ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
ボロボロになった船にやっつけた海賊たちを乗せ、俺がローグタウンまで引っ張った。バギーは逃げられないようにバラバラにした体を樽に突っ込んで、さらにその樽に海水を入れた。他の海賊は自分でやっつけた分は自分で縄で縛ることにさせた。
海軍基地に海賊たちを連れていくと大いに驚かれた。そして感謝され、賞金の切手をもらう。
「ズルいぞてめえ! たった一匹しかやってないのに一番儲けやがって!」
「まあ、手配書をもらったんだからさ。今度からは狙って戦ってみれば? 気を探る練習もしてさ」
一悶着あったが、次の海賊へ目を向けさせることで落ち着かせた。
はっきり言って俺達とまともに戦える相手はいない。恐いのは毒や精神支配のみ。それだっていつまでも怯えていては耐性をつけることはできない。毒は、多少食らってもカッタツが体力を回復してくれる。死んでしまってもドラゴンボールがある。というわけで、がっつり儲けるために猛者の多いグランドラインに向かうことにした。
空を飛び、地図を片手にレッドラインを飛び越える。そこで気を探る。強い悪人はおらんかね?
「お、おい! あれ海賊船じゃねえか!?」
キャベスが指差す。灯台の近くに船首が羊の形をした船があった。帆には麦藁帽を被ったドクロマーク。
「そ、そうだな。海賊だ」
やばいなあ。ルフィ達の船だよなあ。バギーと一緒にルフィいたし、グランドラインを目指してるんだから入口付近で鉢合わせするのも当然だよなあ。でもあいつらを襲うなと命じるわけにもいかないよなあ。懸賞金懸ってるし。ルフィ以外なら適当に理由付けて逃がせるけどなあ。
すまんなルフィ。お前の冒険は終わってしまった。
「へっ。麦わらのドクロってことは、麦わらが船長なんだろう。パターンは掴めたぜ。今度こそ一番おいしいところは私がいただく」
キャベスが羊の船に突っ込んでいく。少し遅れてオンオン、レタツも。
「お前だああああ!」
「ん? ぶへええええええ!?」
そのままキャベスが一番乗り。ルフィは羊の頭の上という目立つ場所にいたので即座に殴られ、海に叩き落された。
「よっしゃああああ! 他のやつもいただくぜえええ!」
「させませんわよ!」
オンオンも到達。大人げない力で麦わらの一味を蹂躙していく。
「何が起きた! ……か、かはっ」
「素敵なお姉さんの香……」
喋っている間にも気絶させられるマリモヘッドと金髪ぐる眉。
「わ、私も! えいっ」
「ほげえええええ!」
長鼻もレタツに殴られ、海に叩き落される。残りはナッちゃん。船の中にいるな。紳士的に降参させよう。
「よお。ナっちゃん」
「な、何? あんた達何なの? この騒ぎはあんた達が原因なの!?」
ワンピース初期の紅一点。オレンジのショートヘアーのナイスバディな女の子。何故か本名は分からないのに原作のごく一部でナっちゃんと呼ばれていたことは覚えている。
顔は、まあかわいい。体は日に焼けて健康的。ただ、腰が細すぎるのが心配。ちょっと力を入れたら折れてしまいそう。
「俺達が原因だ。今のお前達では敵わないから、大人しく降参してくれるとありがたい」
「降参!? バカ言わないでよね! 私はただの可憐な女の子だけど、うちのバカ共はめちゃくちゃ強いのよ! 私にちょっとでも触ってみなさい! あんたぼっこぼこにされるわよ!」
ナっちゃんは震えながらも歯を食いしばって叫んだ。この辺りはワンピースらしい反応だな。仲間をバカにされたら怒るという。ブルマなら命惜しさに叫ぶか色仕掛けだろう。
「そう思うなら甲板に出てみればいい。誰一人立ってはいないはずだ」
俺はドアを開き、手で外に出るよう仕草を送る。しかしナっちゃんは動かない。
「そ、その手には乗らないわよ!」
震えている。俺に近づくのが恐いのだろう。だがタイムアップだ。キャベスが船を壊して中に入ろうとしている。
「船を壊すなあああああ!」
俺は叫びながらナっちゃんに近づき、両スネにチョップを当てる。
「いいっ!? いったーっい!」
内股でペタンと座り込むナっちゃん。俺は彼女を後ろから抱え、お姫様抱っこし直す。そしてドアから出る。
「こ、コラ! 勝手に触んないでよね! 私は安くないのよ!」
