超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
R18アイランドについての知識についてはネプテューヌ達に聞くしかない。取り立てて大人っぽいベールに尋ねるのが一番だろうと思い、エヌラスは女神化を解除しているベールへと声を掛けた。
「あら、なんですの?」
「具体的に、どういう場所なのか聞いておこうと思ってな」
「そうですわねぇ……昼夜問わず、あんなことやこんなことが行われている大人の楽園としか」
(年齢制限引っ掛かってる女神いたけどいいのか……)
「ブランでしたらああ見えて、わたくし達の中で一番女神歴が長いですから大丈夫ですわ」
「入島審査ガバガバじゃねーか! イテテ、大声出すと身体に響く……」
「あらあら。大丈夫ですの?」
「大丈夫じゃないかもしれない」
満足に使えるのが“電導”のみという状況。両掌の魔術刻印は既に破壊されてしまっているが、特に深刻なのが右手だ。元々誤魔化して動かしていた右腕は機能不全に陥っている。そのせいで着替えも手間取ったのだが、言わないでおく。一緒にはしゃぎたいのは山々だが、先に怪我を治す方が大事だ。
「そのー、なんだっけ? ホテル」
「グランドオープンするというリゾートラブホテル『ビッグボックス』?」
「その名称は色々と波紋呼びそうだから早急に訂正を要請しておけ」
「というよりも、わたくし達もそちらがメインのはずだったのですが……ネプテューヌを筆頭にあの喜びようでは期待するだけ無駄そうですわ」
比較的常識人であると思っていたノワールもネプテューヌに連れられて早速ビーチの方へと足を運んでいた。グイグイと引っ張る姿に全員が仕方なく、といった様子でついていく。なんだかんだと周りを引っ張っていく素質があるのは流石主人公オブ主人公というべきか。
それに付いて行くミリオンアーサーがふと思い出したように足を止めてエヌラスとベールの下へと駆け寄ってくる。
「エヌラス、ベール。二人は良いのか?」
「ん? ああ。俺は先にホテルの下見してくる。ついでにいうとメチャクチャ身体いてぇ」
「ふむ、そうか……ふむ。ベールは」
「わたくしも、誘った以上は間取りとか把握しておきませんと」
「……わたしがついて行ったら邪魔になるだろうか?」
「変な気遣いするんじゃねぇ。後、今日の俺にツッコミやらせんな。怪我に響いて死ぬ」
ビーチへと向かっていたネプテューヌ達が慌てた様子で戻ってきた。
「うわぁぁぁーーエヌラスー! 大変だよー!」
「なんだよ……」
「今、ヒワイキキビーチで『第三回ポロリしかないビーチバレー大会~景品のピーチでピッチピチお肌を目指せ~』開催中だって! 参加条件は全裸だってさ! これは是非とも女神様チームとして参加を――」
「テメェは俺の怪我を気遣いやがれぇぇぇぇっ!!」
エヌラスは怪我が悪化するのも忘れて思わず全力でツッコんだ。誰が脱ぐか。しかも聞けば参加は女性限定らしい。ちなみに景品は「R18アイランド銘菓桃尻饅頭」とのこと。それはそれで食べてみたい気がするがエヌラスは全力で遠慮しておいた。
「誰でもいい、誰でもいいから、ネプテューヌが暴走しないように押さえとけ……」
「それ、エヌラスしか務まらないと思うわよ」
「尽力しろよノワールぅぅぅ……頼むよ、今この状況だと頼れるのお前かアイエフくらいなんだよぉ……!」
「そ、そこまで言うならしょうがないわね」
「頼んだぞ……絶対に俺を巻き込むなよ……!」
程々にするように、と無駄だとわかっていながらエヌラスは念を押しておいた。苦笑するアイエフ達に、ふと思い出したようにベールへと向き直る。
「そういえば、ベール」
「はい」
「部屋割りってどうなってるんだ?」
「……はい? 部屋割り、ですの……?」
「これだけ大人数で来てるんだから、てっきり部屋割り決まってると思ってたんだが……」
――思えば、その一言が元凶だったのかもしれない。
「……――――え、ええ。部屋割りですのね? その、誰と誰が一緒の部屋とか、そういう」
「なんでそこで改まって確認した? ちょっと不安が押し寄せてきたぞ今」
流石にこの大人数で雑魚寝するというわけでもあるまい。ホテルの部屋数にも限りはあるだろうし、まだオープン前だ。そうなると、シングルとかダブルとか、そういった普通の部屋の間取りとかになっているだろうと予想していた。現物を見ないことには始まらないが、そもそも誰と寝泊まりするのかも知らされていない。特に、エヌラスはハーレム状態で唯一の男性だ。まぁ、場合によっては一人で気楽に過ごすというのも選択肢ではあるが――というか一番望ましい。
気のせいか、心なしか……女神達の間に走る空気が緊張感を帯びている。その互いに向けられた視線にも威圧感が込められていた。
「……? ま、まぁいいか……とりあえず俺は先にホテルの下見してくる。怪我の方もある程度快復させておきたいしな」
「わたくしもご一緒しますわ。言い出しっぺですもの。ミリアサさんはどうされます?」
「……あ、ああ。わたしか? そうだな、もし邪魔でなければわたしも同行しよう。エヌラスの怪我も気がかりだ。チーカマはどうする」
「わたしはネプテューヌが暴走しないように見張っておくわ。一応ね」
「んもー、折角のバカンスなんだから固いこと言わないでよエヌラスー!」
「バカンスって言うかお前の場合ただのバカ騒ぎだろうが」
「ひどくなぁい!?」
エヌラスがベールとミリオンアーサーを連れて、先にグランドオープン予定のホテルへと移動する背中を見送る。
そして、女神化するネプテューヌ、プルルート、ノワール。ネプギアにつられてユニも。その意気込みに思わずアイエフ達が後ずさる。
「部屋割り……部屋割り、ねぇ?」
「そうね。盲点だったわ」
「わたしとした事が、なんて不覚なのかしら」
そう。R18アイランドで遊ぶことで頭がいっぱいだった。ホテルで寝泊まりというメインイベントを失念していた事に気づく。白紙のまま到着した楽園。誰の邪魔も入らない一夜をエヌラスと過ごす、そんな時間を手に入れたいのは誰もが同じ。水着姿で睨み合う女神達。しかし、武力行使は問題になる。そうなれば、清く正しく美しく、正々堂々と――!
