クマ吉君の野望【2次創作短編集】 作:堀 吉之助
魔王と勇者。それが今のエンテ・イスラを統治する上層部の懸念だった。
数年前魔王を追いつめた勇者は逃げた魔王を追い、別の世界へいったまま帰ってくることはなかった。だが死んでいないことは分かっていた。別の世界、そこは世界の名前のない異界。そこに勇者と魔王ともに生きていることは分かっていた。
だから彼女クリスティア・ベルは送り込まれたのだった。
小さな背丈に大きな目をした幼い顔。その容姿からは想像すらできまいが彼女は悪名高い「異端審問官」だった。彼女は神の名のもとに多くの人々を裁き、その命を奪ってきた。いや神の名を考えるならば、天上への献上または返還と考えた方がいいのかもしれない
「むう」
ベルは少しめまいがした。エンテ・イスラから勇者の居る世界に来るには必ず「ゲート」言われる関門をくぐらなければならない。ゲートといっても門をくぐるだけではなく、長い空間を飛んでこなければならない。酔いやすい者ならば吐くかもしれないほど不安定な空間なのだ。
ベルはこめかみに手を当てた、揺れる視界を少しずつ調整していく。
「ここがニホンか、勇者のいる……」
ベルの声がわずかに高くなる。彼女はまさに「日本人女性」として正しい格好をしていた。黒髪を後ろでまとめ、紺の着物と足袋と先の丸い下駄。元々背丈の低いベルは日本人以上に日本人だった。ただし昭和のだが。
ベルはあたりを見回した。日本に来る前に多少の下調べを行ってはいたが見るのと聞くのは全く違う。彼女は畳の上に立っていた。
「しっしまっ」
あわててベルは下駄を脱ぐ。畳に靴などの履物をしたまま上がるのは無作法だと知っていた。彼女は下駄の鼻緒を摘まんで持ち上げると、再び視線をめぐらした。普通に考えれば住居にいきなり現れた彼女は不法侵入者なのだがそこまでは好奇心のせいか頭が回らなかった。
ベルの目に飛び込んできたのは箱だった。黒い水晶のような表面に白の縁が印象的なそれは日本の平均的な家庭にはどこにでもあるもの。テレビだった。
「ふむ。これが中に人が入れるという箱だな」
ベルは勘違いしつつ首を動かす。箪笥や障子といった日本的構造をしたこの部屋はベルの下調べの知識と合致している。知識が合致していると人間少なからず嬉しくなるらしい。ベルの口元が少しだけ緩む。
さてとベルは言いつつ、この部屋を出なければならないと考えた。今から資金集めと情報収集に行かなければならない。そこで彼女はこの部屋の出口を探した。
裸のクマが視界の端を横切りベルは出口らしきドアを見つけた。そこだけが溝の様になっていて靴が並んでいるために分かったのだ。
ベルはゆっくりと出口に近づいた。その挙措は大和撫子という言葉がぴったりだった。彼女はひんやりとし玄関に下駄を置いてドアノブに手を当てた。
「さあ、でるか。何も見ていないしな」
何かに言い訳するようにベルは言った。今すごく後ろを振り向きたくはなかった。しかし自分が見た異物を確認したい気持ちがベルにはある。だからちらりと横を向いた。
ベルの不幸はそこの姿見が合ったことだろう。全裸のクマ吉が部屋の中でポージングをしているのが見えた。その股にはいきり立った「男」がぶらさがり、いやそびえたっている。
「ぁあああああああ!」
真っ赤になってベル近場にあった靴ベラをクマ吉に投げつけた。聖法気という不思議な力で腕を強化したベルの投げたそれはクマ吉の脳天にさくりと突き刺さった。血が出る。
「ぎゃああああああああ??」
「うあああああああああ?!」
力の限り絶叫するベル。どこか嬉しそうなクマ吉。
「す、すまない。あなたの家だとはしらなかったのだ」
「もう、きをつけてよね。危うく不良に絡まれている閻魔大王がみえたよっ」
ベルは全裸のクマ吉の頭に包帯を巻きつけた。普通脳天に物が刺さったならばその程度で治る筈がないのだが、クマ吉は気にしなかった。女性の触った包帯である。後でホルマリン漬けにしておかなければならない。
クマ吉はそんなことを考えているとベルがもじもじしながら聞いてきた。顔が紅く、ちらちらと目線を動かしている。
「あ、あのクマ吉殿。なにか着てくれないか」
「えっ?」
クマ吉は絶句した。この状況で服を着る意味が分からない。それが恥ずかしいと言うのならば服を着ている方が恥ずかしい。男の夜は全裸と決まっている。
「なっなんで? 服を着るなんておかしいよっ。そんな人はいないよっ」
「な、なっ? いやでも、私が調べたところでは日本人は服を着ている……」
とそこまで言ってからベルは気が付いた。目の前の存在は「人」ではない「クマ」だ。
ベルの背中に冷たいものが流れ始めた。もしかしたら間違えて別の世界に来てしまったのかもしれない。そこで彼女は聞いた。勿論クマ吉の体を見ないように、顔を背けながら。
