ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
サイヤ人に転生、SEEDの地球へ
戦闘民族サイヤ人、下級戦士マトトとナズナの次男として生まれた俺には、前世の記憶があった。名前や顔は覚えていないが、ここがドラゴンボールの世界ということはかろうじて分かった。
半年ほど赤子として扱われ、2年ほど戦闘訓練した。そうすると、もう別惑星に送り込まれることになった。その惑星の名は日本語では表せないが、ドラゴンボールの地球ではないだろう。
もちろん、そこの住民を皆殺しにし、宇宙の資産家に売るためだ。宇宙の地上げ屋フリーザ一族とサイヤ人は既に手を組んでいるらしい。しかし年代はよく分からない。バーダックというサイヤ人はいるらしいが、子供はいない。少なくとも俺はラディッツより年上ということだ。
今世の両親曰く、俺が向かう星には目ぼしい戦闘力を持った人間はいないそうだ。最低でも5年で全滅させろと脅された。
俺にはサイヤ人の戦闘本能があり、それは殺人の嫌悪感を遥かに上回っている。しかし、この世界には地獄があるから、やたら滅多に人を殺すわけにはいかない。かと言って、全滅させなければ俺が殺される。俺の宇宙船は惑星ベジータしかインプットされておらず、逃げることができない。呑気に平和に暮らしていても、フリーザに召集をかけられるかもしれない。
しかし、それまで時間があるのも事実。とにかく修行してスーパーサイヤ人を目指し、できなければ逃げる方法を考える。これでいいだろう。生き残ることさえできれば、サイヤ人の能力を生かして大金を手に入れ、ハーレムでうはうはも可能。絶対に死ねない。
コールドスリープで眠ること約一年。俺は着地の衝撃で目覚めた。赤子が着地の衝撃で死なないのはすごい、という程度では驚かない。
宇宙船のリモコンをいじり、空気をチェック。酸素濃度、窒素濃度、その他異常なし。細菌チェックもしておくが、こちらは時間がかかる。その間に宇宙船内で軽く体をほぐすことにする。宇宙船は小さいが体も小さいので腕立てやスクワットくらいならできる。
重力は、ずいぶん軽いな。これも調べてみよう。
おおっ、約10分の1。地球と一緒だ。だがそうすると戦闘力が伸びにくいから、喜んでいいのか分からない。
おっと、重要なことを忘れていた。この星のエネルギー反応、もとい有力者の戦闘力を調べなければ。
おお、おお。いっぱいいるな。10キロ以内に5以上が1万か。まあ5やそこらでは人か動物か区別がつかないが。
設定を変えよう。達人ってことで、100くらいかな? それ以上を調べよう。うむ。
……あれ? 反応がないな。もうちょっと待ってみるか。
……うーむ、本当に反応がない。よっぽど雑魚しかいないのかもしれないな。
もうちょっと下げてみよう。50くらい。……また反応なし。40。……反応なし。30。おっ、反応した。けど30そこらが一番強いのか。楽勝だな。
Z戦士やナメック星人のように戦闘力のコントロールができなければ、だが。バビディのような魔術師や人造人間のようなロボットも恐いな。まあ慎重にやればいいだろう。というか殺す気はないしな。
細菌のデータがやっと出た。異常なしだ。まあこの近辺の風に乗ってきた分だけしか分からんが。
ん? 上からヘリコプターの音が聞こえるぞ。見つかったか? というかそのレベルの技術があるのか。だったらミサイルとかありそうだし、今の俺では太刀打ちできんな。逃げるか。
宇宙船をリモコンで操作し、上へ2キロ、西へ3000キロ移動、と入力。宇宙船は、ヘリコプター程度では到底追いつけない加速で吹っ飛んだ。
ちょっと扉を開けて、外を確認。うむ、海だ。だが西の水平線に陸地が見える。そこへ移動しよう。