ナっちゃんはぽかぽか殴ってきた。全く痛くない。キャベスのやつに比べると赤ちゃんがじゃれているようなもので、かわいらしい。
甲板ではルフィとマリモヘッドと金髪ぐる眉が縄に縛られ横たわっていた。ダン、と衝撃があって、全身海水に濡れた長鼻も落ちてきた。
「よいしょっと」
レタツは長鼻をロープで巻き始める。
「ち、違うんですううう! 我々は海賊じゃなくて人質!」
「お助けをおおおお!」
と、甲板の端っこで男女の悲鳴が聞こえた。見てみると、王冠を被ったアホ面の男と水色の髪の化粧の濃い美少女がオンオンに向かって土下座していた。
あの女の子も見たことがあるな。ルフィの仲間だった気がする。あれ? でもあんまり記憶にないなあ。
「ぶおおおおおおおおおお!」
どうしようかと思っていたら、火山が爆発したような巨大な音が聞こえてきた。ただし、とても低い音。
「うっるせええええええ!」
キャベスが叫び、周囲を伺う。俺も周りを見渡す。
しかし、あるのは特に変わりのない海と、レッドラインと、灯台と、巨大な黒い岩のみ。
いや、黒い岩が近づいてきている!? しかも岩に気を感じるぞ。つーか目ん玉あるじゃん。あれ生物か。ちょっとした山より大きそうだが。
「うるせええええええ!」
「ぶ、ぶおおっ。おおおおおおおおおおっ」
俺は黒い何かに体当たりし、そのまま両手で支えて飛んでいく。これだけ大きい物体を勢いよく落としたら津波ができてしまう。だからレッドラインの川みたいなところに落とそうと思う。もちろん壁の向こう側の川にな。帰ってきたらうるさいから。
黒い巨大な生物を追いやり、船に戻る。ナっちゃん、水色の美少女、王冠のアホ面、あとレタツはポカーンと俺を見つめていた。キャベスとオンオンは腕を組んで仁王立ち。
「では、君達の処分を話そう」
「何言ってやがる。全員さっさと海軍に連れていくぞ」
せっかく格好つけたのにいきなり話の腰を折られた。
「ゴホン。俺もいろいろ考えたんだが、もしこいつらを海軍に連れていっても、懸賞金はそこの麦わらの3000万の分しか出ないだろう? しかし他のやつらを残しておけば、麦わらを取り返そうと暴れるだろうから、もしかしたら賞金首になる。そうして賞金首になってから捕まえた方がお得ってわけだ」
「なるほどな。まあ、悪くはない。やっとサイヤ人の王らしいことを言ったな」
キャベスはにやにやと笑う。オンオンは疑うような目で見てくるが、反対はしない。成功だ。
こいつらは別に悪人じゃないから捕まえる必要はない。逆に腐った世界政府を潰してくれるかもしれないからな。アズラエルの同盟を考えるとその方がいい。いつになるかは分からんが。俺達が政府を潰すのもありだが、恐怖で支配してしまったらアレだから、どうなんだろうな。後でじっくり考えてみるか。
俺はナっちゃん達に分かるように日本語で言い直す。
「……そういうわけだ。よかったなナっちゃん」
「な、何がナっちゃんよ! 私はナミよ!」
そうかナミだったか。だからナっちゃんだったのか。
「この2人はどうします? 戦う気はないようですが」
オンオンが膝をついている男女を見下ろして言う。
そのうち男が素早い動きで頭を甲板に打ちつけた。そのまま早口で言う。
「我々は人質! いえ、本当のところを言うと船を失ってしまい、敵であった彼等に我々の本拠地まで運んでもらおうと思っておりました!」
「そうか。お前達は海賊か?」
「い、いえ! 違います! あなた様と同じ賞金稼ぎであります!」
俺はキャベスに目を合わせる。
「一応賞金首のリストに載ってないか調べてみろよ。それで載ってないなら海賊だったとしても逃がせばいいだろう。いつか賞金首になるかもしれないからな」
「面倒くせえ。レタツ、お前が調べろ」
キャベスは服の内側に手を入れ、胸の辺りから賞金首のリストを取り出し、ペラペラと振った。
慌ててレタツが取りに行き、調べ始める。
その間、俺は水色の美少女に近づいていく。
「なあ君、名前なんて言うの?」
言ってからナンパみたいなセリフだと思って笑えた。
「はあ。また始まってしまいましたわ」
「見境ねえなあ。サイヤ人の恥さらしめ」
女達が文句を言うが邪魔まではしてこない。
少女は、少し呆けた後、ハッとして口を開いた。
「あなた達は、何者?」
