超次元ゲイムネプテューヌZ-血と硝煙と鋼と荒唐無稽- 作:アメリカ兎
魔術工房の浴場は特に二人が注力したからか、広さは申し分がない。むしろ一人で入るには少々広すぎるくらいだ。通常のバスに、ジャグジーバス。何故か和風の風呂まで用意されている。しかもサウナ付き。誰がそこまでしろといった、というエヌラスの怪訝な表情に、スピカは目を丸くしながら「大魔導師から基本は抑えておけと言われましたので」と淡々と言われる。
ジャグジー、水風呂、サウナは基本──どんだけ風呂が好きなんだ。普段の立ち振舞からは想像もつかない。
気分転換に入浴を勧められて、エヌラスは魔術工房の浴場で身体を休めていた。ボディソープを手にして泡立てると全身の汚れを洗い流していく。
「…………」
「…………」
何も言わず、背後に控えて背中を洗うスピカにエヌラスは目頭を押さえた。
「なぁスピカ」
「はい、なんでしょうか。ご主人様」
「なんでお前も入ってるんだ?」
「なにか問題がございますか」
「いや、疑問に思っただけで」
「私も本日はそれなりに動きましたからね。メンテは大事です、肌の」
「…………」
首を捻る。自動人形はそもそも肌の概念が人間と多少異なるはずだ。だがこれ以上尋ねても無粋かと断念する。本人がそうしたいなら、別にかまわなかった。
「ご主人様、どこかかゆいところはありませんか?」
「聞くタイミング間違えてないか」
「そうでしょうか」
背中を流していたスピカの手が、ふと止まる。
全身の傷跡は見慣れていた。だが、背中にまで走る切り傷の痕も無数に及んでいる。背中の傷は剣士の恥だと人は言う。本当にそうだろうか。敵に背を向けて逃げようとした敗走の傷ならば、なるほど確かに、道理である。しかし、戦地において敵が正面から来るとは限らない。
この傷は生きてきた証だ。傷だらけになりながら、それでも前を向いて走り続けてきた魔人の。
もう自分は涙することすらできないけれど、それでも心が苦しくなる。運命に逆らうなんてことをしなければよかった。距離を置くべきではなく、自分の居場所にいるべきだったのだ。
叶わぬ夢も恋も此処にあったというのに。
「何してんだ」
「僧帽筋から広背筋にかけてじっくりと眺めておりました」
「背中流してくれよ……」
「実に、よく鍛えられた身体ですね。傷だらけですが」
スピカが背中を流すと、そのまま前に座り込んだ。当然ながら、入浴する以上衣類を身に着けていない。それどころかバスタオルすら身体に巻いていなかった。全裸の肢体を惜しげもなく見せつけてくる。
普段はツインテールにまとめている青みがかった銀の髪も下ろしていた。湿気を吸って色艶の良い髪は朝日を浴びた雪景色のように煌めいている。傷跡一つ無い、それこそ赤子のような肌もそう造られたからだと理解してはいるが、その美貌はあまりに整いすぎていた。人であって人ではない美しさは、ある種の芸術性すら感じる。侍られている主人にも相応の格が求められるだろう。
青い義眼を丸くしながら小首を傾げるスピカが時折覗かせる少女性に不意を突かれる異性も多いが、当人にまるで関心はなかった。
「……ご主人様、私の顔がなにか?」
「美人だよなと思っただけだ」
「────はい、その、ありがとうございます……」
かわいい、というよりも綺麗な印象を受ける。近寄りがたい雰囲気に、淡々とした口調は他人に興味がないようにも思えた。それだけに、ケイの身辺警護を引き受けていた際は優秀が過ぎるビジネスパートナーとして評価されている。
考えても見れば、九龍アマルガムでも公安局に所属していた際はメイド長として指揮権限を一任されていた。多忙を極める職務で些事のミスも見落とさないスピカが、今こうして自分の前に裸身を晒しているというのは全幅の信頼を置かれているということか。
心なしか頬が紅潮しているのは浴場のほどよい熱気のせいか、はたまた照れているからか。