陸地に近づくと、建物があったのだが、そこに書かれている字を見てめちゃくちゃ驚いた。
日本語だった。家とかも日本風。ちょっと未来的だけど。
ここはまさか、リアル地球? いやありえん。きっと地球そっくりの星だろう。なんて天文学的な偶然か見当もつかないが。
沖縄や北海道ではアメリカやロシアのレーダーに見つかりそうで怖いので、安全そうな四国から侵入。船の目を盗み、無人島に着地。穴を掘って宇宙船を埋めた。しかしリモコンさえ無事ならすぐに呼び出せる。失くさないように注意しなくては。
今はよく伸びてめちゃくちゃ頑丈な戦闘服を着ている。ここにリモコンを入れておけば滅多なことでは壊れないということもあり、できれば着続けていたい。ミサイルとかもある程度は跳ね返してくれるだろうしな。
だが、この服は目立つ。せっかく日本に来れたが、人目に触れるのは避けた方がいいだろう。せめて銃弾で死なない程度の戦闘力を身につけるまでは。
しかし腹が減った。何か食わねば。浜に出てみるか。
小さい蟹とよく分からない虫を発見。サイヤ人の腹なら多少の毒は大丈夫だと思うが、美味くはなさそうだな。お、カモメかなんか知らんが鳥がけっこう飛んでるぞ。あれを食おう。
手ごろな石を探し、投げる。
当たらんな。惑星ベジータと重力の違いがあって計算も狂った。
もういっちょ。えいっ。
ふっ。当たった。泳いで取りに行くか。
俺はまだ気功波も打てないから火が出せない。生で喰うことになる。あんまりおいしくないが空腹は多少収まる。だがこんなんじゃダメだ。量が足りない。上陸して畑でも荒らすか。
夜を待ち、宇宙船で適当な田舎へ移動。今は6月くらいだろうか。暑いし、稲穂がけっこう実っている。食べちゃおう。生だけど。
ガジガジ。うむ、自然の力が感じられる。古米よりはいいかもしれない。
いくらか宇宙船に持って帰ろう。いいや待て。いいことに気付いたぞ。コンビニかどこかで弁当を盗み、宇宙船に乗せて逃げればいいんだ。そうすればもっと上手いもんが食べられる。だが顔は見られたくないからヘルメットをかぶっておこう。ヘルメットは適当に家に侵入して盗めばいいだろう。
そうして地球もどきでの生活が始まった。食料を取る時以外は基本的に山にこもり、修行。亀仙流を真似て畑を耕したり岩を重り代わりに持って走ったりした。身体能力は日ごとに目に見えて上昇し、翌日に疲れや筋肉痛は残らない。サイヤ人のスーパーボディだった。
それ以外に刺激のほぼ無い生活だったが、サイヤ人の本能のためか、強くなっていく実感だけでとても心は充実していた。ただ、コンビニ弁当は体に悪い気がして、途中で野菜や鳥や魚を塩だけ使って生で食べる方法に代えたが。サイヤ人の胃袋は頑丈で、生で食べても問題など無かったし、固さも顎を鍛えるのにちょうどよかった。
そんな生活を2年続けていると、母親から通信が入った。
「おい、調子はどうだ。今までで何人殺した?」
「鳥とか魚はけっこう殺したよ。だけど賢い生物には手をつけてない」
「なんだと!? カスめ! 何をちんたらやってやがる!」
「ご、ごめん」
「チッ。また2年後に通信する。その時はガッカリさせてくれるなよ」
「はい」
それだけで終わった。あっさりというか恐ろしい家族関係だ。
しかし、まだ動く時ではない。宇宙船のエネルギー計測器(安物であり原作のスカウタ―程精密ではない)で測ったところ、俺の戦闘力は30程度。この星最強の生物、おそらくシロナガスクジラ、と同程度でしかないのだ。軍とは戦えまい。
そして再びあっと言う間に2年。再び母親から通信が入る。
「おい。もう半分くらいは殺したんだろうな」
「いいや、まだやってない」
