クマ吉君の野望【2次創作短編集】 作:堀 吉之助
妹紅は女の言葉です。あらかじめ、ご了承を。
登場人物紹介 ――クマ吉衛門とのぴ太の物語
クマ吉衛門
未来から何となくやってきた、クマ吉型クマ吉。オリジナルクマ吉に比べて比較的理性的なしゃべり方をする。ただし、根幹は大体一緒である。四次元ナップサックと本家ドラえもんと同じ道具を持つ。いちいち「衛門」をかくのがめんどいのでクマ吉である。
のぴ太
のび太ではない。近くに住んでいる女の子(間桐桜)に良く苛められているが悦んでもいる。ただし彼女のことを影でブタゴリアンと呼んでいる。基本的に紳士。ひみつ道具をエロいことに使おうとする。
「クマ吉えもーん。またブタゴリアンに苛められたよー」
のぴ太はがらりと襖を開けて、部屋に飛び込んできた。ちょうど女の子をかたどったフィギュアの服を剥ぐ作業をしていたクマ吉は驚いて彼を見る。こんな神経を使う作業をしている時に、邪魔をしてほしくはなかったのだ。
「ええ、またかい! 今日だけで3回目じゃないか。今朝から入っては出て行っていい加減にしてよのぴ太君!」
「し、しかたないじゃないか。やられたままじゃ悔しいから。ひみつ道具を借りたらすぐに復讐に行っているだけだよっ」
「もう、道具が三つともなくなってるんじゃないか……復讐に行くたびに奪われるから、本当にお金がかかるんだよ」
「え、ええ? なんで僕がひみつ道具が奪われたって思うのさ。先の二回は確かにそのとおりだけどっ。今回はまだ何も言っていないじゃないか!
「だってのぴ太君、なにも着ていないし……」
「…………まいったね」
全裸ののぴ太は畳に腰を下ろした。直に畳にお尻を降ろしたから、ひんやりしていてきもちがよかった。その点で言えばクマ吉も同様であった。
「でも、クマ吉衛門もなにも着ていないじゃないか!」
「ち、違うんだよ。これは」
裸で弁解するクマ吉。だが、彼は全裸ではなかった、ちゃんと靴下だけは穿いている。その点で言えば、礼節にうるさい彼のことである。
裸で向かい合う二人。別に相談したわけではないはずなのだが、お互い隠すことのない関係を完全に体現していた。クマ吉はフィギュアを畳の上に置いて、ふうと息を吐いた。それが少しだけのぴ太の体に当たって、彼がぶるると体を震わせる。
のぴ太は両手で乳首を隠し、下を隠すことなく言った。
「クマ吉衛門。女の子も裸になってくれたらいいのにね。おっぱいが揉みたいよ」
正直な気持ちを率直に言うのぴ太。彼の言葉には一切の装飾もなければ、嘘と言われるようなものもない。
「たしかにそうだけど……のぴ太君」
のぴ太の言葉にクマ吉は反論できなかった、完璧な理論には雑言など吐いても無駄だと彼は知っていたからだ。そこでクマ吉は思いついたように、近くにあった四次元ナップサックを引き寄せた。その中にクマ吉は手を入れて、ごそごそと何かを探す。
「あ、あった」
クマ吉はテヘペロッと舌を出して、ナップサックの中から手をあげた。その手には白い何かが掴まれていた。
「Yローウ。ぐふふふ」
クマ吉が持っていたのは、股の別れた蝋燭だった。その名の通り「Y」の形をしている。のぴ太は何のひみつ道具かはわからなかったが、どう転んでもエロいことにあたるのだろうと、目を輝かせた。
「クマ吉衛門、なーにそれ?」
「ぐふふ。説明するより使ってみるのが一番さっ」
クマ吉はさらにナップサックから巨大なドアを取り出した。おなじみ、「どこでもドア」である。ピンク色のドアはそれを開くときに行きたい場所を思い浮かべれば、どこへでも行くことのできるというひみつ道具だ・
「さあ、行くよのぴ太君。野外観察だよつ」
「うん、どらえも……クマ吉衛門」
クマ吉がドアを開いて、のぴ太は後からついていく。二人のむき出しのお尻を隠すものは、なにもない。
鼻歌をお供に竹林を歩く。
