超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
指定された時間に、集合地点に向かう。そこでは既に輸送班が待機していた。ドバルも今回の運送の護衛を兼ねてトラック運転手達と話をしている。だが、エヌラスの姿を見ると片手を挙げた。
《どうも。お久しぶりです》
「今日はよろしくな」
《貴方のおかげで教会も重い腰を上げる事になって、感謝しています》
「こういう時は素直に喜ぶべきか?」
それとも嫌味と取るべきか。ドバルが普段使っているルートは、自分の走破性能を前提とした街道を逸れたものであり、悪路となる。そのぶん近道でもあるのだが当然危険性も高い。今回は大型トラックによる物資運送なので多少遠回りになる。急いでも戻ってこれるのは夕方から夜にかけてだ。
極東支部から顔を出してくるのは、リントとゴッドイーターの二名。他のメンバーは周囲の警戒などに配置されているらしい。
ドバルがトラックと並走し、エヌラスは助手席から顔を出して会話を切り出す。
「そういえば、お前はレオルド達と連絡取ってるのか?」
《一応は。シロトラ最高司令官が離反した、と。部隊に復帰しないかと話を持ちかけられて悩みはしましたが、今の自分はこの仕事が気に入ってるので》
「そうか」
《部隊復帰にしても、当分先になるでしょう》
脚部の履帯を回転させながら腰部のメインスラスターで前進していた。生体センサーに反応はあるもののモンスターの接近は無い。
ラステイションが遠ざかっていく。座席に寄り掛かってエヌラスは息を吐き出した。
トラックの運転手は、右手と左目の包帯が気になるのか、こちらを盗み見る。
「前見て運転してくれるか?」
「ああ、すいません。貴方のことは噂で聞いているので」
「あんまり良い噂じゃ無さそうだ」
「実は以前、極東支部への配送を請け負っていたんですよ、自分」
「そうなのか、どうして辞めたんだ?」
「物騒ですからね、あの地域。住民も神機使いの皆さんも良い人達ばかりですが、凶暴なモンスターが多いので」
「なるほど」
晴れて今回、教会側から直接的な要請を受けて立候補したらしい。
「神機使いの方たちとは個人的な交流とかもあったんです」
「じゃあ、第一部隊隊長とも?」
「コウさんですか。ええ、勿論です。あの人は極東のエースですからね。一度だけ、モンスターの襲撃に遭遇した自分を助けてくれたんですよ」
「命の恩人ってことか」
「はい。後から知ったことですが、命令違反だったらしいです」
気恥ずかしそうに笑い、差し掛かった坂道でアクセルを踏み込む。
──休憩を挟みながら神機使いとの合流地点に到達し、リントとゴッドイーターがトラックの一団を見つけると大きく手を振っていた。ドバルとエヌラスもそれに手を振り返す。
「お久しぶりです、エヌラスさん。どうしたんですか、その包帯?」
「よぉ。元気そうだな」
「ま、色々あったんだよ」
ここまではモンスターの襲撃も無く順調の一言だ。しかし、ここから先はそうもいかない。
極東支部からも、周辺の状況はオペレーターがモニターしている。
「ここいらのモンスターは悪食でな。何でもかんでも食っちまう」
「俺じゃあるまいし」
「しかし、今日は妙に静かだ。まるでここいら一帯からモンスターが消えたみたいにな」
リントの訝しむ様子に、エヌラスも周囲に気を張り巡らせた。自然の環境音以外に聞こえてくるのがトラックのエンジン音くらいのものだ。極東支部のオペレーターも周囲の静けさに不安を覚えている。