「こ、こここはにひん、いや日本で間違いないだろうか?」
クマ吉は即座に理解した。この目の前の女性は別の世界からやってきたのだと。なぜ理解できたかというとそちらの方がどう考えてもエロい妄想ができるからだ。多分その世界は触手に支配された世界でこの女性は逃げてきたのだ。間違いない。
「大変だったね」
「い、いきなりなんだっ!?」
ベルは質問を吹っ飛ばして憐れみを向けられたことに困惑した。クマ吉の思考回路を理解するのは彼と同じレベルの変態でなければならない。
「でも、この世界は平和だからあんしんしていいよっ、さあその戒めの服を脱ぐんだ」
「ふふふふ服を脱げだとっ。き、貴様正気か!」
「でもみんな全裸が基本だよ。服を着ているなんて淫乱だよっ」
「だれが淫乱だ! い、やまてよみんな『全裸』だと?」
ゆでだこの様に赤い顔でベルはクマ吉に聞いた。クマ吉は神妙に頷く。
「服を着ている人なんていないよ」
「う、うそだっ」
「ホントウだよっほら」
言ってクマ吉はテレビをつけた。暗い部屋が明るくなる。
「こんにちは奥さん、宅急便です」
「あらありがとう、サーガワさん、良かったらお茶していないからしら」
「ええ、ぜひ頂きます。できればお風呂も頂きたいですね」
「沸いていますよ。好かったらご一緒いたしません」
「よろしくお願いします」
上記はテレビの光景である。勿論出てきた人間は玄関先で全裸だ。
「…………」
口を開けたままベルは呆けた。今の光景が信じられなかった。実のところマニアックなAVの一場面をクマ吉がつけたのだが、ベルの目には日常的にああなのかとしか見えない。テレビを見たのも初めてだったのだ。
クマ吉はDVDのパッケージをケツに挟んで隠した。そのパッケージには「奥さん、着払いです」というタイトルが書いてある。
(注意 全てクマ吉の世界にしかありません。蔦屋で探さないように)
「まっまさか本当に皆、は、裸なのか?」
ベルが口を開いた。彼女の瞳孔が開いて汗が滝の様だった。
「そうだよっ、みんな心は裸さ」
クマ吉の返答にぐらりとベルが揺れた。調べてきたものもなにもかもが間違っているではないか。生まれてから一番の困惑が彼女を襲った。もしかしてこの世界で「魔王」と「勇者」は全裸暮らしなのだろうか。ベルはおそるおそる聞いた。
「く、クマ吉。魔王を知っているか。し、しっているのなら奴も裸なのか」
わざとわかりにくく聞いた。クマ吉が知らないと言ってくれることを望んでいる。いますぐに帰りたい。すでのベルはクマ吉を呼び捨てにしている。
「しっ知ってるけど、服を着せることはないんじゃないかな…」
焼酎に服を着せるわけないとクマ吉は思った。だがその返答がベルにとどめを刺した。
「あ、あはは。そんなことが、そんな」
ベルの頭の中では全裸の魔王と勇者がなにかよくわからない行動をしていた。ベルは彼らが命がけで戦っていると思っていたのだが、そのような想像は跡形もなく消し飛んだ。
「そ、そんなにショックなの?」
焼酎が裸なのが気になるなら普通に着せてあげればいいんじゃないかとクマ吉は思った。クマ吉の中ではベルは「焼酎に執着する女」になった。でも脱いでほしい。
「そんなことよりも、速くそのいやらしい格好を直すんだっ、さあ速く」
「えっええ。まっまってくれ」
「だめだよ。警察に捕まっちゃうよ」
ベルは手を振って必死に抵抗した。だがクマ吉は彼女の目の前に仁王立ちしてその男根を見せつけた。
「うああああ、しまえええ」
ベルは目をつむって横を向いた。
「何が恥ずかしいんだい。さあ、全てを開放するんだ。みんなそうなんだから」
「うっうう。し、しかし。私の世界ではそんな風習はないんだ」
「扉を開けないと、外にはでれないよ」
クマ吉はきりりとした顔でいう。ベルはここが別の世界であること、テレビで見た光景、そして一点の曇りもないクマ吉の説得に「自分が間違っているのでは」と考えてしまった。
「……ほ、本当にみんな裸なのか」
消え入るような声でさっきと同じ質問をするベル。クマ吉は勢いよく頷くとつかつかと部屋の窓に向かっていき、がらりと開けた。月の光がクマ吉の全裸を照らす。ベルはその光景が美しいなどというわけのわからないことを思ってしまった。完全に錯乱している。
しかし思ってしまえば負けだ。ベルは泣きそうになりながらも頷いた。
「わっ分かった……」
帯を解くと肌が見えた。ほとんど肉のついていないお腹に小さなおへそがベルの成長具合を表している。成長具合といっても彼女は妙齢の女性。つまり成長限界である。
「あっ、あっちを向いていてくれ」
ベルはクマ吉を牽制しつつ帯を落とすベル。パサリと音がして、恥ずかしげに胸元を隠す布の音がクマ吉には聞こえた。ベルは唾をのみ桃色の唇を動かす、恥ずかしくて仕方ないがこの世界の理ならばしかたない。任務を放棄するわけにもいかない。
