ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
やつらのその後 ザーボン、三馬鹿、パトリック・ザラ等
フリーザは謎の超長距離攻撃が飛んできた方へまっすぐ突き進んだ。しかしどれだけ経っても何も現れなかった。宇宙の無限とも言える深淵にさすがのフリーザも嫌気がさし、追うのを止めた。気晴らしに目に映った近くの惑星を破壊した。
フリーザがイライラしながら迎えを待っていると、2時間程でドドリアを乗せた宇宙船がやってきた。
「レーダーを限界まで広げて、怪しげな反応がないか調べなさい!」
フリーザは部下達の敬礼も無視して命令した。部下達はいそいそと周囲を調べた。しかし見つかったのはサイハク等サイヤ人達が乗っていた宇宙船の残骸と、ポツンと立ち尽くすザーボン等のみ。
「あの野郎しくじりやがって! ……まあいいでしょう。何か知ってらっしゃるかもしれません。回収しなさい」
「は!」
そして小型艇はザーボンの下へ飛ぶ。
ザーボン等は助けが来たことに歓喜した。しかし一番に出てきたのは怒りに震えているフリーザだった。
「ザーボンさん。どうやら任務は失敗してしまったようですねえ」
「は、はっ。し、しかし敵の主犯は殺しました!」
「ほう。しかしそれは当然のことです。取りこぼしがいることは御存じでしょう? 何があったか正確に説明してください。返答次第ではその身に危険が及ぶかもしれませんよ」
「は、ははあ」
ザーボンは宇宙空間で頭を下げ、膝を立てる真似事をして説明し始める。その表情は恐怖で引きつっていた。
「敵主犯と思われるのは、ハラベコという名の突然変異のようなサイヤ人でして、戦闘力をコントロールする力を持っていました。最少220から最大4万2000まで確認しました」
「ほう。あなたの最大より高い。苦戦するのも仕方ないかもしれません。しかし殺したとおっしゃいましたね?」
「は、はい。やつらは宇宙空間では生きられません。ですから集団で囲い、気弾で宇宙服だけ壊して殺したのです」
「なるほど。では死体は確認したのですか?」
「死体は……。いいえ」
その返答にフリーザの態度が一変する。
「なぜです! ちゃんと確認するよう口を酸っぱくして言っておいたでしょう!」
「そ、その、スカウターで確認したところ、戦闘力がゼロになっておりまして。宇宙服も壊れたので、生きていられるはずがないと考えました。そして、近くでは戦闘力10万近い大猿が戦っておりまして、大猿もまた呼吸ができないので、その場を離れればそのうち死ぬかなあと」
「あなた方は逃げたということですね。それも、死体が確認できない程遠くまで」
「は、ははあ。申し訳ありません」
その時、ザーボンのすぐ近くが一瞬光った。程なくべチャッ、と何かが宇宙服に当たる。
ザーボンが振り向いた時、そこにいた兵士は顔が弾けて首の下だけになっていた。下手人は当然フリーザ。その兵士の顔へ向けていた指を、ザーボンの方へ向ける。
「ひいっ」
ザーボンの緊張が一気に高まる。ザーボンは死を意識した。
「我が軍に臆病者は必要ありません」
にやりと笑うフリーザ。ザーボンはいよいよダメかと思い、目を強く閉じ無念そうに歯を噛みしめる。
「しかしあなたにはまだ説明してもらうことがあります」
しかし衝撃は来なかった。代わりに来たのは返答の催促。
「あなたが見たもの。サイヤ人の主犯以外についても、知り得る限り説明しなさい。無論、私に襲い掛かった謎の攻撃についてもね」
そしてザーボンは見たもの全てを説明した。サイヤ人とハラベコの戦い。サイハクの証言。サイハクと女サイヤ人の死とスカウターの爆発。遥かに遠くで赤く光る何か。四方八方からそれに吸い込まれていく光。その放出。
「四方八方? 光が吸い込まれていったのは惑星ベジータからだけではなかったのですか?」
「惑星ベジータから? そのようなことは思いませんでした。全方位からですから」
フリーザはサイヤ人がサイヤ人の怨念か何かを集めて攻撃してきたのだと思っていた。しかし全方位からとなるとそうとは言い切れなくなる。
「分かりました。ではザーボンさんは逃げたサイヤ人が関わった星について調べてください。4人ともですよ。サイハクが主犯と言った人物が本当に主犯かは分かりませんからね。ドドリアさんは逃げた宇宙船を捜索してください。サイヤ人がアタックボールを使って逃げたのなら足跡が掴めるかもしれません」
