ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
方舟発進!
エザリアの暴露した内容から、まずシステムの制御室を探し、システムを覆い隠すミラージュコロイドを剥した。そして現れたシステムへ移動し、自爆装置がないか等を調べた。安全が確認できたら、地球の方舟へ移動し、技術者と資材を乗せてシステムへ移動。急ぎ、改修を行う。
科学者の予想では、宇宙船の速度は丸ポッドから15%程度上がるとのことだった。元が1年かかるので50日くらいの短縮になる。しかし改修に1カ月近くかかる可能性があり、アークエンジェルでのんびりやっていた分を考えると猶予は10日くらいになる。時間短縮のために、『オーブのサハク家を方舟に乗せる』『アークエンジェルをオーブに差し出す』という条件でオーブの技術者の協力は得ている。細かな部品はプラントの職人に発注したり、微妙な寸法のずれは俺が気で押し込んで調整することもあった。
基本的に俺と俺が鍛えた精鋭が方舟とシステムの間近を周囲を警戒し、他の兵士は残党狩りやプラントコロニー内で警察の真似事をやった。戦時と戦後は盗みやレイプが横行すると言うが、実際そんな話を何度か耳にした。俺が鍛えたバカも数人やらかしていて、止められる人間がいないので、俺が止めに行った。これ以上の面倒はごめんだから、死刑が確定している捕虜の拷問ならやってもいいことにした。実際口で言ったわけではないが、勝手にやっているのを止めなかった。というよりサザーランド大佐等が楽しんでやっていたので、あいつ等だけ止める理由を考えるのが難しかった。
シーゲル・クライン等、主だったプラント幹部は捕まり、処刑された。エザリア・ジュールは、サザーランド大佐が戦利品としてどこかへ連れて行ってしまったが。また、パトリック・ザラはザフトの主力と共に消えてしまった。消息は掴めていない。たぶんミラージュコロイドで隠れているのだろう。厄介なことだ。
そうして20日後。技術者達の頑張りもあり、船の改修が終わる。
方舟。高さ約40m、直系約30mで円柱部と、その前後のエネルギー変換部からなる。前方は俺の丸ポッドを設置し、その丸ポッドにエネルギーを送ることで地球の科学には概念の無かった力を増幅させる。重力操作やワープ効果や他次元からのエネルギー供給があるそうだが詳細は不明。後部はシステムからのレーザーを受け、推力に変えるための場所。方舟に対するシステムの使用はぶっつけ本番になるので、何かのミスで方舟が壊れないように、俺の気で覆って強度を上げるという力技をやって欲しいらしい。
翌日は技術者のための休憩と、ブルーコスモス幹部を中心とした方舟搭乗者の選定が行われた。ブルーコスモスというだけあって地球好きが多く、自ら乗りたいと名乗り出る者はほぼいなかった。というより、彼等は全員金持ちで勝ち組だったから、地位や財産を手放したくないのが一番だったのだろう。他にも、そもそも俺の話を信じていなかったり、鍛えていないナチュラルは方舟の加速に耐えられないので乗れなかったり、きっと2舟目の方が安全なのでそちらを選んだり、アズラエルと仲が悪いので拒絶したり、という者もいただろうが。ジョージ・アルスターは娘の未来のためと言って娘と共に乗ることを選んだ。オーブのサハクは「地球にやり残したことがある」と言って結局来なかった。
残りは俺とアズラエルが選ぶことになった。とりあえず必要な技術者を30名。医者とコックを3名ずつ。戦闘員兼交渉役としてナタル。戦闘員として3馬鹿。対ナメック星人を想定した心の清い交渉役としてサイ・アーガイル(フレイの婚約者らしいのでその意味でも)。天才プログラマー兼戦闘員としてキラ・ヤマト。アズラエルの秘書兼愛人が5名。
俺も、アズラエルに愛人をもらおうか迷った。しかしそうすると真面目なナタルはやらせてくれなくなる気がした。まだ性欲がそれほどでもないというのもあった。恥ずかしいのもあった。結局愛人を指名できなかった。
その代わり、クルーゼを押し込んだ。アズラエルには「フリーザに方舟がバレた時に時間稼ぎの囮として使う」と説明した。実際クルーゼでもブリッツに乗ればフリーザの宇宙船を破壊するくらいはできると思う。その間に、方舟はミラージュコロイドで姿を隠しながら逃げればいい。クルーゼ側のメリットは、現在この宇宙で最強の生命体と戦えることだ。どうせ死ぬなら派手に死にたいだろう。あいつはそういう男だと思う。
クルーゼは老化を押さえる特殊な薬を飲んでいるという。どうせだからその薬を作っている科学者も船に入れることにした。名はギルバート・デュランダル。ついでにクルーゼの推薦で、クルーゼと同じくムウの父親のクローンだという少年も入れた。名はレイ・ザ・バレル。
ただ、キラとクルーゼは犯罪者扱いなので、出発時は個室に監禁しておく。落ち着いたらそれぞれ戦闘訓練やプログラム開発をやってもらう。
