超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
夜の波の音がやけに響く。耳とか三半規管とかそういう体感的なものではなく心に。胸に沁みる。それ潮風じゃないかってやかましいわ。エヌラスは無性に泣きたくなってきた。
どうしてこう、自分の身の回りにはこんな面倒くさい奴しかいないんだろう。主にあのバカメイド二人のことだが。他でもないバカメイドのせいだが。アダルトゲイムギョウ界でおとなしくメイドやっていればいいのに何故送りつけてきた大魔導師あのバカ師匠。――エヌラスは何故か涙がこみ上げてきた。
「……どうしてこう、波の音って涙を誘うんだろうな」
「何かありましたの?」
「むしろ俺に何もなかったのかと聞きたいくらいなんだが」
顔を覆うエヌラスに「まぁ……」と労るような声色でベールはさりげなく腕を組む。
「確かに、色々ありましたけれどそう悲観なさらなくても」
「その色々が俺には辛いんだよ……せめてこの島にいる間は顔見知りの顔見なくて済むと思ってたのに」
「わたくしは事情を詳しく知りませんけれど、そんなに嫌なんですの」
「むしろ俺はあれと取り合いたいと思わない」
可能なら会話を最低限で済ませたいと思っている。話をしているだけで脳細胞が危機感を覚えるレベルだ、それだけでなくこちらの知能指数が恐ろしい勢いで下がる。相変わらず心配するのが馬鹿らしくなってしまう。
「そういうことでしたら、ここはわたくしが適任ですわね」
「どういうことだ?」
「女神の慰安旅行なのにエヌラスが癒やされないのはちょっとかわいそう、というネプギアちゃんとノワールからの意見を聞いて、このゲイムギョウ界一のナイスバディを誇るわたくしが。そう、わたくしが! リーンボックスの女神である、このベールが! 癒やして差し上げますわ」
「もうなんか癒やされる要素が今の発言から微塵も感じられない」
本気で癒やすつもりなら俺に子猫の一匹でも与えてくれ。エヌラスは切に願った。
「キョロキョロ……」
「どうした、ベール? さっきからやけに周りを気にして」
「い、いえ。大したことではないですわ。ささ、こちらへ」
「……?」
いつもと様子が違うことにエヌラスは眉を寄せる。とはいえ、確かに――賑やかし代表のネプテューヌとは違い、大人らしくまったりとしたマイペースで誘ってくれるベールの申し出はエヌラスにとって有り難かった。木陰に腰を下ろすベールの隣に座り、深い溜め息を吐く。パーカーのポケットからドラッグシガーを取り出して火を点ける。
「じー……」
「なんだよベール。人が煙草吸ってるの見て、楽しいか?」
「いえ、何気なく吸っておりますけれども。美味しいんですの? わたくしは煙草は嗜まいのでなんとも言えないのですけれど」
「……吸ってみるか? 一口」
ネプテューヌやプルルートにはとてもではないが勧められない代物だが、ベールなら多少くらい大丈夫だろう――と、思っていたがそうでもなかった。
「けふっ、けふっ! よ、よくこんな物吸えますわね!?」
「お、おおう。そんなにその……不味かったか?」
「不味いとか美味いとかそういうレベルではないですよ! 吸った瞬間、脳髄の奥に直接殴り掛かる右ストレートのようなミントの清涼感、加えて目の奥と鼻の奥の粘膜まで透明になるようなこのスッキリとした感覚はなんですの!? 花粉症の方がまだマシですわ!」
「いや、そういう成分含んだ煙草なんだけどなコレ」
しかも非合法の薬品を山ほど使っている。九龍アマルガムでもなければ製造どころか手配そのものすら不可能だろう。犯罪国家ですら精製に困難だった。となれば、いかなる場合においても他の国家では手も出せない代物である――ひとつを除いては。月面国家、ナナイト。ある種の奇跡すらも可能とされているが……肝心の国王が“あの”吸血姫だ。
ムルフェスト。能天気にしてお気楽な楽観主義の月の姫。“現世”においては相も変わらず月とユノスダスを行き来して面白おかしく遊び歩いている。今は月の裏側で何やら怪しい事をしているようだが、詳細は定かではない。どうせ暇潰しだろうとエヌラスは目安をつけている。
「大丈夫か、ベール」
「ええ。潮風とか目に染みる以外は大丈夫ですわ、ぐすん……煙草なんてやはりわたくしには合わない嗜好品みたいですわね」
「そうみたいだな」
