クマ吉君の野望【2次創作短編集】 作:堀 吉之助
やはりこの甘さが良かった。
ここはあるドーナツ屋のチェーン店。店内には平日だからか人はまばらで、店員が作業する音が静かに聞こえてくる昼下がり。
紫色の髪をした少女は店の一席に座りドーナツを頬張る。大きく口を開けて丸いリングの上を小さくかじる。かぶりと食べたいがもったいないというのがよくわかる食べ方。
頭には「閉じた目」のような模様の白い帽子をかぶったその少女のそばにはライオンを模したドーナツの人形が置いてある。
それだけ見れば普通の少女と言えよう。だが彼女は「ふつう」とは言えないほど奇抜な格好をしていた。まずはその上半身。胸をかろうじて隠す程度しかない程度の黒いシャツ。たまに中の肌色がちらちらと見える。胸自体は小さく、薄い。それのおかげで見えてないがやはりすさまじいシャツだった。
もちろんのことへそは出ている。細い胴回りを隠すものはなく。後ろから見れば小さな背中が良く見える。そして極めつけはスカート。かなり短く、太ももがその「膨らみ始め」る場所から出ている。ただニーソックスをはいているので膝の下からは見えない。
横の席にかけている白い上着も裾がぐるぐると丸まっており、それを羽織っても奇抜さが輪をかけて強調されるだけだろう。
だが少女は特に気にすることもなく幸せそうにドーナツを食べる。そのきらきら目を光らせながら、肩を揺らす。口元は緩み、もぐもぐと動く。
「おいしそうだね。メリーさん」
「わっ!……なんだ、ユイじゃない」
メリーと呼ばれた少女の横に学校の制服を着た女の子が座った。夏服なのか水色のラインが入ったそれはとても清涼感がある。
彼女の名前は光凪 由衣という高校生だ。屈託のない笑顔とぱっつんに切った前髪が印象的にみえる。メリーは手元の袋をごそごそと手で探り中からドーナツを取り出す。そして由衣に差し出した。
少し動作が緩慢なのと由衣を見るのではなく、由衣に出した「ドーナツ」を見る目が未練を感じさせるがそれでもメリーは由衣に出して言う。
「食べる?」
声がわずかに小さく、語尾が落ちる。由衣はさすがにメリーの感情が伝わったのか、首を振って断る。ただお礼は忘れない。メリーはどこかほっとした顔を見せて、ドーナツを袋の中に収めた。
「夢路さんは?」
由衣はきょろきょろとあたりを見回してからメリーに聞く。実はここにメリーがいることは偶然でなく、由衣に呼び出されたのだ。正確には由衣が呼び出したのではないが、それはのちにわかる。
「夢路」というのは人名。本来メリーと一緒に来ているはずだった。しかしいない。
「ああ、夢路は……えっと…ほしゅー?らしいわよ」
メリーは自分が言っていることが自信なさげに言う。由衣は少し考えて「補習」だと分かった。夢路も彼女と同じく、高校生だから理解も早かった。それでも由衣は困ったような顔をしてから。
「エンギ。夢路さん補習だって」
誰に言うでもなく言う。目の前にいるメリーとは目線が違う。だがメリーはその由衣の行動を怪しむこともなく、ドーナツを口の中に入れる。一つ食べ終わったことで満足できないのか、ちらりとドーナツの入った袋を見てから、あきらめるように目を伏せた。
メリーは指についた、ドーナツのかけらを舐めてから指をテーブルに備え付けられた紙布巾で口と指をふいた。由衣はすこし上の空でぶつぶつと言った後メリーに目を向ける。
「メリーさん。エンギがそれでもいいって」
言った瞬間である。
あたりの景色が白く塗りつぶされていく。だがメリーも由衣も動じることはない。彼女達はこの現象の正体を知っていた。
世界が変わっていく。先ほどまでのドーナツ屋の景色が消え失せ、代わりに真っ黒な空が広がる。一瞬の光の後に空に満月が顔を出した。
まさに超常の現象である。世界が数秒ですべてを変えてしまった。
空に浮かぶ黄金の月が新しい世界を照らす。見渡す限りのススキが世界に満ち、月光を受けてそのたおやかな体を美しく光らせる。弱い風がススキを揺らし、黄金の波を作る。
「で、なんのよーなの?」
いつのまにかメリーの座っていた椅子も一つの大石になっていた、隣には由衣が座って、メリーと同じ方向を向いている。
その先には女性が居た。銀色の髪を、黄金の波の中でなびかせる。胸元を強調した白いでドレスを着た女性がはゆっくりとメリーたちに近づいてくる。その優雅な出で立ちはただ美しい。
「エンギ」
由衣が問いかける。銀髪の女性はエンギという名らしい。一瞬彼女は由衣に優しげに笑いかけた後、メリーに向き直る。その表情は由衣に向けたものとは一変して、まるで睨みつけているようにも見えるが、メリーが気にしていないところを見るとそれが彼女の普通の表情なのかもしれない。
エンギの背中には黒い羽があった。その羽が何本か宙を舞い、ひらひらと落ちていく。エンギの目の奥に三角形の輝きが見えた。その美しい彼女が口を開く前にクマ吉が尻を揉む。
「な、なんだ。貴様は!」
ばっと飛びのいたエンギの放った第一声。整った顔立ちを困惑に歪ませて、クマ吉を睨む。荘厳な雰囲気を一瞬で崩す、この手並み。まさにクマ吉よ。
「ち、ちがうよ。気がついたらここにいて……目の前にお尻があったのが悪いんだ。ぼくわわるっくないじょ!」
クマ吉はその言葉とは裏腹に、エンギの尻を触った手を口の中に突っ込んで舐める。エンギはさすがに呆然としたが、はっとして身構えた。
「夢魔か!」
夢魔。それは一種の魔物と言っていいだろう。我々の住む世界とは別の世界からやってきて、人の夢に巣食いやがてはその人間自体を乗っ取っていく存在。彼らは夢の中では強い力をもち、人間の力を寄せ付けないほどに危険な存在だった。
だが、全ての夢魔が危険かと言うとそうでもない。事実この「エンギ」は夢魔の一人だ。しかしその宿主である、光凪 由衣とは良好な関係を築いている。今日メリーを呼んだのも由衣ではなく彼女だった。エンギはある強大な夢魔を追い、その相談の為にここに来たのだが、まさか最強の存在を呼んでしまうとは思わなかっただろう。
夢魔は、夢の中では強い。それは自らの「世界」を持っているからに他ならない。そしてエンギの世界はここだった。つまりこの空間は「夢」の中である。ドーナツ屋がなくなったのではなく、メリーと由衣の精神がここに移動したと言ってよい。
しかしクマ吉にはそんなことはどうでもいい。なんかドーナツ屋のロッカールームに「たまたま」いたところこの世界の展開に巻き込まれた。許せなかった。「偶然」パンツが手に入ったのにと彼は怒っている。
「こ、ここはどこなの? 僕は悪いことしてないよ。その、ドアが開いていたから警備しに入っただけなんだ」
「何を言っている……」
エンギは身構えたままクマ吉に問う。意味のない行動だろう。今年の夏の自由研究用の下着を集めていたと言われて常人に理解できようか。
「……夏休みの自由研究で下着を採集していただけだよ。森(ロッカー)のなかでクワガタ(おもにパンツ)を集めていただけなんだっ」
「……????」
エンギはさっぱり理解できなかった。その横にあきれ顔のメリーが肩を並べる、少し遅れて由衣が近付く。
「なんかへんてこな奴ね」
メリーはクマ吉をじろじろと見て言う。クマ吉は体を隠すように身をかばう。メリーよりエンギがいらつく。
「……貴様。まずは名を名乗れ」
