ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
出発の前日、俺は最後の仕上げとして、大きく力の離れた相手に対する集団戦を想定した、多対一のゲームを提案した。俺が回避に徹して高速で動き、他のナメック星人と地球人が全員で四方八方から狙い撃つというものだ。ふつうの攻撃ではダメージを与えられない相手でも気円斬なら通る。現時点で気円斬を扱えるナメック星人は1割未満であり、地球人に至ってはゼロだが、強敵の出現までには習得してもらうことにして、今回は代わりに気弾を撃ってもらう。俺も万一頭に当たって死にたくはないのでね。
俺の前にキャベスとオンオンが回避役としてやってみた。彼女達も気を探れるようにはなっていたが、まだまだ反応が遅く、動きも俺ほど速くは無かったので、すぐに当たってしまった。
そして俺の番となる。俺は開始の合図と共に上方に加速した。上方にもナメック星人はおり、合図と共に気弾を放っていたが、俺はそれを最少の動きで躱すと、再び上方に加速する。あっという間に最上層のナメック星人を追い抜く。
「う、上だあああああ!」
ほとんどのナメック星人は俺を見失っており、その叫び声で気付いた。そして再び一斉に気弾を放ってくるが、何人かのナメック星人が俺との線上で重なっているので攻撃できず、気弾は初めに比べてずっと少なかった。これでは当たらない。
「よし! ではこうしよう! 俺は半径100mの半球から外には出ない! だからそっちは半球の外を囲うようにして俺を撃てば射線が重なりはしないだろう!」
そうして俺は半径を示す円を描いた。その周囲に俺以外の全員が移動した。サイヤ人達もだ。
「私達も参加してよろしいでしょう?」
「まあいいが……。いや待て。俺が避けた時に、気弾の直線上にいる人間に当たってしまうかもしれない。気弾の威力を極端に下げるか、お前達の位置を半球のてっぺんにしてくれ」
そうしてキャベスとオンオンは半球の一番高い部分に移動した。レタツは長老の近くで威力を弱めた気を撃つらしかった。
移動範囲を絞り、サイヤ人が相手に回ったことで、先ほどよりかなりスリリングになった。ほとんどのナメック星人は俺を見失ってデタラメに撃っているのだが、そのデタラメ同士の気弾がぶつかって、その衝撃波で別の気弾が向きを変えてこちらに飛んできたりするから危ない。これを狙ってやれるようになれば良さそうだとか思った。俺も練習してみようかな? ふつうに気弾を操るよりトリッキーな動きができそうだ。
「気じゃ! やつの気を感じるのじゃ!」
「やってますけど、感じた時にはもうその場にいないのです!」
なんてやり取りがあったりして、ちょっと苛立っている者もいたが、全体としては徐々に精度がよくなっていく。俺も初めのうちは最少の動きで半径10m以内で避けていたが、徐々に移動距離が長くなっていく。慌てて大きく避けざるを得ない場面が多々ある。
「ばあ!」
「ぎゃああああああ!」
レタツの目の前でおどけてみた。反応がおもしろかった。
「わはははは、ん?」
次はフレイの近くに行こうと思ったが、俺の行先を予想したキャベスがフレイの近くに強烈な気弾を撃ってきた。
「よっと」
俺も気弾を撃ってキャベスの気弾を相殺する。
「お、おいてめえ! そりゃ反則だろうが!」
「消さないとフレイがケガをしちゃっていたからな! しょうがない!」
「何がしょうがないだあ! あのままならお前に当たって、そこの娘がケガをすることはなかったのに!」
いやいや、俺は気付いていたからね。簡単に避けられたよ。
キャベスがさらに怒ると面倒なので口には出さないが。
それからも俺は延々と躱し続けた。ナメック星人達は疲れてもすぐ回復できるのでずっと撃っていられる。逆に俺は少しずつ動きが鈍っていく。避け切れず気弾を放って相殺することもあった。
「そうまでして勝ちたいか!」
キャベスに再び怒られたが、そうではない。気円斬は気弾で破壊できるので、実戦ではこういう反応をすることもあるだろう。お互いにとってこの方が練習になるのだ。
納得しないだろうから口には出さなかったが。
