超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
グランドマザーウィル本社。その大通りでは、防衛部隊が再編成されて展開されていた。警備隊長が矢継ぎ早に支社へ援軍を要請している。
《スカラベは予備機を出せ! フライリングも可能な限りだ! 量産機で構わん! 長距離狙撃装備のドローンもだ! 三女神を近づけるな!》
《警備隊長、グリーンハート様は!》
《一発だけなら誤射の範囲内だ、構わん撃ちまくれ!》
《一発とは!?》
《マガジンの中身だ! 支社のガードロボもこちらに回せ、どちらにせよ女神が相手では敵うはずもない、数で足を止めるぞ! 戦車も装甲車も全部だ!》
《しかしそれでは》
《責任は私が取る、貴様らは命令に従っていればいい!》
《そこはかとない優しさ》
女神の接近報告。そして、プレジレントとアルシュベイトの決闘は場所を転々と変えながらいまだ決着がついていない。
『聞こえるかーい、警備隊長殿』
《社長! 防衛部隊展開までもう間もなく、女神を近づけさせはしません!》
『ハハハ、意気込んでいるところ結構! ところがこちらもそうはいかなくてなぁ!』
ビルの窓ガラスを割りながら、プレジレントが降ってきた。その超重量を受け止めた追加の戦車が一台、ペシャンコに潰れて機能を停止する。その中から操縦していたビットが脱出装置を起動させて撤退していく。
プレジレントの装甲は、無数に浅手の切り傷がついていた。
《ハロー、警備隊長。今日のソファーはやけに堅いな?》
《戦車がぁぁぁぁぁぁ!!! 一台いくらすると思って!》
《ケチくさいことを言うなよぉ、警備隊長。たかが四百万クレジットだ》
《既に被害総額は百億クレジットにまでのぼっているというのに何を悠長な!》
《あ、マジでー? ハハハ。稼げばいいさ、ノープロブレムッ!》
《どいつもこいつもぉ!! 戦車一台追加だ! 今すぐ!》
《そうだ警備隊長、もうひとつ言うことがあるんだ》
《今度はなんだ!?》
《女神様のご到着だ》
《総員配置につけぇーーー!!!》
慌ただしく防衛部隊に指示を飛ばす警備隊長の様子を笑い飛ばしながら、プレジレントは上空から飛び降りてくるアルシュベイトの豪剣を避ける。下敷きにしていた戦車が両断され、切っ先が埋まった。銃口を向けると、半分にされた戦車を長刀で跳ね上げて即席の防壁にする。
《ちぇぇいっ!》
《ハッハァ、あぶねぇ!》
蹴り飛ばした装甲をしゃがんで躱すと、支社から送り出されるガードロボが数体巻き込まれて爆散していく。警備隊長の怒号が再び飛んだ。
《他所でやれ!! 構えろ、撃てぇー!》
警備隊長の声に従い、グランドマザーウィル防衛部隊が弾幕を張る。
《ンムハハハハハハハハ、怒られちまったなぁ!! ハハハ、ギャーッハッハッハッハ!》
『機体損傷30%。遊びすぎです、社長』
《たったそれっぽっちで怒るなよキャロりん、小じわが増えるぜ?》
『私の肌は潤っていますでご安心を。キャロラインです』
ショットガンから、無反動砲二門に持ち替える。回転式弾倉を採用した小型弾頭のバズーカから撃ち出される炸薬弾頭をアルシュベイトは事もなげに斬り伏せた。
「ここが正念場ね! 気合入れていくわよ、みんな!」
「おーい、アルシュベイト! どうだぁ、調子は! あっはっは、なんだ手こずっているな、あのバカ! おい聞こえているかバカ者! 貴様がその体たらくでは示しがつかんだろうが!」
戦車の主砲を殴り飛ばし、蹴り返して剣姫は大股で正面から突っ込んでいる。アルシュベイトの悪夢再来となった防衛部隊は腰が引けていた。
《やべぇよ、女神やべぇよぉ……なんだあのひと……!?》
《お前ら人間じゃねぇ!!》
《女神だろ》
《あ、そりゃそうか……》
《ど・い・つ・も・こ・い・つ・も、役立たず共がぁぁぁぁぁ!!!!》