質問を質問で返してきたか。まあ慌てているだろうから仕方ないかもしれないが。
「言っても分からないだろうが……。君、この星の外がどうなっているか知ってる?」
「星の外? それはまあ、別の星があって、別の太陽があって、とても広い真っ黒な空間があって」
「その別の星の王だと言ったら信じられる?」
「え?」
水色の少女は口を開けたまま固まってしまう。
「お、お姉ちゃん。この人達の写真はなかったよ」
「そうか。まあそんなもんだろうな。明らかに雑魚だ」
その間に姉妹がそんなやり取りをする。彼女達の生存は確定した。
「よし。じゃあその麦わらを連れて街に戻るぞ」
「う、うん」
「ハラベコさん、早くしてくださいまし」
女達3人が浮いて俺を見下ろす。
「うーん」
ナっちゃんとこの子欲しいなあ。改めて考えるとルフィがいなければ死んでしまうかもしれないから、このまま送っていいか迷うなあ。
「早くしやがれ! 船ごとぶっ飛ばすぞ!」
「わ、分かったよ」
まあ今回は見送ろう。偶に1人でひょっこり様子を見に行って、危なそうなら助けよう。
目印に、一番大きい気は、マリモヘッド。100くらいだ。よく覚えとかないとな。
「あ、あんた達!」
出発しようと思ったら、ナミに話しかけられた。
「後悔させてあげるわ! ここで私達を全員捕えなかったことを!」
せっかく生き残れたのに余計なことを言うんだな。まあサイヤ人は逆に喜ぶ話だが。
「お、おいバカ! 何言ってやがる!」
気絶していたと思っていた長鼻が起きていた。レタツとは言えかなり強く殴っていたように見えたが、よくこの短期間で復活できたな。ひょろい割に耐久はあるのかもしれない。
「だ、だって、仲間が連れてかれるってのに見てるだけなんてできないでしょ! あんなにバカにされて!」
「そりゃあ腹は立つが、口に出す必要はねえだろ! 心の中だけで思っていれば!」
「あんたは男のクセに臆病過ぎるのよ!」
「うるせぇー! お前が考え無しなんだ!」
俺は女サイヤ人達に翻訳してやる。余計なコントは省きながら。
パン、とキャベスが手を合わせて2人を黙らせる。
「今より強くなってかかってこい。挑戦はいつでも何度でも受け付けるぜ。ただし、ガッカリしてしまったら殺してしまうかもしれないから、せいぜい頑張るんだな」
キャベスはニヒルに笑った。俺が翻訳して言い直す。
キャベスはそれを確認すると背を向け、立ち去ろうとする。
「あ、あの!」
が、今度は水色の少女に話しかけられた。
「ミ、ミス・ウェンズデー! 止めるんだ!」
「あなた達の目的は何なのですか!」
水色の少女はやけに真剣な、決意を秘めたような目をしていた。俺も真剣に答えないといけない気がする。だが、フリーザ云々は言えないよなあ。無難なやつでいくか。
「強くなることだな。あと、俺はモテることだ」
「えっ」
いかん。つい正直に言ったら引かれた。
「そ、そちらの方達は!」
水色の少女が女サイヤ人達を見ながら言う。俺が翻訳してやる。
「戦いだ。私達は戦闘民族サイヤ人だ。そこの万年発情期やエリート面の情けない女は知らんが、少なくとも私にとっては強敵との闘いが何よりもの楽しみなのさ」
キャベスがまたニヒルに笑った。俺が再び翻訳する。
「で、でしたら! 私、強い人知ってます!」
ん? 水色の少女がしてやったりみたいに笑った? 俺達を利用して誰かを倒す気か?
以下、俺の翻訳を挟みながら。
「ミ、ミス・ウェンズデー!」
「ほう。言ってみろ」
「私達のボス。ミスター・ゼロ。またの名をサー・クロコダイル」
水色の少女は若干口元をつり上げ、ジッとキャベスを見ながら言う。緊張しているのだろう。額から出た汗が頬を伝って顎から落ちる。
「えっ。ク、クロコダイルってあの!? ボスが!? どうしてミス・ウェンズデーが知ってるんだい!?」
「てめえは黙ってな」
「ひいっ! は、ははあ!」
「おい。そいつは本当に強いんだろうな」
「ええ、何せ王下七武海の一角。元の懸賞金は確か8100万ベリーよ」
「8100万か。金儲けにもちょうどいいな。いいだろう。そいつをぶっ殺してやる」
「殺すと言っても木端微塵にしたらダメだぞ。死体の判別ができなければ賞金ももらえない」
この時、水色の少女はドキッと心臓がはねたような反応をした。殺し屋の依頼みたいで嫌だったのだろうか?