「はあ、はあ、はあ」
気弾を撃ち始めてから体力の減少が加速した。息が乱れ、汗が視界を遮り始めた。
そろそろやばいかな、と思った時、パアン、と足首の裏が弾けた。
痛くはないが当たってしまった。誰だか知らんがおめでとう。褒めてやろう。
気弾が飛んできたらしい方向を見てみる。ナメック星人等が地球人の集団を見ている。マジか。
「や、やった! やったわ! 当たったあ!」
しかも、喜んでいたのはフレイだった。この中でも一番気の弱い彼女の攻撃に当たってしまったわけだ。少し情けない。
だが、よくよく考えてみればそれも頷ける。気が小さいということは、それだけ感知し辛いということ。疲れて気の緩んだところにポンと出されたら当たってしまうこともあるだろう。
俺はスーッとフレイに近づいていく。
「おめでとう。見事だよ。これだけの人数が苦戦する中、君が一番初めに当てた」
「そ、そうだよフレイ! すごい! おめでとう」
俺が言うとサイが慌ててフレイを褒める。ナメック星人達がパチパチと拍手を送る。
「い、いやあそんな。偶然ですよ。ポンッとなんとなく撃ったのが、自分でもよく分からないタイミングで当たっただけなんです。スピードも威力も私のが一番低いですし」
フレイは照れたように笑い、へこへこと周りに頭を下げる。
「そうかもしれない。だがこうも考えられないか? その弱さを利用して、隙を突くことができると」
「あっ」
フレイのみならず、地球人達はハッとしたような顔になった。
「い、いえ。でもダメですよ。弱すぎて当たってもダメージになりませんから」
「気円斬なら気の大小はそれほど関係ないさ。もちろん円盤の形を保つために最低限の気は必要だが、その最低限を極めれば同じように気付きにくい攻撃が可能かもしれない。発想の転換というだな。戦闘は力だけで決まるものではないし、こういうことも必要だ」
ドラゴンボール世界では魔法も技もたいてい力で破れるけどね。
「は、はあ。そうですか」
フレイは笑顔だったが、少し困った感じだった。俺の言葉を素直に受け入れられていない。きっと自分の力に自信がないのだろう。地球人で一般人の自分ではどうしようもないと思っているのかもしれない。
しかし、自分で限界を作って諦めてしまうのはもったいない。彼女に戦闘の期待をしているわけではないし、今は伸び伸びとやっているから問題はないのだが、何か言っておいた方がいいかなあと思った。
「まあ、あれだ。自分がどこまで成長できるのかを探るってのが、修行の楽しさだと思う。限界を決めつけずにいろいろな視点でいろいろと試してみれば、新たな発見があるもんだ。こんなことは俺が言わないでも分り切っているだろうけど」
「い、いえいえ。そんなことありませんよ。ありがとうございます。胸にしっかりと刻んでおきますね」
フレイはパッと笑顔になった。相変わらずとてもかわいらしい。
明日からしばらくの別れだし、今日は何かしてやろうと思っていた。さすがに本番まで持ち込むのは厳しいだろうが、デートくらいはやりたい。特に空中散歩をしてやるつもりだった。しかし、すぐ近くには婚約者のサイがいる。
それとなく誘うような、上手い言い回しは無いものか。例えばこの状況を利用したり。
「フレイ、ええっとあれだ」
「なんですか?」
「お前、これだけの中で一番に当てたんだ。褒美をやろう」
「え? いいんですか? あっ」
フレイは何かに気付いたようにオンオン達の方を見た。次いでサイに振り向く。そして気まずそうな表情になって俺を見る。
「あのー、キスとかはちょっとー」
フレイは腕で胸元を隠しながら言う。しかし、ブラジャーよりちょっと腹回りが長いだけみたいなタンクトップとトランクスみたいな短パンだから、貞操観念は低いと思われる。
それでも厳しいだろうか? キスでは無く空中散歩なのだが。
「いや、キスではないんだ。俺の背中に乗って、好きなように飛び回るというだけだ。気持ちいいぞ」
「あっ、そ、そうですか。失礼しました。では、お願いしちゃっていいですか? 私も、ハラベコさんみたいに飛べたら気持ちいいだろうなあ、って思ってたんです」
よし、成功だ。やはり空中散歩は魅力的だったか。
