ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
王宮に戻ると、クロコダイル討伐を祝ってもう一度豪華な食事でもてなされた。食べたばかりなのでそれほど入らなかったが。ひょっとしたらコブラ王もそれを狙っていたのかもしれない。それから何か褒美をくれると言ってきたので、悪魔の実の図鑑をもらった。
全ての悪魔の実が載っているわけではないようだが、俺が欲していた年齢を操る能力、分身する能力はあった。
トシトシの実。自分や自分に触れた相手の年齢を自由に操る能力。
ハナハナの実。空間のいたるところに自分の身体の一部または全部を咲かせる能力。分身が傷つくと本体も同じダメージを受ける。
また、俺達を殺すことのできる能力も見つけた。
ガスガスの実。自身を気体化させ、自身や周囲の気体を操る。毒ガスを作ったり真空を作ったりすることもできる。
ドクドクの実。あらゆる毒を生み出す。
ホビホビの実。手に触れた相手をオモチャに変え、操る。
カゲカゲの実。影を操る。影を切り取られた人間は日光に当たると消えてしまう。影を入れられた人間はその影の持ち主の技能を得る。
悪魔の実は恐ろし過ぎる。特にホビホビの実は兎人間のような厄介さでさらに操ってしまうのだからすさまじい。あと恐いのは毒を作れるガスガスとドクドクだな。真空程度なら、宇宙空間でも5分くらいは戦っていられる感じがしたから、その時間内に殺せると思うが。
また、この本には悪魔の実の基本ルールについても書いていた。特に重要なのは、『同じ時代に同じ能力者は2人現れない』『同じ人間が2つの能力を手にした場合、体が破裂して死ぬ』『海の力で体が弱体化されるのは、海に触れている表面積の割合による』『実の一部でも食べれば能力はその人間に移る』だろう。
1人に1つというのが辛い。肉棒分身のハナハナか永遠のロリ嫁も可能なトシトシか。トシトシは俺が食べなくとも誰かに若返らせてもらえばいいことを考えると、やはりハナハナだろうか。その場合、プーアルのような忠実な僕がいた方がいいだろう。カゲカゲの、影の持ち主の技能を得るってのも気になるな。悪魔の実の能力は得られるのだろうか? 得られないような気はするな。だが、天津飯の分身の技ならどうだ? 元気玉や瞬間移動は? もしできるなら、ブウの吸収みたいな滅茶苦茶いい能力なんじゃないか?
それと、俺は容易に見つからない悪魔の実を神龍に作ってもらうつもりだったが、能力者がいる能力は実を食べても能力が人に移らない可能性がある。確実性を考えれば、神龍に頼むのは「トシトシの実の能力者から能力を吸い取り、完全なトシトシの実をくれ」とするべきだろう。能力者はナメック星人より弱いだろうからこのような願いも可能なはずだ。
ハナハナはちょうどニコ・ロビンがそうらしい。食べるかどうか決める前に分身セックスがどれくらい気持ちいいのか調べたいのだが、彼女は牢にいる。高速移動で姿を見られないようにし、見張りを気絶させてなんとか誤魔化せるだろうか? 誤魔化せたとして、服装と経歴からして貞操観念は弱そうだが、どうやって頼めば分身セックスをやってくれるのだろうか。
まあ、会ってみてから考えよう。海軍が身柄を引く取りに来るまであまり時間が無い。食事に満足したのか、女サイヤ人達は寝ている。動くなら今だろう。
気を探り、ニコ・ロビンの居場所を探す。地下にそれらしき気があった。付近に見張りらしき気も2つ。
どうやって地下に降りようか。何重もドアがあると思うが、壁を壊しならがら進んでいいのだろうか? 後のことを考えると……。そうだ! 地下なんだから掘って進めばいいんだ! ニコ・ロビンのいる牢の真下から出れば、証拠の隠滅もたやすい。
俺はひっそり城の外へ出て、人の気配がしない建物の裏へ移動する。できるだけニコ・ロビンの牢に近い場所だ。そこで、穴を掘り始める。
俺にとって地面の固さなど水と変わらない。クロールですいすい進むように掘っていく。ただし砂ぼこりや泥水が目に入ると鬱陶しいので、気で体を守りながらだ。
いよいよニコ・ロビンの反応が真上に来た。ここで少しスピードをゆるめる。音が出ないように慎重に掘る。とうとう指先が地面から出て空気に触れる。外の音が聞こえる。
「しっかし、まさか敵の正体がクロダイルだったとはなあ」
「でもよお。アルバーナとレインベースにしか雨が降らないのはなんでなんだ? 革命軍が怒ってる理由はそれだろ?」
「クロコダイルがなんかやったんじゃないか? 確か砂を操る能力なんだろ? それで雨を奪うとか」
「砂で雨は奪えねえだろ」
「んなこと言われたって俺には分かんねえよ!」
喧騒が大きくなった。話に意識が集中している。俺は見張りがいる側の通路に出るよう、地面を掘っていく。そして同じように指だけが地面から出るくらい、地表を薄皮一枚で残す。これですぐに出られる穴は2つ。
この状態で、再びニコ・ロビンの下へ移動。地表をもう少し削り、現れた太ももをさすり。
「うっ、えっ?」
「ん? どうしたニコ・ロビン」
「妙な真似をするなよ。と言っても、何もできないだろうがな。はっはっは」
という反応をしている間に俺はもう1つの出口へ移動する。そして一気に全身を飛び出させる。予想通り見張りはニコ・ロビンの方を向いている。
「しかし色っぽい声だったなあ。あの体であの顔、色仕掛けされたらやばいかもなあ」
「ははは。まあやるだけやってもう一度牢に戻せば問題、はへええっ!?」
「か、かはっ」
後ろから後頭部を一撃。見張りは簡単に倒れる。
「ミス・メリークリスマス、ではないわね。私を捕まえた謎の4人のうち1人」
ニコ・ロビンは気だるげに俺を見ている。実際海と同じ効果を持つという海楼石の手錠によってダルいのだろう。牢ではゆっくり休むこともできないだろうしな。
「なぜミス・メリークリスマスだと思った?」
「質問には答えないといけないのかしら?」
うむ。当然の反応だな。命令して聞くようなら犯罪組織などには入らないだろう。
「俺はお前にやってもらいたいことがある。だがお前は素直に応じないだろう。何か欲しい物があれば用意するから、それで請け負ってくれないだろうか」
「欲しい物ねえ。……自由かしら?」
「そう来たか」
いや、逮捕されている側としては当然の反応なのだが、困ったな。
「ふふっ。本気でこんな取引が成立すると思ったの? 私はあなたのことを何も知らない。あなたも私のことを知らないんじゃない?」
ニコ・ロビンは俺が悩んでいるのを見て楽しんでいる感じがする。まあ捕まえられた側としては当然だ。しかし、それと同時に何が問題かを教えてくれている。根はやさしいというか世話好きな感じがするな。気も穏やかだし。
この飄々とした感じは俺のヒールとしての理想にも近い。縁があれば仲間にしたいところだ。というかやっぱり政府潰しちゃおうかなあ?