「どうしてそう、改まってそのような言葉を」
「常々思ってたが言う機会がなかった、それだけだ」
視線を泳がせるが、短く息を吐き出すと気持ちを切り替えたのかいつものように淡々とした動作でエヌラスの身体に触れる。そのまま前の方まで洗い始めた。
羞恥心といった感情はお互いに湧かない。ただ、そうあるべき関係に戻っただけだ。
「……不思議と、落ち着きます」
「そうか」
「こうして貴方の身体に触れることも、こうして裸体を晒すことも。不思議と、なんの違和感もありません」
「……」
スピカの全身義体は、様々な暗器が仕込まれている。例えば両前腕部。無数の鋼糸とコンバットナイフを格納している。例えば尺骨、内蔵武器として刃のように研ぎ澄まされている。足部にも刃が含まれていた。無防備を晒しているようで、最も危険な状態が裸体だ。
その動力源は魔導機関「無間心臓」、カルネの「ALハザード・ランプ」と違い安定した出力と並列処理・並列接続に特化している。だからこそ、スピカは異常なまでの銃火器を同時に操ることができた。
全身を隈なく観察しても、豊かな乳房に無理なく引き締まったくびれ、長い手足とモデルでもそうはいないプロポーションだ。そう造られたから、そう造ったのも他ならぬ自分だったが。こうして改まって見つめると、驚くほど美人だ。
ふと、スピカの手が上体から下腹部へ伸びる。そのまま足を洗い始めていた。陰部を見てもなんとも思わないのか、淡々と洗体作業に没頭している。
球体関節人形が主流の九龍アマルガムの義体だが、大魔導師が軽く手を加えてシームレスパターンに変えられていた。それだけでも破格の金額が動く。中小企業が一つ傾きかねない。
大腿から、膝、くるぶしまで丹念に洗うスピカの視線が、ふと陰部に向けられる。それから一度エヌラスと視線を合わせた。
「そちらも、洗いますか?」
「……頼めるか」
「かしこまりました。どのように?」
少しだけからかうように微笑むスピカの頭を近づけるように引き寄せる。目と鼻の先に男根を見せつけられて、スピカが少しだけ息を呑んだ。
「お前に、任せる」
「……はい。では、少々失礼いたしますね」
ボディソープの泡を手にして男根を根本から丁寧に洗い始める。白く細い指先が丹念に触れていくうちに固くなり、頭を上げた。その反応を見て嬉しそうに微笑んでいた。
「まだこちらは無事なようですね」
「やかましい」
「申し訳ありません。私、少々攻めっけが強いもので」
「知ってるよ、このサドメイド」
スピカが義眼を“切り替える”と、魔術回路の様子を見つめる。魔力の流れが左胸の銀鍵守護器官から全身の血管に沿う形で循環していた。だが、連戦と消耗によってすり減った回路がいくつか途切れている。全身の不調はそのせいか。
根本から先端に向けて、ゆっくりと擦る。亀頭を手のひらで撫でながら優しく指先で包むと皮を剥くように時間をかけて撫で下ろした。指を細かく動かしてうねるような感覚で扱かれるのは、まるで性器にでも突っ込んでいるような錯覚に陥る。
「ふふ。気持ちよさそうですね」
「お前は、楽しそうだな」
「ええ……とても。こうなってしまうと、少々“おいた”を期待してもよろしいでしょうか」
「誘い攻めってどうなってんだお前の趣味」
「こんなことをするのも、ご主人様だけですよ」
すっかり固く屹立した男根に頬を寄せて、熱い吐息を漏らしながらスピカはエヌラスのことを見上げていた。
「私の身体は頑丈ですので……手荒に扱ってくださってもかまいませんよ? 女神様にはできないようなことでも、耐えられますので。ご主人様の望むまま」
「……申し出は嬉しいんだが、壊したら直すの自分だしな」
「…………こういう時はそういう言葉を飲み込むべきなのでは」
「仕方ねぇだろ、お前ら治せるの俺しかいねぇんだから」
