超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
「エヌラス。動くわよ?」
「ノワールのペースでいい。好きに動いてくれ」
「ん、じゃあ……」
経験があるとはいえ、それは“前世”でのこと。今回が二度目の初めて、という奇妙な事になっているノワールの腰使いはゆっくりとした上下運動。中で擦れる度に、その形がハッキリと感じる。下腹部に手を当てて、深く息を吐いた。
「はぁ……エヌラスの、こんなになってる……わたしでちゃんと気持ちよくなれてる……?」
「ああ、そのまま……」
「う、うん。……良かった」
繰り返し動いているうちに、ノワールも慣れてきたのか腰を浮かせてからゆっくりと奥まで挿入していく。
「全部入っ、たかしら……? お腹、苦し……」
「無理しなくていぞ」
「ううん」
エヌラスの手を強く握り返し、目尻に涙を溜めながらノワールは微笑んだ。
「こうしてると、苦しいよりも気持ちいいい、というか……なんていったらいいのかしら? わたし、満たされてる感じがするのよ。だから――えいっ」
「っ~~!?」
ゆっくりと抜いていき、そこから一気に根本まで飲み込まれた竿が震える。エヌラスも思わず声を漏らしそうになった。
「ん~? エヌラス、こういうの好きなの……?」
「ノワール、それ、やめろ……! 出る……!」
「さっきも出したんだから、もうちょっと我慢してよ。わたし、まだイッてないん、だからぁ」
根本を擦りつけるように腰を回すノワールはゾクゾクと背中を駆け上がる快感に負けじと何度も腰を振る。
(あ、でも……こっちで出されたりしたら……)
赤ちゃんが出来ちゃう――? そうなるともう、エヌラスは他の人を見なくなるのだろうか? ずっと自分のそばに居てくれる……。
「ん、ぁ! や、なん、でぇ!?」
そう考えた瞬間、ノワールは自分が動かしていた腰の動きに、膣を押し広げている接合部からの快感が甘い痺れとなって腰を抜かした。エヌラスに身体を重ねるノワールは息を荒げながら頭を預ける。
「……ね、エヌラス……わたし」
「ん?」
「えっと、その。……赤ちゃん、出来ちゃったら責任取ってくれる?」
「……俺みたいなやつの子供、欲しいのか?」
「だって……ダメ……かしら? 今更聞くのも変かもしれないけれど」
「ノワール。俺、浮気症だぞ」
「知ってるわ」
「……俺、甲斐性ないぞ」
「知ってるわよ」
「ぁー……」
「イヤなの?」
ノワールの問いに、エヌラスは首を横に振らなかった。振れなかった、というのが正しい。
「嫌じゃない……」
「なら」
「でも、違うんだよ」
「ふえ?」
仰向けになっていた状態から、身体を抱き抱えながら寝返りを打って体位を変える。騎乗位から正常位に。ノワールは形勢逆転されて目を白黒させていた。
「俺は、子供欲しくてこうするわけじゃないんだ。シェアが欲しいからでもない」
「じゃあ、なんで……」
「俺が誰かを抱くのは、自分の命を預けてもいい。命を懸けてもいい相手だけだ」
エヌラスが腰を引くと、亀頭まで引き抜かれる。
「自分の命を安請け合いしてるって思われても仕方ないけど、な」
「きゃんっ!」
ノワールにされたように、今度はエヌラスが奥まで挿れるとノワールから嬌声が上がった。
「お前が欲しくて欲しくて仕方ない、たまらないんだよ。それで子供が出来たりしたら、そりゃ……責任は取るが」
「んぅ! あっ! エヌ、ラス……!」
――そう言えば。ノワールはエヌラスに突かれながら思い出す。アダルトゲイムギョウ界でエヌラスはそう言っていた。
自分でも分からないくらい、誰かを守りたい気持ちに駆られる。愛する人を奪われた。だからこの胸に秘めた気持ちを口に出すのが怖い。また奪われてしまうんじゃないのかと。
「エヌラス、大丈夫。大丈夫、だからぁ……!」
首に手を回して、ノワールは身体を抱き寄せる。そうするだけで更に深くまでエヌラスを感じた。
「わたし、誰かに奪われたりしない――口に出して? あなたの気持ち、聞きたいの」
「……ノワール」
「言ってくれなきゃ、わかんないもの」
「俺は」
頬に手を添えて、思いを口にする。
「……――好きだ」
「エヌラス……」
自分でも分かるほど顔が熱い。きっと、ノワールと同じくらいに真っ赤になっているだろう。
「お前のこと、大好きだ……!」
「わたしも好き。エヌラスのこと大好きだから」
頭を抱いて、髪を撫でながら繋がったままのエヌラスが果てるのを感じる。こんなに深く、熱く繋がっているのだから気持ちくらい聞いても悪くないはずだ。
