超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
「はぷ、ん……んちゅ……」
「……――ベール、そろそろ」
「ふあ!? あ、は……ぁ……もう、出しすぎですわよ……?」
すっかりトロけた表情でエヌラスの精液を飲み込むベールの身体は白く汚れていた。息を荒くして肩で息をする度に豊満な胸が上下している。ゆっさゆっさ。
うむ、眼福。それに一人で頷いたが、銀鍵守護器官のオーバーフローに身体が耐えられなくなってきたのか急激な眠気に襲われる。
(あー、やっべ……すげぇひさしぶりだな、この感覚……)
邪神狩りが遠い昔のように思える。銀鍵守護器官よりも先に身体を壊してでも続けてきた戦いに酷使されていた五感は休息というものに慣れていなかった。それは肉体的によりも、精神的に。ベールに身体を預けた途端、エヌラスの意識は一瞬にして途絶えた。
「きゃふっ。エヌラス? ……あら、寝てしまいましたの?」
「…………」
それに寝息で答えながらエヌラスは今度こそ無防備な寝顔を晒す。銀鍵守護器官による強制睡眠ではなく、今度こそ自らの意思で選んだ睡眠。否、爆睡。静かな寝息を抱きしめながら、ベールは火照った身体を冷まそうと磯の香りを吸い込む。
(それにしても、まさか……)
初めてなのにこうも激しくされるとは思わなかった。しかし、ゲーム廃人である体力が幸いしたのか、それほど苦にならなかった。確かにもう十二分に満足したが、それはそれとしてもだ。他の相手ではこうもいかなかっただろう。そう考えるとエヌラスの回復力と持続力は遥かに凌駕している。
何度意識が飛びそうになっただろうか。思い出そうとするだけでも顔から火が出てしまう。
(あ、あんな恥ずかしい格好までさせられてしまっては女神の恥ですわ!?)
具体的には足を持ち上げられて犬のような体位で。死ぬほど恥ずかしいことをしていたのだと今更ながらに思うベールだった。とはいえ、このまま黙って夜を明かしてしまっても困る。出来ることならシャワーを浴びたい。
「お困りでしょうかベール様」
「ほひゃあ!? あ、あなたは確か……」
「最高傑作のポンコツの最高傑作の方、一号。スピカです」
あられもない姿ではあるが、スピカを上から下まで見て「まぁアダルトゲイムギョウ界の人だし」と一安心する。予想通りスピカはベールと寝落ちしたエヌラスを見比べて状況を察したのか頷いた。忘れてはならないが一服盛ったのはスピカも同罪である。
「先程のトロピカルジュースを飲んで大丈夫だったのですか?」
「ちょっと人様にお聞かせできないような嘔吐音を文字通り吐き出しましたが大丈夫です。思う存分吐瀉物をぶちまけて事後処理も済ませて綺麗さっぱりしました。見たところエヌラス様が爆睡のようですが……」
「え、ええ。そうですわ」
「ふむ、そうなるともうご満足いただけたでしょうか」
「言われてみれば、頭がスッキリしたような……」
気分の良い疲労感。爽やかな疲れ、とも言うべきか。そんな感覚がベールにはあった。盛られた媚薬の効果はもう取り除かれたようだ。それに首を傾げていると、スピカがポケットから小瓶を取り出す。
「夕食に盛らせて頂いたこちらの媚薬ことミダレールEX、成分表以外によりますと効果は一過性のもので著しい発汗作用によって解消されるらしいのです」
「なんでそれを持ち歩いてますの?」
「…………」
「あの」
「さぁ、エヌラス様は私の方で運んでおきますのでベール様もお早いお戻りを」
「質問には答えてくれませんの!?」
「腰が抜けていると! それは大変激しかったことでしょう! それでしたらこのスピカがまとめてお運びいたしますね! よいしょー!」
「確かにそうではありますけれどーー!」
二人を肩に担ぐ腕力は流石オートマタにしてガイノイド。手早くエヌラスとベールの二人をビッグボックスへ連れていき、同室に放り込むなり逃げるように「それでは朝までごゆっくり!」とドアを閉めて去っていった。
「有能なのは間違いないのですけれど……」
どうにも頭のネジが緩んでいるようにしか思えない。とはいえ、多少は快復したベールは自身の下腹部を撫でる。満たされた感覚、言葉にし難い充足感に深く吐息を漏らす。ベッドに転がされているエヌラスは気持ちよさそうに安眠している。
つい先程まで身体を重ねて、ケダモノのように快楽を貪っていたとは思えない静けさ。徐々に頭が冷静になってくると、ベールはそれこそ羞恥心に顔を覆った。自分はなんてことをしたのだろう、というか何をしたのだろうかと。それを受け入れていた自分の一面にも驚きながら、枕を抱きしめて顔を埋める。
(あ、あぁ。考えてもみれば一服盛られてたとはいえ、ヤッてしまいましたわ。致してしまいましたわ! 名実共に大人の女性になってしまいましたわ、わたくし!)