「く、クマ吉」
「クマ吉。貴様がここにいるのは何故だ」
巻き込まれただけのクマ吉にはわからない。エンギは彼を夢魔だと思っているからこその質問だった。もちろんクマ吉にはそれもわからない。
「し、しらないよ。気がついたらここにいて。……何も悪いことしてないよ」
「貴様ああ。さっき私の、そ、その、おし……触っただろうがあああ」
「ひえええええ」
赤く成りながらエンギは怒る。自分の臀部をわざわざ言わねばならない状況は初めてであった。
エンギの権幕に怯えたのか、なにか企んでいるのかクマ吉は頭を抱えて丸くなった。そのままがたがたと震える。メリーは肩を竦め、由衣はエンギのいかりを抑えるためになだめる。エンギは一度咳払いをして、クマ吉に言った。
「……まあいい。クマ吉。貴様はそう危険な夢魔ではなさそうだ……。一度を空間を解いて帰す。早く出てけ」
「むまってな、なに?」
クマ吉の言葉にエンギは驚いて由衣と顔を見合わせる。メリーも少し驚いた。
「そ、そのクマさんは。夢魔じゃないの?」
そう口を開いたのは由衣だった。クマ吉は顔を上下させる。耳が揺れる。
由衣はやさしい女の子だった。だからこんなクマに優しい。
「エンギ。このくまさんはただ巻きこまれただけなのよ、きっと。だから教えてあげよーよ。巻きこまれたってことは他の夢魔さんに襲われるかもしれないし……」
「し、しかし、由衣。とぼけているだけの可能性もある。危険だ」
そこにメリーが口をはさむ。
「それでも私とあんたがいるし……。それにとぼけいてるんなら教えても、危険なことはないんじゃない? 近寄らない限りは」
「むむむ」
エンギは難しい顔をする。だが少し迷ったあと同意した。
「ゆ、夢の中だって?」
クマ吉は驚きながら言った。由衣が数歩離れたところで膝を地面に着いている。クマ吉は正座だ。エンギにさせられていた。おかしなことをすれば「斬る」という脅しとともに。
「……だからきっと何かの間違いでクまさんは巻きこまれたんだとおもうよ」
「…………」
クマ吉は何も言わない。信じられないと言った顔のようにも見えるが、この場にいる全員が「クマ」の表情に詳しくない。彼は今説明されたことを頭の中で整理する。もちろんその答えはエロスに帰結する。帰納法の完成系ともいえるだろう。
「わかったら、ここから出て行け」
「エンギ。クマさんが怯えちゃうじゃない」
エンギは今すぐにでもクマ吉に出て行ってほしいが由衣にたしなめられて口を閉じる。それが彼女たちを淫楽の底に落とすことになるが、今は分からない。
「まあ、なんにせよとっとと出て行った方がいいわよ」
メリーもエンギと同意見らしいが多少語調が弱い。
いきなりだが明晰夢というものをご存じだろうか。普通、夢と言うものはその人の記憶の集合体に過ぎない。たとえば夢で見る建物や人の設定がちぐはぐなのに「知っている」感覚に陥るのもそのためではないだろうかともいわれる。
明晰夢と言うものはそんな夢を自分の思い通りに動かす技能のことだ。つまり夢の中で自分が「夢の中にいる」と言うことを認識しつつ、脳に指令を送って好きな映像を見るといものだ。
それをクマ吉がしてないと思うだろうか。否。全くのリスクなしにエロい感覚になれるそれをこのクマがほうっておくはずはない。クマ吉は鍛錬を重ねた。今では彼の夢の中は多種多様な淫具と触手で埋め尽くされている。
そしてここは「夢の中」らしい。であればクマ吉の結論は一つ。
「ふう!」
クマ吉が立ち上がった。エンギがむっとする。だがクマ吉は頭の中の妄想を展開する。
――なんかエロいもの!!
クマ吉の手に水鉄砲が現れた。中にはピンク色の液体が入っている。それをクマ吉は目の前にいる由衣に発射した。これがエロを求める力だ。
「ひゃあ」
驚いて由衣は身を反らす。だが相手は液体。彼女の制服にかかった。そしてかかったところから溶けていく。由衣は真っ赤になって慌てふためく。
「やっ、やった。僕は……」
「貴様!」
クマ吉が何か言う前に閃光が彼を通りすぎた。エンギの一刀。目にもとまらぬ速さでクマ吉の体が二つになり黒い霧になって消えた。エンギは剣を顕現させる能力を持つ。今彼女の手の中で輝きを放つ宝剣はその証しだ。
エンギは由衣に対する攻撃に激高しそのままクマ吉を叩き斬った。もう遅いが。
「由衣! 大丈夫か?」
「だ、大丈夫なの?」
エンギがあわてて由衣に駆け寄る。メリーも心配そうに駆け寄ってきた。由衣の肩から胸のあたりまでが解けて中にきたキャミソールとブラジャーの肩紐が見えていた。由衣は恥ずかしがりながらもクマ吉が居た方向に悲しげな眼を向ける。
「クマさん……」
「奴は……夢魔だったんだ。急に本性を現した……」
エンギはクマ吉の為というよりも由衣を労るように言った。実際クマ吉なんぞどうでもよい。
ぐふふふふふふ
どこからともなくクマ吉の声が響く。エンギ、メリー、由衣の三人は空を見上げた。美しい月がだんだんと毛が生え、耳が生えてクマ吉の顔になる。
「な、なんだ。何が起こっている!」
エンギが空に浮かんだふざけたクマ吉に叫ぶ。
ここはエンギの世界。この世界は彼女の意思を具現化した存在である。他の夢魔とはいえこの世界を塗り替えることはできない。しかし相手は夢魔などと言うなまやさしいものではない。生粋の変態クマ吉である。
夢とはつまるところ思い込みの世界だ。つまり思い込みの力の強い方に世界はなびく、いかにエンギがこの世界の創設者であり、それによるアドバンテージを受けようとも誰がクマ吉の妄想量に勝てよう。美しい家はひとたび洪水が起これば飲まれるしかない。
空の色が変わっていく。ピンク色に。
クマ吉が空でぐふふと笑い涎を垂れ流す。エンギは呆然と自らの世界が壊れていくのを見えているしかなかった。その肩を由衣が引く。
「エンギっ」
「由衣、す、すまない」
自分が呆けていたことを自覚してエンギは構える。先ほど顕現した宝剣を下段に構えて、壊れていく世界の中で由衣を守るため、精神を集中させる。クマ吉は危険な夢魔だと認識を改めた。
「メリー。今回は手を貸せ。さすがにあれは」
エンギは空のクマ吉を憎々しげににらみつつ言う。
「わけがわからない」
「まあ……ユイを守ってあげるくらいはしてあげるわ」
メリーも首を動かして伸ばす。戦闘の準備。エンギは小さく頷き由衣にささやく。
「何が起こるかわからない。私たちから離れるな」
世界が壊れて、ひびが割れる。ススキが飛び、光が飛び交う。再構築されていく。エンギとメリーは由衣をかばいつつ四方を睨む。
クマ吉は妄想を加速させる。まだだもっとと脳をフル稼働させる。
ばちばちと稲妻が走り。エンギ達の周りを突風が襲う。それでもまだ足りなかった。もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと。
閃光があたりを包む。エンギは羽で由衣をかばいながら、自らは腕で視線を保護する。メリーは帽子を下げた。
光は一瞬で収まり。エンギは顔を上げた。
「なにが、おき……」
絶句。エンギは目の前の光景が信じられなかった。由衣とメリーは遅れて驚嘆の声を上げる。それもそうだろう、彼女たちが目を開けるとその周りを
無数のクマ吉が取り囲んでいれば。
「「「「「「ふっふううう」」」」」」