――ハラベコは気付かなかったが、クロコダイルの懸賞金は”元”8100万ベリー。実際は七武海になった時点で特赦が出て無罪となり懸賞金も無くなっていた。水色の少女ビビはそれに気付いたが、余計なことは言わない方がいいと思い黙っていたのだった。――
水色の少女の本名はネフェルタル・ビビ。アラバスタという国のお姫様だった。俺は何となく原作を思い出した。俺達はビビとルフィを連れてローグタウンに戻った。王冠のアホ面”ミスターナイン”は置いてきた。ビビは「ごめんなさい。でもあなたには関係の無いことだから」と言った。連れていく方が危ないと判断したのだろう。実際は逆だと思うが。
この世界は四皇と呼ばれる凶悪な海賊と、政府に従う異色の海賊王下七武海、さらに海軍の3大勢力の鼎立によって平和を保っている。その一角であるクロコダイルを気まぐれで倒してしまえば、政府に悪い印象を与えかねない。よって、アズラエルとも相談して、アラバスタ王国の王女ビビがクロコダイルの謀反を暴き、その討伐を俺達に依頼したということにした。ローグタウンの海兵にもそう伝えておいた。ビビのサイン付きで。
初めウィスキーピークという島に向かった。ビビの仲間であるイガラムが彼女と同じく賞金稼ぎとして”バロックワークス”という秘密結社の潜入捜査を行っているので、回収するためだ。この移動の時、ビビを抱えていたのは俺。相手がお姫様なので当然お姫様抱っこである。
俺達が着地した時、現地の賞金稼ぎ達は驚いたが、ビビが「悪魔の実の力よ。彼等は私の知り合いの賞金稼ぎ」と言って誤魔化した。
3分程探し、イガラムという音楽家のような巻き髪のおっさんを見つけた。俺がビビを抱えているのを見るや、髪に隠しているショットガンを放ってきたが、ビビを隠すように背を向け、その背中で全て弾いた。
少しゴタついたが、イガラムを連れて早速アラバスタへ。彼は抱えたのはレタツだった。レタツは嫌がっていたが、少し脅すと従った。イガラムは美少女に連れられてちょっとうれしそうだった。
しかし港を少し出たところで、小さな敵意を感じた。
「ん? うわっ」
「きゃあっ」
両腕に妙な気を感じると思ったら、そこから細い腕が勢いよく生えてきた。
びっくりしてビビを落としてしまう。慌てて拾いに行くが、今度は全身からにょきにょきと10本以上の腕が生えてきて、絡みついて、俺の動きを邪魔しようとする。たぶん関節技を決めようとしているのだと思うが、腕の1つ1つは地球人程度の力なので俺の体をどうにかするには足りない。
「き、気持ち悪い!」
俺は気を解放し、その場でギュルンとターンした。謎の腕達は激しくぶつかり合い、しなったり折れたりして、ふっと消えた。
「おっと危ない」
海面ギリギリでビビをキャッチする。
「はあ、はあ、はあ。な、なんだったんでしょうね」
誰かの攻撃だと思う。少しだけ記憶にもある。原作キャラの技だろう。
俺は目をつぶり、近くの気を探る。周りは海。海の中には、魚達の気が複数。人の気は……。
「たぶん、あそこらへん」
俺が指差した場所に大きな亀が浮かんでいた。しかし妙な亀で、西部劇のような帽子を被っているし、背中にパラソルのようなものを乗っけている。その下には、人がいた。女だ。黒髪で褐色の肌の細長い美女。露出たっぷりの黒いジャケットに身を包み、頭にも黒のシルクハット。
見覚えのある姿だ。やはり原作キャラだろう。現在は両腕を抱えて苦しそうにうずくまっている。
「何やってんだてめえ。手を離したり回ったり。遊んでんのか?」
「感じませんでしたの? あそこに敵がいらっしゃるようですわよ」
「なんだと!?」
ギューン、と音速を超えて移動していくオンオンとキャベス。うずくまっている女を拍子抜けしたようにつまみ上げる。
「なんだ。勝手に弱ってるじゃねえか。つまんねえの」
「ううっ。腕が……くうっ」
「ミス・オールサンデー!」
俺がやや近づいたところで、美女の姿を確認したビビが叫んだ。
「知り合いか?」
「ええ。クロコダイルの右腕とされるパートナーよ。ミスター・ゼロの正体を知っていたのもその女だけだった。私達はそいつの後を追いかけて敵の正体を突き止めたのよ」
「ふふっ。教えてあげたのよ」
「何を!」
