クマ吉君の野望【2次創作短編集】 作:堀 吉之助
クマ吉。小学生。冬。
己のエロスと性欲に限界を感じ悩みぬいた結果、彼が辿りついた結果は、自慰行為であった。
自分を昂ぶらせてくれた自慰行為への限りなく大きな恩。クマ吉が自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが、下半身による一日一万回、感謝の正拳突き!!
気を昂ぶらせ、拝み、祈り、構えて、突く。
一連の動作を一回行うのに当初は五、六秒、一万回を終えるまでに初日は二十四時間以上を費やした。
突き終えれば倒れるように射精。
起きてはまた突くを繰り返す日々。
そして五日が過ぎたころ、クマ吉は異変に気が付く。
一万回突き終えても、学校に行っていない。
代わりに祈る時間が増えた。
そして山を下りた時、彼は――。
「少し出費じゃったが。いい買い物をしたのじゃ」
寒風の吹く道を、一人の焼き芋を持った学生が歩いていく。
肩まで伸びた髪に、くりっと大きな瞳。体つきは華奢だが、整った顔立は男が見れば一度は振り向くであろうほどかわいらしい。そして手に持った焼き芋を、小動物の様に少しだけ口に咥えると、はふはふと口の中で冷ましてからゆっくりと飲み込む姿。それはどこからどう見ても美少女だった。
だが、不可解なことにこの学生はブレザーにズボンをして、ネクタイを締めた格好。それはまるで男の格好の様だった。それもそのはず、彼、木下秀吉は一応男だった。
「明久たちとは、帰れなかったが焼き芋を買えて、僥倖だったぞい」
秀吉は焼き芋を食べながら、とてとてと歩いている。すでに日は沈んでいるので、彼以外は近くにはいなかった。街灯がちかちかとアスファルトの道を照らすのが少し心もとない、夜の道。
風が、強くなる。秀吉はううと身を縮こまらせた。少しだけ赤くなった、鼻を小さくすする。彼はともかく家に帰ってから、お風呂に入りたかった。
秀吉は帰宅の足を速めて、焼き芋をかじる。買った時よりもほのかに、温度が下がっている気がして秀吉は「もったいないのう」と時代がかった口調で惜しんだ。彼は演劇部に入っているせいか、そんな話し方をすることが多い。
「……ふううう……」
変な声が秀吉の耳に聞こえた。ん? と立ちどまった彼だが、すぐに風の音だと考えなおして歩き出す。だが、それは風の音などではなかった。
「ふうう」
「だ、誰じゃ!」
今度こそはっきりと声を聞いた秀吉が叫ぶ。風のようにか細くはあるが、間違いなく誰かの「声」だった。秀吉自身が声帯模写を得意とすることからも、聞き間違いようがなかった。
秀吉はあたりを見回した。人通りはやはり彼以外ない。今、彼のいるのは住宅街の真ん中で車どおりすらもない。ただあるのは、住宅に挟まれるように作られた小さな公園だけだった。
その公園は茂みが覆い、遊具の一つもない。おそらく、昼の明るい時間でも子供も遊ぶには来ないだろう。かろうじて、入り口にかすれた文字で「第一公園」と書かれているから、秀吉にも公園だと分かった。
「ふううう」
声はそこからする。秀吉は、ごくりと息をのんだ。少なくとも関わり合いになるのは、良くないだろうと直感的にわかる。しかし、謎の声の正体がなんなのか、公園の外からのぞくらいはかまわないだろうと、彼の好奇心は言っていた。
公園に近づいた秀吉は、さびたフェンス越しに、茂みの中を覗き込んだ。夜だから目を凝らさなければ、良く見えない。秀吉は目を細めて、慎重に公園内を観察する。
「あっ」
と秀吉が驚いたのも無理はなかった。公園内で誰かが倒れている。遠目で良く見えないが、背丈は小さく青いシャツを着た誰かが唸りながら、草の上で動いていた。
「お、おぬし」
秀吉はばっと公園内に入って、その「誰か」に声をかけた。その人影は悪いことに少年のようにもみえたから、秀吉は思わず助けに行ってしまったのだ。だが、それが甘い考えだと彼は思いしることになる。
「おい、大丈夫か、おぬし。しっかりするのじゃ」