「ふっふっふ。もうすぐ別れだからな。思い出づくりだ」
「そうですね。私もしっかり楽しもうと思います」
俺はにやにや笑いながら武空術で空中に静止し、うつぶせの横向きでフレイに近づいていく。高さは彼女の膝くらい。
「えっと、こ、こうですか?」
フレイが俺に跨る。お尻と太ももが腰に当たって気持ちいい。
このままでも浮くことはできるが、スピードを出せば簡単に落ちてしまうだろう。
「もっと密着しないと落ちるぞ。腰に足を回して、脇に腕を回す感じで」
「え、あ」
フレイは少し戸惑った感じだった。サイやオンオン達の手前で躊躇したのだろう。
しかし、おずおずと言った風に上体を垂らしていく。乳房がひたっと背中に付き、そのままむにゅっと押し当てられていく。オンオンやキャベス程のボリュームはないが、少女としてはかなり大きいだろう。ラクスのよりは大きい。それに柔らくて、健康的な感じがする。
訓練後なので汗でベタベタしており、少し匂う。しかし美少女のものなのでご褒美だと思う。
「フ、フレイッ」
と、サイが慌てたように近づいてきた。今頃嫉妬心メラメラだろう。
「な、何よー? 妬いてんの?」
「いや、その……。き、気を付けてな」
しかし、サイは女性に対して消極的だった。善人そうなことを言って引き下がった。
「あ、うん。ありがとうね」
2人のやり取りが終わったところで、早速浮き始める。
加速によりフレイの胸と股が俺の背中に押し付けられる。気持ちいい。それに、割れ目が熱い。股にかかる圧力を考えれば、感じているのは間違いないだろう。しかし、俺に対する感情は分からない。期待はしてしまうが。
「う、浮いてますね。けっこう浮くんですね。うわーっ! もうサイがあんなにちっちゃい! これ建物で言えば何階くらいでしょうか?」
「今20階くらいじゃないかな? 別にこの高さで前に進んでもいいぞ。もっと高くなってもいい。どうしたいか自由に言ってごらん」
「じ、自由にですか? ……うーん。じゃ、じゃあ前に進んでもらったりして」
俺はそろーっと前に進み始める。
「きゃっ。す、進んでますね。おもしろい。あっ、手振ったりしていいですか?」
「いいぞ」
「では。やっほおおおー! サイー! レイー! ナタルさーん! きゃははっ。わーっ! 振り返してる! あんなにちっちゃいのにおもしろーい!」
テンション高いな。かわいらしくていいと思うが。年齢を考えるとまさに夢が叶ったってやつだろうしな。
「もっと動いてもらっていいですか?」
「いいぞ。徐々に加速していく」
「はい。ではしっかり掴まっておきますね」
フレイはもう一度しっかり抱きつき直す。腕を絡め、足を絡め、がっしり固定。セックスのあれみたいで興奮する。
「行くぞ」
「は、はい!」
そろーっと加速していく。フレイの心臓がバクバク高鳴っている。釣られて俺も興奮してしまう。美少女と一緒ってことでうれしいし。
「来た。来ましたね。速くなってきました。30キロくらい? いや、40キロは出てますかね? うわーっ。風が気持ちいいーっ!」
フレイがうれしそうで俺もうれしい。なんか今までの女に抱いた感情とは違う。中高生みたいなドキドキを感じてしまう。
「もっともっと出せるぞ」
「は、はい。あっ、でも前に山が」
「問題ない」
俺は進む方向を斜めに変える。その瞬間、ずるっ、とフレイの体が僅かにずれる。
「あっ」
フレイは慌てて力強く抱きつく。再び胸と股が強く当てられる。特に股は、しっとりしたものを感じた。
「だ、大丈夫です。お願いします」
俺は徐々に加速しながら頂上を目指す。程なく通過する。
「うわっ、たかっ。たっかい。あの、どこまで行くんですか?」
「雲を突き抜けるつもりだったが、やめとくか?」
「あっ、いや、そうですね。一度雲を突き抜けてみたいです」
「じゃあ、しっかり捉まっといてくれ」
「はい! うひゃーっ、高い! こっわーっ」
フレイは首を横にズラし、舌を眺めてから再びギュッと俺に捉まる。俺は真っ直ぐ近くの雲を目指し、やがて突っ込む。
「ひやーっ。冷たい。それに何も見えない。雲ってやっぱり水や氷なんですね。あっ、痛っ。氷のつぶが当たって痛いです」