謎の雄叫びを上げるクマ。1000ではたりない。一匹一匹の声は小さくともそれだけいれば地を鳴らし、空気を震わせるには十分だった。三人の女子があたりを見回すと、もぞもぞと茶色の頭部が動いている。
エンギが空を見上げるとあの気味の悪い月がなくなり、空はレース模様や水玉模様など目まぐるしくその姿を変えた。さすがにクマ吉の脳内データベースにあるパンツコレクションの模様だとはエンギでも気がつけない。
「……さっみんなかかれー」
ひょおおおという喊声を上げながらクマ吉たちはエンギ達に襲い掛かった。
「え、エンギ」
由衣が不安そうに声を出す。エンギはにやりと笑った。そしてそれに呼応するようにメリーも笑う。そこにクマ吉が突っ込んできた。
次の瞬間。無数のクマ吉が宙を舞う。そして黒い霧になって消えた。
「いいだろう。クマ吉。貴様ごときが何千、何万いようとこのエンギ・スリーピースが一匹残らず剣の錆にしてくれる」
エンギは背後に宝剣を光らせ、優雅に構える。
「さすがに多いけど、アタシはこんなところで負けるわけにはいかないのよ」
メリーは拳を握りしめて。はっと笑って見せた。そして二人は言う。
「来い!」
「きなさい!」
クマ吉の第二陣が襲い掛かった。
二つになったクマ吉が霧になる。エンギは返す刀で2,3のクマ吉を斬り飛ばす。
「はあ、はあ」
いったいいくつ切ったのかもう覚えていない。しかし切っても切ってもクマ吉はやってくる。まるで終わりがないようだった。それに倒すと「第二第三の僕が……」などとうざいことを言って消えるので腹も立つ。
「せっ」
メリーは掛け声とともにクマ吉を蹴り飛ばした。さすがに彼女も息が上がっているようだ。二人で倒したクマ吉の数は数千だろうか。良くわからないが疲労から考えるにそのくらいは倒しのではないだろうか。
由衣が居なければもう少し楽かもしれない。エンギもメリーも彼女のそばを離れるわけにはいかないのだ。
「ひゅうううううう」
奇声をあげて向かってきたクマ吉にエンギは閃光のように剣を走らせる。一瞬遅れて量産型クマ吉はたおれる。
「あんた、飛べるんでしょ……はあ、はあ。そら見てきなさいよ」
メリーがエンギに近付いて行った。確かにエンギは空を飛べる。エンギは疲れで言葉の足らないメリーの意思を読み取った。それは二つ。逃走路の確認とそもそもクマ吉の数の確認である。
「由衣を頼むぞ」
「わかっているわよ」
メリーはこくりと頷く。声を出すのも億劫らしい。エンギは自分の腕の「重さ」からメリーの疲労を推し量る。由衣はそんな二人におろおろとしながら、あやまる。
「ごめんね、二人とも私が……」
「違う。由衣。戦うのは元々がわたしたちの仕事だ」
エンギは口元を緩めて由衣に言う。やはり由衣には少し甘いらしい。エンギは羽を広げて空へ飛び立つ。その瞬間さらなるクマ吉たちがメリーに襲い掛かった。寸秒で蹴散らされる。
エンギは体から力が抜けていくことが分かった。目の前の光景を信じたくはなかった。まさかここまでとは思わなかったのだ。
まさか地平線の果てまでクマ吉に覆われているとは。
「は、はは」
乾いた笑いがこみあげてくる。自分たちのいる点から見渡す限りにクマっ吉である。もうクマ吉しかいない。その数は千や万では足りない。億はいるだろう。もぞもぞとうごめく茶色の集団がこちらへむかって来るのが良く見えた。いや集団と言うよりも津波と言った方がいいだろうか、それすらもスケールに合っていない。
エンギの剣技が一振一殺であったとしても。手がちぎれてるまで戦っても足るまい。エンギはここにきて敗北しかないことを思い知らされた。そもそも夢想の世界で変態と言う名の紳士に勝つこと自体が無謀なのだ。
無限のクマ吉が眼下にある。エンギはゆっくり高度を下ろしていった。
「逃げられそうなの?」
メリーは降りてきたエンギに聞いた。エンギは答えず、心の中で返答する。無理だろう。どこに行ってクマ吉だらけである。いかに彼が弱くとも原子爆弾を使っても殲滅不可能な数ともなれば、彼女たちが太刀打ちなどできない。
そもそもこの世界でクマ吉に勝てるものがいるのだろうか。「灯台」の異名をもつ夢魔とてここにくればケツを掘られて終わりである。「灯台」は炎を扱う無双の強者だが変態界には「君の中、とってもあったかいなりぃー」という有名な言葉がある。
「エンギ?」
由衣はエンギに心配そうに声をかけた。エンギはその顔を見ることができそうになった。由衣だけでも逃がしてやりたいが策は思いつかない。
クマ吉たちも今は遠巻きに彼女たちを包囲している。
「……だ」
「えっ?」
エンギは小さく呟いた。無理だということを彼女は一番知っている。しかしそれをメリーや由衣に説明すればもうどうしようもないことが確定してしまいそうで怖かった。何かないのかと絶望しつつもエンギは考えた。
クマ吉は手をつなぐ。円の形をエンギ達三人を取り囲んで作る。そのままぐるぐるとまわりだした。
「なにこのうごき!」
メリーはいきなりの奇行に構える。エンギは驚きつつも構えない。クマ吉たちは口々に何かを唱えながら、周りを回る。
「「ひっひっふうううう」」
どこかで聞いたことのある掛け声を繰り返すクマ吉たち。しかし近寄ってくる気配はない。由衣は破れた制服を手でかばいながら、不安そう顔をしかめた。
エンギはその顔をみてやっと気が付く。自分が諦めればそれですべてが終わるということに。確かにクマ吉たちは膨大である。殲滅しようとすれ敗北は必至だろう。しかしこの空間にも弱点の一つや二つあるかもしれない。
エンギは気を持ち直す。絶対に由衣を守りぬくと心に誓い。宝剣を構えた。
――エロい気持ちになるんだ。
頭に変な言葉が響く。エンギはこめかみを抑えてふらつく。
「なんだ……?」
妙に体が熱い。エンギは疲れたからではなく、だんだんと息が乱れてくることを感じた。それは由衣もメリーも同じらしい。二人は膝に手をついて息を荒く漏らす。そのまわりをクマ吉たちがいつの間にか手を離して、反復横跳びで回り始める。距離として10メートル前後。それ以上は一匹も近寄ってこない。
「え、えんぎぃ。な、なんかおかしいよぉ」
由衣は火照った顔をエンギに向ける。目じりの下がった彼女の顔と熱のこもった声が十分に色を出していた。エンギはその顔にはっと周りのクマ吉たちに目を向ける。
「なにか……されているのか!」
エンギは宝剣を握りしめて、一足飛びに彼らに切りつけようとする。
――エロい気持ちになるんだっ
「ぐっ」
また頭になぞの声が響いた。まあ、なぞと言うかクマ吉しかいないのだけど。エンギは行動をキャンセルされた。そしてふらふらと体を揺らす。その後ろで由衣が膝をついた。
「由衣!」
由衣はエンギの声が聞こえないように答えず。虚ろな目を虚空に向ける。それは何かを紛らわせようとしているようにも見える。破けた制服の間から見える鎖骨が息をするたびに動く。白のキャミソールが小さく揺れるのは中にあるふくらみが動いているのだろう。
「メリー」
エンギはあわててメリーに声をかけた。ここで彼女に倒れればますます勝目がなくなる。メリーは膝をがくがくと揺らしながら、身を折るようにしてかろうじて立っていた。
「な、なによ」
弱々しい声で返答するメリー。頬が由衣と同じように赤くなっている。エンギはぎりと奥歯を噛み締めて、現在の状況が良くないということを認識する。それにエンギ自身、先ほどから、