藤原妹紅は指で挟んだ笹の葉をくるくるとまわしながら、かさかさと小気味よく地面を鳴らす。それに合わせるように、竹林が風に揺れてさあとざわめく。音が満ちているはずなのに、静かだと妹紅は感じた。
妹紅は白のブラウスの肩から赤い大き目なズボンをサスペンダーで吊っている少女だった。ただ、その髪は白く彼女の膝裏まで届きそうなほど長い。それでもうっすらと竹の陰から降りる木洩れ日が彼女の髪を美しく映えさせていた。頭の後ろで留めたリボンも可愛らしい。だが、もちろん妹紅はただの少女ではない。
藤原妹紅が生まれたのは、現代で言う平安時代だった。かの「かぐや姫」を実際に見た、生き証人である。詳しくは省くが、その因縁から彼女は不老不死の身になってしまい、平安時代から千年以上を数える現代に生き続けてしまったのだ。
不老不死になってしまった、というのは妹紅のありのままの感情だった。古来より多くの人々が望み、求め、手に入れることができなかったそれを妹紅は手に入れてしまったことにより、死ねなくなってしまったのだ。
そのことにより、多くの苦難を得た妹紅である。時には死ぬ方がましであると思ったことも何度もあった。それでも、死ぬこともできずにさまよい続けてこの幻想郷に行きついたのだった。
そこで因縁の「かぐや姫」とも再会して一悶着があり、外の世界とは違って異能の者や異形の者がごろごろしているこの世界で妹紅は生き方について悟るところもあったのだろう、今ではそれなりに楽しく暮らしていた。
この竹林での散歩もその一つである。たまに迷った里の人間がいれば、出口に案内してやることもある。要するに人助けを妹紅はしているのだ。しかし、今日はひとっこひとりいそうにはない。
それでも妹紅の人生は長いのだから、彼女はあまり気にしない。彼女は笹の葉がひらりひらり落ちてくる竹林の中の散歩を続けるだけなのだから。
「あっ」
妹紅はいきなり声を上げた。なぜならいきなり彼女の前にピンク色のドアが現れたからだ。そのドアががちゃりと相手、変質者が二人出てくる。一方は人間ですらない。裸のクマだった。
「ああ??」
妹紅はいきなり全裸と靴下だけ穿いた男達が現れて素っ頓狂な声を上げた。長年生きてきた彼女でも現在の状況が良くわからないのだ。
「く、クマ吉衛門、ひ、人がいるよ恥ずかしい」
のぴ太は両手で胸を隠す。下を隠す理由は特になかった。その点で言えば、クマ吉の方が潔い。彼は妹紅を見るやいなや、胸を張って全てを曝け出した。隠すということは、何かしらやましいことがあることの証左である。だから彼は隠さない。
「ちょっとだけだよっ」
クマ吉は両手を腰に当てて、妹紅に言う。ちょっとどころか大盛りの状況に妹紅は口をあんぐり開けて、驚くべきか、怒るべきか、恥ずかしがるべきかがわからず混乱していた。指から力が抜けて、持っていた笹の葉が落ちていく。
それでもこの異常な状況で妹紅はなんとか声を出した。
「ま、前を隠しなさいっ! へ、変態共!!」
「ち、ちがうよ。僕は変態じゃないよ」とクマ吉。
「そうだよ、変態だとしても」とのぴ太。
クマ吉とのぴ太は声を合わせる。
「変態と言う名の紳士だよ!」
「……????」
理解できない状況に、わけのわからない言葉をブレンドされて、妹紅はどんな言葉を言うべきなのかさっぱりわからなくなってしまった。彼女はとりあえず、顔を背けて額に手をあてて考え込んでしまった。
(な、なんなのこいつら)
妹紅は自らの記憶の中にも存在しない珍奇な状況を打開しようと、考える。裏を返せばクマ吉達ほどの逸材は千年生まれなかったということになるのかもしれない。だが、別に生まれる必要はないだろう。生産性自体は存在しないのだから。
「ま、まあ。裸になるのも人それぞれだしね……」
変なことを言う妹紅。考えすぎてねじれてしまった答えは、クマ吉とのぴ太を容認する言葉になってしまっていた。それで変態二人は勢いづいてしまう。のぴ太は妹紅の右側に、クマ吉は左側に素早く移動して、サスペンダーの留め金をさっと外した。