ついに我慢の限界を迎えた警備隊長がスナイパーキャノンを構え、先陣を切るブラックハートを狙撃した。進行を阻害されたそこへ、長距離狙撃班が更に支援射撃を行う。ホワイトハートが前に出て持ち前の防御力で狙撃を防ぐ。
《貴様らはクビだ、タイムカードを切って退職届を記入した後に所定の手続きを踏んで安らかな余生を送るがいい! 給料の振込は月末だ!》
《すごい! 警備隊長、口は悪いのにとてもホワイト上司!》
《でも機体カラーは真っ赤!》
《口はどす黒いのに》
《貴様らぁぁぁぁぁぁぁ!!! 女神も! 企業の連中も! 私の邪魔ばかりしおって!!》
怒り心頭の警備隊長だが、その狙撃の腕は確実に守護女神達の進行を妨げていた。リロードを終えたその砲口が、剣姫を捉える。
警備隊長が引き金を引いた。発射される弾丸は口径に合わせた徹甲弾。とてもではないが、生身の人間、ましてや女神に向けるものでもない。しかし、シェアエネルギーに守られる女神にしてみてもその衝撃力は決して看過出来ないはずだ。
剣姫は、その弾丸を掴んだ。信じられないが──掴んで、手に収めている。
「……ふむ、良い弾丸だな」
「もう弾丸掴むくらいじゃ驚かなくなってきたぞ、あたし」
「そうね、わたしも段々慣れてきたわ」
「なんでよ!? おかしいでしょ!? ベールもそう思わない!?」
「つるちゃんですし」
「なんで私しかツッコミ役がいないのよー!」
エヌラスが早く来てくれないかとブラックハートは待ち望みながら、接近するガードロボを大剣で斬り裂いた。
剣姫が指で弾丸を弾く。不敵に笑い、拳を引き絞る。
「おい、返すぞ!」
宙を舞い、やがて落ちてくる弾丸を拳で撃ち出した。それは警備隊長のスナイパーキャノンへと吸い込まれていく。誤動作を起こして、右腕が爆ぜた。
《貴様──、貴様、一体何者だ……!》
「おう、おれか? 何を隠そう、女神グリーンハートの友達。剣姫だ」
《クッ! グランドマザーウィル、第一支社から第六支社へ通達! 全防衛部隊出動だ! これ以上近づけさせるなぁ!》
「そうはいかないわ! 32式エクスブレイド!」
「オマケですわ! シレットスピアー!」
《報告します警備隊長! 前線部隊崩壊、被害甚大!》
《言われなくとも見えているわバカども! 増援はまだか! 管制塔!》
『間もなく配備が終わります、持ちこたえてください!』
《どれほどかかるのかと聞いている!》
『三分ほどです!』
《ならば最初からそう言え! 曖昧な方が対応に困る! 三分稼げばいい!》
後続の部隊を前線に押し上げるが、四女神プラス一人の進行は止まらない。かくなる上は──。
《おい、アレは配備されているな!》
《シェアドライブですか? 確かに我々にも搭載されていますが……》
《女神グリーンハートがいるのに使えるか馬鹿者! プロトタイプを出撃させろ!》
《“スチーマー”をですか!? あれは、しかし……》
《私の責任だ、構うものか!》
《職権乱用ってこういうこと言うんだろうか……おい、スチーマーを起動だ!》
警備隊長の命令に、第一本社から飛び出す影があった。それは剣姫の目の前に着地すると、全身から蒸気を噴き出して立ちはだかる。
全高四メートル程の巨体。鋼の巨躯。真鍮製なのか、淡い光沢を滲ませていた。
「おう? なんだこの正真正銘の鉄くずは?」
《それをただの鉄くずと侮るな!》
《鉄くずって言っちゃったよこの人》
《そいつは有志による数々のシステムアップデートによって我々も把握出来ていないほどの膨大な性能を秘めている!》
《把握できていないのはマズイのでは!?》
《そんなものエンジニアの仕事だろうが! 私は警備隊長だ!》
スチーマーが巨大な前腕を振り下ろす。それを剣姫が何気なく受け止めるが、眉を寄せて両手で防ぐと道路が陥没した。
「ふっ……!?」