「はあ!? どんだけノロマなんだ! それでもサイヤ人かお前は!」
「ご、ごめんなさい」
「チッ、カス野郎が。もうお前には期待しないことにするよ」
そして通信は終わった。まだ猶予はあるのだろうか。次の通信ではそろそろラディッツやバーダックの情報を聞いておきたいが。
うーむ。半分くらい殺したとウソをついてみようか。そしたら機嫌をよくして教えてくれるかもしれない。
しかし、2年経っても連絡は無かった。その2年後にも。とうとう見捨てられたのだろうか。フリーザにも気づかれないレベルで足跡を消してくれるとうれしいが。
10歳になった俺。戦闘力は普段で約100。伸び率は大分下がった。重力コントロール室が欲しい所。
しかし俺は戦闘力のコントロールが可能であり、最少20、最大180まで高められる。気功波は当然のように出せるし、武空術も可能。大猿化したら1800もの戦闘力になるし、軍隊にも勝てるかもしれない。やらないけど。
しかしきっと銃弾には耐えられるようになったので、それなりに強引な手も取ることにする。情報を集め、この世界の科学者に接近。重力発生装置は無理でも、遠心力で重力の代わりにする装置でも作ってもらう。
そのためには金が必要だな。どうしよう。とりあえず情報を集めよう。
早朝。林道の木の裏に隠れ徒歩の学生を待ち伏せる。ケータイを持っていればなおよし。
30分くらい待ち、ちょうどよさそうな女子高生を発見。
「はっ!」
気で小さな竜巻を起こす。
「きゃっ!」
女子高生は目をつぶってスカートを押さえる。
ここだっ。
「ていっ」
「あっ」
突風と紛うような速度で接近、ケータイを奪う。そのまま反対側の林を縫うように駆け抜ける。
「ふふふっ。ネットツールゲット」
デコレーションアプリを閉じ、インターネットへ。この世界の歴史からおさらいする。
現在西暦の次のCEという暦。コズミック・イラの略らしい。宇宙開発が進んでいる。へー、スペースコロニーがあるのか。SFだな。ドラゴンボールの地球はもっと科学が進んでるが。
おっ、遺伝子工学が発達しているのか。人の遺伝子改造については禁止しているが、やっちゃってて、問題になってるようだな。まあ自己中な連中は国際法なんて守らないからなあ。
遺伝子改造した人間はコーディネーターと呼ばれ、身体能力や計算能力に優れる。だからコーディネーターがガキ大将と化して、ふつうに産まれたナチュラルをイジメたり、そんな悪ガキが大人となって、警察が手を出せないような犯罪者となっているようだ。規模の小さいサイヤ人みたいだな。ただ、サイヤ人と違って頭がいいようだから、住み分けとかもできず、割のいい仕事も全部コーディネーターが取っちゃってるみたいだ。
……つーかコーディネーターって響きがなんとなくデジャビュなんだが。砂時計型のスペースコロニーの写真も、プラントって名も、シーゲル・クライン議長って名も。なんかのアニメだった気がするんだが、さすがにもう記憶が薄いなあ。そもそも転生の時点で自分の名前さえ思い出せないくらいあやふやな記憶だったしなあ。
というか嫌な予感がするんだか。
……ああやっぱり。ここは日本じゃなくて東アジア共和国なのか。中国に占領されて日本自治区になってる。で、日本の有力者は太平洋の島に逃げてオーブって国を作ったようだ。台湾に逃げた国民党みたいだな。
俺は悟空(極右)じゃないが、母国が亡くなったのは嫌なものがあるな。政府つぶしちゃおうか? いや、まあ、生活がよくなってるなら我慢してもいいが。やたらめったら殺したら地獄に送られそうで怖いし。
