超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
「そうね、バカだったわ。エヌラスって」
「そうだろ?」
「ええ。そんな風に、自分で自分を追い込んでも、誰も助けてくれないのに……どうしてそんなことするのよ。自殺でもしたいっての?」
「……誰も、助けてくれるはずねぇよな。わかってるよそれぐらい」
いつもよりやけっぱちになっている姿にノワールは頬を膨らませながら腕に力を込める。
「いっそお前らに殺されるなら、諦めがつくってのによ……」
「――――」
諦め。そんな言葉がエヌラスの口から出るなんて思いもしなかった。誰よりも足掻いて、藻掻いて、諦めが悪くて。目の前の理不尽にも不条理にも殴りかかるような男の口から吐いて出た言葉は禁句だった。守護女神に殺されるなら諦められる……そんな事を言われると、どうしたらいいのか分からない。
「おかしいわよ、ほんとに。どうしちゃったのよ」
「とっくにどうにかなってるし頭もおかしくなってんだよ。いつまで抱きついてるつもりだノワール」
振りほどこうとするエヌラスに、ノワールは何かを思い出しかけていた。そう、アレは確か……夢だったかもしれない。曖昧な記憶に眉を寄せる。自分は何か忘れている。それは間違いなく目の前の人に関係があることなのに。
(わたし……何か忘れてる……?)
そういえば、ユニが温かい飲み物を用意してくれていた――。深く息を吐くエヌラスに、ノワールは不安になりながらも背中の傷跡をなぞる。袈裟懸けに走る切り傷、弾痕。無数に刻み込まれたソレが一体誰と戦った傷跡なのかは考えるまでもない。
たった独りで、ずっと。
「もういいだろ……一人にしてくれ」
「ダメよ。まだ頭洗ってないじゃない」
「……」
呆れたようなため息が背中越しに聞こえてくる。多少口やかましいくらいがエヌラスには丁度いいのかもしれない。ここで引いたら、きっとすぐにでも出て行ってしまうだろう。
「なんで俺の為にそこまでするんだお前」
「なんで、って……変かしら」
「……好きにしろ」
陰のある口ぶりに、ノワールは再び後ろから抱きしめてみる。反応無し。胸を押しつけてみるも、やはり反応無し。耳元に顔を近づけて――。
「エヌラス……」
甘くささやいてみるも、やはり無反応。ここまで相手にされないと逆にノワールが頭に来ていた。
「ちょっと、なんか反応しなさいって。それともなに? 好きにしろって言った手前、何も出来ないかしら。それとも、何もしないつもり?」
「どっちでもいいだろ」
「むぅ~……頭きた! ちょっとこっち向きなさい!」
「なんだよ」
向き合うように姿勢を変えて、今度は正面から胸を当てるように身体を寄せる。それには流石にエヌラスも息を呑み、唾を飲み込んだ。
(ふふん、これなら流石に無視できないでしょ)
得意気になって首に手を回す。額を合わせて、目を瞑ると重ねた身体から心臓の鼓動が聞こえた。
「――――」
「――――」
ノワールがゆっくりと目を開くと、エヌラスの顔がすぐそこにある。血のように赤い瞳の中には自分の姿が写っている。目と鼻の先、三寸もない位置に唇があった。
「エヌラス……」
顔を近づけ、唇を差し出してもエヌラスは目を背けるだけで身体を抱きしめようともすら動かない。ノワールはそのまま唇を重ねる。軽く触れるだけのキスではあったが、エヌラスから少しだけ吐息が漏れた。
「……ノワール」
「好きにしていいんでしょ?」
「仕事残ってるんじゃねぇのかよ」
「……そうだけど、そこはそれよ。ちゃんとスケジュールくらい管理できるわ」
そう、これはちょっとした息抜きだ。気が乗らないという風な体を装って、引いてもこちらが押せばいいだけのこと。幸いにしてエヌラスは「好きにしろ」と言った手前ノワールに手を出すことが出来ない。なら――今回はこちらが主導権を握る番だ。
「そ・れ・と・も……“おあずけ”の方がいいかしら」
ノワールが手を伸ばした先は、エヌラスの股間。口で言ったところで結局、身体は誤魔化すことなど出来はしない。胸を当てられて性的興奮が抑えきれないのか、既に屹立している竿を根本から手で包み込む。
「こっちはして欲しいみたいだけど」
「……」
「どうなのよ」
「好きにしろって言っただろ、二度も言わせんな」
「そういうかわいくないこと言うと、こうしちゃうわよ」
ゆっくりと擦ると、その甘い刺激に素直な反応が返ってきた。今、リードを握っているのは確かに自分だ。そう再認識したノワールの中で、支配欲が湧き上がってくる。