下半身がむずむずする。
「んっ……」
メリーの膝が揺れた。ニーソックスが緩んで片足の膝が出る。細い腿が震えていた。エンギは宝剣を握りしめて、前を睨む。クマ吉たちが動き回っている。確証はないが確信はある。絶対あれが悪い。
そう思ってエンギが一歩踏みだそうとした時、それは来た。
「……ぁ……」
小さく呻いてエンギが膝をつく。手から離れた剣がからんと音をたてて転がる。彼女はお腹を押さえるようにして身を屈める。下半身が熱い。スカートの中で腿が内側に揺れる。
「…な……た」
声すら紡げない。力を抜けば崩れてしまいそうだ。エンギは真っ赤になって歯を食いしばった。
「した、ばらが」
下腹と彼女は隠すが、その実それより下が疼く。中が疼く。ぴくぴくと自分のそれが動いていることがエンギにはわかった。
エンギが振り向くと、由衣もメリーもエンギ同様になにかに耐えるようにしている。エンギはあえぎながら回るクマ吉たちを睨んだ。目元にうっすら涙が溜まっているのはなぜだろう。
この世界はクマ吉の世界である。だからここにいるものは彼の影響を受ける。ならば億万の「彼」が、エンギ達がエロい気持ちになりますようにと願ったらどうなるだろう。
周りを取り囲んでいるクマ吉たちが動きを止めて、手を合わせる。願いを想う。
――エッチな感覚になりますように。でも僕が言っているんじゃないんだ、これは自然の摂理であってべつにいやらしい気持ちなんてこれっぽっちもないよ。
願いの中でも言い訳を忘れぬ気構え。一見あほらしく。実質あほらしいが、効果はてきめんだった。これにより二人の強者が膝をついたのだから。
「……くぅ……」
エンギが頭を振る。――が触りたくて仕方がない。しかしそんな無様な姿を由衣に見せたくはない、クマ吉に見られるとなるとなおさらだ。なんとか強靭な精神力で耐える。
だがそれはエンギだから耐えられることだった。特にただの女子高生に耐えられることではない。メリーはぐったりと地に倒れる。もちろん気絶したわけではない
由衣は自分の制服の破れたところからキャミソールへ手を入れる。何をやっているのか良くわからない。それでもそうしたい。彼女ははあはあとあえぎながら、中に着たブラジャーを指で押しのけて、小さなふくらみを揉み始めた。
「ぃぃ……」
由衣の体が跳ねる。気持ちがいい。彼女はさらに力を入れて自分の胸を揉み続ける。痛いと気持ちのいいことの境を彼女は良くわかっている。なんといっても自分の体だからだ。
いつもはおどけた由衣の顔が艶に崩れる。胸を揉むたびに快感が奔る。ダメだと頭のどこかで聞こえるけれど、手が止まらない。キャミソールが手の輪郭を帯びて動く。
自分の胸がこんなに柔らかいものだったと由衣は初めて知った。試しに先っぽををさわってみる。
「ん……」
由衣は目を閉じてうなった。ここは気持ちがいい。もっと、したい。
エンギはそんな由衣の異常に気がついた。
「由衣……」
弱い声を出しながら由衣に近寄るとするエンギ。だが彼女自身も余裕がない。もぞもぞと膝を擦りながら彼女に身を寄せる。
「だ、だめだ。由衣。そ、そんなことしたら」
言葉が途切れる。しかし何がダメなのかがうまく説明できない。心のそこでエンギ自身もそれを望んでいるからだろうか。由衣はエンギの顔を見て言う。悲しげにも嬉しげにも見える。
「わっかってるよ……えんぎぃ……で、も。でも」
由衣は自分の胸を強く揉む。気持ちがいい。
「と、とまらないよぉ……」
由衣がエンギの肩に手をかけた。すがるように。しかしエンギは人に触られてぞくぞくと身を震わせる。それに由衣の姿がとてもうらやま……いけない。
「と、にかく。由衣手を抜くんだ」
エンギは由衣を胸から離させようとして、引く。だが由衣も自分を弄るのをやめない。
「おねがい……だからぁ……」
普段の彼女からは想像もできない口調でエンギは由衣に頼む。さすがに由衣は小さく頷いて、なんとか手を離そうとする。しかしそこはクマ吉。そうはいかん。いつのまにか体操座りになっていたクマ吉たちが一斉に念じ始める。これまで私語せずに観察していたのはマナーだ。
――ふっふうう
「はぅ」
由衣の目が開いた。それから口がだらしなく開いて、一筋の線がそこからおちる。エンギは急に由衣の表情が変わったことに驚きつつも、クマ吉のせいだと悟り後ろを振り返る。悔しげにクマ吉の(群れ)を睨む彼女の顔は赤く、迫力に欠ける。
由衣はエンギにかけていた手を引き戻して。自分の腿に置いた。そしてそのままスカートの中に入れる。少し焦りながら、中のパンツをずらしてその中に指を入れた。自分の秘所を軽く指で触ると、肩が震えた。
「…………」
由衣はごくりと唾をのむ。さすがに良くない気もするがどうしても「いれたい」。もう片方の手は自分の胸に戻って、優しく自分を揉んでいる。由衣はだんだんと全てがどうでもよくなっていく。
指を「中に」入れてみる。
「……ぅん……」
指を動かす。そのたびに腿が動く、気持ち良くてこれだけをしたくなる。由衣はさらに奥へ、自分の奥へ自分の指を入れてみる。
「ひっ……」
すりすりと指が勝手に動く。どこが気持ちいいかというのは自分が一番知っている。じん割と湿りが指に伝わる。なんでこんなにあったかいのかなと愚にもつかぬ思考を由衣はする。
エンギは由衣の異変に気が付いた。彼女の肩をもってむりやりやめさせようとする。だが由衣は「やだ、やだぁ」と抵抗する。エンギは「しっかりしろ」と声をかけるが止まらない。
「きも……ちいい……よぉ」
由衣の幼い顔が淫に傾く。エンギは由衣に力を入れて強制させることもできず、目の前で彼女が自分で自分を犯すのを見せられた。由衣はエンギが離れると秘所を嬲る指を増やして、その壁を擦る。
「ここ……」
はあはあと言いながら由衣は身を震わせる。エンギはその姿が気持ちよさそうで、ごくりと息をのんだ。そしてはっと我に返る。
(今、なにを考えていた)
エンギは自分の中に芽生えた感情を否定する。だが目の前で由衣が自分の胸を、秘部を気持ちよさげに弄っているのをみると、その感情が膨れそうになる。彼女は由衣から目を逸らした。
「それ……きもち……いいの?」
エンギは声のした方向に目を向けた。見るとメリーが地にうずくまったまま、由衣のことを見ている。
「や、やめろっ」
エンギは声を出すが。メリーはエンギを見ていない。由衣はうんとわずかにうなずく。メリーの手が動いた。彼女の着た黒いシャツの中に入っていく。
「ひっ……」
口を開けてメリーは悲鳴のような声を上げる。だが次の瞬間に見せた彼女の表情が全てを物語っていた。メリーは小さく歯を見せて、目じりを下げる。顔が赤い分、気持ち良さそうに見えた。
メリーの胸は小さい。揉むというよりもつまむ程度である。だからつまむ。先っぽの硬い部分から、その元まで手のひらでメリーは擦り、さする。
「……き、きもち……ぅ」
メリーはこんなことしたことがない。興味すらなかった。彼女は人間ではなかったからだが、人間並みに性感はあるらしいことを知った。
肉のうっすらとついた胸を両手で揉むメリー。いつの間にかお尻が浮き上がり、シャツがめくれて中が見える。ピンクの突起が時折メリーの手の間から見えた。メリーはそれでも気にすることなく、淫行を続ける。