和服を肩から脱ぐベル。黒髪が肩にかかり、恥ずかしくて腰をひねったせいで体が斜になっている。妖艶といってよかった。
ベルはするすると和服を腰までおろす。狭い背中が小さく震えていた。月明かりが彼女の姿を映し出す。クマ吉は部屋の隅で体操すわりをしつつ聞き耳を立てていた。心の目を開けば見えぬものなどない。
和服が下に落ちる。ベルはむき出しになった上半身を手で隠し赤い顔で目をつむる。すこしして決意したのか。腰にかかった下着に指をかけた。細い腿を内側にかたむけて少しづつ、少しづつパンツを下ろしていく。
それと同時にベルの目に涙が溜まっていった。唇をかむ彼女は何かを耐えているのがこれ以上ないほどにわかる。下着が指で裏返り、彼女の大切な部分が露わに――
「だめだ! むり。これはむりだ」
ベルは途中まで下げていた下着を穿きなおした。クマ吉はあわてて聞く。目はあさっての方向だが心眼はベルに向かって開いている。
「なっなんで? そんないやらしい布は脱いでしまったほうが」
「わっ分かっているが。それでもほ、ほんとうに無理なんだ」
ベルは上半身を抱くように恥ずかしがり、クマ吉に見えないように体を傾けている。それが何ともなく色っぽい。クマ吉はごくりと血を飲む。のぞきを耐えていたときに口の中を食いちぎったのだ。のぞきと想像の掻き立てられる妄想どちらをとるかといえば紳士であるクマ吉は後者を取った。でもまあ後でのぞく。
「しかたないなあ、じゃあいこうか」
「ど、どこへ」
「会合さ。情報がとれるかもしれないよ」
「カイゴウ? な、なんの??」
クマ吉はこくりと頷くと玄関でスニーカーを履いた。全裸にスニーカーだ。奇妙としか言いようがない。
ベルの心臓が跳ねた。今クマ吉が全裸で靴を履いたということは今から自分も履かなければならないのだろう。ベルは足袋をはいたままあとじさる。畳が小さく音をたてた。
「な、なあクマ吉。わ、私はここで待っていてもいいか」
「だめだよっ。ここは危ないよ。この部屋のは人が入ってくるから」
「そ、そうなのか?」
究極的にこの世界では世間知らずのベルはすんなりとクマ吉の言葉を信じた。しかしクマ吉は嘘を言っていない、この部屋のは間違いなく人が入ってくる。
「さあ、いこう無限の彼方へ」
なにか言いつつクマ吉はドアを開けた。勢いよく開け放たれた入り口から冷たい夜風が流れ込んでくる。
「きゃ」
ベルは体をすくめた。おへそが動いて、腿が内またになる。
クマ吉は躊躇しなかった。全裸のまま外へ出て行ったのだ。月の美しいこの夜の全裸は映える。警察が見ればお持ち帰りは間違いない。
「ついてきなよ」
「あ、ああ」
背中で語るクマ吉の気にベルは完全に飲まれていた。クマ吉に羞恥心などと言う甘えはない、ただあるのは快楽を望む心だけだった。
ベルは玄関で下駄をはいた。彼女は体にパンツだけを穿いて下駄をはく、一応白い足袋を履いたままではあるのだが特に意味はないだろう。彼女は暗い玄関から出ようとして一度止まった。明るい月明かりの下に出たくはなかった。だが勇気をだして一歩を踏み出した。
世界が変わった。
今ベルはほぼ全裸で月の下にいた。妙な解放感が彼女を包み、さっきまで冷たかった夜風が今は涼しい。危うくベルは胸元を隠す手を緩めそうになった。
外に出てわかったがここはどこかのアパート、その二階らしい。「アパート」という単語と概要についてはベルも知っていた。ベルはクマ吉にただす。
「ま、まだ私をみるなよ。さあ、会合とやらにつれていけ」
「ゴクリ……会合場所は少しだけとおいよ」
「かまわん。とりあえず私は情報を入れなおさねばならない」
今まで調べてきたものが全て役に立ちそうにない。ベルは情報がでに入るならばとクマ吉が歩く後ろをついていった。
「きゃああああ」
「ぐうふううう」
ベルはアパートに横付けされた階段で足を滑らしてクマ吉に蹴りを食らわした。
小道を少し行く。クマ吉はモデルの様に堂々と、ベルは子供の様におどおどと。
「ま、まだかクマ吉。この姿を人に見られたら」
ベルは今の言葉に違和感を覚えた。みんな裸ならば別に恥ずかしくはないだろう。
「いや、なんでもない……それよりクマ吉。魔王について知っているそうだな、どこにいるか知っているか」
「えっ……居酒屋とかじゃないかな、僕はお酒を飲まないから」
「の、飲んだくれているのか?!」
魔王が居酒屋で飲んだくれている姿をベルは想像した。その魔王の為に今こんな恥ずかしい思いをしているのだから、本当にそうならば。
「殺す」
「ひええ、い、いきなりなに」
「い、いや。今のは口がすべっただけだ、すまない」
ベルが歩くたびにげたがなる。パンツがお尻の動きでしわを作る。間違いなく痴女なのだがベルはだんだんとこの状況に馴れてきた。というよりももうすこし解放されたくなってきた。
