超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
ベッドの中で体勢を変えてベールに覆いかぶさり、首元に舌を這わせると小さく震えた声を漏らす。言っておきながら頬を赤らめて口を抑えていた。
「あの」
「ん?」
「……い、一回だけですわよ?」
まぁそうなるな。というよりはエヌラスもそのつもりだった。全くもって節操なしの自分にはほとほと呆れながらもベールに身体を預ける。軽くこすり付ける形で焦らしていると、ベールが身動ぎした。
「もう、本当に朝からお盛んですわ。さぞネプテューヌやノワールは大変でしょうに」
「勘違いしてもらっちゃ困るが俺は基本的には自分からはいいよったりしない」
「……」
ベールからの疑いの眼差しが痛い。ふと手が伸びて左目の傷跡をなぞる。
「この傷は?」
「ちょっとした私情で」
「右腕も?」
「ちょっとした意地で」
「もっと自分を労らないといつか痛い目見ますわ」
「もう十分なくらいに」
地獄の常連客とは冗談でも言えない。熱を帯びてきた局部にエヌラスは腰を落としていく。ネプテューヌやプルルートとは違った締まりに思わず息を漏らした。徐々に沈めていくつもりが、正直な身体は根本まで挿し込んでいる。それにベールも熱い吐息をこぼす。
「あっ、はぁ……!」
「ベール、大丈夫か?」
「昨夜はあんなに愉しんだのに、気遣ってくださるのですか?」
「……そのー、なんだ。興が乗りすぎた」
割と行為に及ぶだけでいっぱいいっぱいなネプテューヌ達と違い、ベールは大人の余裕を見せてくれる。だからついそれに甘んじてしまう。実はノワールも結構いっぱいいっぱいで気遣ってしまう。その所為か、ついつい自分のペースで動いてしまう。
シーツをかぶった状態で及ぶ行為はスローペースでゆっくりとまぐわった。ベールの膣の動きを味わうように、中を男根で弄るようにして突き上げていると徐々に息が荒くなっていく。性的興奮が高まっているのがベールにも伝わっているのか、優しく微笑みながら頬に手を添えてくる。その優しさと余裕に甘えそうになるが、それを堪えていた。
「……なぁ、ベール。実は俺さ、一度向こうに戻ろうと考えてる」
「それを、どうしてわたくしに言うんですの?」
「ネプテューヌとかに言うと騒がれそうでな」
「確かにダダをコネそうではありますわね」
「ちょっと、いっぺん一から修行し直してくる」
「だから、どうしてそれをわたくしに?」
「……甘えさせろ、言わせんなちくしょう」
周りが周りだけに自分がしっかりしないといけない。それにベールは面食らったように目を白黒させたと思うと、エヌラスの首に腕を回して胸に抱き寄せた。
「ほぐっ!?」
「あぁもう、いけませんわダメですわ! あーダメダメそういうのはいけませんわエヌラス! 乙女ゲーにありがちなツンデレオブツンデレ、クールな一匹狼が見せるちょっとした弱みとか王道過ぎてわたくしどうしたらいいのかもう!」
「お前さてはまだミダレール残ってねぇ!?」
シラフである。そう、素である。
――その後、どうにか一悶着を交えて朝食より早い朝ごはんを終えてから二人でロビーを歩いているとスピカとカルネがせっせとフロントを掃除していた。朝から精力的なことで何よりだ。
「あら、おはようございますエヌラス様。ベール様」
「ほあようごあいまーしゅ!」
「殺す!」
「ほあああああああああっ!?」
朝からハイテンションのカルネは取り敢えず挨拶代わりにノックアウトしておく。地面にボロ雑巾のように転がされているメイドをゴミと勘違いしたスィーパー・ジェット君が執拗な死体蹴りをしている。
「調子はいかがわしいですか――失礼、如何でしょうか」
「殺されてぇか」
「フルスロットルなようで安心致しました。熊も殺せそうなアイアンクローを解除していただけると私としてはとても喜ばしい限りなのですが」
「頭部粉砕して脳髄ぶちまけさせてやろうか」
「アドレナリン全開ですわね!? 落ち着いてくださいませ!?」