「「はっ」」
と言っても宇宙船は1つしかないので全員それに乗った。
フリーザ軍の技術者がアタックボールの足跡を探していく。この近くからどこかへと逃げるような反応はあった。しかしそれは2時間ほど前に消えていた。
「アタックボールを壊したのでしょう。発信機が付いていることくらいはお見通しでしょうし、期待はしていませんでしたよ」
そうしてフリーザ等は近場の惑星フリーザ(複数あり、番号によって別けられる)に戻って行った。ザーボンはサイヤ人が関わった星を調べて回り、フリーザを襲った謎の光の正体と、逃げた宇宙船の居場所を探ことになった。1年以内に見つけられなければ罰が下される。ドドリアはアタックボールの反応が途絶えた方向にある星を調べて回り、何もないようなら帰ってくることになった。失敗した者とそうでない者の違いだった。
――ハラベコが惑星ベジータで偽名を名乗った場合、ガンダムSEEDの地球は救われていたのだろうか。実は初めのゴーボウの時点では、アタックボールの情報から搭乗者を調べている者がいたので、偽名がバレて余計な戦闘となっていた。逆に実際のように名前を教えていても、ゴーボウ等はフリーザに逃走者のことを隠すつもりだったので問題はなかった。重要なのはサイハクだった。彼に偽名を名乗っていれば、もしくは彼を惑星ベジータで殺していれば、フリーザにハラベコの本名を知られることはなかった。当然ガンダムSEEDの地球にハラベコがいたことも知られず、その星は下級戦士を送るような重要度の低い星のままでいられた――
フリーザが去ったのを確認し、界王は三馬鹿に伝える。
「よし。もう気を戻してもよいぞお」
「ぷはあっ。なんだあいつは。やば過ぎだろう」
「バレたら一瞬で消されてたな」
「いや、情報を絞ってからなぶり殺しだろう。拷問!」
界王は三馬鹿にドドリアが来ることを伝え、近くを漂うデブリの後ろに隠れさせた上で気を消させていた。
それから助けが来るまで待つように言い、今度は近くに来ている銀河パトロールに話しかけた。
その頃、ガンダムSEEDの地球では、ハラベコが鍛えた孤児たちの部隊、通称”ダブルN”が猛威を振るっていた。パトリック・ザラ等から取り残されたザフトの面々は海賊化し、商船や街を襲うか、コーディネーターの支持者から資金を得て活動していた。その海賊たちを主に取り締まっていたのがダブルNだった。彼等は圧倒的な力でコーディネーターの兵士達を一騎当千する。特に白兵戦ではその身1つ、拳1つで基地を壊滅させるほどだった。これはコーディネーターへの劣等感で塞ぎ込みがちだったナチュラルを勇気づけ、ダブルNの人気を強固なものにした。しかしダブルNの精神面は残虐な子供だった。そんな彼等が『神の力を手に入れた』と声高に叫ぶ程、驕り高ぶってしまった。カメラの前ではヒーローの真似事をして調子のいいことを言うが、カメラの回っていない場所では「目が合った時逃げようとした。後ろめたいことがあるのだろう」などという理由で妙齢のコーディネーターの娘を襲い、ぱこぱこやっていた。特にプラントはひどいありさまだった。正義感の強いマスコミが報じることもあったが、事務所を襲われ殺されたり、裁判に呼ばれ有罪判決を受け、ワイドショーでウソつきと笑われたりした。
もともと気の短いパトリック・ザラはもはや我慢の限界だった。シーゲル・クラインとの別れ話では『ボアズを破壊した兵器を破壊する方法を見つけてから反撃』という話だったが、どれだけ探し回っても情報は出て来ず、知っていそうなアズラエルが外惑星へ逃げてしまったので、別の方法を取ることにした。相互確証破壊による無力化、である。
パトリック・ザラは、まずダブルN部隊の本部となっていたシステム(ジェネシスα)と地球軍の本部であるアラスカ基地を、ニュートロンジャマーキャンセラーによって核分裂を可能とした原子力爆弾のミサイルによって破壊した。そして地球軍に宣戦布告する。地球軍は報復として、月に創設していた巨大ビーム兵器”レクイエム”によりプラント首都アプリリウスを破壊した。しかしパトリックはさらに報復として、巨大ガンマ線レーザー兵器ジェネシスによってレクイエムを破壊する。
「次は地球を撃つ!」
「バカめ! こちらにはボアズを屠った兵器があるぞ!」
「そちらこそバカめ! こちらにはジェネシスがもう1つあるぞ!」
