※この作品はR-18です。

クマ吉君の野望【2次創作短編集】   作:堀 吉之助

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この話は他の話とはつながっていません。


バレンタイン! (バカテス 木下優子)

 職人の朝は早い。

 クマ吉は朝三時には厨房へ出て、チョコを刻み始めた。この日の為に練習した包丁捌きは流れるようで彼の前にある板チョコは次々に細かいかけらに代わっていく。クマ吉はそのチョコの欠片たちをボールに入れてから、新しい板チョコを取り出して刻む。

 その作業は実にきめ細やかで、最初と最後での動作に手抜きや倦怠を見ることはできない。チョコを一枚一枚と対するとき、クマ吉は頭にかぶったタオルと体につけたエプロンをそれぞれ曲がったところはないか、手で探ってから刻むので時間はかかる。彼のむき出しの尻には朝の冷気が堪える。裸エプロンである。

 実に二百六十八枚。クマ吉は板チョコを刻み終えたときには、すでに空は暁の時刻。彼はふうと汗をぬぐうと、全長三メートル程度のボールに入ったチョコを見る。

「あとは溶かすだけだね!」

 クマ吉は言うとエプロンとタオルを取り、全裸になった。一糸まとわぬその体はまるで「輝いているようだ!」とクマ吉は口に出して自画自賛する。それでも彼の意思は鉄のように硬かった。もうすぐバレンタインデーだ。チョコを作るのは当たり前である。となれば、もちろんクマ吉とて作らざるを得ない。

「さてと」

 ボールに足をかけて中に滑り込むクマ吉。そしてチョコを抱きしめた。

「僕のぬくもりで、溶けてもいいんだよ!」

 そうクマ吉は人肌ならぬクマ肌で溶かそうとしているのだ。しかし、当たり前の話ではあるがぬくもりとは言っても四十度程度が限界である。それでもクマ吉にはある勝算が合った。いや秘策があった。

 まずは舌である。クマ吉はチョコを食べることないように舐め始めた。それだけで、かなりチョコは溶けやすくなるはずだ。唾液を使った頭脳プレーである。

 もう一つは今日の日付であった。今日は二月一二日。バレンタインまであと二日もあるということは、つまるところその時間全てをチョコを溶かすことに使えるのだ。時間にすれば四八時間、これから寝るのも食事もチョコと一緒だった。

 精神的には拷問である。だが、クマ吉は誓った、必ずこのチョコレートを完成させて、とある野望を実現することを。

 クマ吉はチョコを舐める。職人として、その姿は真剣そのものだった。

 

 二月一四日。

 文月学園。全国でも珍しいシステムを持ったこの学校も、全国の一般にもれず今日は一段と騒がしかった。一応校則としては校内恋愛の禁止をうたってはいるが、そんなことを気にするほど高校生は

「吉井が姫路からチョコをもらってるぞ! 殺せ」

「いや。もう死んでいる……。チョコを奪われまいと口に入れたらしい」

「そうか……まあ、あんな奴でもいい奴だったからな……埋めてやろう。近くのため池の中に」

 廊下を響かせる男子高校生の声に木下優子は目をつぶって、やれやれと肩をすくめた。どこから聞こえてきた声かは知らないが、「吉井」と聞こえてきたことと、女子にチョコをもらったくらいで殺害しようとする短絡さから考えれば「Fクラス」の生徒だろう。

「全く、それを言うなら沈めるでしょうに……」

 優子は不穏な叫び声に対して突っ込むが。冷静にそれをできるのはすでに、精神がそちら側によっているのかもしれない。しかし、彼女は先ほどの男子生徒と同じ、とはいかない。

 Aクラス。学年でもトップクラスの成績を持つ生徒を集めたクラスでも、木下優子は中心になるほどの学力を持っていた。上記したFクラスとは学力だけを見るのならば、天と地以上の差がある。

