超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
二手に分かれて部品探しに向かう。機械に強いネプギアと、うずめ。そしてネプテューヌとエヌラス。あらかじめ必要そうな部品をチェックしておき、確認しておく。
もしも魔人の襲撃にあった際は、いつでも救援に駆けつけられるようにうずめには信号弾を手渡しておく。廃材から作ったジャンク品もいいところだが、それぐらいの役には立つだろう。
「いつの間に作ってたんだ、こんなの?」
「探索してたり、お前らが寝てる時に。使い方は分かるよな」
「ああ。上に向けて撃てばいいんだろ。それにしても手先が器用ですごいな」
「自慢じゃないが、生きていく上で全く役に立たない技術なら腐らせてるぞ。人形工学に銃器製造に薬物調合に鉱石加工と魔道工学に魔術旋盤加工から火薬調合と」
「どれも聞いたことないけど、なんかどれもヤバイ技術だっていうのは分かる……」
当然ながら十割ご法度モノである。機会があれば活用したいものだが、それを必要とされる状況というのがゲイムギョウ界では全くと言っていいほどに恵まれない。平和なことで喜ばしいのだが技術というのは活かしてこそだ。たまのリハビリにと九龍アマルガムに戻れば、待ち構えているのは大魔導師と頼みもしないハプニングがモーニングセットの気軽さでデリバリーサービス。
「と、とにかくヤバくなったら使わせてもらうぜ」
「そうしてくれ。ほら、行くぞネプテューヌ。俺とお前はハンティングホラーで愉快な空の旅だ」
「やったー、エヌラスとドライブだー! お礼に今度ねぷ子さん航空便にご招待してあげるね!」
「いらねぇ」
「まさかの即答拒否!? ちょっとくらいは素直に受け取ってくれてもいいんじゃない!?」
「嫌な予感しかしないから遠慮するって言ってんだ」
どうせ高高度から自由落下とかそんな感じ。そんなアクロバティック自殺コースなんて大金積まれてもごめんだ。
ハンティングホラーを再度喚び出して、エヌラスが運転席に跨るとネプテューヌが腰に手を回して後ろからしがみつく。
「それじゃ、また後でな。かっ飛ばせハンティングホラー!」
「えっ、ちょ──ねぷぅぅぅぅぅぅ……!!!」
遠ざかるネプテューヌの絶叫に、うずめとネプギアが冷や汗をかきながらあっという間に見えなくなった二人に不安を覚えていた。
「……ホントにねぷっち、大丈夫か?」
「はい、多分……大丈夫だと思います……」
ハンティングホラーによる快速特急空の旅に、ネプテューヌはエヌラスの腰に手を回してしっかりとしがみついている。万が一にでも手を離せば、真っ逆さまに落ちることになるだろう、しかし女神化すれば飛行能力で脱することができるものの、シェアの残量を考えればそんなムダなことに使っている場合ではない。
「ねー、エヌラスー! 行くアテとかあるのー!」
「あ? ねぇよんなもん! だからこうして空から見てるんだろうが!」
「まさかのノープランだなんて、エヌラスって結構後先考えないよね。もうちょっと計画的にさ」
「お前が言うな! ナイトロ吹かすぞテメェ!」
「それは勘弁して!!」
魔力で編まれた防風壁で向かい風を軽減しているが、それにも限度がある。特に、ハンティングホラーの魔導機関最大燃焼に加えてのナイトロブースト。魔術薬物を多分に含んだ爆発力は殺人的な加速を生み出す。エヌラス自身が“
遥か上空から見下ろす風景に、ひとつ目についた施設があった。ゴーストタウンから離れた場所に建てられた発電所と思わしき建築物には探している部品がある可能性が高い。しかし、当然と言うべきかモンスターの巣窟と化していた。
「ネプテューヌ、あの建物に行くぞ」
「えー、なんかモンスターがしっちゃかめっちゃかいるからパスしたいんだけど」
「どうせ暴れるのは俺なんだからいいだろ」
「そうだけどさー」
「テメェも戦うんだよ! おら行くぞぉ!」
「ねぷーーーー!!」
エヌラスがハンドルを切り、発電所の前に降下する。
着地するなり開戦開始。問答無用で蹴散らしていた。
ネプテューヌも木刀を構えて飛びかかるモンスターを打ち払っている。
「クロスコンビネーション! てやぁぁ!」
「アクセル・インッパクトォ!! テメェこっちに吹っ飛ばすなよ! わざとか!?」
「ナイスコンビネーションだと思って! わざとじゃないってば!」
吹き飛んできたモンスターをつい咄嗟に踏み潰してしまった。四散した紫電によって沈黙していた発電所に一瞬だけ電気が巡っていく。
エヌラスが足で踏んでいた千切れた導線に、鬼哭掌を打ち込んでモンスターをまとめて感電させる。それから切断し、即席の高圧電流の鞭として左手で振るい、モンスターを黒焦げにしていく。
「うっし、出入り口制圧完了」
「ちょっともー! わたし焦げそうになったんだけど! おこだよ! 今の一歩間違えてたら黒焦げねぷちゃんの出来上がりだったんだからね!」
「当たらないようにしてただろうが」
「そうだけど! そうなんだけど! もうちょっと女神様リスペクトしてもいいと思うよ!?」
「んじゃ次はそうするわ」