ぱさっとズボンが妹紅の腰から落ちて、中に着ていたドロワースが露わになってしまう。それで妹紅は何が起こったのかわからず呆けてしまった。いきなり変質者が現れて、いきなりサスペンダーが取られたのだ。理解できる方がおかしいのかもしれない。
ゆっくりと下を見る妹紅。そこにはずりおちたズボンと露わになった下着が見えた。妹紅の顔にゆっくりと赤みがさして、それからびきびきと額に筋が奔った。恥ずかしいこともあるのだが、それよりもこの変態共に対する怒りが勝った。
妹紅の両手が素早く、クマ吉とのぴ太の首を捕えた。ぐっと妹紅が力を入れると、のぴ太は悲鳴を上げ、クマ吉は「も、もっと」という。後者の方は明らかにプレイ的な何かになっているのだが、妹紅としてもそんなことを気にしている理由はなかった。
「なん、のつもり、かしら」
言葉が途切れるのは怒りからだった。意識していないと、のぴ太とクマ吉の喉を潰してしまいかねないのだ。しかし、一応二人が苦しむ程度にその両首に力を入れた。妹紅は細腕とはいえ、この幻想郷の中ではあまり見かけについては強さの基準にはならない。
首を絞められて青くなっているのぴ太とは違い、何故か余裕があるクマ吉がそれにこたえる。彼は涎を垂らして、どこか嬉しそうにしている。
「た、ただ僕たちはおっぱいが見たいだけなんだ……」
「ああ?」
妹紅の眼光が鋭くなる。ギラリと光る、その瞳が真っ直ぐクマ吉を見た。彼女の頬がぴくぴくと動くのは、怒っている証拠であろう。それはクマ吉にもわかっていた。だが、正直に言ったのに怒られるのは良くないことだと思った。彼のアメリカの初代大統領であるワシントンも、斧で父親の桜を斬り倒し、後で泣いて謝るくらいのことで許されたのだ。
クマ吉は口を開けた、そこからぶはあと息を吐く。それが全て妹紅の顔にかかる。
「うう! ぎょ、餃子」
何か言いながら妹紅は二人から手を離して後ろへ下がった。解放されたクマ吉もさっと一歩下がり、酸欠になっているのぴ太はその場で崩れ落ちた。顔は紫色になっている。それでもクマ吉は一秒が惜しかった。妹紅に体勢を立て直されればもうどうしようもない。口の中のフローラルな香りは二度と使えないだろう。のぴ太などにかまっている時間はない。
「このためにお昼は餃子だったんだよっ」
幻想郷に来ること自体は気まぐれ、妹紅と会ったのも偶然なのだが、クマ吉にとっては計算済みだったのだ。別名行き当たりばったりという。それでも妹紅の怒りを増幅させるには十分すぎる。
――炙る。死なない程度に!
妹紅は炎の力を手に集中させた。妹紅は炎を操ることができる。これは能力というよりは、長い人生の中で手に入れた技能の一つだといってよい。だがクマ吉とて、人生経験の上では負けてはいない、いままでに常人では到達できない珍奇な場面に幾度となく遭遇、いや創出してきたのだ。
「はい」
クマ吉は無造作に妹紅に何かを手渡した。先ほど四次元ナップサックから取り出した蝋のひみつ道具「Yロウ」であった。不意を突かれたのとどう見ても危険物に見えないこともあって妹紅はそれを手に取ってしまった。
「な、なによ。こんな……も……の」
Yロウを持った妹紅の語尾が弱くなって行く。彼女はごくりと唾を飲んで、手に持った蝋細工をまじまじと見た。傍からみれば、単なるゴミにしか見ない。しかし、妹紅はそれを両手で包んで、胸に押し付けた。
「こ、こんなものをもらっていいの? こ、高価なものでしょう?」
「確かにそうだけれど、涙を惜しんであげるよ」
「あありがとう」
きゅっと胸にYロウを抱きしめながら、妹紅は喜ぶ。そうこうしているうちにのぴ太が起き上ってきた。彼はなんで妹紅がゴミみたいなものをもらって喜んでいるのかわからなかったが、さっきまでしゃべっていた死んだおじいさんに会いに行きたくはないので黙っている。