 優子はそのAクラスの教室にいく為に足を速めた。彼女は世間がバレンタインで浮かれるこの日をそう好ましくは思っていない。単純に言えば、特に好きな人間がいるわけではないので関係がない。好きな「男キャラクター」ならばそれなりにいるが、二次元と三次元の違い程度は分かっている。

「いやになるわね……」

 どこからかチョコレートの甘い匂いがして、優子は顔をしかめる。おそらく後々教師に没収されるのだろうが、学校にそんなものを持ってくること自体が非常識ではないだろうか。そう思い、さらに優子は足を速める。

 そこでふと彼女は立ちどまった。廊下の先をじっと見る。そこには何か人の形をした「なにか」が合った。理科室の横に黒い何かが立っていたのだ。優子は何となくそれに近づいてみた。まさか学校の廊下にあるもので危険なものがあるとは夢にも思わない。

 その形は「クマ吉」にそっくりだった。だが、その体は真っ黒というよりは茶色がかっていて、強烈な匂いを発していた。

「うっ、チョコくさっ」

 優子は腕で顔をかばった。匂いを少しでも和らげようとしたのだ。彼女は匂いに眉を顰めながら、このクマ吉像がなんであるのかを理解した。

「悪趣味なチョコね……」

 じろじろと優子は「チョコ」を見る。おそらく、二年生の誰かしらが作ってきたのだろうと彼女は思った。優子の頭の中には容疑者が何名か存在する。一人は「吉井」である。普通に考えれば、等身大のチョコなぞあるとは思い得ないだろうが、この学校は普通ではない人間が集まっている。

 優子は指でクマ吉チョコをつついてみた。少しだけ震えた気がしたが、気のせいだと優子は流す。そしてだんだんと彼女は指を上げていく。

「えい」

 クマ吉チョコの目に優子の指が突き刺さる。女の子特有の細くてしなやかな指が、刺さる。それからぐりぐりと優子は目を押したり、刺したりした。今朝から怪しげな雰囲気の男女カップルを見たりして、うっぷんがたまっていたのだろう。ストレスがあるからといっても人に辛くは当たれないので、チョコに小さく八つ当たりしてみたのだ。

 優子は指を離してから、チョコに背を向けた。少しだけすっきりした顔をしている。後ろでクマ吉チョコ動く。そして優子の歩くすぐ後ろを付けはじめた。

 なんと意外なことにこのクマ吉チョコはクマ吉本人だったのだ。彼は時間をかけて自らの体にチョコを染み込ませて、チョコそのものになっていた。その目的は女の子が女の子にチョコをあげるという最近はやりの友チョコとして女の子に食べてもらおうという純粋な願いがあったのだ。

 だが、今のクマ吉はそんなことは忘れていた。例え、廊下に立っているからと言ってもクマの形をしているものの目に指を突っ込むなどとは躾がなっていない証拠である。勿論それは木下優子のことだった。

 クマ吉は優子の後ろにピッタリとつくと、彼女のスカートの中に手を入れて一気にパンツをずりおろした。ピンク色の布が鮮やかに優子の太ももを通って足首まで下がる。

「?」

 優子は何が起きたのかわからず、自分の足元を見た。そして、一度顔を上げて、もう一度見る。

「?????」

 足元に引っかかっている布はなんなのだろう、分かっているのに優子はそう思ってしまう。まさかいきなりクマ吉人形が動き出して、自分のパンツを脱がすなどとはだれが想像できるだろうか。

「あっ足あげて」

「えっこ、こう?」

 クマ吉は足を上げてくれた優子にお礼を言って、スルリとパンツを足首から脱がせた。だが、片足から脱げがしただけではまだゲットできない。クマ吉は頼んだ。

「あっもう片方も」

「……」

 反射的に優子は足を上げる。そこからクマ吉は優子のパンツを脱がせて、自分の鼻に両手で当てた。そして吸う。優子は呆然とそれを見ていた。

「フローラル」

「きゃあああ!」

 はっと意識を現実に帰した優子は悲鳴をあげながら、クマ吉に殴りかかった。この学校の女性との手は早い。だが相手がわるかったと言っていいだろう。クマ吉は無事にその頬で正拳突きを受ける。