罪悪感と背徳感こそが快楽の根源なのかもしれないがベルはそれを強く侵していた。だから妙な欲求が心に芽生え始めている。
「い、いかんいかん」
首をふるベル。自分は今重要な任務を背負っているのだと言い聞かせる。そう魔王というエンテ・イスラの敵を倒すために行動をしなければならない。ベルはそう思いつつも堂々としたクマ吉をみた。彼はスニーカー以外は何もつけていないだが悪びれることも恥ずかしがることもない。
「……クマ吉、絶対後ろをむくなよ。向いたら伸ばす」
「の、伸ばす? な、なにされるの」
「いいから、黙れ。行け」
だんだんとクマ吉の扱いがぞんざいになるベル。だがその行動はクマ吉を真似し始めていた。胸を包んでいた手を外して、そのまま――
ところで魔王だが案外近くにいた。
「なあ芦屋―。あれ買おうよ、久しぶりに外に出た僕の努力に免じてさー」
「馬鹿者め、我が家には羽のついていない扇風機など買う余裕などない。そもそも貴様、魔王様が気まぐれとはいえ焼肉を恵んでくださったのだ。頭を下げて歩け漆原」
「あ、歩きにくいでしょ」
三人の男が道を歩いていた。戦闘を歩くのは黒髪の青年。その後ろに長身の芦屋とけだるげに歩く小男、漆原が続いていく。
「うっせーぞお前ら。今職質されたらまじでやべーんだからな」
黒髪の青年が後ろを向いていった。それに芦屋はしゅんとなり「申し訳ありません」とうなだれる。漆原は口笛をふいて「はーい」とやる気なさげにいった。それをきっと睨みつけた芦屋は黒髪の青年に言う。
「魔王様いえ真奥さまやはり漆原を散歩に連れ出すのは危険かと」
「い、犬みたいに」
「しかたねーだろ商店街で当たった焼肉割引が三名以上限定だったしな。ちーちゃんは今日これねーし、恵美に焼肉をおごってやる義理はねえ」
魔王。今芦屋が口を滑らせたこの単語を向けられた青年がベルの目的の男だった。真奥とは仮の名前、彼はこの世界にきてよりこの世界になじむため名前を初めとしたあらゆる配慮と努力によりなんとか生き抜いていた。生き抜くとは言っても勇者との戦いではない。主に家計との戦いである。
芦屋、漆原もかつてはエンテ・イスラを恐怖させた悪魔大元帥だった。
ちなみに三人とも服を着ている。真奥と漆原は白いシャツ、芦屋はすこしだけカジュアルな紺の上着。
「でもさー。三人とも来て大丈夫かなー」
「?どういうことだ漆原」
「だって芦屋―。魔王城ってセキュリティーもざるじゃん。泥棒が入りたければいくらでも入れるし」
「……杞憂だな。我が家には扇風機を買う金もないが、それ以外の財産もない」
「なんか……かなしいね」
かつては広大な魔王城を住処としていた彼らのいう今の魔王城とは狭く、古いアパートでしかなかった。エンテ・イスラでは強大を誇った真奥の力もこの世界では大したことはない。
「だー。暗くなるはなしばっかすんじゃねー。本当に悲しくなるだろうが!」
ふりかえった真奥はいきり立って言う。芦屋と漆原は驚いた顔をしていた。
「な、なんだ、そんなにおどろくことはないだろ」
「いぃえ、まお、まおさまうしろからそ、その変質者が」
「変質者? 何言ってんだ芦屋。そんなのがこのちかくをうろついているはずないだろ」
真奥はそう言ってまた振り向いた。
クマ吉が向こうからやってくる。全裸で、いきりたったまま。
「…………」
急に無言になった真奥の表情を芦屋は想像できなかった。すこししてぽつりと真奥が言う。
「無視しろ、絶対目を合わすな」
「はっ。御意に」
「い、いわれなくても」
芦屋と漆原、そして先頭の真奥は真顔になって歩き始めた。一言もじゃべらない。変質者に絡まれようものなら、どうすればいいのかわからない。
クマ吉はずんずんと歩いてくる、真奥を見るとふっと鼻で笑う。真奥のこめかみに青筋がたつ、しかし耐えた。絡まれるよりはいい。ちなみにクマ吉は鼻が痒かっただけだ。
クマ吉「達」と真奥達は距離を詰めていく。お互いに何もしゃべらない。そこで真奥はあることにきがついた、クマ吉の後ろに人がいる。だがまた変質者だろうと思い表情は変えなかった。
すこしだけ真奥は目を動かす。
ベルと目が合う。
真奥とベルが同時に驚愕の表情になる。男はこんなところにほぼ全裸の女が歩いている驚き、女は「服を着ている人間がいるわけがない」というわけのわからない驚愕。
「「……ぁ……」」
お互い口を開けたまますれ違う真奥とベル。だが真奥は一人ではない。
芦屋、漆原が順番に真奥と同じ表情を作ってすれ違っていく。目が開かれて、ベルの体を見ていく。別にいやらしい気持ちではない。あまりに珍奇な光景に目がはなれなくなってしまったのだ。
漆原はかつんと小石を蹴った、何となく立ち止まってしまう。
つられてベルも立ちどまった。
(いやああああああ、しまったああああああ。真奥! 芦屋助けてー!!!)
