超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
「ごちそうさまでしたー、また来るねー!」
《またのお越しをお待ちしております》
マグメルを後にして、レオルドとネプテューヌはプラネテューヌを目指す。
「ねぇねぇ、レオルド。背中にわたしを乗せて走れないかな? ずっと歩きづめで足が棒になっちゃいそうなんだ」
《それぐらいなら大丈夫っす。どうぞ》
その場にしゃがみ、レオルドは背中にネプテューヌを乗せて車道を走る。接地面積を増加させている踵のローラーによって機体を安定させながらアスファルトを進んでいると、隣に並走してきたのはホバー型脚部の最速機体、バズだった。
《探し人が見つかったって? レオルド》
《そうっす。背中に乗ってる人っすね》
「やっほーバズ」
《? どうも》
「あ、あれー? なんかやっぱりよそよそしい感じ……」
《バズは見回りっすか?》
《馬鹿言うな、配達のバイト中だ!》
小脇に抱えている小包はその荷物だろう。ホバー型脚部ならば不慮の事故に巻き込まれない限り安全に荷物を運べる、その上速度を重視した機体設計は速達便としてうってつけだ。
《今日はちょっと仕事が多くてな、何かあったら連絡してくれ!》
《了解っす。それじゃ、またあとで》
「じゃーねー! ……う~ん、やっぱり誰もわたしのこと覚えてくれてないとか、さすがにちょっとヘコむなぁ……」
《ネプギア様もミリアサさんもチーカマさんも、ネプテューヌ様のことをちゃんと覚えていましたよ、安心してください》
「レオルド、そんな堅苦しい呼び方しないでってば。女神様権限で、もっとフランクに呼んでよ」
《え、えぇ……? でも、ほら、やっぱ女神様なんですから敬称は》
「めーれーだよー!」
《う、うぅ……じゃあ、あの……ネプテューヌさん?》
「まだちょっと堅いかなぁ」
《……ねぷ子様で妥協させてください》
「もー、しょうがないなぁレオルドは。じゃあそれでガマンしてあげるね」
《ははー。ありがたき》
ネプテューヌを背中に乗せたままレオルドはプラネテューヌへ到着し、そこでようやく下ろす。
ネプギアにも連絡を入れると、ミリアサ達を引き連れてこちらへすぐに向かってくるようだ。それまでの間、定時連絡でプラネテューヌ警備隊と情報を交換する。
《こちら強襲班、特に異常なし!》
《こちら重火班。平和なもんだ》
《こちら狙撃班。モンスター退治中だ》
《こちら支援班! アイエフさんに同行中、異常なしだ》
《了解っす。引き続き警備の方、頼んだっすよ。なにかあったらすぐ連絡するっす》
「なんかレオルドもすっかり隊長ぶりが板についてるね」
《慣れって怖いっすね……》
最初は報連相もままならないほどてんやわんやとしていたが、段々と自分の中で最適化がされてきた。
ネプギア達を待っている間に、ネプテューヌがプラネ商店街に寄りたいと言い出したのでレオルドも同行する。いつもの街並みに変わらない人々の笑顔、ネプテューヌはそこに溢れる人々の笑顔を見て腕を組みながら深く何度も頷いていた。
「うんうん、やっぱりプラネテューヌはこうでなくっちゃ」
《……でもいいんすか、ねぷ子様? みんな忘れてるんすよ?》
「最初はショックだったけど、それならそれでまた皆と仲良くなればいいだけだもんね」
《俺も、みんなに思い出してもらえるように協力するっす》
意気込む二人の目に止まったのは、街頭テレビ。大型モニターに映し出されるゲイムギョウ界ニュースに、見慣れた顔が映し出されたからだ。
『──では、次のニュースです。ラステイションで指名手配されている自称・守護女神のノワールがラステイション軍の活躍によって包囲、確保寸前に何者かの妨害行為によって甚大な被害を受けました。このことを重く受け止めたラステイション軍では懸賞金の引き上げも視野に入れると発表しています』
「ぶぅーっ!?」
《えぇ……マジっすか》
映し出されているのは、ノワールを追跡しているラステイション軍が突如爆発に巻き込まれて吹き飛んでいる映像。その直後、映像が乱れたことにより、その後どうなったかまでは不明だ。しかしネプテューヌにはとても見覚えのあるものだった。
「今のってもしかしなくてもー……」
《エヌラスさんっすね……今ラステイションに行ってるんで……》
「や、やっぱりかぁ~~。そうだよね、あんなのやれるのエヌラスくらいだもんね……」