朝っぱらからメイドが二名ほどジャンクにさせられそうな事案発生。それをベールがどうにかなだめさせると、ノワール達も起きてきたのか眠そうにしていた。水着の上からパーカーを羽織っていたりジャケットを羽織っている。しかし、やはりどこか落ち着かない様子だ。
「お、おはようエヌラス」
「おはよう。調子はどうだ? というか、そっちは大丈夫なのか?」
「へっ。え、ええ! もちろんよ。大丈夫に決まってるじゃない! ねぇユニ!」
「…………え? あ、うん! そうですよ! おはようございますエヌラスさん!」
「えーとまぁそのなんだ。おはよう……」
絶対ダメなやつだコレ。エヌラスとベールを見比べて、ノワールはちょっとだけ眉を寄せた。
「むぅ、エヌラス!」
「はいなんでございましょうノワールさん」
「今日は一日わたしに付き合いなさい!」
「アッハイ」
拒否権とか絶対にない。
「俺もお前に話があったしな、ちょうどいいか。スピカ、朝食の用意は?」
「ええ、当然ながら既に出来ております。おら起きろダメイド二号我がシスター」
「あぴゃん! おはようございます!」
「ひとまず全員起こして、飯食ってからだな」
「…………」
ユニの猜疑の視線がスピカとカルネに向けられていた。
「またその二人がご飯作ったんですか? 本当に大丈夫なんですか」
「流石に夕飯と朝食とで同じようなことをするような方々ではありませんわ。多分」
「そうだな。そんな朝から天丼ネタなんて健康管理ガバガバ思考の献立作るような奴じゃない」
少なくとも自分が設計した時は。だがしかし、エヌラスの言葉に対し即座に否定するような訂正の言葉は二人の口から出てこなかった。おやこれはもしや?、ベールがニッコリと笑みを浮かべてスピカに問う。
「スピカさん」
「はい、なんでございましょうかベール様」
「ポケットの中にあるであろう物を全部出してくださいます?」
「はい。こちらになります」
スピカがポケットから取り出したのは、小型のナイフや裁縫道具。何故かワイヤー。ピアノ線。グレネード。ペン型注射器。ご法度であるがまぁそれは置いておく。
「あら、ミダレールはどちらに?」
「それが落としまして。困り果てているのでございます」
「持ってたんかいワレェ!!!」
「墓穴でしたわーー!!」
スピカが朝からビッグボックスの修繕されたばかりの壁に穴を開けてログアウトした。
「スピカ姉ー!?」
「さてカルネ。お前にも一応聞いておこう。今日の朝食、変な物入れてねぇだろうな」
「天にメシマズ我らの神に誓ってごく普通の調味料しか入れてないです!」
「本当に?」
「マジでございますです! あ、でも見慣れない液体を入れたようなそうでないような……ノット・ギルティ? わちゆる?」
「イエスギルティ、ゴートゥーヘェェェェル!!」
「やぁぁぁぁぁヘヴン状態の方がイイぃぃぃぃ――――!!!」
カルネはエヌラスの呼び出したハンティングホラーに鋼糸で繋がれたまま犬の散歩へ出かけていった。或いは西部劇よろしくロデオドライブ。人によってはそれを拷問と言うのかもしれないが知ったことではない。
「よかった。いつもの調子に戻ったみたいね、エヌラス」
「……普段からあんな人なの?」
「というより、本来はこういう人よ」
ユニが少し信じられないといった顔をするが、あそこまで衰弱しきっていたのはノワールですら初めて見た。朝から元気にスピカとカルネを退場させてエヌラスは深く息を吸ってから食堂へと移動する。
そこでは既にアイエフやコンパ、アーサーとチーカマが朝食を食べていた。
「あら、おはようエヌラス」
「よう。朝早いんだな。……一応聞いておきたいんだが、味はどうだ?」
「普通に美味しいけど? ネプ子達はまだ来てないみたいだから、後で起こして来てもらえると助かるわね」
「先に飯食っててくれ。叩き起こしてくる」
「そう言いながらなぜ銃を構えてるの?」
「安心しろ、空砲だ」
「その前に心臓が止まりそうになるわよ!」
一度でいいからやってみたかった等と供述しており、エヌラスは渋々とアイエフ同伴でネプテューヌ達を起こしに向かった。