心で絶叫する漆原。だが真奥と芦屋も助ける気はない。死にはしないだろう。そう思いつつそそくさと歩いていく。
(は、薄情ものお!)
滝のように汗が流れる漆原。ベルと目があったまま離れることができない、ベルの顔がだんだんと赤くなっていく。漆原は青ざめていく。
「こ、こんばんは」
(あ。だめだ。話しかけちゃった。死ぬ、僕)
だが漆原はすうと心が軽くなった気がした。無我の境地とでもいおうか、死を意識した途端にすべての者がクリアに見えた。ベルのつつましやかな胸に桃色の先端。ひきしまったこしまわり。良く見える
「肌がきれいだね」
錯乱した漆原はいらないことを言った。ベルはその言葉で心の何かが切れた。
「ひ」
「ひ?」
ベルの口が開かれる。
「ひゃあっきいああああああああ」
「うわああああああああああああ」
いきなり奇声を発した痴女から漆原は逃げ出した。涙目のベルはクマ吉を担いで反対方向に逃げて行く。以後漆原は自分から外に出なくなった。
「どどどどういうことだ。クマ吉。ふふふうつうに服をきていたじゃにあか」
噛みつつも正座させたクマ吉をベルは問い詰めた。ちなみにクマ吉はその辺で拾ったビニール袋をかぶらせてあった。
ちなみにここはとある公園。木々が多く体を隠すにはちょうど良い場所。
「クマ吉。返答次第では容赦しないぞ! い、いままで最大の屈辱だ。い、いやらしい目で見られた、わ、私は」
ベルの目にいやらしい顔をした真奥と芦屋そして凝視してきた一番の変態王、漆原の顔が浮かんだ。あの三人は舐めるような目で体を見てきた。違うのだが。
「い、いや人間は生まれた時は裸だし。服の下はいつも全裸だからこれでもいいかなっておもったんだ。けっしていやらしいきもちがあったわけじゃないよ」
「う、うそをつけっ。それになんだその理由は! と、とにかくお前の家にいくぞ!! とりあえず服を回収してそれから」
「えっ? 僕の家」
「そうだ、さっきの場所だろう」
誰が、
「あそこにいくの?」
「そうだ」
あそこを、
「でも……」
「なにもいうな! は、はずかしくて死にそうなんだ」
クマ吉の家と言ったのだろうか。
「あそこはぼくの家じゃないよ」
「えっ?」
本当にわけわからないと言った顔をベルはした。だってあそこでクマ吉は居たではないか。
「じゃ、じゃあ私は誰の家に自分の服を置いてきたんだっ????」
ベルは頭を抱えて、膝をついた。解決策がなにも見つからない。このままでは下調べで知った「ケイサツ」にやっかいになる可能性が高い。彼女はクマ吉の首を締め上げた。
「こ、こんなことをされたのは初めてだっ。す、少しの折檻で済むとお、おもうなよ」
ストレスがベルを駆けめぐる。彼女は強い力でクマ吉を投げ飛ばそうとした。だがその腕にクマ吉は抱き着いた。
「ぼ、僕は。おっぱいが好きなんだ」
「なっ、はなせっ。破廉恥な!」
離れないこと蝉のごとく。クマ吉はしがみついた。何も身に付けて言ういベルの上半身を抱き寄せて、その腰をしっかりと拘束する。スーパーの袋の部分がベルの胸を擦る。
「き、さま、……ももうゆるさん!」
聖法気を両腕に通すベル。これで怪力が生まれた。クマ吉のなど一瞬で剥がせるだろう。皮とか。
しかし、世の中は非常だった。
――20分後
「はなしてくれぇ」
弱々しい声でベルは懇願する。あれから力を使い知恵を使いクマ吉を離そうと試みたが全て失敗に終わった。
考えてみてほしい。例え死ぬことになろうともベルの柔肌を抱けるのならば、死んでも離さないのが男ではないだろうか。その点で言えば間違いなくクマ吉は男だった。
「ぐふふふ」
骨が何か所か折れているが特に気にはならない。もはや痛みもない。クマ吉の精神が肉体を凌駕している。ベルの腰が柔らかくその体は花のように甘く香る。それだけで命を懸けるには十分だった。
とりあえずクマ吉は「花」の蜜を吸うためベルの胸に吸いついた。スーパーの袋などすでに破れてクマ吉の首元でスカーフのようになっている。
ベルは驚いた。
「なっなにをする」
蜜を吸う。クマ吉は口をすぼめて、口中の桃色の突起を締め上げる。
「や、やめろ」
ベルはもがくがセミ吉いやクマ吉の拘束からは逃れられない。厳密に言うと力のある彼女は立って歩けるし両手両足も自由に動かせる。唯クマ吉は離れないし、ベルと言う花から甘いものを吸いだそうとすることをやめさせる力はない。
ぺろりと舌を動かしてベルの「桃色」を舐めるクマ吉。たっぷりと涎をつけたまま舐め始める。
「……ア……いやっちがう」
口の中でベルの先っぽが固くなるのをクマ吉は感じた。マッサージしようと舌を動かすと、ベルの体は小刻みに震える。経験のない花は舐められることだけでも気持ちがいい。