「やめろ……由衣、めりー……」
一人残ったエンギは地に手をついて言うが、無駄だった。二人は手を己の体に這わせて、気持ちいい場所にもぐりこませる。エンギはがくがくと揺れる、膝で立とうとした。何とか宝剣を握り、クマ吉を斬ろうというのだ。それしか方法はなかった。
それに呼応するようにクマ吉たちが一斉に立ち上がった。ひゅうと口笛を吹くものもいる。うっとうしいこと限りない。
クマ吉たちは念じる、エンギ達を囲んだ円を狭めながら。最後に残ったエンギの精神をピンク色に染めていく。
「あっ……あっ」
エンギは唸る。何とか立ち上がった体がふらふらと動く。胸がぴくぴくとと動く。見えないが彼女のスカートの中が濡れる。それに反応するようにエンギの指が動いた。
由衣たちのように。エンギの脳で不穏な思考が回転する。目の前が揺れる。今すぐに倒れて、指で体を苛めてやりたい。嬲りたい。触りたい。弄りたい。
一層クマ吉は強く念じた。
「あっあああああぁあ」
エンギが膝を折る。いつの間にか流れ出た涙が彼女の頬を伝う。だが表情は笑っているのか悲しんでいるのかわからない。それはさっきに由衣の様だった。エンギは一度由衣を見た。スカートの中で手を動かして、胸を揉む少女。エンギはそれを見て「他の人間もやっている」という免罪符にする。心が堕ちていく。
エンギに手が動いた。他の二人に比べれば豊満な胸部へ動いていく。はあはあと息が荒れる。それしかエンギには考えることができない。もう少しで触れるというところでその手をクマ吉がとる。
呆然と顔を上げるエンギに手を取ったクマ吉が言う。
「だめだよ。そんなことをしたらいけない」
いけしゃあしゃあとのたまうクマ吉。いつの間にエンギの後ろに回ったクマ吉がもう一方の手を取る。これでエンギは自分の体に触れない。
「な……なにお……ん」
エンギは絶望的な表情でクマ吉を見る。良く見たら彼女を捉えているクマ吉二匹以外は後ろで念じることを続けている。つまり、
エンギの性欲は大きくなっていくのに、彼女は自分に体を触れない。
「はなせぇ……」
エンギは弱々しい力で拘束を抜け出ようとする。クマ吉を弾き飛ばすのはわけないはずだが頭が混乱していて、適切な行動がとれない。いやクマ吉が拘束をといたとしても今の彼女が「したいこと」は適切な行動とは程遠いだろう。
クマ吉達が念じる。もっとエロい気持ちになりますように。
エンギの胸が揺れる。彼女が離れようと身を動かしたからだ。それでも彼女は願いをかなえることができない。スカートの中で腿の間を暖かい愛液がねっとりと流れ落ちていく。
エンギに指が動く。いつの間にか彼女を拘束しているクマ吉二匹は彼女の腕を一直線上に引く。胸が張り、エンギに体のラインがドレスに浮かび上がる。それでも彼女は自分の欲望へ進めない。
そのエンギにクマ吉は集中して念を送り込む。どんどん体の疼きが広がっていくが、エンギはびくびくと動くだけでそれを解消することができない。口から涎が垂れて、だらしなさげ舌が出そうになる。
エンギは朦朧とする意識の中で、由衣とメリーの姿を捉えた。気持ち良さそうに身を触る彼女たちをエンギはうらやましくてしかたがない。
「……なぜ……わたしだけぇ」
エンギはその柔らかそうな唇を動かして、先に淫行にふける者たちへの妬みを口にした。クマ吉たちは同時に笑う。彼らは一人で全であり、全は一人なのだ。社会的集団としてこれ以上の存在もあるまい。目的を除けば。
「えっ?」
「っ?」
由衣とメリーの手が取られて、エンギと同じように拘束される。二匹ずつクマ吉がついたのだ。ここに完全に全員が捕えられたのだが、いまさら彼女たちにはどうでもよかった。
「は……はなして」
由衣は抗議の声を上げる。まだ、したい。クマ吉はぐふふと笑いつつ、彼女達にも念を送り込む。由衣のむき出しになったキャミソールの中で胸が動く。高校生らしいつつましやかなものだが、形がよかった。
逆にメリーは首元まで一度下がったシャツがめくれたままでその小さなふくらみが見えていた。だがその大切なところ見えないようにクマ吉その手をかざした。何の意味があるのかは分からないがとりあえず隠す。
由衣の体がびくびくと痙攣する。口が開いて、赤い顔がどこかを見る。メリーも同様に舌を出して、涎を垂らす。クマ吉たちはよがる彼女達の周りに順番に座り、体操座りで見学する。ぴんとのびた背筋が美しい。
「あ……ぅ」
由衣が唸る。彼女はエンギと違って制服のスカートを着ていた。だから膝のあたりから、肌が見えている。ゆえにエンギの時に見えなかった愛液が流れるのが見えた。ゆっくりと落ちて地面にほんのわずかな水たまりを作る。
メリーも同様だった。いや、彼女の場合はミニスカートだったから腿を流れていくそれが、ニーソックスに吸収されていくまでが良く見えた。彼女の体は無駄なものがついていない上に露出が高いので、おへそが良く動く。
クマ吉は念を送る。
――気持ち良くなりたいかい、ぐふふ
力がほしいか。みたいに聞くクマ吉。ちなみにエンギには送っていない。
由衣とメリーは力なく頷く。声を出すこともできない。
――代償(パンツ)をもらうけど、いいの?
えらく安い代償を請求するクマ吉。だがこれにも二人は同意する。彼女たちを囲んでいたクマ吉の中から二匹進み出た。そしてそれぞれ由衣とメリーの前で膝をつく。
まずは由衣。スカートの中に手を入れたクマ吉は、やわらかな感触を確かめるとパンツの端を持って、「上へ」動かす。「きゅう」と由衣がうめいた。中では筋が出ているはずだが、見えない。
「わ、わざとじゃないよ」
と意味の分からないことを言いながらクマ吉はゆっくりと下へパンツをさげはじめた。ゆっくりと腿を抜けて、青い水玉模様のパンツがするすると降りてくる。クマ吉は真剣な表情でそれを脱がしていき、膝まで下ろす。
ところでなんで彼がドーナツ屋さんに居たか覚えているだろうか。彼は夏休みの自由研究用の女性用下着を集めていたのだ。今、もう一枚。少しして二枚手に入る。強力な夢魔のパンツを標本にして学校に提出した帰りには、送迎の車がくるだろう。
「ふう」
クマ吉は絶妙な角度で由衣からパンツを脱がした。途中膝を立てなければいけなかったが、なんとか中を見せずに済んだ。職人の技である。
クマ吉は湿ったパンツを握りしめて、ポケットに入れる。次はメリーの番だった。
メリーのスカートの中に手を入れるクマ吉。そしてやわらかな場所を確認してからパンツの端を掴み、「上へ」上げる。メリーが声を上げた。
「わ、わざとじゃないよ」
清々しいまでに嘘を吐くクマ吉。そのまま下へ下ろす。
「ばっバックプリントだと……!」
クマ吉はごくと唾をのむ。メリーは穿いていたのは明らかに子供用のもの。布でできた生地になにかのアニメのバックプリントが施してある。
「レア・カード」
カードではないがクマ吉の言うとおりレアではあろう。実は彼女の穿いているものは友人からもらったおさがりではあるが。そう考えると、これを上げた人間も哀れである。知らないところで標本にされて学校に提出されるのだから。あと多分新聞にも載る。
クマ吉は二人の下着を脱がし終えると。いやらしい笑いを向けた、エンギは遠くでよがっているだけだ。クマ吉達が一斉に立ち上げる。由衣とメリーに近寄り始めた。そして二人に襲いかかった。抵抗する力も意思ももはやなかった。
