※この作品はR-18です。

超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽-   作:アメリカ兎

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エピソード282 浮遊要塞攻略作戦、開始

 

 

 アンサーの迎撃を切り抜けて、ゼロツーの拡張兵装であるロケットランチャーを撃ち込まれた隔壁にゼロスリーは我先にと突入した。

 

《ハッハァー、一番乗りだぁ!》

《バカ、お前そこで立ち止まるな!!》

 ドンガラガッシャーン。

 

《イッてぇなばかこらハゲェおうやんのかこるぁ!》

《出入り口で呑気に立ち止まったお前が言うことか脳細胞足りん奴め!》

《突入成功、か。追加パッケージは転送しておけ、この閉所では邪魔になる》

《あー? もったいねぇなぁ……》

《強制はしないさ。各自判断に任せる》

 派手に転倒したゼロツーとゼロスリーがなんとか立ち上がる。やはり、後ろに重心が寄っているためか、中々上手く立ち上がれないようだ。起き上がるのも一苦労している。なんとか立ち上がると肩を大きく回して準備体操を始めた。

 

《作戦の確認をするぞ》

《敵、接近中。反応多数。隊長、迎撃の許可を》

《はぁ……つまらないものでも送りつけながら作戦内容の確認だ!》

《いよっしゃぁ! 三番機、了解!》

《二番機、了解しました。いつでも》

《現在位置の確認。ユノスダス国王より受け取ったデータは建設途中のものであるが、さほど変更はないだろう! ゼロツー、ショットシェル用意!》

《了解! 吹っ飛ばしてやります!》

 ゼロツーは突撃砲を武装ラックに戻し、ジェットパックに追加した武装を取り出す。散弾銃を構えて、ゼロツーがトリガーを引いた。通路を埋めていた警備ロボットの先陣が衝撃に押し戻されて後続の動きを止める。二発、三発と立て続けに撃ち込んでからバックパックの手榴弾を投てき。

 

《ゼロスリー、突破口を》

《いつもの突撃役、任しとけってんだ。チェェェヤァアアアッ!!》

《あーあー外せって言われたのに……》

《まぁ、言うだけ無駄か……》

《……現在地、確認しました。我々が突入したのは第四バックヤードですか》

《そうだ。かなり下の方だな……ここからアンサーの機関部、並びにアルカトラズ砲の動力部を破壊、停止が作戦目標となる》

《そのための工作兵紛いの装備、というわけですか。この爆薬、大丈夫なんですかね?》

 ──ゼロツーが取り出したのは、手のひら大ほどの大きさの爆薬。インタースカイ製のとっておきらしい。ソラが面倒臭がっていたのか、はたまた徹夜続きで頭のリミッターが外れかかっていたのかわからないが、これ一つで施設の破壊は十分過ぎる威力がある。

 その名も《カーネイジ爆薬》。どうしてそんな物を所有しているのかと聞かれれば、ソラはメガネを直しながらこう応える──『爆破解体工事用だよ。こんなもん自爆テロに使われた日には都心部ライフライン即死級だからね』

 だからどうしてそれを持っているのかと小一時間。それを三人が二個ずつ。合計六個。

 

《威力は御姫のお墨付きだ、文句はあるまい》

《そうですね。隊長、どうされますか》

《第一目標、アルカトラズ砲の停止。第二目標、アンサーの機能停止。最優先事項は》

《全機生還による帰投、だろ! 毎回耳にタコ出来るくれぇ聞いてるわ、どぉりゃああ!!》

《わかってるならお前はいつまで敵陣に突入してるつもりだ三番機! 戻ってこい、おーい! ──聞いてんのか馬鹿野郎ぉぉぉぉぅ!!》

《隊長、落ち着いてくださ、いやその電磁投射砲ここで撃、あーあー、撃っちゃったよ……》

 止める暇もなく、第一種特殊兵装である電磁投射砲を構えてチャージ開始。電磁波を周囲に放ちながら突撃しているゼロスリーを囲っていた敵機を破壊した。そして、着弾点から周囲に走る電磁パルス攻撃による第二波がガードロボをまとめて制圧する。