「それもそうですね」
亀頭を咥え、舌で先端を集中的に舐める。そのままゆっくりと喉まで飲み込むと、口を離した。
「このまま洗ってもよろしいですか」
「任せる、って言っただろ?」
「では、そのように──」
再び口を開けるスピカの舌がエヌラスの陰部を舐め上げる──瞬間、浴場の扉が開け放たれる。
そこに立っていたのは、一糸まとわぬ全裸のカルネだった。タオルも持たず、ポニーテールを下ろして無邪気な笑顔を見せている。
「ラブでロマンスなムードをハードにブレイク、カルネちゃんです! スピカ姉ずるい、私もご主人様にご奉仕したりお仕置きされたり朝までベッドでニャオンニャオーンしたい!」
「……はぁ。こういう時、自分に妹がいることをひどく恨みますね」
「そう言ってやるな。ほらカルネ、お前もこっち来い」
「ご主人様が望むのであれば、仕方ありません」
少しだけスピカは拗ねたのか、根本をキツく握っていた。
カルネの義体は姉に比べれば胸が少々小ぶりだが、肉付きは悪くない。出力と処理速度に特化した魔導機関は放熱性能に難はあるものの、瞬間的な火力で言えばカルネの方が上だ。
人懐っこい笑みを浮かべながら、スピカの隣に座るとエヌラスの勃起した男根に視線を集中させる。
「カルネ、顔見せてくれ。もう少し近くで」
「はい、ご主人様♪」
「……」
唇を尖らせながらも、スピカはまだ竿の手入れをしていた。
傷つけられた頬に跡は残っていない。指先でつつくと、人と変わらない感触がした。肌のきめ細かさはスピカに負けず劣らず。甲乙つけがたい美貌ではあるが、なにせカルネはバカだ。性格の一点で優秀さも性能も全部減点されている。基本的に残念美人なのだ。
間近に顔を近づけられて、段々と笑みでごまかしきれなくなってきたのか頬を赤らめている。
「あの、ご主人様……そんなに見つめられるとカルネは恥ずかしいと言いますか、なんと言いますか……照れちゃいます」
「普段の勢いはどうしたんだよ」
「だって……私だって基本的には、か弱い乙女ですよ?」
「ありえない」
「断じてない」
「スピカ姉もご主人さまもひどい……だがそれがいい……うへへ」
だらしのない口元を緩めるカルネに、エヌラスも参ったような顔をした。なんでコイツはこう、マゾなのか。性格ばかりはどうにもならない。
「すんすん……ご主人様、少し薬の臭いが強いですよ。洗髪します?」
「後でいい」
「じゃあスピカ姉と一緒に竿洗いますね」
「いやそっちはスピカに任せていい」
「えぇ……じゃあどうしたらいいですかご主人様ぁ……」
「ほら、顔」
「?」
顎に手を添えると、エヌラスはカルネの顔を引き寄せて唇を塞いだ。意表を突かれて驚いたものの、すぐ首の後ろに手を回して抱きつきながら舌を入れる。
魔術工房の浴場に、少しの間だけ粘膜の絡み合う淫靡な音が反響していた。
「ごしゅじんさまぁ……♪」
「ん……お前は本当に、甘えん坊だな」
「うえへへへ、だってご主人様大好きなんですもん……いつも痛くしてくれるし、でもなんか懐かしいっていうか愛されてる感あるっていうか、痛くて気持ちいいんです」
「微妙に歪んだ愛情表現やめような……いつもぶん殴ってるけど」
「かまってもらえて嬉しいんですよぅ、私」
満面の笑みを浮かべて頬ずりしてくるカルネは何度も頭を擦り付けてくる。その様子を下から見つめながらスピカは男根を咥えた。そのまま裏筋に舌を這わせたまま時間をかけて舐め上げる。そんな前戯に少しだけエヌラスが反応を見せると、口を離して焦らした。
「ご主人様、こちらにマットがありますのでおくつろぎください」
「耐熱の滑り止めマットなんてよく用意したな」
「サウナで寝たい方に」
「脱水症状で死人出るっつの」
身体を洗い流してから、エヌラスはマットに横になる。まだスペースには余裕があるものの、三人は流石に狭いのか二人がはみ出てしまっていた。だが、スピカがエヌラスに跨がり、カルネも顔に腰を落とす形で収まる。