一匹のクマ吉がメリーのお腹を舐めた。
「ぐっ」
息が漏れる。メリーは身を反らすとして別のクマ吉に止められる。メリーの元にクマ吉達が集まっていく。そして思い思いに彼女の体を舐め始める。足の先から靴がとられて、指の先がクマ吉の口に咥えられる。
メリーの未発達の胸がぺろりと先っぽから舐められた。「ぅぅ…」とメリーは漏らすが一度では終わらない。もう一度、もう一度とざらざらした舌が彼女の敏感な部分を舐める。
いつのまにかメリーは腋に手を入れられて上腕で拘束されていた。そのわきの両方をクマ吉が舐める。すべすべの肌をいやらしい舌が這う。ぴちゃぴちゃという音が体中からなる。
胸が揉まれた。
「あっ!」
メリーは体を弓なりに動かして反応する。メリーが見ると彼女の平らな胸はつまむように指で揉まれている。メリーにわかりやすいように乳首を捏ねながら、ゆっくりと。
「あぁぁあああああ」
人にやってもらうのがこんなに気持ちいのだろうか。さっきまで自分でやっていたことが馬鹿みたいだった。メリーは抵抗することもなく、全てをゆだねた。その腰からスカートが下されていく。
腰骨を過ぎてスカートが何も守るもののない秘部を過ぎる。小さな割れ目が、うっすらと開いている。中のピンク色が彼女自身の愛液に光る。さらに胸を揉まれるたびに、そこからとろりと何かが漏れる。
「ここに指をいれるときもちいよ」
「!……はやくやって」
クマ吉はわざとらしくメリーの太ももから指を這わせて、彼女の割れ目へスライドさせる。それすらもぞくぞくとした快感があった。
お尻を舐められる。
「みゅ」
変な声をメリーが出して動く。手は抑えられているから、それだけしかできない。それに合わせてメリーの秘所にクマ吉の手が入った。中で動く。メリーのびくんと痙攣する。
しっかり自分で感じさせていた場所である。それを拘束された状態で他熊に触られれば、快感が奔るのはとうぜんだろう。
「~~~!!」
メリーが喜びの声を上げた。
「これがおちんちんだよ。しゃぶってよ」
由衣が見たはじめての男性器が其処にあった。由衣に群がるクマ吉達は一斉にズボンを脱いで由衣に迫る。その肉棒はどくどくと脈打ち、目の前でみると大きい。
「しゃぶる……?」
由衣には意味が分からなかった。いきなり男性器を露出させられたところで分かる筈もない。クマ吉は言う。
「さっ口の中に入れてぺろぺろするんだ。アイスみたいにっ!」
由衣はやっと意味が分かったらしいがそれがどんな必要性を持っているのかがわからない。ただ気持ち良くなりたいだけなのに、なんでそんなことをしなければならないか。
メリーの気持ちよさそうな声が響く。
「あの子みたいになりたいなら、はやくっ。持たない」
何がもたないのかクマ吉は興奮しながら言う。由衣の「必要性」が満たされる。
由衣はその小さな口を開けて、クマ吉の肉棒の先っぽだけを口に入れる。
はぐはぐとアイスを舐めるみたいに舌を亀頭に這わせていく。全部入れないのは経験がないからだが、先だけをふくむのもクマ吉的にはよかった。
クマ吉は「おうふ」と謎の声を出して。気持ちさげに涎を出す。
由衣は口の中でなにかが広がっていくのを感じた。ねっとりとした液体が喉を通っていく。
「?」
口の中で肉棒がへなる。由衣は一度口を外して、わけもわからず口の周りを舐めた。
「ふふ、おいしい。っていってよ」
「?? ふふ。おいし」
由衣はおうむ返しにクマ吉の言葉を返す。次のクマ吉が彼女にとびかかった。
「ふう!」
由衣の喉の奥へ棒を突っ込むクマ吉。ぐっぐっとピストン運動を繰り返す。由衣はわけがわからなかった。しかし、いつの間にか片手が自分の秘所に触れて、そこを刺激し始める。犯されながら、自分を犯す。由衣は手を動かす。
メリーのシャツが脱がされた。その両胸にクマ吉が吸いつく。豆のような乳首を吸いだそうと舌をからめながら、唾液を流しながら吸う。
「つ、つよく」
メリーは求める。クマ吉の頭を抱いて自分の幼い胸に押し付ける。ただもっと強くしてほしい。もっと自分の体を気持ちよくしてほしい。クマ吉はその乳首を歯で噛んだ。
「あん」
メリーは身を折る。今のはよかった。
「も、もういっかい……かんで」
噛む。メリーは気持ちよさそうに声を上げる。クマ吉はメリーの胸に吸いついたまま。ズボンを下ろした。メリーには見えないがその股倉に巨大な棒が立っている。
「き持ちよくしてあげるよ。ぐふふ」
メリーに吸いついたクマ吉が言う。メリーが八重歯を見せて、何か言おうとした瞬間。肉棒が彼女を刺し貫いた。小さな割れ目が目いっぱい開かれ、濡れた膣を刺激する。そのまま子宮をつく。
「あまっ!! な」
メリーは意味の分からない声をまただす。下半身に、ただトイレのために使うだけの穴がその本来に意味を彼女に教える。
クマ吉が動く。激しく引き、やさしく突く。絶妙な力加減。メリーは痛みも感じることもなく、中が擦られるたびに頭の中まで刺激されている気分になる。
「す、すぎいいい!」
好きといったのかなんといったのか。メリーは涙を流しながら自らも腰を動かす。顔はこれ以上ないほどに嬉しそうだ。その間も胸を吸われる。クマ吉が吸う。ちなみに好きというのは行為自体への言葉であって、クマ吉のことではない。
ぐちゅぐちゅと音をたてて、クマとメリーが絡み合う。メリーの細い体から暖かい体温がクマ吉に伝わってくる。それを受けてさらにクマ吉は勢いを増す。
引く。入れる。そのたびにメリーは唸る。幼い体から愛液を出して、汗を額に張り付けて、嬌声を上げる。
「ひゅうううう」
クマ吉は最後の力で彼女を突きあげた。メリーの子宮を温かな精液が満たしていく。快感が体中を駆けめぐる。
「ふう、ふう」
クマ吉はそう言いながら離れた。この変態熊がこうも簡単に離れるのには意味がある。肉棒を抜くときにまたメリーの膣を擦って彼女は身をびくりと動かした。
次にクマ吉がメリーに覆いかぶさった。休むこともなく、新しい肉棒がメリーに挿入される。
「もっ、もっと。するの」
メリーは息を途切れさせながら腰を振る。
クマ吉(別の)は由衣に襲い掛かった。というか今まで何度も彼女に舐めさせていた肉棒が彼女を求めたと言った方がいい。
「あっ」
由衣は驚きの声を上げる。後ろからクマ吉に組み付かれて、そのキャミソールの中に手がもぐりこんだ。由衣の口からねっとりとした液体が流れている。
ブラジャーをキャミソールの下で押し上げるクマ吉。せっかく制服を着ているのに脱がすなど言語道断。クマ吉は彼女の体をまさぐる。由衣のキャミソールのなかでクマ吉の獣の手が動く。無駄に毛が付いているので、いちいち当たって気持ちがいい。
乳首を毛で刺すクマ吉。見えてないのに、寸分たがわずにそれを行うのは絶人の域に達している。由衣は「やっ」と顔をそらす。
クマ吉はそれでも容赦なく。メリーよりも多少は大きい胸を手のひらで揉みしだく。そのたびに由衣は体をもぞもぞとうごかす。声を上げないように耐えているのは、今まで培った常識からの反射だろう。
クマ吉が由衣の首筋を舐める。
「ィぃぃ……」
背筋に電流が奔ったように、由衣は身をうごかす。
「ここが好きなんだね」
クマ吉の声がする。由衣はうんと頷いた。だから舐められた、もう一度同じ場所を。
「ぐふふふ」