妹紅はそんなのぴ太を気にすることも、クマ吉を気にすることもせずに片手でズボンを上げて、器用にサスペンダーで片方ずつ留める。もう片方の手にはYロウを大事に握っていた。あんなことをされたのにもう怒っているわけではなさそうだった。
もちろん「Yロウ」はひみつ道具としてある効力を持っていた。
Yロウ、ワイロウ、ワイロ、賄賂。そう、この道具はもらった人が、それをとても高価なものだと勘違いしてしまう道具なのだ。むろん賄賂には最適である。しかし、こんなものを未来デパートがなにを目的で売っているのだろうか、現代人には理解できない。
ちなみにYロウにはもう一つの特性があった。
「お、お姉さん」
「な、にかしら」
クマ吉の問いかけに妹紅はYロウを抱えたまま答える。もう返さないぞとその身で示していた。だが、どちらかというとクマ吉には「その身」がほしい。それもちゃんとラッピングされた状態でだ。
クマ吉はあるものを妹紅の前に広げながら言う。全裸でも肩から掛けた四次元ナップサックは便利なものである。その中にはひみつ道具はしかり、他のグッズもいろいろと入っている。今度クマ吉の出した「衣服」もその一つだ。
「こ、このただの体操服とブゥルマァを着てほしいんだ。勿論、裸の上からでお願いします。あの茂みで着替えてくるといいよ。絶対のぞかないから!」
クマ吉が持っているのは、日本全国の学校で使われている女子用体操服とブルマだった。後者はすでにほぼ廃止になっているはずなのだが、クマ吉にかかれば調達は容易だった。
「う、うーん」
ちらちらとクマ吉の持っている物と、Yロウを見比べる妹紅。要するにクマ吉は今きている物を全て脱いで、その上から体操服に着替えてくれと言っているわけである。裸エプロンならぬ、裸体操服というわけではあるが、尋常な精神ならば一考にすら値しない要請だろう。現に黙っているのぴ太も「そ、そんなことしてくれるわけないじゃないか、馬鹿だなあクマ吉」と思った。
「は、恥ずかしいけど、こ、こんなものをもらったからには仕方ないわね……」
(さっすがクマ吉衛門! 僕は疑ったことないからね!)
あっさり快諾する妹紅。あっさり手のひらを返すのぴ太。クマ吉はぐふふふと笑っている。
Yロウの隠された能力は、それをもらった人物は一つだけいうことを聞いてくれるとものだ。本当になんで市販されているのだろう。
クマ吉とのぴ太は体操座りで耳を澄ませている。彼らの目の前にある茂みの奥からは、わずかな衣擦れの音が聞こえてくる。クマ吉とのぴ太は覗きをしないとは言ったが、音を拾うことについてはなにも言ってはいない。
「女の子が、脱いでいる……」
涙目でのぴ太が言う。なんでかは本人にもわからないが、涙があふれて止まらないのだ。その点で言えばクマ吉は泰然自若としていた、下手にしゃべって音を聞き洩らせば万世の不覚である。
「あ、あの」
「「はい!」」
茂みの中から妹紅が問いかけると、クマ吉達は元気よく答えた。それで一瞬茂みの中の妹紅も黙ってしまったが、咳払いして続ける。
「なんだか、これ小さいんだけど」
「「大丈夫です」」
「い、いや大丈夫って。ま、まあ着れないことはないけど、その、……くいこ……む」
恥ずかしげに言う妹紅の声に、クマ吉とのぴ太は嬉しすぎて呼吸不全になりかけた。だが、すんでのところで正気に戻る。まだ死ぬわけにはいかないのだ。
ごそごそと茂みが動く。それは中の妹紅が動いているのだ、彼女は着替え終わったことはさっきの会話からクマ吉達にもわかった。
妹紅が出てくる。白い髪をなびかせる彼女の上半身は体操服に包まれていた。彼女は胸元のあたりをつまんで、くいっと引いている。それは裸の上から、白くてしかも薄い体操服を着ているから、透けないようにしているのだ。妹紅の顔は少し赤い。