俺はさらに情報を集めた。この星一番の権力者、ブルーコスモスはかなりのコーディネーター嫌い。プラントはほぼコーディネーターばかり集めたスペースコロニー群。両者の対立が激しい。特にコーディネーターがナチュラルに対し野蛮な暴力を繰り返しているので、世界中のヘイトを買っているようだ。日本自治区のマスコミによると、だが。
逆に日本の権力者が作ったオーブという国は、コーディネーターにずいぶん甘いようだ。特に科学技術分野では、主要な研究のほとんどをコーディネーターに任せているらしい。というか、それより驚いたのはオーブが民主制じゃなくて士族制ってことだ。アメリカナイズされた日本人がよく従ったな。
とかく恐いのは、遺伝子改造だ。俺のを利用されて、セルみたいのができたらと思うともうね。逆に、俺の子供を真改造してフリーザを倒してもらう、とかもできるかもしれないが。ブロリー化したら怖いから、あんまりしたくないけど。
しかし、コーディネーターには美人が多いな。整形みたいなもんだが、きれいはきれいだ。肉体はサイヤ人に比べると筋肉が少なくて物足りないがな。
俺はケータイを変えながら3日程情報を集めた。そしてだいたいを理解すると、有力者とコネを作るために動くことにした。
いろいろ考えた結果、私立の有名校に行き、苛められているお坊ちゃんお嬢様を救い、融通してもらえるよう頼むことにした。
しかし、日本で私立のお受験をするような子供はなよなよしていて、ケンカなどしそうになかった。苛めも専ら運動部の後輩いびりで、金持ちはあまり関わっていない。助けたところで翌日よりひどいイジメを受けるだけ、という状態だった。
しかし、アメリカ(大西洋連邦という名だが)の大学はやはりレイプや暴力が問題になっていた。スポーツが盛んで、スポーツができる人が偉くて、暴力もある程度正当化されている節があった。
だから半年だけみっちり英語を勉強し直し、アメリカの有名校に行ってみた。
苛めの現場はすぐに見つかった。ちょうどお坊ちゃんっぽい金髪の青年がゴツイ3人組にからまれていた。
「hahaha。だっさい動き」
「へい。俺がバスケットボールってものを体に教えてやるぜ。これがダンクだ」
「ぷーくすくす」
長身の赤髪の男が、ボールをドリブルしながら金髪の青年に突っ込む。そして4m程度手前で大きくジャンプし、右手にボールを持って高く掲げ、ダンクシュートのように、青年の顔目がけて叩き付ける。
しかし青年は直前で避けた。ボールは地面を大きく弾み、長身のいじめっ子の腕が金髪の青年の肩に当たった。
「Oh! 何避けてんだ!」
「動くなよ!」
「全く。せっかく遊んであげてるのに! この根暗が!」
3人組が青年を小突いたり蹴ったりして、その後、2人が青年の両肩をがっちりつかんだ。そして動けない青年目がけて、再び長身の男がダンクを仕掛ける。
周囲ではやられる青年を気の毒そうに見ている男女が何人かいた。しかしおもしろがっている者も同程度いた。特に髪や目の色が不自然な者(つまりコーディネーター)、に多かった。
ここだ、と思い俺は飛び出す。ダンクに入った青年に、空中で飛び蹴り。5mは上空へ吹き飛ばす。
「な、な、何が起こったあああ!」
「なんだこいつ、着ぐるみ?」
驚いている仲間達を、気付かぬような一瞬で蹴り飛ばし、殴り飛ばす。
「ひえっ」
「きゃあああああ! 警備員ー!」
イジメは見て見ぬフリのクセに、こういうのは通報かよ。面倒な。
「おいお前。力が欲しいか」
「ぼ、僕に言ってるのか?」
「そうだ。お前が力を望めば、俺は与えることができる。この俺のような、生身でコーディネーター達に打ち勝つ力を」
「な、そ、その前にお前は何者だ!」
驚きの中で少し表情が動いた。やはり大学生。ありえない夢みたいな話でもけっこう
食いつく。
「それは、次ページで教えてやる」
グレートサイヤマン風に。