クマ吉は気味の悪い声で笑いつつ、由衣を押す。すると由衣の体勢が四つん這いになった。パンツは穿いていないので、スカートの裾からお尻が少しだけ見える。もう一匹のクマ吉が由衣の前に立った。
「??」
由衣は困惑するが、そのクマ吉がズボンを脱いで。
「しゃぶってください」
と頼んだので、何をすればよいのかよくわかった。由衣は舌を伸ばして目の前の肉棒を咥える。そしてさっきのようにアイスのように舐め始めた。
さっきと違うのは、その体に覆いかぶさるようにしてさっきまで胸を揉んでいたクマ吉がついて、スカートの間から、股の間へ肉棒を挿入したことだろう。
「!!」
由衣は言葉が出せない。口がふさがれている。
その間に彼女の恥部にクマ吉の大きな「男」が侵入する。小さく粘液が絡まる音を出してクマ吉と由衣は一つになる。
由衣はいきなりのことと、あまりの刺激に四つん這いになった手足ががくがくと震えた。さっきまで力が入っていたのに、下の口に挿入された途端に一瞬思考が空白なって、元に戻らない。
由衣はわけもわからず、クマ吉アイスを舐める。そうしている間に後ろのクマ吉が彼女の腰を持ってぐっと突き入れた。
「っ??」
なにか喉の奥で由衣は叫ぶ。クマ吉の肉棒を咥える口に隙間から涎がたれていく。ずんずんとクマ吉が彼女の膣を犯す。メリーよりも成長しているからか、彼女よりもはげしくする。
といっても由衣委にとっては初の体験。もちろん敏感な中身が全力で由衣の脳に快楽を送る。その間にもクマ吉は突く。さらに前からも突く。口と下を同時にやられて由衣の顔がきもちよさげになる。考えての行動ではあるまい。純粋に感じたことをそのまま表現している。
クマ吉は馬のように由衣の後ろからピストン運動を繰り返した。時にそのお尻を叩いたりするが、自分でもなんでそうするのかわからなかった。
ウマ吉、いやクマ吉は由衣の後ろから腕を回して彼女の胸を揉み始める。キャミソールと中のブラジャーを首筋まで上げて。空気に二つの柔らかいふくらみをさらしながら揉む。
揉んで、突く。さらに前からも追撃を行う。
由衣は後ろから突かれ、前からのまされ、胸を揉まれて今何が起こっているのかわからない。ただ快楽に身を落としていく。
「いくよおお」
声が由衣に届いてから、彼女の中に熱いものが流れ込んでくる。
由衣とメリーはかわるがわるに、クマ吉と遊んだ。その体には白い液体が流れ。クマ吉がそれをなめる。自分のものなのだがそれはいいのだろうか。もしかしたら彼も混乱しているのかもしれない。
メリーの口に肉棒が入った。由衣から棒が抜かれて正常位で挿入される。体勢が逆転したがクマ吉達はまだまだいる。億くらい。
エンギは火照った体をどうしようもなく。自分の目の前で喜びながら変態の餌食になる者たちを見ていた。彼女はそれを救いたいなどとは考えていない、たた
「わたしも……してくれぇ……」
手を抑えるクマ吉に懇願する。そのクマ吉はにやりとわらってから手を離した。エンギはやっとこれでと考えるが、まってもクマ吉達は襲ってこない。
「……ん……?」
エンギが顔を上げるとクマ吉達はただ見てるだけだ。
「な、なんなんだ……」
「自分で脱ぐんだ! スカートから」
エンギは少し恥ずかしげにしながらも、そのスカートに手をかけた。そしてベルトを取ってするすると脱ぐ。彼女の赤い顔が色っぽい。
スカートは落ちて、中から黒のレースのパンツが現れた。量産型クマ吉達は口笛を鳴らす。しかしここでかかっては紳士ではない。無理やりではいけない。由衣とメリーにも断ったではないか。
「さあ、それも脱ぐんだ」
エンギはびくと体を震わせる。小さくなった羞恥心が反応したのだ。一度由衣たちを見る。そこには楽しそうに声をあげる姿があった。
(別に……わるいことでは)
心に言い訳しながらエンギはパンツの中に指をかける。そしてすーと下ろしていく。まだ恥ずかしいのか現れた肌を腿で隠すしぐさをしながらではあるが。くるぶしから履物と一緒にパンツを脱ぐ。
クマ吉はエンギの腿を黒い布が通り、膝から足へ抜かれていくのを観察しながら、股間の猛りを抑えた。これからが重要だった。
エンギは往生際が悪く、大切なところが見えないようにパンツを脱ぐ。つまりドレスの裾を引っ張って隠しながらということだ。しかしドレスの裾から見えるのが白い太ももの付け根と言うのはただ下半身を露出させるよりもへんたいちっ……紳士的である。
クマ吉は一歩前に出て、手を伸ばした。もちろんエンギの周りには多くのクマ吉がいる。エンギは裾を抑えながら脱いだパンツをクマ吉に渡す。渡すときに目を伏せて恥じらいを見せる。彼女の精神はまだ堕ちてはいないらしい。
クマ吉達はその彼女に飛びかかった。エンギは一抹の不安と、期待がないまぜになった感情でそれをみる。しかしクマ吉達の行動は彼女の想像を超えていく。
エンギは両手を抑えられて万歳の格好で倒れた。今からなにが起こるのかは由衣たちを見ていた彼女にはわかる。だが怖い。エンギは少女のように目を閉じた。
腋が舐められる。
「ひっ」
エンギはびっくりした。胸でも下半身でもなく。ノースリーブのドレスから出た彼女の腋への集中攻撃である。
「……く、くすぐっ……ん……やめ」
笑いを抑えながらエンギは身をよじる。裾がめくれて局部が見えないようにする程度に気を付けながら。
舌がエンギに腋を滑る。べとべとになった彼女のそこを上から舐められる。さらにクマ吉はエンギの腰回りを持ってくすぐり始めた。
「あ、いや。はは、はやめて。やめっ」
エンギは笑いながら、クマ吉に抵抗した。ちらりらとドレスの裾がめくれる。それでもエンギは笑う。クマ吉は彼女の足に裏を舐め始めた。
「ははははははははやめ。ほんとう。やめ」
やめない。クマ吉はくすぐる。
「ははははは、なんでもす、する、やめてくて」
エンギの豊満な胸が揺れる。彼女が体を動かすたびに動くのだ。そもそもこのドレス自体がぴっちりとエンギに体に張り付いており、彼女のボディラインを余すところなく強調している。本人にはそんな気はあるまいが。
クマ吉は頃合いを見てドレスの裾をめくった。エンギは体をびくりと揺らしながらも、腋をなめられることにたえる。
白い肢体。由衣やメリーとは違う成長した肉づきのいい腿を、手つかずの割れ目が開いている。ミスマッチとみるか、ギャップと見るかは人それぞれであろう。クマ吉的には後者だ。
クマ吉は由衣の時のように、腿に指を這わせて登っていく。しかしあるところで曲がった。
「おっい。まて」
エンギは唸る。変なところに感触がある。クマ吉は指をエンギの前のあなのそばを通って後ろの穴のそばへ持っていく。そしていやいやと首を振るエンギをちらりと見てから、ちらりと見る。
無為なフェイントをかけてクマ吉は穴の中へ指を入れた。
「な、なんで」
エンギが苦しげにいう。刺激された下半身が腿を閉じる。だがもうクマ吉の指は中に入っていた。ぐりぐりと狭いそれの中で指を動かす。エンギは未知の感覚に歯を食いしばって耐えた。
腋を舐められる。
「やぁ……」
かわいらい声をエンギは出した。彼女はなぜ自分のお尻のその――が指で弄られるのかがわからない。しかしクマ吉的には意味があった。彼は良くなじませるように指を動かし、穴の大きさを広げていく。
クマ吉はぴくぴく動くアナルに満足しつつ、次の段階に入った。クマ吉は念じる。