秀吉は倒れていた「誰か」――クマ吉を助け起こすと、気付けの為に揺らす。だがクマ吉はげっそりとした顔で「あう、あおう」と言うだけで目は虚ろだった。連日の荒行にさすがに彼も栄養失調になってしまったらしい。
「むう、いかん」
クマ吉の容体を見て、秀吉は唸った。クマ吉は尋常ではない顔色である。種族的に人間ではないのだから、秀吉からみての診断が正しいかどうかはわからないが、それでも苦しげなクマ吉の様子をみて、秀吉は助けを呼ぶことに決めた。
「待っておれ、今助けを呼んでくるのじゃ。それまで気をしっかりともつ……?」
秀吉の肩にクマ吉の手が載った。それで言いかけた秀吉が言葉を飲み込んでしまう。
クマ吉は充血した目で言う。
「え、栄養を取らないと、し、死ぬ」
多少錯乱しているようだが、クマ吉は自分の体のことを良く知っているようだった。秀吉は彼の声にはっとして言った。
「あっそうじゃ。さっきワシの買った焼き芋が……なにをしておる?」
クマ吉はもぞもぞと秀吉のズボンに手をかけていた。訝しげに秀吉はクマ吉に質問する。だが、今のクマ吉は尋常の状態ではない。クマ吉は秀吉のベルトに手をかけて、金具を外した。
「や、やめぬかっ」
なにか不気味なものを感じて、秀吉は逃れようとした。だがその腰にクマ吉はしっかりと抱き着いてさらにズボンを下ろす。中のスパーティーなトランクスが見えたが、それもつかの間、秀吉はお尻にひんやりとした感触を覚えた。
クマ吉は秀吉のズボンとトランクスを彼の太もものあたりまでずりおろしたのだ。錯乱していてもこの手並みはまさに、変態紳士の名をほしいままにしているだけのことはあるだろう。
「お、おぬしい。なにをするかっ」
小さなお尻を地面でこすりながら、秀吉はクマ吉を話そうともがく。だがクマ吉も栄養を取ろうと必死だった。今彼に必要なのはとりあえず「亜鉛」「鉄分」そして「タンパク質」である。それを大量に、かつ良質なものを取るようにクマ吉の体は要求していた。
クマ吉は秀吉の「股」に食らいついた。
「あっう」
秀吉は目をつぶって、ほおを染めた。変な感覚が下半身から湧き上がってくる。それは彼の「大切なところ」がクマ吉の舌に絡め取られたことを意味する。
「お、ぬしなにを?」
涙目で秀吉は言うが、クマ吉はそれこそ生存競争を賭けた戦いである。今栄養を取らなければ、本当に死にそうだった。
クマ吉の舌が動く。加えたものの、先から味わうように音をたてて。
「あっあぁ」
秀吉は不覚に声を上げてしまった。彼の両手はクマ吉の頭に置かれて、必死に引き離そうとしているのだが、どうやってもこのクマは離れそうにない。
じゅる。
舌に唾液を絡ませて、クマ吉は吸う。それで秀吉は、歯を食いしばって声を上げることを耐えなければならなかった。そんなけなげな抵抗もむなしく、クマ吉の舌は踊るように彼の「秘所」を舐めあげる。
一瞬油断した秀吉が、クマ吉から手を放した。すかさずクマ吉の両手が、彼の両手を掴む。ぐっと手首を抑える力は、今の今まで死にかけていたクマのそれとは思えなかった。
「は、はんすのじゃ……あ、ああん」
変なこれを上げる秀吉。彼のピンク色の部分はクマ吉によってぬらされていく。クマ吉は少し歯に力を入れて噛んだ。ううと秀吉はあえぐがどうしようもない。
クマ吉は何も言わずに吸う。そのたびにびくびくと秀吉の股が動いた。彼の顔は紅潮していて、その両手を抑えられている拘束からか、どくどくと心臓が動くのが自分で分かった。
「も、もう。やめっ」
ぐにぐにと動かしながら、吸われながら、舌でなめられる秀吉の「それ」。
「あっ、あぁ、やぅ……っ」
秀吉は嬌声を上げる。勿論彼には性行為の経験などない、今日いきなり覚悟のないままにすべてを捉えられているのだ。しかも逃げることもできない。
「あ、アっ! い、いかっ、いかん」
秀吉は気が付いた、これ以上やられれば、間違いなく――。
クマ吉は舌を這わせて、蛸のように口をすぼめながら「中身」の取り出しにかかった。くちゅくちゅと音が鳴り、秀吉の悲鳴に近い嬌声が上がる。