ふと、ドラッグシガーに視線を目を落とした。自分が吸っていた物をベールに渡したのだが、それが自分の手にある、ということは。これは間接キスというものなのではないだろうか? よく見れば薄っすらと口紅のようなものが付着している。
何気なく咥えているドラッグシガーのはずなのに、見慣れないものが付いているというだけで緊張する。ベールもそれに遅れて気がついたのか「あ……」と声を漏らすがエヌラスは気づかない振りをしながら吸い始めた。携帯灰皿に燃えカスを落としつつ。
「……なんだよ」
「い、いえ。なんでもありませんわよ? なんでも」
何でもないとは言うものの明らかに頬を紅潮させて胸を上下させている。息を整えようとしている様子が目に見えていた。
「ああ、なんと言えばよろしいのでしょうか。ガンギマリってこういうこと言うんですの?」
「うわぁ、聞きたくねぇ言葉」
「頭で分かっていても逆らえないこの欲望……発散させる義務がありますわよ」
「吸わせなきゃよかった……」
「わ、わたくしだって我慢していたんですのよ!? もっとこう、大人らしくアダルティな雰囲気でいい感じになったらとか思ってましたのに、ひどいですわひどいですわ! そんなおクスリでいやらしくさせるなんて」
ぷんぷんと怒りながらもベールは身を乗り出してエヌラスへと寄りかかってくる。それに身を引くと、ますます眉を吊り上げて身を乗り出してきた。そのまま押し倒す形で馬乗りになると身体をゆっくりと預けてくる。胸の弾力もそうだが、ベールの吐息がくすぐったい。そんな状態で欲望を制御というのは、まぁ頑張るだけ無駄だった。知ってた。エヌラスはちょっぴり悲しくなった。
ベールの腰に手を回して抱きしめると小さく息を漏らす。
「はぁ……くんくん」
「匂いを嗅ぐな」
「さっきの煙草のせいで磯の香りが沁みるんですもの」
「すまんかった……」
まさかそこまで効果があるとは思いもしなかった。
(ふむ?)
そこでふとした疑問からむくむくと情欲が湧き上がってくる。抵抗する素振りもなく抱きしめられているベールの頭を撫でてみた。すぅすぅと静かに深い呼吸を繰り返しながらも、おとなしい。きめ細かいブロンドの髪を指で梳きながら、エヌラスは空いている左手を腰からさらに下へとずらしていく。そこでようやく気づいたのかベールがハッとした。だが、すぐにトロンとした表情で頬を膨らませる。
「胸より、おしりの方が好きなんですの……?」
ベールは何かと胸を主張してくる。なのでここは趣向を変えて、自慢の胸よりも下の方を攻めてみようという試み。最初は水着越しに撫でていき、ハリのあるお尻の形に沿って手を動かしていく。それがもどかしいのか、ベールも唇を尖らせていた。物事には順序がある。焦らない焦らない。
「ん……もう」
そこは流石のベール、ちゃんと理解しているのかくすぐったそうに身体をくねらせてはいるが胸を押し当ててセックスアピールも忘れなかった。女神化してから豊満なスタイルへと様変わりするネプテューヌやプルルートとは違い、大きくスタイルが変わるようなことはない。しかし、胸部に関しては四女神でも随一のベールも持て余しているのか積極的だ。
「そういうことをしてくるのでしたら、わたくしだって……」
顔にお尻を突き出し、自分はエヌラスの股間に顔を近づける。お互いの秘部に顔を近づける形となって、ベールは水着の上から触れた。
(とはいえ、わたくしもゲームでしか知識はありませんけれど)
記憶を辿りながら、水着を脱がせてみる。眼前にそびえ立つペニスに、生唾を飲み込む。思っていた以上の迫力に鼓動が早鐘を打っていた。恐る恐る触れて、初めて触れる実物の固さと熱さにベールの顔がみるみる赤くなっていく。
「こ、これであんなことやこんなことを……」
ネプテューヌやノワールだけでなく、プルルートやネプギアちゃんと……? ――ベールは間近で見つめながらゆっくりと擦る。熱い吐息を漏らしながら、ベールは舌先で先端を舐めた。それにエヌラスが反応を見せると、今度は触れる時間を長くする。
(確か、こうして……)
根本から舌で舐め上げて。
(こう……でしたでしょうか?)
先端をしゃぶり、手で搾り取るように上下させる。力加減がわからないので優しく包むようにしながらゆっくりとした動きで。
「ぅ……そっちがその気ならこっちも」
「これが、気持ちいいんですの? ひゃぅ!?」
股布をずらされ、秘部に突然熱く滑った感触。それに思わずベールが腰を跳ね上げた。