──発電所内部もまたモンスターの山、しかしエヌラスとネプテューヌは巧みなコンビネーションでこれを切り抜けていく。持ちつ持たれつ、足を引っ張り合いながらドタバタしつつも何とか安全を確保する。
事務室へ駆け込み、ネプテューヌが入るとすぐにエヌラスが扉を閉めて棚を倒し、机を蹴り飛ばしてバリケードを築き上げた。一瞬遅れて、殺到するモンスターが激突して室内が揺れる。
「い、いくらなんでもこれはちょっと無謀だったんじゃないかなと思うんだ!」
「クトゥグア、イタクァ。神銃形態! まとめて消し飛びやがれテメェらぁぁぁぁ!!」
「ええええええっ!?!?」
廊下を焼き払う炎と風が壁ごとモンスター達を一掃した。火力はある程度加減してあるが、それでも施設の一部がごっそりと破壊されている。最小限に留めたつもりだが、見晴らしが良くなっていた。
「うーし、掃討完了。大丈夫か、ネプテューヌ」
「わたしの話聞いてた!? 聞いてたんだよね!? 聞いてたはずだよねエヌラス!?」
「? お前に当たらないように、ちゃんとあっちの方向いてたぞ?」
「そうなんだけど……うぅ、なんでわたしが振り回されてるんだろう……おかしくない?」
「たまには振り回す側も楽しいものだな」
「物理的な意味じゃないからね!?」
「さーて、探索再開だ」
「その前に休憩したーい! エヌラスのせいでヘトヘトだしモンスターと戦ってわたし疲れたー」
「走り回ったり逃げ回ったり投げ飛ばしたりふっ飛ばしたり振り回したり」
「してないよ!? された側だよわたし!?」
「俺にモンスター押しつけたり」
「それはわたし悪くないもんねー!」
「その結果どうなったか回れ右してみろお前」
腰に手を当ててふんぞり返って笑顔のまま固まっている。
そう、今のモンスターの群れは全部ネプテューヌが引き連れてきたものだ。不注意が招いた結果である。
「エヌラス、おんぶー」
「へいへい」
「……えっ!?」
「なんだよ」
かがみ込んで背中を向けるエヌラスに、驚いた表情を見せていた。
「うそ。デレた! エヌラスがデレた! わぁーい!」
「お前にいちいち構ってたら探索が進まないからな」
「わぁーい……デレてなーい……」
テンションが急上昇からの急降下、株価も真っ青である。しかし背中に伸し掛かる軽い体重にエヌラスはしっかりと足を持って立ち上がった。
「肩車とかお姫様抱っこでも良かったかも」
「はいはい。機会があったら今度な、今度」
「やったー!」
子供のようにはしゃぐネプテューヌを背負いながら、静けさを取り戻した発電所を探索する。使えそうな部品を抜き取り、時折モンスターに妨害されたりネプテューヌに邪魔をされたりしながらも順調にパーツ集めは進んでいった。
「機械系モンスターから素材ゲットー!」
「でかした」
「これ使えそうかな?」
「ふむ……」
ネプテューヌが倒した二足歩行ロボット、ガーダー系のモンスターからパーツを抜き取って見せる。レーザーを放ったりするメインカメラのレンズに、柔軟性のあるアーム。脚部も頑丈なフレームが使われている。
「加工素材として使えそうだな。ネプテューヌもお前それ、木刀じゃ心許ないだろ」
「そんなことないよ? ほら、女神の加護ってやつ? それにー、愛着あるんだよねコレ。なんていうか、一蓮托生?」
「どっから持ってきたんだ」
「拾ったんだけど?」
「どこで」
「ゴミ捨て場」
「犬かお前は!?」
「だってしょうがないじゃん! 着の身着のままでこっちに来たんだからコレしかなかったんだもーん!」
「はいはい、はいはいはいわかったわかった。頼むから騒ぐな。とにかく、こいつの素材使ってなんか武器作ってやるからちょっと待ってろ」
「その間わたし暇なんだけどなー、構ってよ~、ねー」
そのちょっと、ぐらい待てないのか。エヌラスは呆れながらネプテューヌを膝に座らせると、そのまま作業を始めた。少々辛い体勢だがむやみに騒がれるよりは良い。
首にしがみつくネプテューヌを無視して、素材の加工を始める。木刀をベースに刃渡りなどを調整し、クトゥグアの炎とイタクァの氷で刃を研いでいく。
「…………」
「じー。エヌラスの真剣な表情ゲットー。えいえい」
「頬をつつくな」
「怒った?」
「怒ってない」
「えいえい」
頬をつつき、撫でてから、ちょっと引っ張って。ネプテューヌが手を離した。
「怒った?」
「怒ってねぇよ、キレんぞ。邪魔すんな」
「おこじゃんか!?」
「ほれ、出来たぞ」
「はっやーい! 流石エヌラス! おぉ~……なんかこう、メタリックな感じ! さしずめメタルブレイドってところかなー。ちょっと大きいけれども軽い軽ーい♪」
素振りをするネプテューヌの喜ぶ姿に、エヌラスは立ち上がって頭を撫でる。
「ほれ、めぼしいものは大体採れたし。一旦戻るぞ」
「もう戻るの? せっかく二人きりなんだからもうちょっと」
「そういう時間は帰ってからだ。優先順位があるだろ。な?」
「しょうがないなぁ、そこまで言われたらわたしも悪い気はしないって言うかぁ」
その帰り道──エヌラスは問答無用でハンティングホラーのナイトロを吹かした。ネプテューヌが舌を噛んで涙目になったのは言うまでもない。