――ドレスがローションになーれ。
クマ吉の変な願いを聞き届ける世界でエンギは体が軽くなる。違和感を感じて、エンギが身をよじるとどろりとドレスが溶けはじめた。それだけではない、これはローションになったドレスだ。つまりその上からクマ吉が胸を揉もうものなら。
ばっと躍り上がりエンギに馬乗りになったクマ吉が彼女の胸を揉む。両腕は拘束されている。
「っぃぃぃあああああああああ!」
エンギは目を見開いて暴れる。いつの間にか彼女のドレスは透明な液体になって彼女の体をしっとりとしたたる。エンギはさらに彼女の胸を揉もうとしているクマ吉の手を持って、首を振る。これは耐えられそうにない。
エンギの肉好きの良い体をどろどろのローションがコーティングする。胸が先から、ぬるぬるとクマ吉に触られ敏感に反応する。見えないが彼女のしなやかな腰まわりの全てにまとわりついていた。
抵抗するエンギにクマ吉は別にそれでもいいと思う。結果は一緒である。
「じゃあ、ぱあいずりしてよっ」
このクマ吉は先ほど下半身の猛りを抑えていた個体である。彼がズボンを脱ぐと、わずかに勃った肉棒が姿を現す。
「はっ?」
エンギは体中を取り巻く不快感に耐えながら、聞き返す。「ぱいずり」ってなんだ、本当に分からない。クマ吉は恥ずかしげに説明した。そうしてからこの馬乗りになったクマ吉以外は離れていく。
エンギは唇を噛みながら、目の前の男性器を見る。これを勃てなければならないらしい。エンギは泣きそうだった。そもそもなんでこんなことになったのか思い出せない。
それでもエンギはぬるりとしたローションの絡んだ胸の間にクマ吉の棒を挟んでさすり始めた。素人の手つきである。当たり前といえば当たり前なのだが。エンギはそれでも一生懸命にクマ吉の棒を擦る。
肉が動き、ローションが性器につく。エンギは自分で胸を扱いながら、気持ち良くなってしまう。それでも泣き顔になりながら堪えてクマ吉のものを勃てようとする。
しかしクマ吉は全力でそうさせない。彼は体内の血流を操作して、陰部に行かないようにする。いろんなところで内出血を起こすが「今」の為なら「未来」など何ほどの価値があろうか。
「なぜだあ」
エンギは泣きながらペニスを擦る。何故かわからないが全く変わらない。クマ吉は気もち良さを堪えて言う。
「さっ。先っぽを加えるんだ。そしてなめるんだっ」
涎と一緒に口から血を吐くクマ吉。エンギは悲しそうに顔を歪めてから、ローションでひかる彼の肉棒を口に咥えた。そして胸を動かして、下から押し、舌を動かして上から刺激する。
(あっ甘い)
ローションはクマの好む蜂蜜味だった。100エーカーの森のくまの方でクマ吉ではないが。
エンギは甘い味のする棒を舐める。整った顔だちで、無意識に上目づかいをしたりするのでクマ吉はたまらない。エンギに胸にはさまれつつ、彼女の口の中でクマ吉の男が可愛がられる。今度はクマ吉がたえられそうになかった。
「も、もういいよ」
クマ吉は十分に勃ったそれをエンギから抜く。エンギはごくりと蜂蜜をのんで、口から離す。一筋の線を残しながら。
「はあ、はあ」
クマ吉は息が切れる。エンギも体が熱い。はやくはやくと心と体が求める。
クマ吉は馬乗りの体勢からエンギに抱き着く。意外に小さな肩を抱いて彼女を半身だけ立たせた。ついにとエンギが思った矢先。なんとクマ吉は離れた。
「えっ」
エンギはそれを追うように身を前に出す。だが彼女は気が付いていなかった。その後ろにも別のクマ吉が近寄っていることを。
エンギの両腿を手が掴んだ。エンギはいきなりのことに後ろをみるとクマ吉の顔がそこにあった。すりすりと毛むくじゃらの顔を背中に押し付けてくる。エンギはぞわぞわとした感覚に身を小さくした。
同時に彼女のお尻が上がる。後ろのクマが腿を持って押し上げたのだ。エンギがなにかを言う前にそのクマ吉は股間のそれをエンギの後ろの穴に挿入する。
「ぎい」
エンギの口から何かがでる。さきほど良くならされて広がった穴とはいえ、きつい。
「ぬいでぇ」
エンギは憐れみを乞うような目で言った。それにクマ吉はアナルのなかでぐりぐりして返答する。エンギは身を反らした。その拍子に胸がたわむ。
エンギに後ろから手が回る。彼女の両胸を掴んで揉み始めた。ここもたっぷりと感じやすくされている場所だ。後ろのクマ吉はやり手である。みんな同一個体なのだが。
お尻の穴を男性器で嬲られ。胸を揉まれる。
「ひっ……て、てかげん」
エンギは何かを言うが、クマ吉は容赦せん。両手で両胸を揉みしだく。
クマ吉が立った。エンギに前に。
これはエンギが一生懸命に「ぱいずり」した奴だ。そいつが前に立つ、と言う意味。
クマ吉がエンギに前から抱き着く。そしてそのまま彼女の秘所に棒を挿入した。
「 」
エンギは空を向いて口を開ける。声が出ない。あまりに強い刺激におかしくなりそうだった。ぐっと前から突かれる。エンギが反応すると後ろからも突かれる。
「まあぁぁ」
エンギは何をいっているのか自分でもよくわからない。赤い顔が快楽に染まっていく。
「うほほーいい」
前のクマ吉がエンギに胸に顔を埋めた。後ろのクマ吉が揉みながらその顔をパフパフするように胸を動かす。どっちかというと「ぱふぱふ」というよりも「ぐちょぐちょ」のような気もするが。前のクマ吉はエンギに両胸にサンドイッチにされる。
ペニスが動く。エンギが身を折ろうとして、後ろのクマ吉に突かれる。
前も後ろも胸も口も。全てが堕ちていく。
「も、もっとしてぇ」
エンギは自ら求める。それに前からペニスが膣を擦る。アナルが後ろで広がる。
後ろのクマ吉がそのうなじを舐めた。「いいぃぃ」とよがりながらエンギは気持ちよさそうに身を動かす。体に二本の肉棒を入れたまま動くから、また刺激を受ける。
へえ
はあ
エンギは整わない息をととのえる気などもうない。気持ちいい、だからそれだけでいい。一番じらされていた彼女だからか、とても楽しい。エンギはメリーと同じように自ら腰を動かす。
「ふぁいとおおお」
前のクマ吉が何か言うと同時にエンギを突き上げる。
「いっぱああつ」
後ろのクマ吉が答える。
エンギの体が持ち上がった時。二匹は同時に彼女に体に白い液を流し込んだ。エンギは体をそらして、舌を出す。まだ一回目でしかないというのにとても気持ちよさそうにだった。
由衣が後ろと前から「ふっふっ」と突かれる。メリーが口に肉棒を入れられて後ろから犬のように入れられる。
エンギは正常位で前からぐちゅぐちゅと可愛がられた。
三人の女の子の周りにはクマ吉が列をなす。順番を待つあたりさすが紳士と言えよう。だが彼らは願っている。
「?っ」
「ひっ」
「あっ」
三人が同時に声を上げる。
――もっとえっちなからだになーれ
「「「きゃあああああああああああ」」」
まだまだ終わらない。
ドーナツ屋を出て行くときに、それは見えたんだ。ぐふふ。やっぱりあれは夢じゃなったんだね。机に突っ伏してぴくぴく動いている女の子が二人いて、真っ赤になってたんだ。
えっ僕? 僕はたまたま女子更衣室に入ってた勘違いされて通報されちゃたんだ。おかしいよ、わるいことしてないのに。
「ほら、歩きなさい」
僕の手錠のかかった手をお巡りさんが引く。
「今回は……長いでしょうか」
そうおつとめの期間をきいても、おまわりさんは首をふるだけだった。