「ぐふう」

 たたらを踏むクマ吉だが、すぐに体勢を整えてから彼は脱兎のごとく逃げ出した。見事な逃走である。肘の角度も完璧であり、腿はしっかりと上がっている。

「あっ、ちょ」

 優子はその逃げて行く背中に呼びかけようとするが、冷たい廊下の空気がスカートの中に入ってきて、「ひん」と内またになった。そこではっと気が付く。

「ま、まちないさいい」

 あのパンツが無ければノーパンという異常事態である。それもバレンタインデーの日に一人ノーパンとなれば、もう言語に絶するほどわけわからない。優子はそれでスカートを抑えながらクマ吉を追っていく。

 渡り廊下を越え、階段を下り。道行く人になんでもないように装いながら優子はクマ吉を追った。

「はあ、はあ。ど、どこ行ったのよ」

 優子は息を整えながら言う。体が火照っているのは走ったからだが、顔が赤いのはどうしようもない理由だった。それでも今追いかけてあのクマを捕まえなければ、優子の作ってきた「優等生」のイメージすらも瓦解し、変態の称号を戴くことになるかもしれない。

「ちょ、調理室?」

 優子は近くにあった教室のドアの上にあるプレートを読んだ。中は暗いが、ドアが少しだけ開いている。クマ吉はここに逃げたのだと優子は確信した。中からチョコの匂いがすさまじいほどするから簡単に確信できたのだ。

 ここで先ほどよりも「チョコの匂い」が強くなっていることに優子は留意すべきであった。それはこの中にクマ吉以上のチョコ力を持った物があるということだ。

「居るんでしょ! 出てきなさい」

 調理室の中へ入っていく優子。だが、彼女の目の前はいきなり真っ暗になった。激しい金属音が周りでして、一瞬だけ空いた隙間から光が入ってきて、すぐに暗闇の世界になった。

「な、なななんなのよ! うう、チョコの匂いがする」

 テンパリングいやテンパる優子。音が反響しているから狭いところに閉じ込められたことは優子にも分かるが、誰でもいきなりこの状況になれば困惑するだろう。だが、彼女は一人ではなかった。クマ吉もここに居る。

 クマ吉は調理室のドアの後ろに隠れていたのだ。そしてこの「罠」を仕掛けた瞬間に優子の足元に潜り込んで、この密室に閉じ込められたという寸法だった。

 ちなみに罠自体はどこの家にでもある調理器具で作ったものだった。その正体はあのチョコづくりに使ったボールである。つまり、天井に仕掛けておいたボールを優子が真下に来た時に落としたのだ。

このボールは人間とクマがすっぽり入るという大き目の物ではあるが、ボールを置いていない家庭は少ないだろう。

「ぐふふふ」

 反響する気持ち悪い声が聞こえて優子はさっと身を下げる。次の瞬間に彼女のお尻はクマ吉にチョコレート搾り機を突っ込まれる。アナルを冷たくて硬いものに広げられて優子は叫んだ。

「んひい」

 変な声を上げて驚く優子。彼女のお尻を守る筈だったパンツは、すでにクマ吉が穿いている。だから、彼女の中に甘いチョコが音をたてて挿れられた。

「あ、ああ。ななんなのお」

 へなと優子の膝が力を失う。

「ひぎ!」

 妙に力を抜いてしまったことで優子の奥までチョコレート搾り器が挿し込まれてしまった。だから少しだけ引き抜くためにクマ吉は搾り器をぐりぐりと動かす。そしてチョコを流す。

 優子は瞬間的に飛び上った。体が反応したと言っていい、その拍子に搾り器が抜けてしまったので、優子を快感が襲う。しかし、ここから逃げねばという気持ちが彼女を動かした。