「もう少しの我慢だ」
「は、はい。はあ、はあ、はあ。あれ? 息が」
「高いから空気が薄いんだろう」
「なるほど。そうですね。お兄さんは平気なんですか?」
「ちょっと疲れやすくなるが、問題ない」
「やっぱりお兄さんはすごいですね。はあ、はあ、はあ」
なんてやっている間にも雲を出た。下は真っ白なじゅうたん。上はナメック星の緑色の空が広がる大パノラマ。
「うわーっ! きれーっい! きゃははっ」
「喜んでもらえて何よりだ」
「本当綺麗ですねこれ! 写真に撮りたいくらい! うわあーっ! 太陽がまっぶしいー! あっ、太陽じゃなくて恒星だった。しかも3つもあるし」
「ふふふ」
俺が空中に静止し、フレイは上体を上げて景観を満喫する。俺はフレイの楽しそうな姿を見て楽しむ。
そこで、ちょっとお遊びをすることにする。
「フレイ、ちょっとごめんよ」
「えっ」
俺はくるっと反転し、フレイと向き合う。回転で足を弾かれたフレイは支えを失って大慌て。
「あっ、ちょっ。ちょっとお兄さん」
そのフレイの手を掴み、さらにはもう片方の手でお尻を支える。
「えっ。お兄さんそこは……」
「ふふふ」
むにゅっ、むにゅっ、とお尻を揉んでしまう。
「きゃっ、エッチ! ず、ズルいですよ。こんなところで」
「ふふふ。ごめんごめん。だけど今回はお尻を揉むのが目的じゃなくてな」
「えっ」
俺はにやにや笑いながらフレイに気を送っていく。しかし彼女に与えるのではなくあくまでコントロールはこちら。
「よっと」
とか言いながらお尻から手を放す。しかし俺は気でフレイを浮かせ、落とさせはしない。
「へっ! あ、あわわわわわっ!」
フレイはそれに気付かず、大慌てで俺に抱きついてきた。胸や股が当たって気持ちいい。
「な、何するんですか! 落っこっちゃうじゃないですか!」
「気付かなかったか? フレイ今、俺の力で浮いていただろう?」
「え? あ? そ、そう言えば」
「手を放してごらん。浮けるはずだ」
「えっ、こ、恐いです! 無理ですって!」
「じゃあ手をつなぎながらでいいよ」
「そ、それなら」
フレイは右手をつないだまま、おずおずと俺から体を離していく。そして俺の隣、立ち姿で静止した。
「背中に乗るのもいいけどさ、こういうのも一緒に散歩してるようでいいだろう?」
フレイは恐怖からかしばらく反応がなかった。しかし程なく、ほんのり頬を赤く染めて、こちらを振り向く。
「ふふっ。だったら、手はこうですよね」
フレイは手を離し、腕をからませるようにして、もう一度握り直す。恋人つなぎというやつだった。
「フレイ、お前ってさ。積極的だよな」
「お兄さん言われたくないですけどね」
だが、積極的なのはいいことだ。男好きもかまわない。それでこそハーレム要員になれるというもの。
「雲の上を歩くぞ。適当に跳ねたりしてごらん」
「え? 冷たっ。こ、こんな感じですか?」
「そうそう。湖で跳ねる妖精のように」
「な、なんですかそれ?」
と言いながら、フレイはノリノリだった。大げさな身振り手振りで優雅にお嬢様っぽく動いた。俺もそれに合わせて動き、王子様っぽい感じで背中を支えたりした。するとフレイのスイッチが入ったようで、くるくる回ったり、ダラーンと色っぽく腰をよらしたりした。その動きの中で足をからめてきたり、あと少しでキスというところまで唇が近づいたりした。ちょっと焦って俺は動きがぎこちなくなってしまった。
「ダンスは下手ですね。お兄さん。はあ、はあ、はあ」
「すまないな。もっと上手く踊れたら楽しいだろうに」
「でも、私もそろそろ限界です。はあ、はあ。息が苦しい。はあ、はあ」
「そうか。じゃあ降りよう」
「お願いします。あっ。お姫様抱っこしてもらったりして」
おっ。これはこれは。夢見るお嬢様というやつかな?
「それは俺が頼みたいくらいだよ」
「ええーっ? そうなんですか? はあ、はあ」
「お前には言ってなかったけど、もしお前の父親が事務次官じゃなかったとしても、俺はお前を方舟に乗せるつもりだった。気に入ってたんだ」
「そ、そうだったんですか」
微妙な反応だな。言わない方がよかったかな?