考えてもみればそうだ、いつも自分はネプテューヌより頑張っているのに、いつもいつもネプテューヌより後だ。ぐぅたらと女神の何たるかを今だに理解してるのかしていないのか分からない相手より、頑張っている自分がいつも貧乏くじを引く。これではまるでさながらウサギとカメだ。エヌラスにしてもそう。どうしてそう、ネプテューヌを優先してしまうのか。腹立たしく思いながらノワールは身体に巻いていたバスタオルをはだけさせる。
ネプテューヌのように女神化しても差は無いが、それでも自分なりにスタイルの良さは自負しているノワールとしては身体を押しつけても反応が無いのは頭に来ていた。そりゃ確かに、女性に関して不思議と困らないエヌラスには見慣れたものかもしれないが。
「なら、好きにさせてもらうわ」
とはいえ――久しぶりな上に自分から、というシチュエーション。慣れない手つきで擦っていたノワールは胸をエヌラスの股ぐらに押し付ける。
「んっ……」
滑りが悪く、唾液を口から垂らして潤滑油代わりにするとノワールはそのまま胸で挟みながら上下に擦る。
(こうして、見ると……結構……大きい、のよね)
これがネプテューヌやネプギアやプルルートの身体に……そう考えるだけでもノワールは身体の芯が熱くなるのを感じていた。エヌラスの様子を窺うと、気持ち良いのか声を我慢しているようだ。雨に濡れて張り付いた髪が、普段とは違う雰囲気を出していた。陰のある顔も、普段は見せないような弱々しい表情も近くで見るだけで惹き込まれる。
「どう、エヌラス。気持ちいいわよね……」
「……聞くな」
「こんなに、固くして……はぷっ」
胸の間から覗く亀頭を咥えて、舌先で丹念に舐め回す。先端から溢れるカウパーを吸い取り、割れ目に舌を入れた。
「っ――」
「んっ……ここ……?」
反応を見せた箇所を集中的に舌でほじる。エヌラスの口から熱い吐息が漏れ、ノワールは湧き上がる情欲を抑えながら喉まで咥え込んだ。根本まで舌を這わせて、ゆっくりとしゃぶる。そうしているだけでも自分の股が熱くなるが分かった。疼く下腹部を我慢しながらエヌラスを見上げて口で奉仕していると、男根が震える。そこで口を一度離すと、深く息を吐いた。
「…………?」
「あのまま出したかった?」
「……ああ、てっきりそのままかと思った」
「胸だけでいいのかしら。そこは選ばせてあげるけど?」
――そうだ。自分を置いて、ネプテューヌ達と楽しんでいたに違いない。だから少しくらいイジメさせてもらおう。これはちょっとしたお仕置きだ。
(そうよ。いつもいつもネプテューヌばっかり。たまにはわたしが美味しい役目でもいいじゃない……)
好きにしろ、と都合よく言われたのだからもう少しくらい……。
「お姉ちゃん。乾燥機止まってるよ?」
「ぴゃあぁ! ユ、ユニ!?」
「あれ。お風呂入ってたんだ」
脱衣場から名前を突然呼ばれて、ノワールは今まで考えていたことがすっかり頭から抜けていく。
(そ、そういえばまだ日が高いのよね……自重しないと。エヌラスだって一回や二回で満足しな――じゃなくて!)
ああもう、違う。そうではない。女神の仕事を放棄してエヌラスにかまけている暇なんてないのだ。スケジュールの調整だって限度があるし、ユニの目もある。自分がしっかりしないと、このままではネプテューヌと同じだ。
改めて気を引き締めたノワールは咳払いを一つ挟む。
「お姉ちゃん、もしかして……誰か一緒に入ってるの?」
「背中流してあげてるだけだからあなたは気にしなくていいの!」
「だって、男物のスーツ……」
「いいから! 言うこと聞きなさい!」
「……うん」
脱衣場からユニの気配が消えてから、ノワールは深く息を吐いた。
「ごめんなさい、エヌラス。続き、してあげたいんだけれども……」
「……いい、別に。気にしてない」
「後で、埋め合わせしてあげるから怒らないでくれるかしら?」
「怒ってねぇよ……」
「ホントに?」
「ああ。だから、気にしなくていい」
ならいいのだが――いつもと様子が違うにしても、今のエヌラスはまるで……。
「じゃあ、わたし先にお風呂上がるわね。あなたの着替え用意しておくから」
「わかった」
「ちゃんと頭も洗いなさいよ? 風邪引くから」
「俺は馬鹿だから風邪引かねぇよ」
「いいから。言うこと聞いて」
「……わかりました」
なげやりな態度が気になるものの、エヌラスは髪を洗い始めた。
先に上がったノワールは脱衣場で自分の身体をタオルで拭きながら、内股に指を当てる。そこには、やはり愛液が伝っていた。
「――――……」
こんなにも、自分の身体が求めているのに。どうして上手くいかないのだろう? そんなことを考える頭を振り払い、ノワールは気を引き締めた。まだ仕事中なのだから。