ミス・オールサンデーがビビをからかうようにそう言ったのを、キャベスは気に入らなかったらしかった。拳骨一発で彼女を気絶させてしまった。
新たな仲間(?)を抱えながら、真っ直ぐアラバスタへ。特に障害もなく2時間ほどで着いた。レタツが遅いので時間がかかってしまうのだった。
「はあ、はあ、はあ」
レタツは汗びっしょりだった。イガラムを地に置くと大の字になって地べたに倒れた。
「ありがとう。サイヤ人の少女よ。この恩は必ず返す」
イガラムは笑顔で頭を下げていた。
「俺も頑張ったからチューしていいかい?」
「だ、ダメです!」
俺は頬をパーで思いっきり叩かれた。
お腹が空いていたこともあり、食事と一休憩。食料は例によって俺が魚を捕まえた。ビビはイガラムに金を出してもらって定食屋で食べた。
「まず、クロコダイルの謀反をお父様に報告します」
ビビがそう言ったので王宮へ直行。キャベスがごねたが、ビビが「ご馳走を用意させますわ」と言うと、「それを早く言え!」と笑顔でよだれを垂らした。
そんなに俺が悪人面なのか、ビビを抱えて王宮に行くとかなり勢いよく囲まれた。ビビとイガラムがなだめるのに時間がかかった。
国王に謁見し、「礼を言う。ありがとう。よくぞ我が娘を無事送り届けてくれた。しかしクロコダイルについては我が国の問題だ。感謝しているからこそ警告させてもらうが、無理に突っかからぬ方がよい」「いえ、お気になさらず」というような挨拶の後、豪華な食事をいただいた。ふつうの人間には絶対に入りきらない量だが、俺達はサイヤ人。港で食べていた分と合わせてちょうどよく腹いっぱいという具合だった。なお、ミス・オールサンデー、本名ニコ・ロビン、は証人として牢に入れられた。後で懸賞金の7900万ベリーは俺達にくれるらしい。彼女は原作キャラだし美女だが、ビビのためと今後の円滑さを思うと脱獄させるのはやめといた方がいいかなあと思った。
それから休憩もせずに、クロコダイルの待つレインベースという街に向かった。「王族が見届ける必要がある」と言ってビビも付いてきた。と言っても運ぶのは俺だが。
5分くらいでレインベースに着いた。街の真ん中に湖があり、湖の真ん中の浮島に大きなカジノがあった。そのカジノの地下からドス黒い気を感じた。これはフリーザやザーボンに近い濁り方。サイヤ人の激しい闘争本能とはまた違う、嫌らしいジメジメした感じだった。
カジノに入り、地下への道を探したがなかなか見つからなかった。キャベスが「建物ごと吹き飛ばしてしまえばいい」と言い出したが、客がいるので止めてもらった。代わりに俺がクロコダイルの気を探り、やつの真上に来て、貫通性の気弾を真下に放った。これでやつを殺してしまったらキャベス等が怒るだろうから外しておいたけどね。
「早い者勝ちですわよ!」
「お、おい待て!」
オンオンとキャベスは勢いよく穴に飛び込んでいった。俺達もいそいそと後に続いた。
「あなたがクロコダイルですわね! お命頂戴!」
「なんだてめえらは? ぐっ」
「おい! 抜け駆けすんな!」
「あなたがいつもしていることですわ!」
「あんな雑魚等蹴散らしても何のおもしろみもない! 重要な時に限って!」
「ぐああああああ!」
俺達が地下に降りた時、クロコダイルはオンオンとキャベスに挟まれてタコ殴りにされていた。キャベスとオンオンは互いを攻撃しつつクロコダイルにも攻撃を浴びせる。そのために本来より長く戦いが続いているとも言えた。
「ま、待ってください! こいつには言いたいことが!」
ビビがそう言った時、完全に気を失った血まみれのクロコダイルがドサリと地べたに倒れた。
「ひっ」
「おいエリート面した尻軽! お前思いっきり殴ってきただろ!」
「そっちが先に攻撃して来たのではありませんか!」
「あんなのはちょっとど突いただけだろうが!」
「明確に敵意を感じましたわよ!」
オンオンとキャベスのケンカが始まりそうだった。俺は急いで2人の間に入り、2人の腕を掴んで引っ張り、オンオンにキス、振り返りざまにキャベスにキス、をした。
「なっ、性処理器H!」
「男根H! 邪魔すんな!」
しかし2人は止まらなかった。仕方ないから外に出て組手をすることにした。クロコダイルは能力者であり縄で縛っても出てくるかもしれないので、縄で縛った上で近くにあった巨大な壺に入れ、壺の中に水を入れた。顔だけ壺の外に出る形だ。