「んぅ……ぁ、出てる……!」
「ふぅ――」
中で何度も跳ねながら、吐き出される精液を受け止めながらノワールはエヌラスの身体を離さなかった。
――いつの間にか、あれから寝てしまっていたようだ。ノワールが目を覚ますと、隣ではエヌラスが眠っている。寝ぼけたままその寝顔を観察すると気恥ずかしさがこみ上げてきた。
昨日の夜はどうして自分はあんなことを言ってしまったのだろう。今思い返すだけでも死ぬほど恥ずかしかった。
(……でも、エヌラスがわたしのこと好きって。大好きって言ってくれた)
初めて言われたような気がする。それが言葉にならないほど嬉しかった。口にできないほど満たされた。今この時だけでもいい。何もかも忘れて、自分を見て欲しい。願うことなら、ずっと傍にいたい。
眠っているエヌラスの髪を撫でる。
「ん……」
毛先の傷んだ髪は跳ねて、ボサボサになっていた。小さく呻くエヌラスにノワールは手を離しそうになったが、しばらくそうして頭を撫でる。穏やかな寝息を立てながらおとなしくしている寝顔に顔を近づけて――ノワールがキスをした。
軽く触れ合う唇を離して、もう一度。今度は少しだけ長く。
「んっ…………はぁ……」
髪を手で除けながら、顔を離すとエヌラスの目蓋が薄っすらと開けられていた。
「っ――お、起きてたの?」
「……いや、なんか気持ちよくて……今起きた」
「お、おはょぅ……」
「……おはよう、ノワール」
滅茶苦茶恥ずかしい。尻すぼみになる声と、寝起きでいつもと違う雰囲気の姿に思わず枕をエヌラスの顔に押しつけてしまった。
「ほむっ……」
「み、見ないでよ!」
「見るなって言われてもな……俺の寝顔見て、楽しいのか」
「……楽しい、というよりは見れてちょっと嬉しかったかしら。見られるの嫌だった?」
「いや。見られて恥ずかしいけど、ノワールならいいか……ぐらいにしか」
「わたしになら、いいの?」
「……」
「なんでそこで黙っちゃうのよ! どうせネプテューヌやネプギアやプルルートにも見られてもいっかー、とか考えてるんでしょ」
「まぁ……でも、お前が一番安心できる」
なにをされるか分からない、という点では。枕を退けながら、エヌラスはノワールの頬を撫でてキスをする。
「んむ……」
「ノワール」
「……もう、起きましょ? そろそろユニが起きてきちゃうから」
「そうだな」
掛けていたシーツから身体を起き上がらせると、エヌラスが銀鍵守護器官を再稼働させて右腕の調子を確かめていた。最初はぎこちなく指先が動いていたが、二度三度繰り返すとすぐに接続される。それを見ていたノワールは何か言いたそうな表情をしていたが、何も言わなかった。
朝の食卓に、ノワールとユニ。そこにエヌラスが加わる。
「おはよう、お姉ちゃん。エヌラスさんも」
「おはよ、ユニ。ご飯の用意ならできているから一緒に食べましょ」
「うん」
三人で食べる朝食は、とりとめのない雑談を交えた和やかなものだった。今日の天気は晴れ。雲は多少残っているが昨日の雨に比べればかわいいもの。雨上がりで湿度が高いだの、今朝の占いではラッキーアイテムが矛盾している。そんなかわいい話題。
朝食を終えて、すぐに職務に取り掛かるノワールとユニだがエヌラスはどうするか考えていた。自分も手を貸した方がいいだろうか、とも思う。しかし、教会職員やユニに向ける指示の的確さを見る限りでは余計なことはしない方が賢明だ。
「おまたせ、エヌラス」
「なぁ、ノワール。俺は何をしてればいいんだ?」
「そうね……本でも読む?」
「……仕事、手伝わなくていいのか」
「――そうだ、忘れてたわ。プラネテューヌに居たのよね?」
「まぁ」
「どうせ、ネプテューヌの代わりに仕事してあげてたんでしょ。ダメよそういうの。甘やかすと調子に乗るんだから」
「知ってる。だからもうアイツには加減しない」
「それが賢いわ。でも、ラステイションでもそれが通用するとは思わない方がいいわ。なんて言ってもわたしが治めてる国だもの。あなたが手伝ってくれなくても大丈夫よ。のんびりしてて」
「そうは言われてもな……」
何かしていないと落ち着かない。かといってラステイションを一人で出歩くにしても不安だ。教会に入り浸るのもプラネテューヌの二の舞いになりそうな気がする。
そうなると結局、選択肢は限られて――。
「……ノワール。ラステイションに関する本とか資料とか、あったら片っ端から読ませてくれるか?」
「いいわよ」
ノワールに最初提案されたとおりに、読書ぐらいしかすることがなくなってしまった。