「な、なによ、これえ」

 これは何か? と言いながら優子は暗闇を叩く。金属の音と、冷たさがそこにはあった。唯のボールである。しかしそれは優子の力ではそうそう動かせないようなものだ。だからクマ吉が後ろから飛びかかってきたことへ優子は逃げることも避けることもできなかった。

 がっしりとクマ吉に掴まれる、優子の胸。そして揉まれる。

「あっ、い、いい加減にしなさい」

 怒った口調で言う優子だが、背中から抱き着かれてはどうしようもない。それどころか、さらに優子の状況が悪くなる事態が発生することになった。

 クマ吉はチョコを大量に溶かした、その上で体に塗りたくったわけではあるのだが、その程度で二六八枚ものチョコレートが消化できるものだろうか。一つを百五十グラムと仮定すれば約四十キロほどの重量が存在したのだ。

 もちろんクマ吉は物を大切にする男である。たとえチョコの一滴であろうとも無駄にはしない。だから今残りのチョコはサランーンラップで包んで圧縮した上で保存してあった。その場所は優子の真上、つまりボールの底、この空間の天井である。

 重力に従って落ちてこないのかという疑問はあるだろう。むろんその点についてもクマ吉は問題なく対処していた、近くのホームセンターで買ってきたアーロンαの出番である。しっかりとくっついてくれた。

 クマ吉はこの世のすべてに感謝する。これも経済大国日本と言われるまでに精進してきてくれた人々の力が結集してこの状況を作りだすことができたのだ。そして今、クマ吉は全てを解放しようとしていた。

 急に立ち上がったクマ吉は天に向かって拳を突き立てた。そこで柔らかい感触がした後、天井に下がっていたサランーンラップが千切れて、中のチョコを大放出した。黒い濁流がクマ吉と優子を襲う。

「ぐえぶう」

 奇声を上げる優子。暗闇の中からの甘味による奇襲である。口の中に入ってきた味で溶けたチョコだと分かったが、その量は尋常ではない。瞬く間にこのボールの空間をチョコで満たした。

 優子は上も下もわからない。自分が立っているのかもすでにあやふやだった。体中にまとわりつくチョコがぬるぬるして気持ちが悪いという、純粋な感覚だけが残っている。いつの間にかクマ吉によってスカートが脱がされていることなど知る由もない。

「ぐふふふ、げふ、ごふ」

 優子の耳元で何か声がした。それから胸のあたりに違和感を覚えて、チョコの海に沈んでいく。

 

 

 

 優子は今にも泣きだしそうだった。彼女の目の前には、いつもの廊下が続いており。そこをたまに人が通っていく。優子の立っている場所は理科室の前だから最初にクマ吉を見た場所と一緒である。

 そのクマ吉ではあるが、彼女の後ろでその小さなお尻に顔を埋めたまま、動こうとしない。それどころか優子の両手を掴んでいるので下手な抵抗もさせない。クマ吉は今一種の拘束具となっていた。当たり前なのかどうか、その表面はチョコレートで覆われている。

「ひ、ひぐ」

 優子は涙を抑える。今泣いてしまっては絶対にダメだった。なぜならば、彼女はパンツ以外は何も着ておらずにこの廊下に立っているのだから。

 あのチョコ塗れの世界から目を覚ましたあと、優子はここに立っていた。それからみじろぐこともできずにいた。

力任せにクマ吉を張り飛ばさない理由はある。彼女もまた、クマ吉同様体をチョコによってコーティングされているからだ。だから彼女の起伏の薄い体も通りかかる生徒にはチョコと映るのだった。つまるところ、優子は裸で廊下に立ってはいるが、人には認識されていない。他の学校ならばそうは行くまいが、この学校は校内で「女装した男の子」の写真が裏取引されるなど、普通の学校ではない。

 ちなみにパンツはクマ吉が穿かせたものである。それの代わりに優子の制服もブラジャーも何もかも取ったのだから、これは純然たる等価交換である。加えてパンツにもしっかりとチョコが浸透している。