「何か個人競技で、正々堂々と勝負よ。みんな!」
「ビーチの方でイベントが開催されているようなのでその様子を見てからでも遅くはないわね」
「勝者がエヌラスと同じ部屋、ということでいいのかしらぁ?」
そういった情報収集ならアイエフの出番――かとおもいきや。
「あ、皆さん! ちょうど良かった」
「ファミ通? どうしたの」
「わたしも! わたしもいますネプテューヌさん! わたし達が先んじてビーチで情報を集めてきました!」
「でかしたわ、デンゲキコ! それで、何か面白い情報は!」
「ノワールさんに褒められました! ヤッター!」
「いいから早く!」
「怒られました! やだー! 今開催中のヒワイキキビーチイベントなんですが、団体競技と個人競技に分かれてるみたいです。それで今はチーム戦のビーチバレーが開催中で」
「まだこれから個人競技が開催される予定みたいですよ? エントリーも受付中だそうです」
「種目は!」
「え、えっとですね……トライアスロン大会。ビーチフラッグ。スイカ割り――」
ファミ通が次々と開催予定の種目を挙げていく。それにうんうんと頷きながら、女神達はどれに参加するかを考えていた。
「――あと、キャットファイトです」
『キャットファイト!?』
「ルールは、えっとー……参加バッヂを付けて、水着を脱がされた方の負けだそうですよ?」
「実力勝負ってわけね」
「それなら、いい考えがあります!」
「ネプギア?」
「今から全部は難しいので、三種目に参加してそれで一番勝率の多かった人がエヌラスさんと一緒というのはどうでしょう?」
「もし同率だったらどうするのよ」
「あぅ、考えてなかった……いい案だと思ったんですけど……」
「でもそうね。ネプギアの言う通りにしましょう。時間も押してるわ」
エントリー受付も時間制限がある。今はあーだこーだと決めあぐねている場合ではない。
「女神たるもの身体が資本! 種目はトライアスロン、ビーチフラッグ、キャットファイトの三種目に決定よ!」
「ちょっと何を勝手に決めてるのよネプテューヌ!」
「ねぷちゃんが決めるなら、それで負けても恨みっこ無しよぉ?」
「ふふ、勿論よぷるるん。女神の力、見せてあげるわ!」
「お姉ちゃん、わたし達も女神なんだけど……」
盛り上がる一行を少し離れて見ていたアイエフ達は、さてどうするかと顔を見合わせた。一緒に参加してもいいが、それはそれでどうなのだろう。というかそもそも部屋割りの話について全く聞いていなかった。
「もちろん! あいちゃん達も参加よ!」
「なんでわたし達まで巻き込むのよネプ子!?」
「よく言うじゃない。旅は道連れ、世は情け。俺とお前で超融合って!」
「聞いたことないんだけど!?」
「ねぷねぷ、張り切ってるですぅ……」
「その熱意を仕事に向けてればねー……」
チーカマの台詞は聞こえないふりを決め込む辺り、女神化してもネプテューヌ。
「おお、盛り上がってまいりましたぁ! そういうことでしたらわたしとファミ通は実況席に掛け合ってきますね!」
「あ、逃げた」
「記者たるもの第三者の目線から物事を見ませんと! ねぇ、ファミ通さん!」
「あなたの場合。ハプニング映像を見たいだけじゃないの? 特にノワールさんの」
「ギクーッ!? い、いやそんなはずは」
「モロバレなのよ! そっちの二人も強制参加! ブランも!」
「なんでわたしまで……」
「さぁ行くわよみんな! 勝っても負けても恨みっこなしなんだから!」
女神達の戦が始まる――その一方、ホテルの下見へ向かったエヌラス達はと言うと……。