そして下半身は今は亡き紺のブルマを穿いていた。運動性を追求するために、白い太ももが露わになるその姿にクマ吉も感極まって泣き始めた。しかも、このブルマは妹紅の細い体にしても少しサイズが小さいらしく、妹紅はもじもじと腿をすり合わせる。クマ吉達からは見えないがブルマがお尻に食い込んでいて、そのラインがくっきりとしている。ちなみにはだしである。
「やっぱり、これ……ちょっと、ち、ちいさい」
妹紅は胸が見えないように、体操服を引っ張りながら言う。それと股のところがきついのか、指でなおす。クマ吉は完璧だと思った。もう溶けてしまいたいくらいである。のぴ太に至っては今が現実だとは思えず、ふらふらと妹紅に近寄る。
のぴ太が両手を前にだして妹紅の両胸を掴む。そのまま素早く揉む。
「きゃ、きゃあ!?」
「……の、のぴ太君!?」
のぴ太には外界の声など聞こえない。唯体操服、一枚を隔てて伝わってくる柔らかさが彼の至福だった。しかし、やられた方の妹紅はたまったものではない、彼女は思わずのぴ太にビンタを食らわした。
ぱんと竹林に音が響いて、倒るのぴ太。そこに素早くクマ吉が近寄る。彼はのぴ太の頭に手を差し伸べて言う。
「し、しっかりしてよのぴ太君」
「く、クマ吉衛門。や、柔らかいよ? 僕は、やわらかいんだ」
朦朧とした意識の中で、変なことを言うのぴ太。嬉しさと興奮で彼は論理ではなく、感情をそのまま言語化している。彼の目元にはきらりと光る一筋の涙があった。
クマ吉は妹紅に抗議する。
「も、もうひどいじゃないか。のぴ太君がただおっぱいを揉んだくらいでびんたするなんて。僕にもしてよっ」
「く、くらいって。……えっ? して?」
妹紅はクマ吉の言葉が理解できなかった。何故クマ吉は自分にビンタをしてくれと懇願しているのだろうが。しかし、クマ吉の行動原理を藤原妹紅が理解できることはついにない、それは今から起こる全てのことが、彼女の意識を刈り取ってしまうからだ。
クマ吉は怒りに燃えた。親友をこんなにされて怒らない者はいないのだ。もうまともに話しもできそうにないではないか。完全に妹紅のせいではないが、妹紅が悪いとクマ吉は結論づけた。
彼は四次元ナップサックをごそこそとあさくった。そして彼は二本の瓶を取り出す。か片方は何か飴玉のようなものが大量に入っていて、もう片方は液体が入っている。
「グレードアップ液とサンタインんー」
高らかにひみつ道具の名前を言うクマ吉。そこにのぴ太が起き上って聞く。タイムラグのほとんどないその挙動に思わず妹紅はびくっと体を震わせた。
「それなーに? クマ吉衛門」
「ぐふふふ、これはねまずはこのグレードアップ液を」
と言いつつ液体の入った瓶をもう一つの飴のような者の入った瓶にかける。見た目に変化はない。しかしそこには厳然とした効果がある。それは道具の保有者であるクマ吉にはわかった。彼はっそうしてからのぴ太にいきなり、グレードアップ液を吹きかけた。
「うわっ、なにをするんだよ。クマの字。我は帝王なるぞ、ち、力があふれてうおおおおお!」
筋肉が膨れ上がり、のぴ太の肉体は見る見るうちに巨大化した。熱い胸板に筋肉で盛り上がったそれはまさに肉体美と言ってよい。のぴ太は自らの変貌した体に驚きつつ言う。その顔は頬骨が浮き出てはいるが、鋭い目つきと腰にそびえたった「もの」が男を主張している。妹紅はあんぐりと口を開けてみている、言葉など浮かばない。
「ふう、クマの字。これはどういうことだ」
「ぐふふふ、グレードアップ液はかけたものを強制的にランクアップさせる力があるのさっ」
「なるほど、だから我もこのようなたくましい姿になったというわけだな、時にクマの字」
「なんだいっのぴ太君」
「我は戻れるのか?」
「それは安心してよっ、一時間後には元通りさっ」