 しかし、ゼロスリーだけは驚異的な回避性能で離脱してきた。

 

《あっぶね! あっぶねぇぇぇ、何考えてんだ大将!? 一発だけなら誤射ってレベルじゃねーぞ、一発で釈迦っちまうっつーの!?》

《いいか三番機。俺の・話を・聞け。復唱せよ》

《お、おぉオーケーオーケー。復唱、隊長の命令に従事します》

《よろしい》

 第一種特殊兵装、小型電磁投射砲《海神(ヘシン)》は、その破壊力から機人達にとっての切り札に等しい。そのため、作戦運用時には厳重なロックが掛けられているのだが……これもまたソラが()()()アゴウのセキュリティを突破してゼロワンに渡している。光速で撃ち出される電磁弾頭が着弾後、周囲にECM攻撃を放つ。装弾数六発。回転式弾倉。ロングバレルリボルバーのような外観だが、銃床に機関部を内蔵している為に異様な形状となっている。

 

《さて、三番機の活躍で突破口は切り開けたな。移動開始》

《いやぁ俺よりもさっきの一発で大半沈んだんだけどな……》

《いっそお前も黙らせてくれていたらよかったな、ゼロスリー》

《けっ。テメェもその減らず口を黙らせやがれよ》

《まずは第三バックヤードを目指す。そこからアルカトラズ砲の機関部を停止させるぞ。目指すのは中央アリーナだ》

《あーあ、トップアイドルのライブじゃなくてなんで破壊工作でこんなところ来なきゃならんかったのかねぇ……》

《三番機、それは俺の意見を代弁してくれていると思っていいのか? いいんだな? さてはお前、俺の考えていることまるっとさくっとお見通しだな? 貴重な意見だ、帰ったら覚えていろよ貴様。お前の全額奢りで部隊全員分5pb.ちゃんのライブチケット買うからな、もちろん最前列だ。サイリウムとCDと応援グッズとその他諸々もだ》

《やめてくれよ大将! 頼むよ悪かったよ! 俺が悪かったですごめんなさい!》

《やる時は本当にやるからな、隊長は……》

《俺は以前それで破産しかけたからな、いやありゃまじでヤバかった……》

 人間時代。ゼロスリーが酔った勢いでゼロワンのギターをうっかり壊してしまった。

 

『いや、悪い。隊長……その』

『おまえ……酒の勢いとはいえ私にも許せることと許せないことがあるぞ?』

『いーじゃねーか、下手っぴなんだしよぉ。悪かった、もうちっと高いのに買い替えてやるから──』

 そう口を滑らせたのが運の尽き。

 翌週、ゼロスリーは手元に叩きつけられた請求書の桁を見た瞬間、首を吊ろうかと本気で考えたほどだ。

 

『買い替えてくれるんだろうな? フルセットで百万だ』

 そう笑顔で宣告してきたゼロワンの顔はいまだにトラウマものである。

 

《うぅ、やべ……悪寒が》

《ま、結局あれは俺と割り勘だったな》

《っせーな、そん時の金は返しただろうが。一年がかりで》

《そうだったか? 利息分を忘れてないか》

《きたねーぞテメェ!》

《お前ら私語を慎めぇっ!! 二発目行くぞ!?》

《すいませんでした隊長! 止めてください!》

《わー、わー! 落ち着け大将! それ現地で再装填できねぇんだから!!》

 残り装弾数五発。かろうじて発射するのを止めることに成功した。

 現在、第三バックヤード。エレベーターは停止中。移動方法は跳躍ユニット、もしくは徒歩という形になる。

 ゼロスリーはジェットパックを背負ったまま先行し、ゼロツーは追加の索敵ユニットで周囲の状況を逐一スキャンしていた。ゼロワンは背中のジェットパックを切り離し、すでにいつもの調子で移動している。唯一の変更点は、追加兵装の海神だけだ。

 

 ──そんな様子を、監視カメラから見守っていたテルミドールは呆れている。

 