女神というものが、一国一城の主ともあろう女神が。
(確かにわたくしはノワールやネプテューヌ達に比べれば肉付きも良いし大人びてはいますけれども、それでもわたくしには処女というステータスがあったのにそれが奪われたとなればもう……)
シェア大暴落待ったなし。むしろそれについてエヌラスはどう思っているのだろうか? しかし、プラネテューヌやラステイションのシェアに関する話題は聞かない。それについてはひとまず置いておくにしても、まずはシャワーだ。身体を洗い流してから布団に入りたい。
――それから翌日、目を覚ましたエヌラスは困惑した。
「!?!?!?」
「……すやぁ」
気がつけば、何故かホテル。ベッド。イン、ベール。&俺という状況に全く脳みそがついていけていない。具体的には飲み屋で泥酔して記憶にない場所で目が覚めるとか、そんな感じ。覚えているのは夜の砂浜でベールのことを欲望に身を任せてその極上の女体を貪ったくらいのことだ。それからどうして戻ってきたのか全く腑に落ちないままエヌラスは完全に目が冴えた。
ベールの寝顔と寝息を立てる姿をまじまじと見つめ、一糸まとわぬ姿に思わず息を呑む。自分はパーカーこそ着ていないが、水着はちゃんと着ていた。ここまで来るともう裸でもいい気がしたが、それはそれ。
(……こうしておとなしくしてれば、ベールもホント大人の女性って感じなんだけどな)
嫌いではない。むしろ嫌いになれない、というか。なまじ美人であるからこそ惹かれるというか。女神なんて大抵美人だろいい加減にしろと自分を殴っておく、あべし。そして男というのは必ずと言っていいほど健全な肉体であれば朝方にも苦労するものだ。
できればベールが眠っている内に治まってくれと思うが。
「う、うぅん……」
現実は非常に非情である。もぞもぞと身じろぎするベールのまぶたが薄っすらと開けられる。朝の日差しを受けて目を覚ます姿に、思わず言葉に詰まった。女神らしい、と言えば失礼なのだが――金髪美人で巨乳のお姉さんと一緒のベッドで迎える朝の目覚めが悪いはずない。噛み砕いて言えばエヌラスの言いたいことはそれだけだ。だからこそ言いたい。息子よ、早起きなのは勘弁な。しかし「親の心子知らず」と言わんばかりに朝から元気なのはほんともう、ベールの寝起きドッキリには十分な効果を発揮してくれた。
「……」
「……」
「…………お、おはようございます」
「一点を凝視しながら言うのやめてくれ……おはようベール」
「そうは言われましても、押しつけられてるんですもの」
「胸押しつけてるお前が言うことじゃなくねぇ?」
うん、男ってのは悲しい生き物なんだよ。言っても聞いてはくれないこの体。そしてこの体たらく。泣きたくなってくるのはこっちだ。そして何故か顔を赤らめながら囁いてくる女神の誘惑。
「朝から――シてさしあげます?」
「おねがいします」
即決だった。