出発前。俺は後部エンジン室で科学者から説明を受ける。
「この部品が壊れそうなんだ、こう力がかかってね」
「あとここも。だが、ここは熱の分布が計算できないからどう力がかかるかは分からない。全体的に強化してくれ」
「こっちもだ」
多すぎる。1人では無理だ。
「俺はそういう細かいコントロールは苦手なんだ。ナタルと3馬鹿にも手伝ってもらおう。一番力がかかる部分を教えてくれ。そこは俺がやる」
「だったらここかなあ」
細かいコントロールはナタルが一番上手い。女性だから繊細なのだろうか。3馬鹿は俺より下手。だがいないよりはマシだろう。
いよいよ出発となる。緊張の瞬間だ。
エンジンが稼働する。徐々に部屋が熱くなっていく。俺達は宇宙服の上に気の鎧をまとう。
「出発60秒前。59、58、57……」
フレイがオペレーターとしてコールする。エンジンはさらに勢いを増していく。
「10、9、8、7、6、……」
もうすぐだ。気を高め、意識を集中させる。
「3、2、1」
「今だ!」
要求された部分を、気で覆う。
その直後、エンジンルームはエネルギー変換部から漏れ出た赤色の光に覆われる。目をつぶらずにはいられない。
「ぐおおおっ!」
「ちょっ、こりゃあ無理だ!」
さらに、凄まじいGが全身を襲う。俺はある程度慣れているが、地球人の限界を超えた程度のナタルや3馬鹿では立っていられないだろう。
「立てなくてもいい! 気で部品を覆え!」
「無茶だ!」
俺もあいつらではできないと思う。だから、意味があるのかは分からないが、部屋全体に俺の気を満たしてみる。これで少しでも頑丈になればいい。
「くっ、くっ」
「熱ちちちちっ! 服破けてるぜ! 熱が入って来てる!」
などと言っている内に、不意に体が軽くなっていく。システムのレーザー照射は終わったらしい。
「み、水ー! 氷ィ! 熱っちぃぜー!」
「痛たたたっ、首が痛ぇ!」
3馬鹿は逃げるようにエンジンルームを去って行く。俺とナタルだけが残った。
「大丈夫か?」
「はあ、はあ、はあ。少し、疲れました」
ナタルは立ち上がるが、ふらふらと俺に向かって倒れる。色っぽい。3馬鹿とは違い、真面目に本気で気を使っていたのだろう。残念ながら俺の方が背が低いから、覆いかぶさられるような形になってしまうが。
無茶苦茶なGはなくなったが、宇宙船は丸ポッドと同じ理論で未だ加速しており、少しだけ重力のような物を感じる。俺はナタルを担いで階段を上った。
「システム異常なし! 成功だ! いやあああったあああああああ!」
「うううっ。気持ち悪い」
「こ、腰が……」
制御室ではアズラエルだけがはしゃいでいた。鍛えている軍人でもかなりのダメージを負っている。この調子では、フレイやアズラエルの愛人はぐったりだろう。命の危険もあるかもしれない。
医務室には次々と患者が送り込まれていた。その患者を運んでいるのが、なんと3馬鹿だった。確かに多少ダメージはあっても常人よりは動けるだろう。だが、やつらも人の役に立てるんだな、とちょっと感動した。
「離してください。私も手伝います」
ナタルも彼等の姿に心動かされるものがあったのだろう。俺は気を分けてやってから彼女を手放す。ナタルは先ほどよりは落ち着いた足取りで医務室へ向かう。俺も後に続く。
医務室の中を覗いてみる。アズラエルの愛人とフレイがベッドで寝ている。手術室の明かりもついている。しかし、医師もダメージを負っていて、動きがぎこちない。あれで手術ができるのだろうか?
1人だけ、まともに動けいている医師がいた。あいつなら手術できるかもしれない。だが1人で大丈夫か? というかあいつ、俺がごり押ししたクルーゼの知り合いだ。医師ではないが免許は持っており、だいたいのことはできると聞いた。どこまでやれるかは分からないが、助かった。
「退いた退いたぁー!」
「おっ」
後ろから3馬鹿のオルガの声。技術者を運んでいた。俺もジッとしていられないな。手伝おう。
皆の協力もあり、初めての危機はなんとか乗り越えることができた。1人どうしても手術が間に合わない女性がいたが、俺のポッドの生命維持装置で時間を稼ぐことを思いついた。彼女には後ほど、復活した医師たちと共にたっぷり準備してから、改めて手術した。手術は無事成功した。
キラとクルーゼは当然のようにダメージを受けていなかった。あと、せっかく褒めたばかりの3馬鹿が、ラクス・クラインをアタッシュケースに押し込んで持ち込んでいたことが発覚したが、彼女もダメージはなかった。尿意を押さえ切れず漏らしていたが。
この船には、小さな食料プラントはあるが、俺の胃袋を1年間満足させられるだけのものではなかった。俺は俺の丸ポッドでコールドスリープし、到着の1週間前まで寝ておくことになっていた。
アズラエル、ナタル、フレイ等に就寝前の挨拶をしておいた。ナタルには「3馬鹿とのトレーニングにクルーゼを交ぜてやれ」とも言っておいた。そして俺は眠りに着いた。