《……あいつら、此処に何をしに来ているのか分かっているのか?》

《まるでピクニック気分のようだな》

《あんな連中にやられたと思うと、情けなくて頭が痛い話だ》

《第三バックヤード、突破されるぞ。さて、こちらからも仕掛けるか?》

《任せたぞ、ジョッシュ》

《了解した。お手並み拝見と行こう。まずは敵戦力の分断だ》

《その後、孤立した兵力を叩く。ピクニック気分を終わらせてやれ》

《──シェアドライブ起動》

 

 

 

 第二バックヤードを越えて、武器の残弾を確認。現在位置と共に突撃砲の弾倉を交換していたゼロツーが急激に接近してくる反応を捉える。その速度はこれまでのガードロボの比ではない。

 まるでテレポートだ。一瞬にして距離を詰めてきている。

 

《隊長》

《分かっている》

 そして──、武装企業副社長ジョッシュがトライデント分隊の前に立ちはだかった。

 最高傑作と称される第三世代、その試作型。搭載したシェアドライブによる信仰心のエネルギー転換を機体性能の向上へつぎ込むことでようやく制御可能となった最悪の遺物。──アークのオペレーターが唯一、設計に携わったとされている。

 その機体全高は三人を見下ろすほど。四メートルはあろう機体が目の前に一瞬で現れた。

 

《ハァドライン、アームドソウルス副官ジョッシュだ──言葉は不要か、侵入者》

《こちらは軍事国家アゴウ国王親衛隊トライデント分隊。遺言はそれだけか、逆賊》

 右腕には六連装ガトリング。左腕には巨大なエネルギーキャノン。明らかな武装過多、重量過多。しかし──噴射音とマズルフラッシュじみた光景と共に目の前からジョッシュの機体が消えた。ゼロツーが次に補足した瞬間には、すでに背後を取られている。

 互いの銃口が突きつけられるのは同時だった。

 

《六時の方角!》

《──速すぎるぜ、オイ! なんだこの野郎は!? つぅかデケェな!?》

 現在の主力、第三世代である次世代機(ネクスト)に落ち着くまでには相当な苦難と困難があった。武装企業はそれに注力した、尽力した。開発にはラステイションも携わっている。主だったシステムのノウハウは元々あった。しかし──それが、現在の形に、二メートル大の機体へなったのも全てはナイルスが始まりだった。膝下ほどの生物が収まるコックピット。それに類似した生物、あるいは機械──それが、ゲイムギョウ界に広く普及しているビットだったというだけのこと。

 そして、ジョッシュもまた、ナイルスとの付き合いは長い。だが互いに銃口を向けることも、背中を預けることも感慨は無かった。それが仕事だから。それが役目であると割り切っていた。

 

 トライデント分隊の突撃砲による集中砲火を浴びても、ジョッシュの機体には表面を覆うエネルギー膜で弾かれている。それの解析を完了したゼロツーが指に挟んだポテトマッシャーを投げつけて天井を崩壊させた。

 

《ちっ……》

《隊長。敵機は全身を防御膜で覆っています、こちらからの攻撃は有効打にならないかと》

《突破方法はあるか》

《海神、もしくは……こいつですかね?》

 そう言って、ゼロツーはカーネイジ爆薬を指し示した。だが、相手の機動力はとてもではないが捉えきれるものではない。しかし今ならば追加レドームの処理能力で追うことが出来る。

 

《隊長、自分がやります。ゼロスリー、ひとつ俺によこせ。どうせ使わないだろ》

《は~? いや使わねぇけどよ。ほら》

《隊長は先にアルカトラズ砲を。後ほど合流しましょう》

《必ず来い、ゼロツー》

《了解》

《行くぞ、ゼロスリー》

 ゼロワンは跳躍ユニットを吹かしてバックヤードを駆け抜ける。

 積み上がる瓦礫を一撃で吹き飛ばすジョッシュの左腕、エネルギーキャノンからは陽炎が漂っていた。

 

《単機で私を相手するつもりか?》

《目が悪いのか? そのつもりだ》

 そして、ゼロツーは突撃砲を二挺構えてジョッシュに突きつける。

 

 ゼロワンとゼロスリーは背後からの銃声に背中を押されてアルカトラズ砲機関室を目指した。

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