 優子は焦っていた。さっきから何人かが通っては「変なチョコ」などとコメントを残していく。むろん優子の裸体はチョコ色とはいえ見られている。羞恥と屈辱で優子は心臓が破裂しそうだった。

 しかし、これはお仕置きである。例え、不純な理由であろうともチョコを体に塗りたくっただけのクマ吉の眼に指を入れていいものだろうか。いや、いけない。だから優子は今クマ吉の気持ちになって、罰を受けねばならなかった。

「い、ぁ」

 優子は小さく唸る。両手を捕まえられているから、胸を隠すこともできない。辛うじて下半身はパンツがあるが、何故か彼女の恥丘の下までずり下げられており、ぎりぎり秘所が見えない程度になっている。

「おい、秀吉のチョコがあるぞ」

「なに?」

 男子学生が二人優子に近づいてきた。秀吉と言うのは、優子の双子の弟の名前である。

(ど、どっかいきなさいよお)

 優子は切に思う。見ればFクラスっぽい顔をした二人の学生は優子の体をしげしげと眺めている。彼らは「うーむ」と美術品を眺めるように唸る。それから一人が言った。

「秀吉っかわいいよな。でもこのチョコはバレンタインのだから。誰か男に舐められるんだろ。て言うことは俺達が舐めても、いい?」

「いい!」

(えっ? な、えっ?)

 二人の男子生徒の会話を聞いて優子はこの二人が「Fクラス」だと確信した。だが、今の彼女にはどうすることもできない。そもそも裸体を見られたというのに「弟」と間違えられたというどうしようもない敗北感すらある。

 手始めに、いや舌初めに男子生徒二人は腋を舐め始めた。胸とかではないところが彼らの才能を思わせる。それからクマ吉も優子の尻を舐める。

 (ん、あっ。くすぐったい)

 動いてはいけない。優子は腋を舐められながら、歯を食いしばった。唇を動かすわけにも行かないので、それが精一杯である。

「秀吉ぃ……」

 男子生徒は知り合いの男子生徒の姿を想像しながら舐める。優子はこみあげてくる怒りにぶん殴りたくなったが、今動いてしまっては全てが無駄になってしまうのだ。なんとか耐えた。それが泥沼の思考だとは彼女も気が付かない。

 優子の胸が舐められる。さすがに声をあげそうになるが、優子はわずかに身じろぎしただけで耐え抜いた。だが、その動きで男子生徒の一人が疑問を口にした。

「甘さ……控えめ?」

 流石はFクラスである。優子のわずかな動きから出てきた疑問は現在に全く関係ない、もはや疑問と言うよりは愚問であろう。

 それでも二人の学生は優子の胸を先っぽから口に咥えて吸い始めた。胸はチョコ味ではあるが、人の肌なのだから気が付いてもよさそうだが、胸を吸っている時に男子生徒達は思考することができない。

「ぁ……」

 声を上げて優子はしまったと思う。すでに顔は赤いはずなのだが、チョコの色で見れない。舐められたところはわずかに肌色を露出しているのだが、阿保二人は全く気付く気配がなかった。それでも優子の胸を吸いながら一人が言う。

「秀吉ぃ……おいしいよぉ」

 (き、きもちわるいぃい)

 生理的にも精神的にも優子はダメージを受けた。そもそも秀吉はいわゆる男子である。つまりこの二人は男子の胸を舐めて吸って「おいしいよぉ」などとのたまっているのだ。しかし、優子はそれでも乳首を舐められて「ぅ」と反応する。

 そこにクマ吉が寒いからとパンツに手を入れてきたのだ。それによって優子の両手は解放されたが、だからと言って動くわけにはいかない。

 パンツの中をまさぐるクマ吉。耐える優子。

 男子生徒達はさらに口をすぼめて優子を吸う。しかも彼らはさきほどより「木下優子」については全く言及しない。あくまで彼らが舐めているのは「木下秀吉」なのだ。

 優子のこしが動く。尻を舐められながら、両胸を吸われながら、パンツの中で指に苛められながらチョコに塗れる。という摩訶不思議なこの状況である。

 (あ、あふうう、こ、このままじゃ。わ、わやし)