緩慢な動き通りの重量級の一撃。それを押しのけて、むき出しの胸骨目掛けて飛び上がって回し蹴りを叩き込む。ゆっくりと後ろに倒れるように下がるが、踏みとどまって初めて剣姫の一撃を受け止めた。
剣姫は着地すると痺れる両手を振り、屈託のない笑みを浮かべている。
《ハハハ、どうだぁ! これぞリーンボックス生粋の技術力の結晶──》
「面白いなコイツ! ぶっ壊していいか!」
「ええ、どうぞ。つるちゃん」
「チェェェストォォオオオオオッ!!!」
剣姫が女神の力を解放する。スチーマーの腕がもげた。正拳突き、からの胴回し蹴り。脚が吹っ飛んだ。倒れ込む巨体に向けて、残心。対空拳術《烈風》が胴体から背中まで突き抜ける。無数の破片と残骸を撒き散らしながら開発途中のロボットはあえなく四散した。
「なんだデカイだけか! つまらん!」
《ぶっ壊れたぁぁぁぁぁ!?》
《さすがに外殻装甲を取り付ける前の本稼働試験すらしていないぶっつけ本番の導入は無理があったか! ろくな実践データも取れなかったぞ!》
「むしろなんでそれでいけると思ったのかしら……」
「逆を返せば、それだけ追い込まれているということ。畳み掛けますわよ」
《女神連合の進軍速度更に上がっています! もうダメだ、おしまいだぁー!》
《貴様らはさっさと撤退すればいいだろうがバカども! 私は最後まで持ち場を離れないからな! 勤怠だけはしっかり切っておけ!》
《その几帳面さに免じて我々も残ります! ところで夜勤組は残業代出ないんですか!》
《後で申請しておけ役立たずのバカ共が!》
最終防衛ラインにまでパープルハート達は差し迫っている。そこへ、プレジレントが再びアルシュベイトの防壁によって押し出されて戻ってきた。両手の無反動砲は使い切ったのか。マガジンを廃棄して背面コンテナから装填している。
「プレジレント!!」
《ハハハハハ! ハ? ハロォ、ハローハロー、ご機嫌麗しゅう女神様方! 今日も今日とてその美貌は目も眩むばかりだ!》
「ふざけた野郎だ、ここでぶっ飛ばしてやる!」
《ヘェーイ、ホワイトハート? 男同士の一騎打ちにちゃちゃ入れようってのか?》
「一騎打ちだか決闘だかなんだか知るか! テメェのせいで──!」
《オーケー、オーケーオーケーオーケーI-see。文句もクレームも事後処理も全部ひっくるめて終わってから引き受けるぜ》
「だったら今すぐにでも引導を渡してあげるわよ、覚悟しなさい!」
《ブラックもホワイトも人の話を聞かない女神様だぁ! ギャハハハハハハ!》
ホワイトハートの戦斧を避けて、ブラックハートの大剣を腕の装甲で受け止める。左前腕部が損傷するが、戦闘行動に問題はない。空中で蹴り飛ばすと、大型スラスターを可動させて地面へ急降下する。その衝撃波で吹き飛ばされたホワイトハートがグリーンハートに受け止められた。
両手の無反動砲をブラックハートに向ける。その砲弾をパープルハートが切り払った。
「こいつ……!」
「流石は武装企業代表取締役を名乗るだけはあるわね、面白いじゃない。女神に喧嘩を売ったこと後悔するのね!」
各々、武器を向ける女神たちだが剣姫だけはプレジレントを前にしても腕を組むだけで見守っている。いの一番に殴りかかりそうなものだったが、意外にも落ち着いていた。
《そちらのお嬢さんはいいのかい?》
「男と男の一騎打ち、手を出す理由がどこにある。無粋にも程があろう。貴様以外ならば喜んで殴り飛ばすが、アルシュベイトが相手するとあってはな。おれは貴様に手を出さんよ」
剣姫が流れ弾の榴弾砲を再び殴り飛ばす。駐車場の車が吹っ飛んだ。
アルシュベイトが遅れてプレジレントに長刀の切っ先を突きつける。
《……御姫、なぜ此処にいる》
「おう、アルシュベイト。なぜかと聞かれれば応えよう。お忍びだ!」
《国の執政は》
「ユウコに投げた!」
なんの悪びれもなく、満面の笑みを浮かべている剣姫にアルシュベイトは顔を覆った。
《事が済んだら、話がある》