ふむとのぴ太は顎に手を置いた。クマ吉はそれを見届けると、自分にもグレードアップ液を掛ける。彼もまた、体中の筋肉と言う筋肉が膨れ上がり、たちまち大男ならぬ大熊に変貌した。彼の「男のシンボル」もまた、巨大化する。妹紅はさすがに恥ずかしくなって顔を背けた。
大きくなったクマ吉はのぴ太と熱い抱擁を交わす。
「大きくなったねのぴ太君」
「クマの字、貴殿のおかげよ」
しばらく見つめ合った二人はクルリと妹紅の方を向いた。妹紅はびくっと飛び上る。だが、そのパワーアップ下である二人が恐ろしいわけではなかった。なぜなら彼女は千年以上戦い抜いた知恵と技術があるからだ。
「こ、こんなゴミみたいなものを渡してっ。け、喧嘩なら買うわよっ」
Yロウを投げつける妹紅。いい加減にそれの催眠も切れたらしい。元々「一つなんでもやってくれる道具」なので体操服を着てくれた時点でYロウの効果は薄れていたのだ。だが、妹紅が気が付いた時には遅かったすでに、次にひみつ道具は出ているだ。
クマ吉は飴玉のような物の入った瓶から二粒取り出して、片方をのぴ太に与えた。のぴ太はその薬の効力を聞くこともせず、無造作に口の中に放り込む。これが絶対的な信頼関係というのだろう、男の友情に説明など無粋である。そしてクマ吉も飴のようなものを飲んだ。
「こ、今度はなにをしようってのよ」
どこか怯えながら妹紅は言う。彼女は信じられないものを見た。いや「見れなかった」。
いつの間にか、クマ吉達はいなくなっていた。妹紅ははっとしてあたりを見回すが、どこにも見当たらない。
「……」
訝しく思う妹紅だが、あの二人がそう簡単にいなくなるとは思えない。だから、警戒を緩めずに彼らのいたところまで、恐る恐る近づいた。そこには何故か大きな水たまりがあるだけで、二人の姿はない。
それがすでに術中なのである。二つ目のひみつ道具である、サンタインの効果は一粒飲めば液体になり、二粒飲めば気体になる。そして二人は「グレードアップした」サンタインを一粒飲んだのだ。
妹紅の足に水が絡みついた、
「えっ」
ぐいっと引っ張られて、妹紅が水たまりに膝をつく。何故こけたのかわからない妹紅は起き上ろうとして、その手にも水が絡みついていることに気が付いた。
「な、なによっ、これ」
あわててもがくが遅い、脚から腕から蛇のように絡みついた水が、一方はすっと彼女の体操服の中に潜り込んだもう片方は、ブルマの中へ。そしてその次の瞬間である。
妹紅の両胸が掴まれた。
「!」
妹紅が見ると、くっきりと体操服に彼女の両胸を掴んだ手が見えた。しかも外からではない。その手は中にあるのだ。さしもの妹紅もわけがわからず、あわてて体操服を脱ごうとする。だが、もう遅かった。
両手が妹紅の胸を揉み始めた。わしわしとはげしく、こねるようにして。
「あぐっ、この」
妹紅はなんとか反抗しようとするのだが、彼女は忘れていた。ブルマにも入って行ったものがいるのだ。それはまるでグミのような弾力を持って彼女の下半身を包んでいた。
妹紅のブルマの中で、彼女の秘所が開かれた。
「ひぐっ」
体を反らせて反応する妹紅。いきなりのことに素直な反応をしてしまったのだ。だが、これは始まりに過ぎない。妹紅は冷たいものが自分の両腿の付け根に絡みつくのを感じた。それは外から見えないということは、ブルマの中だけの話だということだ。
「あっ、あっあ」
腿に絡みついた何かに足が開かされる。膝立ちになっていた妹紅の腰が落ちて、自然に両膝が外を向く。バランスを取る為に、妹紅は両手を地面につけた。少しお尻を後ろに突きだした格好である。
その間にも胸は揉まれている。
「く。いい、かげんに」
妹紅の秘所に大きな塊が入ってきた。それはまるで男性器のようなものだ、しかしひんやりしていて妹紅は不快感に身をよじらせる。
「こ、この、ふざけ」
その時、妹紅には聞こえた、いや感じたという方が適切なのかもしれない。
――今だよのぴ太君!
――まかせろ、クマの字!