 私ではなくわやしなどという一人称を開発した優子は、ここで打開の策を考えた。それは一瞬だけ動いて男子生徒の両首筋の手刀を放ち、気絶させた上で逃走を図るという、武闘派ものだった。しかし、その策も実行されることはない。

「おお、やってるやってる」

 と四人ほどFクラスの仲間たちが現れたからだった。そのうちの一人が「やってる」などとは言っているが状況を飲み込んだ上で言っているのではなく、ノリで言っているのだから性質が悪い。

 最初の二人はそれに反応すらせず、胸をきつく吸う。それで優子は叫びそうになるが、耐える。その間に新しい四人が彼女を取り巻いて、太ももから腕まで思い思いに舐め始めた。

 (あっ、ひ、だめ)

 男の子達の舌が肌を舐めるたび、優子はピリッとした快感を得ることになってしまう。それでも動くことがないのは意地だろうか、我慢強いのだろうか。それは彼女自身にもわからない。 

 クマ吉が指を彼女の膣の中に入れた。

「ぴっ」

 小鳥のように鳴く優子。だが、クマ吉はぐりぐりと中をかきまぜるように指を動かす。その動きはコンマ数ミリの動きで、男の達には悟ることができない。彼らは口々に言う。

「……秀吉の体って甘いんだなあ」

「秀吉ぃ」

「かわいいよお」

 全員秀吉のことしか言わない。この極限的な状況の中で優子はこの連中と同じクラスにいる、実の弟のことが心配になってきた。いつか襲われて帰ってくるのではないだろうか、とぼんやりと思う。勿論ただの現実逃避で、現実に襲われているのは優子だ。

「なあ、こん中はどうなっているんだろうな」

 男の子の一人が、優子のパンツに手をかけた。彼らは秀吉だと思っているはずなのだが、彼女が女の子のパンツをはいていることに何ら疑問を感じることがないらしい。それでいながら「どうなっている」のかとはどういうことなのだろうか。一応秀吉も男なのだから、彼らと変わらないはずなのだけれど、男の子達は未知の領域を臨む顔をしていた。

それで優子は心の中で焦った。

(う、嘘でしょ)

 往来で下半身を晒す。これほど恥ずかしいことはあるまい、優子はなんとかしてやめさせようとしたが「体を動かしてはいけない」という縛りの中ではどうしようもなかった。男の子は一気にずり下げようとする。

 その手を、他の男の達が掴んだ。思いっきり力を込めて。

「み、みんな」

「ダメだ、ここは、俺達の触れちゃいけないところなんだ」

 男の達は真剣な表情で言う。優子は目の前で起こっていることの訳は分からないが、とりあえず脱がされなさそうなので安堵した。だが、その彼女の腋に男の達が手を入れて、くるりとひっくり返した。理科室の壁に手をつく格好になる。

 パンツをずりおろされる優子。勿論前は見えないように絶妙な位置で止めて、お尻だけをむき出しにされる。優子の目の前にはいつの間にか立ち上がったクマ吉がいた。だが彼はしゃべらない。僧侶のように静かに笑っている、涎をは愛嬌だ。

「俺達は、ここで我慢しようぜ」

(???????????)