先頭をエヌラス、リント、ゴッドイーターの三人が、それに続いてトラック、最後尾にドバル。周囲の警戒を怠らずに極東支部を目指して歩く。
「こちらリント。そっちの状況はどうだ? ……そうか、なら引き続き警戒してくれ。チェックポイントに待機させているうちの神機使い達も、異常なしだとさ」
「いっそトラックのアクセル全開でいいんじゃねぇかな」
「おいおいおい、バカを言わないでくれ。そんなことをしたらモンスターが押し寄せてくる。それを迎え撃ちたいって言うなら止めはしないが?」
「歩くか」
「それが賢明だな」
「二人は歩いてきたのか?」
「いいや、途中までは車両で移動してきた。トラックに比べて小型、そのうえエキスパート揃いだからな。行きはよいよい、帰りは怖いってな」
気楽に雑談を交わす二人に比べて、ゴッドイーターは周囲を落ち着かない様子で見渡していた。
「おーい、どうした期待の新人? そんな緊張すんなって」
「は、はい。すいません。でも、なんだか……嫌な感じがして」
「期待の新人ってのはなんだよ」
「かの第一部隊隊長から見込まれているルーキー。ま、経験不足なところはあるが一目置かれてるってことさ」
「なるほど。警戒するに越したことはない──」
エヌラスが言い終わるよりも先に、極東支部のオペレーターが接近する生体反応をキャッチした。ドバルも同時に三つの敵性反応を捕捉する。こちらへ目掛けて一直線に近づいていくるが、何か様子がおかしい。
こちらの積荷を狙っている様子はない。その動きはまるで何かから逃げ出しているようだ。
荒れ果てた土地を進むエヌラス達の前に、感応種と大型モンスターの三匹が飛び出してくる。しかし、臨戦態勢を取る姿には目もくれず自分たちが逃げ出してきた方角へ向けて吠えていた。
それから遅れて、オペレーターがレーダーの反応に焦りを見せる──波長パターン一致。
神蝕種の接近警報にゴッドイーターとリントの顔色が一気に強ばる。
飛び出してきた巨大な獣の影に踏み潰されて一匹が沈む。爪から逃れようともがくが、すぐに生気を失ってその場で溶けるように消えてしまった。感応種の遠吠えにもう一匹が飛びかかるが、開かれた顎に喉元を噛み破られ、地面に何度も叩きつけられて牙が骨に達すると同時に霧散した。残された感応種も抵抗を試みるが、神蝕種の浮かべた光球から放たれる一条の光線で迎撃される。
それでも左右の崖を足場にして背後から襲撃するものの、全長を超す尻尾で横殴りにされて壁に激突した。起き上がり、敵わないと悟って逃げようとする感応種にグッと前脚で身体を沈み込ませて巨体を叩きつける。圧死させられた感応種が消え失せていた。
「──コイツが……!!」
「こんなのを、相手に……あの人は……!」
狩りを終えて静かに身体を持ち上げる神蝕種だが、自身に向けられるリントとゴッドイーターの敵意に気づく。二人の顔を見て、興味もなくその場から立ち去ろうとするが──もうひとり。
エヌラスの顔を見るなり犬歯を剥き出しにして低く唸り声を上げていた。
──おまえが、憎い。
そこで、初めて神蝕種は敵意を露わにする。モンスターも、感応種も、接触禁止種もただの食糧でしかない。だが、守護女神に類する全てが自分の敵だ。
甲高い鳴き声と共に、神蝕種マガツビはエヌラスへと駆け出す。
動かないはずの右腕が熱い。左目の傷跡が疼く。左手にバルザイの偃月刀を掴んで、エヌラスもまた吼える。
「マァガツビィィィイイイッ!!!」
「こちらトラック護衛部隊、神蝕種と交戦に入る!」