「な、なに? 直接頭の中に言葉が?」
妹紅は混乱した、いきなり頭の中に言葉が流れこんできたのだからそうなってもおかしくはないだろう。しかし、それ以上のことが彼女の体には起こっていた。彼女の秘所に侵入した異物から、何かが注入されていることに彼女は気が付いた。
「な、何?」
妹紅は何かを自分の中にいれられていることに焦った、だがそれよりも今まで妹紅の胸を揉んでいた手が乱暴に彼女の乳首を抓り上げた。
「ひ、ひい」
涎を垂らして、体を震わせる妹紅。それによって彼女は体の感度がすさまじいほどに上がっていることにやっと気が付いた。はあはあと妹紅は息を荒げて、何故だと自問する。
乳首を抓られる。
「あああん」
身を反らして、嬌声を上げる妹紅。彼女は無様に声をあげないよう覚悟しているつもりだった、それでも抓られた瞬間頭の中が真っ白になってしまったのだ。あきらかに体の調子がおかしい。
秘所を開いた男性器が動く。くちゅくちゅと彼女の女性器に侵入して、かきまぜるというよりは単に刺激する。
「ぃい」
地面に倒れこむ妹紅。涙を流して、なんでこんなことになっているのかを必死に考えた。あの二人のせいであることは容易に想像も着くが、それからのことが全く解せない。なんで自分がこんな状況になっているのだろうと何度も頭のなかで繰り返す。
妹紅の思った通り、これは全てのぴ太とクマ吉の仕業だった。彼らはサンタインの力で液体になり、スライムよろしく彼女の体にへばりついて、体操服の中で暴れまわっているのだ。ちなみに胸を揉みし抱いているのはのぴ太、ブルマの中の支配者はクマ吉である。
しかし、それだけでは彼女の体の異変は溶けないが、答えは単純なものだった。
これもグレードアップ液の力である。実はサンタインは飲んだ人間の身に付けている者も液体化させる力を持つ。クマ吉の持っていたグレードアップ液もしかりであった。それをさっき妹紅の女性器に注入したのだ。それで妹紅の体はランクアップさせられた。
もちろん胸を抓り上げた時に彼女の乳首もグレーアップ液に漬けられた。液体化したとはいえ、クマ吉とのぴ太である、液体のグレードアップ液の受け渡しなど大した苦にはならない。そもそも彼らはパワーアップしている。余談だが、乳首だけを漬けて、胸全体に付けないのは貧乳にステータスを感じる紳士ならではの行動である。
ただ、そんなことを妹紅は知らない。
「ひ、ぐ。ひっ」
突き上げたお尻が可愛く震える。別に意識的にやっているのではない。彼女の体の一部はすでにグレードアップ液に漬けられて、この世の誰よりも快感に正直になっている。しかも今からが本番なのだ。
胸が揉まれ始めた。
「ひっぃいい」
口を開けて、妹紅は暴れる。足の付け根はブルマの中で捕えられているので閉じることはできない為、その場で震えるくらいしかできない。それでも容赦なくのぴ太スライムは彼女の胸を締め上げ、もみあげる。乳首は常にスライム包まれて、きゅっと締められているので妹紅にはたまったものではない。
「あっ、ぅ。へあ?」
妹紅は下腹部に異変を感じた。体の中に入ってきたあの男性器が動き出したのだ、それもただ動くのではない、ドリルのように回転し始めた。これも生身ではない、クマ吉スライムの真骨頂である。ピストン運動ではない、回転運動である。
「あっあああ。ああああああああああああああ」
妹紅は叫んだ、これはだめだと脳が警告を送る。気持ち良すぎて、体中の力が奪われていくようだった。彼女は反射的にブルマを脱ごうとした、それでこの淫夢から逃れようとしたのだ。甘いと言わざるを得ない。
ブルマからクマ吉スライムの手が伸びてきて、妹紅の両手を掴んだ。そのままブルマの中に彼女の手を引きずり込む。これでは脱ぐ方法がない。彼女はブルマに手を突っ込んだ、無様な姿で固定された。幸いかどうか、屈辱を感じる余裕などはない。
「ぃいい、だめ、わ、わらひ。おかひくなるうう」
妹紅の下半身をドリルが回る。ドリルとは言っても原材料は水である。必然、サンタインで弾力を持ったとしても、妹紅の中をぐちょぐちょにする程度の力しかない。ただ、妹紅のそこはグレードアップ液に漬けられている。
胸を揉まれる妹紅、彼女のどちらかというと、ささやかな胸がこれ以上ないほどに荒々しく揉まれて、吸われる。乱暴に扱われてはいるが、絶妙な力加減が妹紅には残酷だった。
そして妹紅も年貢の納め時である。そもそも、クマ吉とのぴ太はパワーアップして大男と大熊になったのだ、その体積が妹紅の体を包む程度で尽きるはずがないのだ。