 優子の思考は限界を越えそうになった。何故尻を丸出しにして、男の子達に向けているのか理解できない。しかし、それに対する答えは優子の中にあった。

 

――飲み込んでよ、僕のエクスカリパー

 

 あるマンガの一場面が優子の脳内をよぎった。彼女の好きなBL本のワンシーンである。そこで彼女ははっと気が付く、男の同士のセックスとはお尻の穴を使うものなのだ。普通に考えればなまなましい話なのだが、優子のような女の子にはそれがとてもいい。

 自分がされるのでなければ、の話であるが。つまり男の子達は自分を秀吉と間違えたまま、行為に及ぼうとしてるのだ、とは言っても彼らとて悪気があるわけではない。優子はただの「等身大秀吉チョコ」にしか見えていないからだ。チョコに何かを挿し込んだところで何の犯罪になるであろう。いや、ならない。

(い、いやああ)

 唇を噛んで悲鳴を押し殺す優子ではあるが、男の子達は容赦がなかった。むろん男の子と言えば、クマ吉もそれに該当する。彼はさっきからずっと後ろにいて優子を弄っていたのだが、先に書いたとおり今は優子が後ろを向いたことで向き合う形になっていた。

「よいしょ」

 クマ吉は指で優子のパンツを引っ張ると、そこに自分のペニスを挿しいれた。すでに濡れていた彼女の秘部が、小さく粘液を出してそれを受け入れる。

「ぎっ」

 優子は叫びそうになる。だが、最後の理性を持って耐え忍んだ。そこに男の子その一が自分のペニスを優子のお尻に入れ込んだ。

「ぁうぅ」

 優子は今度こそ体を弓なりに反らして嬌声を上げる。それでもチョコに興奮している男の子達は自分の番を待つために、ベルトを緩めることに忙しい。ここは廊下の真ん中だとは彼らも忘れているのだろう。

優子は立ったまま、前と後ろを「栓」をされることになる。

 後ろの「栓」が動いた。

(あぁあああ)

 優子は前に押し出される、それだけでクマ吉が彼女の奥を突く形になった。優子の下半身は彼女の意思とは関係なく責められてしまう。それでも優子は最後の意地を振り絞って声をかみ殺した。

 我慢できなくなった男の達は優子の体を舐め始める。先ほどよりも舌を伸ばして、体中を舐める。この後に及んで「ひでよすぃ」と言うのだから筋が入っている。滑舌も良くなっていた。

 哀れなのは優子である。前から後ろから責められて、体を舐められるのに声一つ上げることを許されない。前からとは言ったがクマ吉自体は動いてはいない。

 優子のパンツがぐしょぐしょになって行く。彼女の意思とは関係なく、出てくる愛液がそのシミを増やしていくのだ。涙目で唇を噛みながら優子は耐える。仕方ないのでクマ吉は彼女の胸を前から揉んであげた。嬉しいのか優子はびくびくと震えて、舌をちょっとだけ出す。

「だ、だすぞい」

 秀吉みたいな口調で、アナルにペニスを挿し込んだ男の子が言う。それから一度痙攣して、優子の中に子種を出した。それからゆっくりとぬく。

「お、おわった……」

 荒い息を吐きながら、優子は言う。しかし、残りは五人。次の男の子が優子のアナルにさし入れた。それで、さらにクマ吉を優子はうけいれざるを得なかった。

「ひ、ひうぅ」

 優子は体を震わせる、それからできるだけ小さく噛み砕いた声を上げた。さっき彼女の中に「出した」男のは賢者の顔を一瞬だけ見せてから優子を舐め始める。これはローテーションである。

(い、いつおわるのおぉお)

 優子というチョコはこれから七回分の快楽を味わいかつ、味わわれることになる。最後にはチョコは綺麗になめとられ、ほぼ全裸のまま理科室でクマ吉に赤ちゃん抱っこでその秘所を綺麗にされた。

 

 

クマ吉は優子を保健室で寝かせたあと、当初の目的通り体にチョコを付けたまま教室へ侵入し、猥褻物陳列罪で捕獲されることになる。その時クマ吉は言った。

「ハッピーバレンタインデーというけれど、僕はただ悦んでほしかっただけなのさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




論語を読みながら考えた話がこれなのです。
今日に間に合ってよかった。

次は藤原妹紅(東方) を書きたい気がします。好きな方は挙手!
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