「ゴッドイーター、接敵します! こちらで敵を惹きつけている間にドバルさんはトラックを!」
《了解。安全圏まで離脱する!》
武装のロックを解除してドバルはトラックの運転手に檄を飛ばしながらマガツビとエヌラスの横を最大速度で駆け抜ける。
──ラステイション教会・女神の執務室。
パソコンデスクでキーボードを叩きながらノワールは次々運び込まれる書類を片付けていく。ユニも書類にサインをしながら、朝から不機嫌な姉の様子を盗み見ていた。
昨日、エヌラスが来てからというもの何か様子がおかしい。いつにも増して不機嫌そうだ。顔を合わせると眉をつり上げるのはいつものことだが、今回はいつもと違う。
「……ねぇ、お姉ちゃん。エヌラスさんと何かあったの?」
「無いわよ」
「そうなの……? 包帯巻いてたけど」
「怪我なんていつものことでしょ」
「そうだけど」
「ユニが気にするようなことじゃないわよ。いいから手を動かしなさい」
「うん」
やっぱり、いつもに比べて機嫌が悪い。
昇降口から書類を手にしたスピカが執務室へ入るなり頭を下げる。
「失礼致します、ノワール様。こちら追加の書類でございます。お目を通しいただきますよう」
「ありがとう、スピカ。そこに置いといてもらえる?」
「かしこまりました」
「スピカさん。ケイさんの護衛は」
「本日はバカルネが頑張っておりますで」
(さりげなく罵倒してる……)
「本日は女神様のお仕事の補佐へ。激務が続くのでケイ様もご心配してました」
「そう。それじゃ、お茶を用意してもらえないかしら。手が離せなくて」
「お任せくださいませ、すぐにお持ちします」
それからほどなくして、スピカが紅茶とケーキを用意した。コーヒーよりもこちらの方が仕事が捗るであろうという気遣いからだ。
胸が温まるような優しい口当たりに、甘すぎないケーキが疲れを和らげてくれるのが分かる。
「んー、美味しいです。スピカさん」
「喜んでいただけて何よりです」
「本当ね。味だけじゃなくて心まで安らぐようだわ」
「今朝から機嫌の悪いノワール様にはコーヒーよりも効果的と思いましたので」
「なに言ってるのよ、いつもどおりじゃない」
「ええ。何時も通りエヌラス様に対して憤りを感じていらっしゃいますね」
「ちょっとスピカ」
「なにかお間違いでも?」
銀のツインテールを揺らしながらスピカは微笑んで小首を傾げた。
「メイドですので。仕える主の円滑な生活と職務の為に配慮させていただくのは当然のこと。そして今の私の雇い主はエヌラス様です。ノワール様がそのような精神状態では快くありません」
「だからといって、エヌラスのご機嫌取りの為に明るく振る舞えなんてお断りよ」
「おや、それもはばかられるほど今回は頭に来ていると?」
「う、ぐ……しまった……」
影の立役者とも言うべきメイドであるスピカはあまり自分からアピールはしない。するにしても妹と一緒だ。こうして直面してみると、遥かに厄介な相手である事が分かる。流石エヌラスが見込んだだけはある最高傑作の一人だ。
ノワールはごまかすように紅茶を含み、カップを置いた。
「だって、あんな大怪我してるのに何も言ってくれないんだもの。心配かけたくないのは分かるわよ。魔人達に不覚を取ったにしても──」
そういえば、その時はネプテューヌ達とも連絡がつかなかった。イストワールに聞いても、今は不在中とだけ。もしかしてプラネテューヌで何かあったのだろうか。もしそうなら、守護女神であるネプテューヌの責任に違いない。そう考えるとノワールは居ても立ってもいられなくなった。