彼女の周りの水たまりがむくむくと盛り上がった。そして、クマ吉とのぴ太が現れる。液体になったとしても、強い意志を持てば体を取り戻すことはできるのだ。
「はあー、はああ」
いやいやと首をふる妹紅。口には涎が溜まっている。その上、彼女の体にまとわりついたスライム達はその動きを止めてはいない、今現れたのぴ太達本体と交代するのではなく、プラスされるのだ。
のぴ太が妹紅の後ろにまわる、彼女の体操服は絶えず動いているのは彼女の胸が犯されている証拠である。しかしのぴ太はそれには言及せず、妹紅の両腿をその太い手で持ち上げる、妹紅はそこで吊り上げられて、空中で足を開いた格好にされた。
そこにクマ吉が自らの男をいきり立たせて立ちはだかる。その男根は天を向いていた。妹紅はそれを見て言う。いや懇願した。
「や、やだ、そんなの、そんなふといのはいるわけない」
すでに口調に威厳など微塵もない、他愛ない少女の言葉だった。だがクマ吉も言う。
「大丈夫だよっ、グレードアップしているから」
よくわからないことを言ってクマ吉は妹紅ブルマに手をかけた。妹紅は「や、だ、ひん」と嬌声なのか言葉なのかわからないことを言う。しかしここで待ったをかけた男がいた、のぴ太である。
「クマの字。脱がせるきか?」
「えっ? う、うん」
「たわけえ!」
のぴ太は怒った。おそらくこの数週間で一番怒った。しかし彼の怒りはもっともである。「ずらせい。クマの字」
はっとクマ吉は気が付いた。そうだ、脱がせて何のコスチュームか。クマ吉はそんな基本に気が付かなかった自分を責めつつも、のぴ太の成長を悦ぶ。もちろん妹紅はさっぱり意味が分からない。考える余裕がないだけなのかもしれない。
クマ吉はのぴ太にうんと頷く。そしてブルマの股のところを横にずらして、自分の「男」を挿入した。ぐちゅっと音がして、ぐんっと突き入れる。先に彼女の中に入っていたスライムは彼の「男」をコーティングする。
「―――?」
叫ぶ妹紅。舌を出して、涎をたらして、千年生きたプライドもなにもない顔だった。しかし、クマ吉は容赦しない。彼は腰を振り始めた、妹紅はのぴ太に両足を取られているので、抵抗もなにもできない。
「あっ! あああ」
一突きごとに妹紅の体が跳ねる。ブルマが擦れて、ちらりと彼女白い肌が見える。すでに底は彼女の愛液が流れていた。いや、その点でいれば、ブルマ自体も濡れている。
「なんぇ、なんで、ふといのに、いたくないよお」
妹紅は笑う。妖艶な笑みを知らずにしてしまう。気持ち良すぎて、もうどうなってもよかったのだ。彼女はクマ吉の動きを受け入れていた。
クマ吉の「男」はピストン運動をしているのだが、彼の周りのスライムはドリルの回転運動をしている。それが妹紅の羞恥心も何もかも根こそぎ削り落とした。
ブルマからぽたぽたと愛液が漏れる。汗で体操服が透ける。妹紅はそれでも胸を揉まれて、下半身を突き上げられているのだ。
「いっくよお」
クマ吉が動く、それでも妹紅の中にスライムを通して、白い液体が流れ込む。妹紅はびくびくっ反応してから、「ひはあ、ひはあ」と息を漏らした。顔は赤く、涙と涎でぐちょぐちょである。それでも嬉しそうではあった。
妹紅はそれでもまだご奉仕を終えてはいない。パワーアップしたクマ吉はまだ足りないし、のぴ太は元気いっぱいである。
妹紅はそれからのぴ太の「男」を「こ、これもおおきいよお」と味わった後、にクマ吉とのぴ太に後ろと前から二本差しにされてしまう。それが終わればクマ吉の相手であった。
「も、もう駄目」
気絶する寸前で妹紅はそう言って倒れた。体は疲れて果てていた。
そのあたりに飛び散ったどろどろの液体の中に倒れこんだ妹紅を、一時間がたって普通に肉体に戻ったクマ吉とのぴ太が見ていた。さすがに二人も痩せこけていた。
「クマ吉衛門。この人どうしよう」
「えっ、大丈夫だよこれから、救急セットを出そうとしていたんだし」
「そうかなあ、だって僕たちさあ」
彼らの後ろに大勢の人だかりがあった。その人々は、何故かシンプルではあるが近未来的なスーツを着込んでいる。タイムパトロールだった。むろんクマ吉とのぴ太を逮捕し手に来たのだ。
「のぴ太君。いつまでも一緒だよ」
ここでクマ吉は振り返る。
――物を使うのは人だけど、道具に頼ったらだめなんだね。
参考文献 「自省録」 マルクス・アウレリウス・アントニウス
感想と言うか、妹紅をどう感じたのかを聞きたかったりします。参考にしています、もちろん批判もオーケーです。お願いします(/_;)