「はなせっはなせこの」
必死にベルがクマ吉の頭を離そうと力を入れる。だがクマ吉はベルの敏感なところを「噛んで」答えた。
「ぃい」
びくりとベルが力を失った。そして赤くなりつつ、きっとクマ吉を睨む。しかし何をしようとも現状を打開する策はベルにはない。クマ吉ははむはむと白いふくらみを噛みつつ舐める。舌を動かすと先端がぴくぴくと動くのが分かった。
抵抗はむなしい。命を懸けたクマ吉の愛撫をベルは振り払えない。そのうち息が荒くなって、なめられるたびに頭の中に白色が広がっていく。
「だ、だめだ。そんなこと」
クマ吉の手が腰からお尻に伸びた。そしてベルのパンツの中に手を入れてからお尻を左右から揉み始めた。
「クマ吉ぃ、も、もうやめろぉ」
涙を溜めてベルはクマ吉にたのむ。クマ吉はたっぷり口の中で「彼女」を可愛がったあちちゅぱとわざとらしく音をたてて口を離した。クマ吉の口から解放されたベルの胸、その先の小さくかわいらしい突起は小刻みに震えながら上を向いていた。
「ふむふむ」
何か言いながら凝視するクマ吉。頭の中のおっぱい図鑑にデータを保存しているのだ。勿論ベルにとってはたまったものではない。
「みるなあ」
ベルは体をひねってクマ吉の目線を離そうとする。 その程度で離れるクマ吉ではない。乞われれば三日はくっついているだろう。クマ吉はお尻を揉みつつ舌を出してべろりとベルの胸部を舐め始めた。
一点ではない、全体をざらざらの舌で刺激し続ける。
「あう、っあ」
ベルは胸の敏感なところを舌で味わわれるたびに声を上げてしまった。彼女が動くたびに公園の芝生が音をたて、彼女の着たパンツが少しずつ湿っていく。
小さな胸が震える。舌でぬらされた、ベルの両胸が月の光で怪しく照らされていく。
「も、もうゆるせ、くまきち。もうなにもしないから。はなして、くれば、いい」
いやクマ吉は離さない。クマ吉は離さないし話さない男だ。
クマ吉は手を動かして、ぺろりとパンツをめくった。ベルの小さなお尻を丸出しになった。そのままクマ吉は立ち上がる。むき出しになったベルのお尻を掴んだままだ。
ベルはクマ吉に抱き上げられてそのふさふさの顔に抱き着く形になった。そうしなければ落ちてしまう。お尻を掴まれているので腰を浮かされていた。
「こんなことしている場合じゃないんだ。会合に遅れちゃう」
「じゃ、じゃあ私をかいほうしろ」
「あ、あと何分なのかな」
クマ吉はベルの胸を口に含んだ。ぺろぺろと舐める。そして離す。
「た、大変だ、あと10分しかない」
「な、なんでいまのでわかったんだぁ」
クマ吉はこくりと頷いてから走り出した。ベルには何故クマ吉が頷いたのかわからなかったが、それ以上に――。
「まって、まってわ、わたし、いま、うしろがやめて」
丸出しのお尻が気になる。自分でなおすことはできない。それをすれば落ちる。
ベルは前からクマ吉に舐められ、後ろからお尻を風に撫でられながら誰にも見つからないように心で祈った。唇を噛んで涙目になった彼女からは普段のクールさは消えている。
「いやああっそっちはあかるいから、とおるなああ」
叫ぶベル。そもそもどうやってベルを舐めながらクマ吉が走っているのかわからないが、彼女には自分の恥部を曝け出さされている状況が何よりも恥ずかしかった。
夜の公園をお尻丸出しの女性を担いだ全裸のクマがいく。すこし考えないとわからない字面だ。
「そもそもどこにいくんだっ。いくなああ」
矛盾した言葉を発しながらベルはクマ吉を止めようとする。クマ吉はベルのおへそを舐めながら答えた。
「会合さ、『痴漢列車愛好会』のね」
「な、なんだそれは――やめろ。そっちから人の声がするぅ」
原っぱに古びた列車が置いてあった。勿論路線の上ではない。明らかに廃車になった車両だろう。しかし中には多くの人がひしめき合っていた。それどころか運転席には制服をきた車掌までいる。
みんな『痴漢列車愛好会』のメンバーだ。彼らはただ列車で痴漢したという些末なことで社会から追放された人々たちだった。ちなみに女性はメンバーにおらず、そしてクマ吉はそのメンバーの第12代会長だった。1から11番の会長は娑婆にいない。
「列車が発車する! いそがないとっ」
「あっあれうごくのかっ?」
クマ吉は疾走する。はやくしなければ心の電車が出発してしまう。リーダーとしてそれはだめだろう。ベルは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で振り向いた。何人にお尻を見られたかわからない。
「まにあえええ」