お姫様抱っこのまま雲を突き抜け、さらに降りていく。
「はあ、はあ、はあ。ちょっと寒いですね」
フレイの手足は冷たくなっていた。俺は体の接触部を増やすために腕と太ももを寄せる。さらには気で熱を発生させる。
「あっ、温かい」
フレイはそう言いながら、甘えるように俺の胸にもたれかかった。
それから、お姫様抱っこのままジグザク動いたり、回転したり、フレイをポーンと放り投げて拾ったりした。また、俺がフレイに腕と足を回し固定して、その状態でかなり速いスピードを出した。その状態でジェットコースターのような激しい動きをしたり、回転したり、気弾をたくさん浮かべてそれを躱すようにジグザクに動いたり、気によるシールドを張って水中を進んだりした。
かなり長い間やっていたので、アズラエルから「早く帰っきてください。出発の準備が始まりますよ」と通信が入ってきた。しょうがないので止めることにした。帰りは再びお姫様抱っこで。
「あーっ、楽しかった。お兄さん今日はありがとう」
フレイはこちらを向き、満面の笑みで言った。笑顔が眩しかった。
「俺も楽しかった。フレイみたいなかわいい子と空中デートができて。ありがとう」
「お兄さんって本当浮気性ですよね。ふつうにしてれば悪くないのに」
フレイの笑顔が困ったような顔に変わる。
「だが、逆に言えば全ての美少女、美女にチャンスがあるということだ。フレイ、無論お前もな」
自分で言いながら無茶苦茶だなあと思った。しかし俺はこういうキャラで生きると決めたのだ。
「困ったお兄さんですね。せっかくご褒美を上げようと思ったのに。これじゃあもったいない」
「ご褒美?」
ご褒美って、この雰囲気だったら、けっこうアレなやつだよねえ。この星で何かを作ったということもなさそうだし。
「いやいやいや、くれよ。もったいなくないから。しっかり味わうから」
「はあー。仕方ないですねー」
フレイは大きくため息をつくと、スッと目をつぶった。
急に静かになる彼女。なんだかとてもいい雰囲気。ドキドキしてしまう。
そして予想通り、少しずつ唇が近づいてくる。やはりキス。あの柔らかくてエロそうな唇がもうすぐ俺のものに。
俺はフレイのかわいらしい顔が見たいので目をつぶらず、そっと唇を近づけた。
触れ合う2つの唇。そして入ってくる舌。積極的でよろしい。はしゃいでいる姿からは想像もできないような、甘く、嫌らしい動き。やはり彼女も経験豊富ならしい。服装から予想はできたが。
「う、うんっ。んちゅっ。むちゅっ」
ふと、フレイは気を練った。さらにその気を、ぎこちないコントロールで口元に集め、ついには唇を通じて俺に送ってきた。
「んんっ。んっ。はあ、はあ、はあ。あの、上手くいきましたか?」
フレイの気が、俺の気の一部となっている。これのことを言っているのだろう。
「ああ、ちゃんと感じているよ。ありがとう」
あっ。この言い方だとキスの感謝はしてないみたいじゃん。
「キスもね。ありがとう」
「ふふっ。私の想いがあなたを守りますように」
詩的な表現だな。だがフレイの笑顔とあいまってとても心地いい。
「ありがとう。いい子だね」
俺はフレイの頭を撫でてやる。フレイはもう一度にこりと笑う。
「もう一度会えたら、この続きをやりましょう。だから死なないでね、お兄さん」
「おっ、とお?」
まさかそう来るとは。驚いて変な声を上げてしまった。だが、これで死ねない理由が増えたな。
俺はフレイを連れて方舟に戻った。そこに地球人全員と多くのナメック星人が集っていた。見送りと出発に手伝いに来てくれたらしい。
フレイを父親の近くに降ろす。彼女は「パパッ!」と勢いよく父に飛びついた。
ふと、近くにナメクジのような建物が降り立った。
「おーい! ハラベコさーん!」
中からカッタツが出てくる。
「よお。それで付いてくるのか?」
「ええ。方舟に乗せてもらうのでもよかったのですが、船は多い方が便利でしょうし、こちらには僕のコンピュータや道具がありますから」
「そうか。そうだろうな」
船が壊れた時とか助かるな。コンピュータもこっちの方が高性能だろうし、スピードもこっちの方が出そうだし。ミラージュコロイドが使えないのはマイナスだが、いざとなれば方舟の格納庫に入れればいい。ギリギリそれができる大きさだ。
それに、今回の旅ではいきなり役に立ちそうだ。
「俺達サイヤもそっちに乗っていいか? と言ってもコールドスリープするんだが」
「え? ど、どうしてですか?」
「コールドスリープは俺達を満足させられるだけの食料を船に乗せられないからだ。そっちに乗るのは、銀河パトロールとのいざこざを避けるためだ。たぶん地球人だけで受け取りに行った方がいい。予定でも俺達だけ丸ポッドで別れるつもりだったしな」
「そうだったのですか。じゃあ僕の船に乗った方が良さそうですね」
というわけで、俺達サイヤ人はカッタツの船に乗ることになった。と言ってもコールドスリープで寝るから感覚的な違いはないのだが。
大勢に見送られる中、方舟とカッタツの船”カッタ3”が出発する。俺達サイヤ人はすぐに眠る。丸ポッドは3つだが、地球人とナメック星人の手によって修理された治療ポッドもコールドスリープは可能だったので、今回はそれぞれに1人ずつが入った。一番寝心地のいい治療ポッドにはオンオンが入った。俺を除くジャンケンで彼女が勝ったからだ。