要約するとこのようなやり取りがなされた。相互確証破壊と思いこんだパトリックとなんとか誤魔化したブルーコスモス新盟主ジブリールによって、大量破壊兵器の使用を禁ずる条約が結ばれた。そして機動兵器による戦争が始まった。
核爆撃の難を逃れたダブルN部隊のメンバーは11名だった。プラントで娘を狩ったり、地球でコーディネーターイジメのヒーローごっこをしていて助かったのだった。彼等は一騎当千の働きを見せたが、彼等を除けばもともとザフトの方が優勢だったことに加え、最大基地のアラスカが破壊されたので戦争はこう着状態に陥った。
しかしある時、そこに謎の第三勢力が割って入る。彼等は地球に潜伏し、食料を奪いながら言葉を覚え、情報を集めた。彼等を捕えようとした警官、軍はこぞって返り討ちに合った。皆殺しだった。ナチュラル最強のモビルアーマー”デストロイガンダム”に乗ったダブルNのメンバーの1人さえ、なんと生身で圧倒し、パイロットの身柄を拘束してしまった。
「ば、化物め」
彼等のリーダーは地球の共通語である英語をまだ理解できなかった。よって通訳越しに話した。
「貴様がカスだったというだけだ。それよりも貴様、ハラベコという名に心当たりはあるか?」
「なんだお前、あのクソ教官の仲間かよ」
「知っているのか!? 言え、やつは今どこにいる!」
「ケッ、知らねえよ。あいつらは俺達を残してどっかへ行っちまった」
「そうか。では知っているやつに心当たりはあるか?」
「言えば解放してくれるのか?」
「ああ、約束しよう」
彼等のリーダーはにこりと笑った。リーダー以外は化け物としか思えない人相だが、リーダーだけは肌の色を除けば真面目そうなイケメンにも見えた。
「あいつらのリーダーはアズラエルってやつだ。アズラエルはブルーコスモスってところの盟主で、どっかの財団のリーダーでもあった。だからその財団かブルコスのメンバーが知っているだろう」
「そうか。ありがとう」
彼等のリーダーはダブルNのメンバーを気弾で消し飛ばした。
「解放してやったぞ。恐怖からな」
「さすがです。ザーボン様」
ザーボンは政治中枢を次々襲い、アズラエル財団やブルーコスモスの情報を得ていった。しかしアズラエルの行く先については「外宇宙を探索して生存可能な星に移住するらしい」「生存可能な星を見つけたらこちらに座標を知らせるらしい」程度、フリーザを襲った謎の光についても「ハラベコの力じゃないのか? あいつもお前みたいに無茶苦茶な男だった」程度の情報しか集まらなかった。
ザーボンは『アズラエルが座標を知らせる』という場所を探した。しかしようやっと見つけたそこは、ザーボンが侵入すると同時に自爆してしまった。決して情報は与えないという用意周到ぶりがうかがえた。
「このままではフリーザ様に殺される。アズラエルというやつが連絡を寄越したとしても、彼等の位置情報を得られる可能性は低い」
いよいよ焦ったザーボンは母星から女を呼び寄せた。さらにフリーザ軍と地球人の技術者を集め、宇宙船を作るよう脅した。ハラベコと同じ方法でフリーザから逃げるつもりだった。
ところで、地球人の見た目はザーボンの星の人間の見た目と似ていた。特にコーディネーターと呼ばれる女達の見た目は、ザーボンにとってもなかなかよかった。今までの地位を捨てなければならないストレスでやけ気味だったザーボンは、女で遊び始めた。邪魔する男は皆殺し。女も態度が悪かったらヤッた後に殺した。中にはムシャクシャして都市ごと破壊したこともあった。
ザーボンが攻撃していたのは主に地球軍だった。しかし、その傍若無人ぶりはパトリックの怒りにも火をつけた。パトリックはザーボンの根城となっていた宇宙船へ複数の核ミサイルを発射した。それは直前で感付かれ、すさまじい加速によって躱された。怒ったザーボンはパトリックのいる宇宙へ出た。宇宙船が戦闘力を計測し、宇宙船と戦闘員は地球人の気配がある方へがむしゃらに攻撃した。しかしパトリックもザフトが持つ最強の切り札を2枚切る。スペースコロニー”ユニウスセブン”を核爆発により破壊し、デブリを撒き散らし、宇宙船の移動を塞ぎつつジェネシスの効果範囲を広げ、そこをジェネシスで撃った。そうして見事、ザーボンの宇宙船を破壊した。宇宙船内にいた乗組員、女達(全て地球人であり、ザーボンの星の女ではない。彼女達はまだ来ていない)はザーボンを除き熱で消えた。パトリックは最大の敵が生き残っていることに気付かず、高笑いした。