スカイポ通話でネプテューヌを呼び出し、事の真相を聞き出そうとする。
「貴方、何か知ってるんでしょうね。エヌラスの怪我のこと」
《えーと、ノワール。なにかものすっごく怒ってるみたいだけど、エヌラスの怪我はわたしもネプギアも良く知らないんだ。プラネテューヌに戻ってきた時からミイラ男状態だったんだから》
「そうなの? それにしても、貴方も知らないなら誰が知ってるのよ」
《うーん、ソラか大魔導師くらいじゃない? 最終的に何とかしてくれたのあの二人だしさ。なにかあったの?》
「何かあったの、なんて聞きたいのはこっちの方よ!」
《ねぷっ!? なんでそんないきなりキレてるのさ、キレ芸ノワール! ツンデレキャラからツンギレキャラになっちゃったらエヌラスとかぶっちゃうよ!? キャラ被りって色々大変なんだからね、個性的な意味で!》
「知らないわよそんなこと! 大体キャラ被りなんて言われても私にはぼっちキャラという持ちネタがあるんだから知ったことじゃないわよ! って、誰がぼっちなのよネプテューヌ! いい加減にしなさいよね! 飽きられるわよそんなんじゃ、他にネタ探しなさいよ!」
《わたし何も言ってないのにノリツッコミで怒られた!?》
いつにも増して吹き荒れる嵐のノワールの怒りに、通話しているネプテューヌも矛先が自分に向かわないようになだめながら何とか解決の糸口を探る。
しかしその後ろでスピカは専用D-Phoneを取り出すとボタンを押して耳に当てた。
「……もしもし、大魔導師ですか? ええ、お久しぶりでございます。スピカです。はい、エヌラス様の容態についてお聞きしたいことが。はい、はい。いえ、ノワール様が怒髪天を衝く勢いでお怒りなのです。ええ、背中に鬼の顔が見えるほど」
「そこまで怒ってないわよ、捏造しないで!」
「──とまぁ、この有様です。はい、まるで小姑あるいは鬼嫁のような有様でして。困り果てております。……おっしゃる通りですね。ユニークな例えです」
「ちょっと」
「埃一つ見逃さない小姑、あるいは偏執的な愛情。メンヘラあるいはヤンデレの素質があると大魔導師が仰っておりますが?」
「それは宣戦布告と取っていいのかしら!?」
「だそうです。……冗談、とのことですが」
「言葉を選びなさいよ、っていうか繋がってるならこっちによこしなさいよ!」
「と、ノワール様がブチギレムカ着火ファイヤーフラストレーションボルケイノダイナマイトボンバー状態ですが如何されますか、大魔導師。はぁ、怖いから口を聞きたくないと。あっ」
スピカの手から携帯をぶん取ってノワールが大魔導師に噛みつく。
「ちょっと貴方ね! 人のこと好き勝手言わないでもらえないかしら!?」
《なんだ、スピカの言っていた通り不機嫌そうだな。アレか、その、アレな日か? 私に言われてもどうにもできないし、生きてたらそういう時もある。大変だな女神も》
「何の話よ!? アレな日ってどれな日よ!?」
《ジョークだ。今のエヌラスだが、変身不可能になった》
「────、」
《アイツを創り上げる際に根幹となったものが遂に奪い返された、とだけ言おう。銀鍵守護器官があるからこそまだ身体を保っていられるが、エヌラスを魔人たらしめる均衡が崩れた。これは、もはや俺の手にも施しようがない。手詰まりだ》
目眩を覚え、机に手をついて何とか踏み止まる。
《銀鍵守護器官を外せば、例外なくアイツは死ぬぞ》
胸に何か押し込まれたように、息が詰まる。心臓の鼓動すら止まったのではないかと錯覚した。舌の根が渇く。上手く言葉が出てこない。
──エヌラスが、死ぬ?