絶叫するクマ吉。止まった列車に飛び込んだ。その瞬間に扉を閉める係りに人がドアを閉めた(手動) クマ吉はふうと息を吐いた。そしてベルを下ろした。
「……!!」
ベルは降ろされた瞬間にパンツを引き上げた。少しほっとしている彼女はほぼ全裸であることを忘れていた。
「列車が発車するよ。早く吊り革を掴むんだ」
「はっへっ?」
いきなりクマ吉に聞き覚えのない単語を言われてベルは固まった。その右手を横にいたおじいさんがやさしくとる。そして左手を横の会社員風無職の青年がとりつり革まで持って行く。おじいさんも同様だった。
おじいさんと青年は瞬間接着剤でベルの手のひらにつけて両手でつり革を掴ませる。これでにげられない。
「あっすまない……いやああああああああああ」
反射的におじいさんと青年にお礼を言おうとしたベルが状況を理解した。両手を上方で拘束されて、上半身がむき出しになっているのを隠すことができない。爺さんと青年はもちろん手練れの痴漢だ。
「な、なんだこれ。はなれない」
瞬間で接着するから瞬間接着剤なのだ。ベルが動いて、剥がそうとしても無駄だった。ちなみに後でベルの接着剤じゃクマ吉がおいしくいただきました。
混んできた。主にベルの周りだけだ。彼女の周りに男達が群がっていく。ちなみに全員無言で目すらあわせようとしない。
「ち、ちかよるな。いや、いやあみるなあ」
ベルの背中が触られた。指でなぞられる。
「ひい」
気味の悪い感触に身をよじるベル。だがそのお尻を触るが2つや3つではない。
「な、なんだ貴様ら。そんなとこさわるなっ」
涙目で抵抗するベル。落ち着いて聖法気のよる肉体強化もできない。ベるの周りは男達で埋め尽くされていく。
「む、むう」
息をするのすらきつい圧迫感。だが男達はどこから手を持ってくるのか。ベルの体をさわりまくる。とくにお尻が人気だった。
「やめろお、さわるなあ」
ベルは半狂乱になって動こうとするが動けない。その程度の動きでは東京の朝電で生き残れない。最近の東京人はすし詰めでスマートフォンを扱うなど朝飯前よ。新聞購読はもはや伝統の絶技である。
そんな厳しい世界を生き抜いてきた男達にとってベルの抵抗など児戯に等しかった。彼女の腿や腰は手で揉まれていく。
そんな中クマ吉はレベルが違った。なんとこの中でベルの真後ろを取ったのだ。そして腋に手を入れた。
くすぐる。
「あっあぎい」
身をくねらせてベルは笑いを堪えた。歯を食いしばりながら、お尻を揉まれ、撫でられながら声を押し殺す。だがその程度の動きでクマ吉の猛攻を止めることはできない。クマ吉は両手を上げた状態のベル、その右側も体を移した。そしてそのわきを舌で舐め始める。
「ひっ」
びくりと動くベル。だが左腋にいれられたクマ吉の手が彼女をくすぐる。
「ぁ……」
その上で腋を舐めるクマ吉。ベルはだんだんと思考能力が落ちていくこと感じた。何かが堕ちていく。
「もう、ひ、ひるさん」
許さんすらいえないベルの言葉には覇気がない。クマ吉はその言葉に聞いてきりっと眉を動かした。目くばせをあたりの男達とする。
クマ吉の体が消えたと同時にそこに別の男が入り込む。さらにベルの両側にはさきほどの老人と青年。そしてクマ吉がベルの正面に現れてその両足を掴む。ベルの足が地面から離れて、横向きになる。
後ろからベルは胸を揉まれ始めた。
「にゃ。な」
先端を指でつまむ男ののべ懲役年は15年。なかなかの手練れである。
ベルのピンク色を指がつまんで捏ねくりまわされる。それだけではない。両胸が絶妙な力で揉まれるのだ。すでに体の火照っていたベルには最高の動きだった。
「いっや、だ。やめろ」
白いふくらみが揉みほぐされて、時折少女のような声がベルの口から出た。体を動かしてもつり革から手が離れない。まさか自分を拘束している者が大量生産品のその一とは夢にも思うまい。
両側の青年と老人はそれぞれ水筒を開いて、ベルに向かって水筒の口を向けた。中からとろりとした液体が下りてくる。
「な、ななんだそれは。私になにをかける気だ」
ただの媚薬である。後遺症とかはないがその日だけは気持ち良くなるものだ。
ベルのお腹に冷たい液体がかかる。さらにもっと上鎖骨のあたりから液体が彼女を包んでいく。ベルは何とか耐えていたが、次の男達の行動でそれは崩れる。
「さあ、みんな。広げるんだ」
クマ吉の声と同時に無数の手がベルをおそった。元々胸を揉んでいた男も鎖骨から引いた媚薬をたっぷりと胸に誘導する。バタバタと暴れようとするベルの足をクマ吉がしっかりと押さえつける。これも会長としての務めだった。
「ふやあああああああああ、やひゃえええ」
ベルのお腹も胸も鎖骨も脇腹も何もかも淫薬が刷り込まれていく。肌から吸収されたそれが体中を敏感にしていく。そんな状態では乳首に指がかすっただけで。
