですか!?」
《あくまでも仮定の話ですが……》
ノワールは考えこむ。果たして信用していいものかどうか。何か裏があるのではないか、と。
「……ねぇ。それ、そちら側のメリットは何かあるの? 私達としては嬉しい申し出なんだけど、鵜呑みにするわけにはいかないの」
《元を言えば、私達の戦いにあなた方の世界が巻き込まれたようなもの。そうであれば、原因たるアダルトゲイムギョウ界の住人であり、次元連結装置を開発したインタースカイ国王のバルド・ギアにはその問題を解消する義務があります。そうでなくとも、後方の憂いは断ちたい。そうと知った以上は我々だけの問題ではありませんからね》
「ノワール、信頼してもいいんじゃないかな? エヌラスもアルシュベイトも同じこと言ってたんだし。ここでバルド・ギアだけ疑ったら私達、他の二人も疑うことになっちゃうよ」
「ええ、そうね。それにゲイムギョウ界だったら本来の力も出せることだし……分かったわ、アナタの言葉を信じるてあげてもいいわよ」
《ご理解いただけたようでありがとうございます》
バルド・ギアは重ねて頭を下げる。
《ステラ、みんなに連絡を。次元渡航の準備をしてもらえないか》
黙って頷いた少女が消えた。恐らくは仮想現実へ戻ったのだろう。
「あの、国王って他にどんな方がいるんですか?」
《改良までの時間、退屈でしょうしそれについて話しながらすることにしましょう。どうぞこちらへ》
言って、再びエレベーターに三人が案内された。今度は地下へ向けて移動する。
そして案内されたのは、インタースカイの核とも言える巨大なメインコンピューターだった。常時稼働を続けるサーバーを動かしているのは四つのマザーコンピューター。それを見てネプギアが目を丸くしていた。何しろ巨大過ぎて見上げるほどなのだから無理もない。
「で、デカイ……!」
その装置にNギアを接続し、最適化されたデータをインストールしている間にバルド・ギアが話を続けた。
《まず、私。電脳国家インタースカイ国王、バルド・ギア。もうご存知でしょう》
「そうね。ひとまず悪い人じゃないのも分かったし」
《ありがとうございます。次に、エヌラス。彼が治める国は地下帝国九龍アマルガム》
「ホントに国王だったんだ!?」
「お姉ちゃん、本当に疑ってたんだ……」
《そして、次に――アダルトゲイムギョウ界最強と呼ばれる国王。軍事国家アゴウ国王、アルシュベイト。私の無二の親友でもあります》
「昨日襲撃してきた、ドラグレイスだったかしら? あれも国王なの?」
《いいえ、違います。あの男は自分の治める国を持ちあわせておりません。ですが、自らが率いる傭兵組織を抱え込んでいます。しかし……》
「しかし?」
《本当に留意すべきは国王ではありません。神格と呼ばれる存在です》
守護女神が国を治めるように神格と呼ばれる存在もまた国を治める。だが、それは単純に神格が他人からの信仰心を必要とするからだ。『国王=神格』であり、同時に“
《ほとんどのものは国王として君臨し、名を馳せるものばかりですが――中には無軌道・無秩序を掲げて動くものも確かにいるのです。最も危険な存在であると同時に、そんな彼らの行動を崇拝する熱狂的な信者もこの世界にいることを忘れないで下さい》
「なるほどね。カルト教団、ってわけ。新興宗教や秘密結社のように、犯罪者の集まりでしょ?」
《ええ。無法者の集まりであるがゆえに、その信者達の行動は読めない。対策を練ることもできません。彼らは自らの崇拝する神格者にシェアを送る為ならどのような非道な行いにもでます》
それに近い存在がドラグレイスだ。自らの力を示し、傭兵達をまとめ上げている。その絶対的な力に彼らは惚れ込み、従っているのだという。だがしかし、ドラグレイス自身の美学に則った以上の行動はしない。彼らなりに“筋を通す”集団だ。
「それを率いているのが神格者であるとなると……相当に厄介ね」
《気をつけてください。私やアルシュベイトのように無関係なものを巻き込むのを望まない国王ばかりではないことを》
「エヌラスは?」
《彼は口ではああ言ってますが、彼の起こす行動の数々は明らかに崩壊を助長しているものです。結局のところエヌラスは、破壊神でしかないのですよ。あなた方も見たはずだ。彼の武器を》
そして、Nギアにデータを流し込み終えたのかステラが再び半実体化してバルド・ギアの隣に並ぶ。
《あちら側と連絡する準備が整ったようですね。お願いできますか?》
「は、はい!」
巨大なメインコンピューターに接続されたNギアに近づき、ネプギアが操作した――