「……ちょ、ちょっと、待ってよ。貴方、エヌラスの師匠でしょ? 生みの親でもあるなら、なんとかならないの?」
《今ある奇跡の全てを否定した上で。お前たちの記憶とアイツの記憶を抹消した上で。私が総てを破壊すれば望みはある》
「そんなこと──!!」
《私はそれだけアイツに賭けた。それが今の結果だ。しかしそれは塔争が前提条件の話であり、今の私達に“コンティニュー”は許されない。それがアイツの選択だ。もしも、セロンが気紛れでその結末を閉じれば未来永劫、過去永劫。アイツは存在しないことになる》
「…………」
《記憶に残らなければ、その胸の痛みも残さず消える。苦悩もな》
「──貴方は、随分と冷静なのね。自分の愛弟子がそんな状態なのに」
《多少、想定の範囲外となったが許容の範疇だ。修正は可能だ》
「こんな時になっても貴方は自分の暇潰しにしか興味がないって言うの!?」
《当然だ。私の生涯の全てはその為にある。神の玩具ならばこの命に意味などないだろう? 私は未知が欲しい。私の知らぬ総てが見たい。だからこそ論理も倫理も人理も憚らず、あの男を創ったのだ。今の私が生きる理由など、アイツ以外に何もない》
「……だから、今の現実を受け止めろって言うつもり?」
《目を背けたければ好きにするがいい。それが最期になるかも知れんがな》
「貴方ね──!!!」
ノワールが言い掛けて、通話が切られた。スピカにD-Phoneを渡して椅子に腰を下ろすと、まるで見えない圧力が自分の身体を押し潰してくる。立ち上がれない。頭を上げられない。目頭が熱くなってくる。こみ上げてくる感情に何とか踏ん切りをつけようとはするが、堪え切れずに涙が浮かんできた。
「……どうして──なにも、言ってくれないのよ」
「まぁ、エヌラス様ですし」
「それで済ませられるわけないでしょ!? 人が死ぬっていうのに、なんでそんな平気そうな顔をしていられるのよ!」
「私もカルネも、一度死んでいるようなものです。人道に反した手法を用いて人形にされた私に倫理をとかく言われましても」
「ッ……エヌラスは、人形なんかじゃないのよ?」
「ご存知ですよ。だからこそ、私もエヌラス様の力になれればとこうしてノワール様に進言させていただいたのです。怪我の一つや二つで機嫌を悪くされないでください。あの人が選んだのは女神様なのですから」
「スピカ……貴方、もしかして」
「仕える主に秘めた想いを寄せるのも中々味わい深いですよ?」
くすりと微笑むスピカが、パソコンの画面に視線を向けている。
《あのー、わたしすっごく気まずいんだけど通話切っちゃってもいいかなぁノワールー……?》
「えっ。あ、そういえば通話繋ぎっぱなしにしてそのままだったわね、ごめんなさい。ネプテューヌ」
《いいよいいよー。でもエヌラスとちゃんと仲直りしてね。エキシビジョンマッチじゃノワールには負けないんだから!》
「ええ、こっちだって望むところよ。楽しみに待ってなさい」
ネプテューヌとのスカイポ通話を切り、空になった容器を片付けるとスピカは会釈して執務室を後にした。
それから仕事を再開しようとした矢先に内線が繋げられる。相手は臨時でオペレーターとして雇っているフィオナからだった。
「どうしたの、フィオナ。緊急内線だなんて」
《ブラックハート様、申し訳ありません。ラステイション防衛軍極東支部へ向けて物資を移送途中のトラックが襲撃されたと通信が》
「そのために護衛をつけていたのに、どうしてよ? 報告するほど?」
《それが──現在護衛部隊が交戦中のモンスターは神蝕種です》
その言葉に、ノワールは思い出した。初めてその魔獣が発見されたのも極東支部方面だったと。
もしかすると自分は、みすみすエヌラスを死地へ追いやってしまったのではないか。そう考えるだけで血の気が引いた。
「お姉ちゃん、エヌラスさんが」
「わかってるわよ。でも……」
「こっちはアタシがなんとかするから、行ってあげて!」
「ユニ……ごめんなさい、任せたわよ! フィオナ、こっちからすぐに救援に向かうって言っておいて!」
《わかりました。極東支部からも神機使いの増援を送り込むそうです。お気をつけて》
「ありがとう。──変身!」
執務室からテラスへ駆け出し、女神化すると同時にブラックハートは青空を駆ける。胸の焦燥感に駆られるように速度を上げて。
残されたユニは一度だけ気合を入れ直して、書類の山と向き合った。