「ああ、おれもだ。だがその前に、この一騎打ちの顛末を見届けることにしよう」
《今しばらく、待つが良い》
勝てよ、とも、負けるな、とも二人は口にしなかった。
四女神に敵意を叩きつけられて、アルシュベイトに長刀を向けられて、プレジレントは呆れて首を横に振る。こんなものを望んじゃいなかった。
《ノーウ、ノーウ、ノー。ナンセンス極まりない、水を差してくれるなよ……》
《同意する。パープルハート、ブラックハート。女神達の力量を疑うわけではないが、助力は控えてもらいたい。そちらの二人もだ》
「……? アルシュベイト、あなた」
《そちらにも、追って話がある。だが今は》
《ああ今はダメだ。まだまだ俺のフルコースは残ってるぜ、アルシュベイトォ!》
無反動砲二門。それを撃つと同時に背面のコンテナを開いて武装を入れ替える。今度はサブマシンガンとハンドガン。しかし、制止の声に耳を貸さずにホワイトハートとブラックハートは飛び出した。パープルハートとグリーンハートも仕方なく二人に続く。剣姫は腕を組んで静観した。
大剣を受け止め、戦斧を大口径ハンドガンで相殺し、太刀を防ぎ、長槍を掠めてプレジレントは四女神の連携を切り抜けると特殊重装甲機動コンテナを開いてサブアームによる一斉掃射を浴びせる。その爆風に煽られてプレジレントと距離を離された。
「ッ……!」
「女神を相手に、ここまで……?」
「テメェ、なにか小細工してやがるな!」
「いいえブラン。シェアドライブの波長は感じられないわ」
《フハハハハハハハハ! 小細工なんかしちゃあいないさ。大体にしてシェアドライブなんて物は積んじゃいない。当然だろう?》
「だったら、あなたのその力は何だと言うの! ゲイムギョウ界を守護する四女神に匹敵するその力は──!!」
《クレジットだッ!!!》
『…………はい?』
力強く断言するプレジレントに、四女神が呆気にとられる。
《マネー! イズ! パゥワッ! オーケー、アンダスタン? ご理解いただけるか? 当然だ! 俺は武装企業代表取締役だからな! 常に最高級の品を、最高級の品質で、最高の完成度で顧客にお届けするのが俺達のビジネスだ。最高のおもてなし、最高のアフターサービス、最高のアフターケア、最高峰のお客様満足度!
武装企業アームドソウルスはお客様のニーズにお応えして常に時代の最前線で! 国益の為に! 全ては理想の為! 全ては女神グリーンハート様の為! 全てはリーンボックスの軍事力、自衛力! ゲイムギョウ界一最ッ高の女神様が治める国の素晴らしさをプラネテューヌに、ラステイションに、ルウィーに知らしめてやる! 軍事大国であるリーンボックスの強さってやつを! なぁ女神パープルハート! 女神ブラックハート! 女神ホワイトハート! 女神グリーンハート様の信徒はこんなにも強い! お前達三女神を相手にしても負けるものか! ハハハ、嗚呼そうだ! 負けるものかよ! 俺達の愛の炎は消せやしない! 誰にも、そう。誰にもだ!》
パープルハート達は、力説するプレジレントの熱気に押し負けていた。矢継ぎ早に繰り出される機械音声の熱量にたじろぐ。
《俺の強さの秘訣はクレジットさ! この身体にいくらかけたと思ってる! 木の棒でラスボスに挑むか? 皮の鎧でラスボスに挑むか? 世界の平和を無一文で出来るか? アイテムを買わずにイベントが進むか? 答えはノーだ! 金を出した奴が強い! マネー・イズ・パワー!》
「ふざけているように思えてその実、言い返せない正論だわ……!」
「縛りプレイとかもありますが、それはあくまでも個人の趣味……!」
《クレジットは常に親愛なる隣人! なによりも生活に密接した信仰! 絶対に揺るがない価値を持つ! ……しかし、悲しいかな。愛はお金じゃ買えない世の中だ。だが! 金で愛は示せる! 俺の財産でリーンボックスに愛は示せる、こいつが俺の信仰だ! クレジットは裏切らない!