陰毛のひとつ無いなめらかな柔肌の陰部を目と鼻の先に突きつけられて、自然と身体が反応してしまっていた。
「どうですかご主人様、私のよく見えますか?」
「本当に恥ずかしくないのか」
「むしろ見られて嬉しいくらいで……えへへへへ……じゅるり」
「目を閉じとくか」
「そんなこと言わず見てくださいよ、前も後ろもご主人様で埋めてくださいよ! ほらぁ!」
「広げんな」
大陰唇を広げ、膣口を見せる。自動人形でも、元は愛玩用として設計されるものも少なくない。生きたラブドール、それゆえに陰部も作り込まれていた。そこばかりはエヌラスも外注で済ませた気がするが、なにせ遠い昔の話だ。
自ら自慰行為を始めたカルネの陰部が湿り気を帯び、やがて愛液が垂れてくる。
「わた、しのここぉ……ご主人様のために特別製にしてきたんですよぉ……?」
「どんな風に」
「どんな子種も残さない、搾精するために生まれた三大名器、数の子天井!」
「具体例を出すな。というか勝手に改造したのか」
「大丈夫です、大魔導師の許可もいただいてましたから!」
「何考えてんだマジであのクソ師匠……」
「ですからぁ、カルネのここ。とぉっても気持ちいいと思いますよ? ね、スピカ姉」
「うるさいですね。それを言ったら、私だって……んっ……挿れますよ、ご主人様」
何度も入り口を擦り、濡れた陰部の入り口にエヌラスの男根をあてがい、スピカが腰を緩やかに落としていく。最初こそ窮屈に窄められた膣口に抵抗感があったものの、膣内に侵入した男根が背筋が震えるような快楽の波に飲み込まれた。
「どぉ、ですか……?」
「スピカ……お前もか……!」
「ふふ。ご明察の通りです。愚妹だけでなく、私のココもご主人様専用という許可のもとで名器にしていただいております。ですが、ふっあぁ……! ご主人様には、っ、かないません……」
小さくうねる無数のひだが余すところなく包み込み、優しく搾り取る。まるでひとつひとつが意思を持った触手のように精液を求めて絡みついてくる名状しがたい快感にはエヌラスも思わず声がもれた。だが、その口を塞ぐようにカルネが陰部を押し付ける。
「んひっ、ご主人様の吐息、熱くって、んッ! くすぐった、んひゃ、ァ!」
「カルネ。そのままご主人様の顔を塞いでおきなさい」
「ふ、ぁんひゃ! なんで?」
「恥ずかしいからです、よっ! 言わせないで、ッ~~!」
「スピカ姉、弱いところ突かれて恥ずかしい顔してますよー、ご主人様ぁ」
「っ、この、バカルネ、愚妹、ダメ犬! もうっ」
腰を動かす度に、エヌラスの身体が震えていた。精液が根本まで登ってきているのがわかる。少しだけ左右に腰をうねらせると、また違った感触の快楽に暴発寸前となっていた。腰を浮かせて先端を浅く短い動きで搾る。それだけでも堪らない様子だ。
スピカは息を吐き出して一拍置いて、一気に咥え込む。男根が震え、体内に熱い精液が流し込まれる。じわりと膣内に広がっていく射精に、しかし口元を笑みに歪めて腰を動かすと更に勢いよく注がれていく。
「~~~~、んっ……ぁぁ……♪ ご主人様の、とぉっても熱くて、濃いのが出てますよ……」
「むぅ~、スピカ姉ずるい。私も欲しい! ご主人様、次はカルネの番です。いいですか?」
エヌラスの顔から陰部を離し、覗き見ると息を荒くしながら手を振っていた。
「テ、メェら……! あとで、おぼえてろ……!!」
殺さんばかりの怒りをこめて睨みつけられるが、カルネには逆効果である。
「そんな焦らさなくても、今お仕置きしてくださって全然かまいませんウェルカム望むところ!」
「グーパンでいいか……!?」
「性的なお仕置きがほしいです!」
どこまでも自分には正直なカルネにはエヌラスも手がつけられないといった様子で四肢を投げ出した。