超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
プラネテューヌでは、ソラのアプリケーションによって設置されたタレットと電磁トーチカによって防衛ラインが築かれ、プラネテューヌ軍はその支援を受けて態勢を立て直していた。遊撃部隊としてドラグレイスが孤立した機体を撃破していく。
ラステイションでは、アゴウ軍精鋭百名による反撃開始。首都にまで侵攻していた傭兵部隊が次々と分断され、驚異的なスピードで各個撃破されていく。
《チクショウ! チクショウ! どうなってやがる! 誰か、誰か援護――》
《くそったれ、話がちげぇぞぉ! どういうことだ、武装企業! クソが、クソ! クソ――》
《プレジレント! 撤退命令を! こちらはもう壊滅状態だ! 回収班を回してくれ!》
銃火と放火に囲まれた傭兵部隊が必死の抵抗を試みながら、武装企業本社へ無線を繋ぐ。
《断る。そりゃあ無理な相談だ。こうなることを覚悟の上で戦争に参加したんだろう、お前ら》
《ふざけるな! ふざけるな――嗚呼、チクショウ! ふざけるな――》
《ハハハ、ハッハッハ! 戦場を楽しんでくれ、無事に帰ってきたら歓迎会だ》
プレジレントからの無情な返事に、孤立した傭兵部隊は背中を合わせて周囲を取り囲む機人兵団に銃口を向けた。
無駄な抵抗だ、だがアゴウ国王親衛隊一番隊は降伏勧告などしない。
《――
ガチャ――!
中隊支援火砲。突撃砲。榴弾砲――アゴウ軍の制式採用の銃火器が傭兵部隊を取り囲む。
《
一斉に放たれる弾丸が、傭兵部隊を一機残らず撃ち抜いていく。装甲を瞬く間に削られ、機体損傷によって大破していく機体のコアを破壊して、全機撃墜。
《撃ち方、止め! 装填開始! バラライカ分隊、市街地前方へ防壁展開! ウェンディゴ分隊は
《こちらアゴウ国王親衛隊二番隊! ゼロワン、お客さんだ!》
《いいだろう。ゼロツー! アンコールだ!》
《了解――! パレードで派手に迎えてやるさ!》
《ビースト分隊、残飯処理だ! たらふく喰らえ! ヴェアウルフ分隊、俺と来い! ここから先は通行止めだ!》
ゼロワンは各隊に指示を飛ばし、ラステイション市街地全域をカバーしていく。突撃した三番隊が前線の敵を蹴散らして引きつけている間に現地軍との合流と連携を視野に入れて行動を開始していた。
負傷していたラステイション軍は、呆気に取られている。目の前で機械同士の戦闘が始まったかと思えば、あっという間に不利な戦況を覆していた。
《こちらの責任者は?》
「あ、ああ。私だ……」
《我々は味方です。どうか、ご安心を》
「……所属と、名前は」
《軍事国家アゴウ国王親衛隊。トライデント隊長、ゼロワン。リーンボックスの守護女神グリーンハートからの救援要請により、これよりラステイション軍を援護します》
「グリーンハート様からの……?」
《まずはこちらで敵を引き受けます。負傷者の救護を優先してください》
「了解した。すまない、助かった」
《気にすることはありません。軍隊冥利に尽きるというもの》
ゼロワンの背後、腰部の跳躍ユニットの推進剤を吹かしながら、機体を覆い隠せる程の大盾を左腕に装着したオリーブドラブの機人達が通過していく。続いて寒冷地迷彩を施された分隊が突撃砲を構えながら。
敵の火砲に晒されながら、バラライカ分隊は盾を構えながらスライディングして接近。攻撃の手が緩んだ瞬間、盾を振り上げる。道路へ深々と突き刺すと、その場から離脱した。
簡易防壁が組まれたそこへ、ウェンディゴ分隊は身を隠すと、アイコンタクトから一斉に銃口を向ける。
《おい、なんか気の利いた事言ってやれ!》
《ハッハッハ! 弾薬補給だ、持っていきやがれぇぇぇーー!!!》
《釣りはいらねぇぞー!》
ウェンディゴ分隊の火砲によって、敵陣が崩れた。その上を飛び越えて、ビースト分隊は突撃砲の下部に装着したアンダーバレルから煙幕を展開した。