……ところが、ちょいと前にプラネテューヌの主婦が世論を経済戦争に塗り替えた瞬間、うちの会社の不祥事が次々暴かれてね……あのスキャンダルもみ消すのに何億飛んだことやら……冷や汗ものだったぜ》
「……もしかしてユウコ、人知れず武装企業倒産させそうだったの?」
《それに留まらず、浮遊要塞建設計画までも発覚したせいで俺の計画が前倒しの台無しだ。本来だったらもっと武装を充実させていたはずだったんだがね! まったくとんでもねぇ敏腕主婦だ。そのくせ尻尾はお首も出さなくてお手上げと来た》
「さ、流石は商業国家国王だけあるわ……」
ハァ、と深くため息をつく動作を挟んでからプレジレントはコンテナに武器をしまいこんだ。
《そんな事情の諸々があったせいで一週間の猶予期間でこちらも急遽用意したってわけだ。だがそれにしては、まずまず、だったろう?》
「……邪神の助けを借りておいてよく言うわ」
《ハハハハハ、そちらさんも黒いイレギュラーの手を借りていたろう? おあいこさ。それと勘違いしないでもらいたい。邪神とは、あくまでもビジネスパートナーだっただけさ。それ以上でもなければそれ以下でもない。契約を解消した今は敵同士だ、女神の敵は俺達の敵だ。そして──今の俺達は、女神の敵だ。残念だけど、味方なんていないんだ……敵も、ね。どこにも》
邪神ヌルズ・エクス・モルテスの力を借りずとも、確かにアームドソウルス単独の戦闘能力は計り知れない。一歩間違えればプラネテューヌが、ラステイションが、或いはルウィーが陥落していた。そして、プレジレント自身の戦闘能力はアルシュベイトに匹敵する。それだけの力がありながら何故、今まで黙っていたのかが疑問でならなかった。
「それだけの力を持ちながら、あなたは何故──」
《……金で信仰心は買えないのさ、女神様。俺達がどれだけ金を掛けようが、金を出そうが信仰心は超えられない。女神は越えられない。それは、ゲイムギョウ界において絶対の規律だ。世界のルールってやつだ。だから、四女神は世界の危機に立ち向かえる》
自分の太いマニピュレーターを眺めながら、プレジレントは続ける。
《世界の危機、ワールドエンド、誰も望まないバッドエンド、間違いだらけのデッドエンド! ナンセンスな世界の終わり! 誰も望まない未来、そんなものを相手にしなくちゃならない女神様達を誰が守る? 誰が支える! 他でもない俺達だ! そうだろうお前らぁぁぁぁっ!!
武装企業アームドソウルスの社訓を言ってみろォォォー! 第一条!》
──ネヴァー・グリーン・ファミリー! 信徒は家族、女神グリーンハート様万歳!
《オッケェイ! 第二条!》
──マネー・イズ・パワー! クレジットは裏切らない!
《グゥレイト! 第三条!》
──ウェルカム・トゥ・リーンボックス! 歓迎は盛大に!
《エクセレンッ!! 第四条ォ!》
──ビリーヴ・ユア・ジャスティス! 信仰は正義!
《パァァァフェクトッ!!! ラストォッ!!!》
──世に平穏のあらんことを。
《スウィートに愛してるぜお前らぁぁぁぁぁっ!!! これが、俺達だ! これがアームドソウルスだ! これが武装企業だ! 狂信、結構! 乱心、大いに結構! 愛に歯止めが利くものかよ! 俺達が! 世界で一番! 女神グリーンハートを信仰しているのさ! そしてそいつを俺が証明しよう! なぜなら──俺が、武装企業代表取締役だからだ! 会社の看板背負って立ち上がった俺が負けてたまるものかよぉ!》
グランドマザーウィルから発艦するガードロボの大群。無数の大型自律兵器。気づけば聞き入っていたプレジレントの演説に、防衛部隊再展開の余裕を与えてしまっていたことにパープルハート達は気づくのが遅れる。
「しまった、あまりの熱演につい聞き入ってしまっていたわ!」
《ご清聴サンキュー! 女神様を相手に演説したのなんて初めてで緊張したぜ! さぁアルシュベイト、待たせたな! こっちは野郎同士でぶっ放してこうぜマイソウル!》
《胸を打たれる高説ぶり、感心する! 流石と言わせてもらおうか!》
《ハハハハハ、よせよ顔面ファッキンホットだぜ!》