ニュースを眺めていたネプテューヌとレオルドのもとへ、ネプギア達が駆け寄ってくる。
「お姉ちゃん! よかったぁ、無事だったんだ!」
「おおー、愛しのマイシスター。ネプギアだー! うんうん、ネプギアも無事なようで何よりだよー。ミリアサちゃんたちも元気にしてた?」
「うむ。わたしもチーカマも探したぞ」
「そうね。でも元気そうで何よりだわ」
「ねぷねぷ~」
「あ、コンパー! よかったぁ、コンパもわたしのことちゃんと覚えてくれてる~!」
「当然ですぅ、わたしがねぷねぷのこと忘れるはずがないですよぉ」
嬉し涙を浮かべながら、ネプテューヌはネプギアとコンパに抱きついていた。
「さて、これで無事に合流できたわけだが……これからどうするか決めているのか?」
「うーんとね、わかんない!」
「……無計画にも程があるのではないか、ネプテューヌよ」
「あ、ははは……お姉ちゃんらしいと言えばお姉ちゃんらしいですけど」
「とりあえず、いーすんに会いたいんだけど……」
《それはちょっと厳しいっすね》
「えー、なんでー?」
《うちの部隊と連絡を取り合って情報交換してたっすけど、今のプラネテューヌを統治しているのはゴールドサァドと呼ばれる四人組っす。教会もその管轄となってます》
「じゃあ、そのまま守護女神に取って代わってゴールドサァドが管理してるってこと?」
《そうなるっすね……俺はまだ教会お抱えのプラネテューヌ警備隊ってことだから自由に出入りできるっすけど》
イストワールに口添えをしてもらって、ネプギアとミリオンアーサー、チーカマの三人も入れたという。
「じゃあ、プラネテューヌを統治してるゴールドサァドに会いたいんだけど。誰が管理してるの」
「それが……」
「プラネテューヌのゴールドサァドは、姿を見せていない。イストワールが代わって国の執政を取り仕切っている」
「なんだ、じゃあ前と何も変わってないんだね!」
「お姉ちゃん、そこは少しくらい悪びれた方がいいんじゃあ……」
《そっすね……教祖様がかわいそうっす……》
「あれ、わたし怒られてるー? あれー?」
ロムとラムは無事にルウィーに到着。ユニもノワールと一緒に行動をしている。エヌラスも今は極東支部の協力を仰ぎ、教会から追われる身となっている神宮寺ケイの捜索に乗り出していた。
リーンボックスではアルシュベイトが内部で探りを入れている。ルウィーでも大魔導師が温泉旅行を楽しむ傍ら、改変されたゲイムギョウ界のことを調査していた。
プラネテューヌにもソラがいたが、すでに神次元側のラステイションへ移動している。
現在、もっとも気がかりなのは……ラステイション軍に正面から喧嘩を売ったエヌラスのこと。元々ゲイムギョウ界で教会が管理・運用するという形で拘束していた。今、守護女神の存在が歴史から消滅した以上、エヌラスはゴールドサァドが運用する犯罪者として記録されている。その当人が、現在進行系で教会に反抗しているのだからますます罪状に国家反逆罪が追加されていた。
《レオルド、聞こえるか! こちら支援班、シュラ!》
《こちらレオルド。どうしたっすか!?》
焦りを含んだシュラからの通信に、レオルドが慌てた様子で応える。それにネプテューヌ達からも緊張感が走った。
《アイエフさんとサクラナミキで目撃された不審者を尾行中だったんだが、見つかった挙げ句に戦闘に入ったが、なんかやたら強いんだよ! ヘルプミーだわ、ハッハッハ!》
《なんか微妙に余裕ありそうだけど、どうしても救援いかないとダメっすか!?》
《俺はともかくアイエフさんの安全のためだ! 好感度稼げるかこの選択肢!》
《声に出してなかったら多分な!》
無線越しに散弾銃の排莢音と無数のモンスターの鳴き声が聞こえてくる。魔法と思わしき音とともにアイエフが切り結ぶ戦闘音も同時に後方から響いていた。
「アイちゃんのピンチとあればわたし、即参上だよ! 早く行こう、レオルド!」
《了解っす! こっちの到着まで持ち堪えてくれるっすか》
《任せろ! 今回は爆炎兵装だからな、このサクラナミキを火の海地獄にしてくれるわフハハハハハ! そんなわけでリムペットボムの使用許可をください!》
『だぁれが許可するかぁぁぁーーーッ!!』
アイエフから蹴りでも飛んできたのか、やたら重低音が聞こえてくる。機体の軽量化によって機動力を得たシュラが体勢を崩したらしく音声が乱れた。
レオルドは無線を切って、ネプテューヌ達と視線を交わすと頷いてサクラナミキへと急行する。