《こちらビースト。食事の時間だ》
《生憎と、ケツを持つより追う方が得意なのでな》
《狩るぞ》
《きたねぇぞテメェ等! オレ達の獲物だ! おい、ウェンディゴ分隊! ケダモノに遅れるんじゃねぇぞ! 待ちやがれぇ!》
黒一色のビースト分隊に続いて、ウェンディゴ分隊も前線へ。
上空から中隊支援火砲による狙撃。目の前で一機撃墜。振り返れば、ビルの屋上を飛び移りながら、二番隊の率いるキャット分隊とホーネット分隊が狙撃していた。
《あっぶねぇだろうがクソネコ部隊!》
《ウカウカしていると奢りになるぞ! そうら、一機撃墜だ!》
《負けてられるかコンチクショウがぁぁぁ!!》
続々と撃墜スコアを伸ばしていく味方に負けるものかと、ウェンディゴ分隊は駆け出す。
《……彼ら、三番隊所属じゃないのに何を張り切っているんだ?》
《私は二番隊所属で良かったと思ってますよ。敵機撃墜》
《八時の方向。三機確認》
《了解。一機大破》
《うちらはそういう仕事じゃないんで。ダブルスコア。お見事だ》
淡々と味方の背中を見送りながら、二番隊は前線部隊を支援していく。
《一番隊も張り切ってますね》
《ゼロワンは今のところ現地部隊と指揮系統の統率で忙しいだろう。こちらは気楽にいこう、気楽に》
《敵機確認。脚部大破》
《すまないね、もらうよ》
頭部カメラと連動させたスコープの倍率を上げて、右足を撃ち抜かれた機体の頭部を徹甲弾で撃ち抜いた。中隊支援火砲による確実な撃破は敵部隊にとって恐怖でしかない。
その一方で、最前線を駆け抜ける三番隊は愚連隊よろしく、罵詈雑言と怒号の嵐が吹き荒れていた。
《オラオラオラぁ、退きやがれぇぇぇぇっ!!》
《悪いなアルファ分隊!
《こちらブラボー! 敵機確認、あっはっは! ゴチになりまぁす!》
《ゼロスリー! アンタ俺らの分まで残してくれ! このままじゃ俺たちの奢りになっちまう》
《知るかバァァァーカッ!! だったら俺のケツかまして先に行きやがれ!》
怖いものしらずというべきか。ゼロスリーは未確認の敵機に対して真っ先に切り込み、両手の片刃型長刀による重量任せの一撃で撃墜させていた。地面へ沈没する二脚、寸断された飛行ドローンと、手当たり次第に撃破していく様は、さすがアゴウ軍随一の切り込み隊長。
《残念だったなバカ野郎どもが! 三番隊隊長が見落とした敵機発見! 負けてられるか!》
《こちらデルタ! 敵機発見。バーベキューだ、やってやろうぜ!》
《貴様らぁぁぁぁ!!》
ブラックハートは、上空から反撃に転じる姿を見下ろしていた。
「……ネプテューヌ、聞こえるかしら」
《ええ、聞こえているわ。ベールが間に合ったみたいね》
「こっちではアゴウ軍が凄い勢いで敵を押し返してるわ。なんていうか、イノシシ部隊ね」
《プラネテューヌでもあいちゃんがソラとドラグレイスを見かけたみたいよ。これほど心強い援軍はいないわね》
「……ところで、わたしの気のせいだといいのだけれど」
リーンボックス海上大艦隊の大半が撃沈している。先程の大規模魔術によるものだ。あんな馬鹿げた真似が出来る人物は一人しか知らない。知りたくもないが。
「わたし達があれほど苦戦していた敵の大艦隊。ほぼ壊滅しているんだけど?」
《そうみたいね。こんなこと出来るのは一人しかいないでしょ》
相手をよく見れば、渦巻きに呑まれて衝突を繰り返し、中には船体が軋んで半ばより折れて沈没していっている。大惨事だが、今はそれに安堵した。
「とりあえず、まずは合流ね。どうする?」
《ベールもプラネテューヌに来ているわ。問題は……》
「……撃墜スコア一人だけ頭おかしい、無鉄砲お馬鹿さんよね」
《ねぇ、ノワール。ブランにも説明が必要でしょうし、ルウィーで落ち合わない?》
「そうね、現状としてはそれが一番最適ね。いいわ」