「ふぁああっ」
声が出てしまう。
「やめせ、だめだ、これひゃうう」
ベルのつつましやかなおっぱいが淫薬に包まれていく。先っぽがよく吸収するようにと花に水をあげるように青年と老人が重点的にかけていく。勿論後ろの男が二つの双丘を逃げないようにとらえているから、ベルはそのすべてを受け入れていく。
おへそに媚薬の液が溜まる。どろどろの液体はベルの小さな体を何重にも覆っていく。そして体を犯す。
「さ、ここからはぼくだけの時間さ」
クマ吉はぱっとベルの両足から手を離した。地に彼女の足が落ちるかと思われた瞬間、その両足を片方ずつに一人が受け止める。それによってベルはまだ浮いたままだ。ちなみにこの動き、クマ吉達は打ち合わせも目くばせもしていない。まさに心が通い合っている。
クマ吉はベルのパンツに手をかけた。
「やだああああ。あっやあああ」
子供の様に泣きつつ、暴れるベルから少しずつパンツを下ろしていくクマ吉。その顔は真剣そのものだ。
「やめろう。やめろお」
ベルは悲痛な叫びはエロスの前には無意味だ。クマ吉はベルのパンツをその股から離して腿までおろした。つまり、見えた。
「あああああああああああ! みるなあああああああ。きゃう」
くねるベルは媚薬に浸されている。その上胸を揉まれて、どうしようもない。さらに両足を掴んでいる男が足を開かせる。そのせいでベルは赤ちゃんのような格好をさせられた。
クマ吉は胸と同じ桃色の秘所を見た。ぴくぴくと動く割れ目が、ベルの歳から考えられないほど少女だった。その割れ目をクマ吉は指で開いた。ベルは嬌声を上げる。
「いまだっ」
必殺技の合図のようにクマ吉は言う。青年と老人が水筒をベルの下半身に向けてかけた。目標はベルの「入り口」。
桃色が媚薬に染められていく。
「ひゃああああああああああああああ」
ベルは下から薬がおかしてくることを感じた。脳に強烈な淫楽が走り、思考が纏まらない。それどころかさらにクマ吉は指を広げる。そこに水筒からの粘液が入ってくる。
抵抗しようにも体中を男達が揉み続けて、口が開いたまま閉じることができない。頬を落ちるしずくは涙か涎かもわからない。
いきなりベルの体が自由になった。足が地面について、男達が数十センチ離れる。それだけでさっきまで見えなかった電車のドアが見えた。それが目的なのだ。
「へえへえ」
へんな声を出してベル舌を出したまま息を吐く。クマ吉はそのベルをドアに押し付けた。
「ぎうう」
上半身がドアのガラスに押し付けられてベルは声を上げた。このぼろぼろの電車では何故かガラスが全て綺麗だった。外から見ればガラスに押し付けられたベルの胸がよく見えるだろう。
ベルは後ろを向いている。今しかなかった。クマ吉の目がキランと光る。ベルの腰を掴んで、後ろからいきり立った太いものを挿入する。
「ひゃあをおああああああああ???」
失神しそうになった。ベルはそれほどまでの快楽を感じてしまった。だがそれで終わりではない、押しつけれたままクマ吉が突き上げる。
「 」
ベルは今自分が何を言ったのかわからなかった。それどころかローションで滑る胸が冷たいガラスに刺激されて気持ちがいい。もうそれを否定する余裕すらもベルには存在しなかった。
動くクマ吉はベルの腰を強く引き、離す。そのたびにベルは無意識に膣の中で肉棒を締めるのは本能だろう。愛液を出す彼女の体は間違いなく男を求めていた。
「ふぉおおお」
クマ吉はたっぷりと膣に染み込ませたローションを頼りに強くベルを犯した。一つ突きに魂を込めた。それがこの会の会長である彼の集大成だった。
ベル。死神ともおそれられた彼女の嬌声がこの変態の坩堝を満たす。
「ひひもちいいよう。ひゃあ」
完全に我を忘れた死神が自ら腰を動かし始めた。胸もドアに擦り付ける。もうなにがなんでもどうでもいい。
「いくよっ!」
クマ吉の動きが加速した。肉棒がさらに膨らんだのはもはや超熊の域に入っている。しかし増大した快楽をベルは高い声で喜んだ。
「あっあああ、あああ――」
ひときわ大きな声を出して、ベルは気を失った。大量の精液が彼女子宮を満たして、その股を染めていく――。
最後に目に映ったのは、外を染める赤い光だった。
手錠は何度目わからない。クマ吉はすっかりと顔なじみなった警察の人に深々と会釈をしてパトカーに乗り込んだ。だがドアが閉まる前に後ろ向いていった。
「昔はみんな裸だったんだよ。それでよかったんだ……。現代社会はそういう大切なものを忘れてしまったとおもわないかい?」
空には美しい月が光っていた。
お疲れ様です。感想いただければ喜びます。