「く、くうぅう」
しかし、秀吉も簡単には自分の「それ」を渡す気はないらしい。必死に下腹部に力を入れて、クマ吉の思い通りにはならないようにする。だが、クマ吉はクマ吉でそんな抵抗もお構いなしに吸う力を強くする。まるで掃除機で吸われている様だ。
「あっ、だ、だめえぇ」
秀吉はひときわ高い声で拒絶の言葉を吐いた。だが次の瞬間、
「あっあ、あぁああああ」
びくびくと体を揺らしながら、クマ吉の口に下半身を押し付けるように動いて、すっと力なく草むらに倒れこんだ。
「はあ、はあ、はあ」
大粒の涙を溜めこんだ瞳に、夜の月が映る。彼の下半身ではクマ吉が、何かをすする音がし始めていた。栄養を彼はすすっている。クマ吉は秀吉の「あれ」を咥えたまま、甘い蜜を舐めて、吸っている。
「ひっ」
ひときわ大きく、秀吉は体を反らせた。口にたまった涎が、糸を作っている。彼は、腰をクマ吉から離そうとして、くねる。
「ぃぁ」
だがすぐにかわいらしい声を上げて、女の子のように顔に口元に両手を当てて、声を上げた。秀吉の両腕の拘束は解いているが、それでもクマ吉は彼を舌の上で可愛がることをやめない。
先ほど秀吉はクマ吉に蜜を出された、つまり彼は今とても敏感になっている。
「や、やめるのじゃぁ」
必死な嘆願もクマ吉には効果がない。今はタンパク質を取るのに忙しい。秀吉はなんとか身をよじり離れようとするのだが、いかんせん彼の大切な場所がクマ吉という鎖で繋がれている以上は、たっぷりと「出す」しかない。
「ひ、っひい」
さらに吸い込みを強めるクマ吉。一回分では足りないのか、さらに吸い上げようとしていた。それに対抗するすべを秀吉は持ってはいない。ただ哀れにも、意識を繋ぎとめるのに必死になるしかない。
びくびくとまた秀吉の腰が浮く。クマ吉は出てきた「栄養」を残らず腹に収めている。それでもまだ終わらない。花から蜜がでなくなるまで、クマ吉はやめるわけにはいかない。尋常ではないほど消耗しているのだから、少しの補給では心臓とかとまる。
「あ、ふぅぁああ」
女の子のように濡れた瞳で、快感に身をよじる秀吉。彼のむき出しになった下半身は汗でしっとりと濡れている。そんな彼の股をクマ吉は持って、広げる。秀吉はズボンをしたままなので、大して開かないが秀吉にはたまらなかった。
「な、なんでわしが、こ、こんな、ぃひいい」
最後まで言葉を言えずに、クマ吉の吸いこみに艶やかな声を上げる秀吉。はあはあと息の漏れる口からは、涎が垂れて地面に落ちる。そして、また秀吉は吸いだされると感じた。
「い、いやじゃぁ、ゆゆる」
何かに許しを乞う秀吉を咥えたまま、ぐっとクマ吉は吸った。まだ、「蜜」は出てはない。
「あ、ああぁあああああ」
痙攣するように体を弓なりに反らせて、秀吉は草むらの上でよがった。少しして、じゅうち最後の一滴がクマ吉に吸い取られる音を聞きながら、秀吉は気を失った。
最後に見たのは、綺麗な月である。
「というのが、君が昨日したことらしい。幸いかどうかはわからないが、被害者の少年? は詳しいことを覚えていなかったが、近隣の住民が一部始終を見ていたことで通報された」
ほの暗い取調室で年配の刑事は言った。クマ吉は目の前に置かれたかつ丼には手を付けず、反論する。
「お、おかしいよっ。僕が男の子に手を出すはずないじゃない。け、刑事さんならわかってくれるでしょっ」
「まあ、長い付き合いだしな」
ふうと年配の男はため息をついた。それから言う。
「まあ、前科がな。多いから、無理だろう」
「そ、そんなの横暴だよっ、僕が、僕がやるわけないのに!」
クマ吉はそう言ってから言葉を止める。ああと悟ったように、彼は遠くを見る目つきで言った。
「これも、因果なのかもしれないね。僕はただ、しゃぶっただけなのに……」
悲しげな眼でクマ吉は思う。話すたびに何となく昨夜のことを思いだしてきたのだ。確か栗色の髪をした子だったはずだ。顔だけは覚えている。
今度、謝りにいかなければ、顔を頼りに――。
お疲れ様です。