「うーむ。お前って悪いやつには見えないんだよなあ。なんでクロコダイルなんかと組んでたんだ?」
そう言った時、ニコ・ロビンは一瞬不安そうな顔になり、次いで不満げに眉を寄せた。
「あなたに教える義理はないわ。それにどうして見た目で悪いかどうかなんて判断できると思ったのかしら?」
「まあ悪い美女がいるのは確かだがな。俺には気ってやつが読めるのさ」
「気? 何のことかしら?」
「そうだな。教えてやろう」
俺は飛び出してきた穴の中に入り、少し移動。ロビンの真下の穴から飛び出る。お尻と太ももをむにゅっとつかみながら。
「えっ。あっ」
そして当然のようにお姫様抱っこ。身長はオンオンやキャベスより多少低い程度だが、腰や腕やが細いので軽かった。
「は、離してくれるかしら。私はもうそういう歳じゃないのよ」
ニコ・ロビンは俺から離れようともがくが、俺にとってはワカメが揺れたようなもので、全く気にせず抱き続ける。
「まあ待っていろ。今気を送るから」
俺は少し気を解放し、それをニコ・ロビンに送っていく。
「あっ」
ニコ・ロビンは色っぽい声を漏らし、四肢の力を抜いてダラーンとくびれる。
「これが気……。悪魔の実かしら?」
「いいや違う。誰にでもできるものだ。ただし、訓練しなければならないがな」
「そう。本当なのかもしれないわね。あなたは、いいえあなた達は異質過ぎる。4人共同じように空を飛んでいたから。同じような能力が4つあったと考えるよりは、誰にでもできると言われた方が納得できるわ」
「ふむ。そうか。物分りのいいやつは嫌いじゃないぞ」
俺はそう言うとニコ・ロビンを降ろしてやる。お姫様抱っこしたままよりはこの方が本音を話してくれると思ったからだ。
「ふう。で、私を悪人ではないと思い込んでいるあなたは、私に何をしてほしいのかしら?」
「おっと。聞いてくれる気になったか?」
「初めから話は聞いてるわよ。受け入れるかどうかは私が決めるってだけ」
「ふむ。まあいいだろう」
俺は腕を組み、顎に手を当て、ニコ・ロビンの肢体をじろじろ見る。
顔は、多少くっきりしているが悪くはない。体も出る所は出ている。ナミのように腰が細すぎるがな。
だが、肌がちょっと元気ないなあ。10代の張りが無い。顔にシワはないが、30歳近いのかなあ。全盛期過ぎちゃってるよなあ。セックスが気持ちいいことに変わりはないのだろうが、もったいないなあ。
「ジロジロ見るのね。そういう年頃なのかしら?」
「言っとくが、俺は19歳だぞ。見た目は13、4歳くらいかもしれないが」
「そうなの?」
「ああ。まあそういうことだ。そして要求はお前の体が欲しいというものだ」
「うっ」
ニコ・ロビンはあからさまに嫌そうな顔をした。不意を突くように要求を言ってみてたが、笑顔で応じてくれるはずはなかった。
「もしかして、処女?」
「……私のような闇で生きる女は初潮前に済ませるものよ」
「だよなあ」
肌が褐色なことを考えると、あそこは真っ黒な気もするなあ。顔と体はいいけど、肌つやとそれが惜しいな。
待てよ。トシトシの実を手に入れれば、彼女を10代にすることもできる。そうすればこれだけの美女の10代が味わえるじゃないか。ますます惜しいな。ここで政府に渡してしまうのは。
とそこで、ニコ・ロビンがくすくすと笑い始めた。
「ふふっ。バカね。やりたいなら無理矢理犯せばいいのに」
確かにそうだが、バカだと思うなら黙っていればいいのに。犯される嫌悪感よりからかう楽しみが勝っているのかな? 好き嫌いではなくそういう生き方しかできないのかもしれない。ツンデレならぬ偽悪デレとか。
「無理矢理犯すのは最後の手段だ。俺は地獄に落ちたく無くてな」
「あら? 神を信じる方だったの?」
「地獄はあると思っている。だがお前の体を諦めたくはない」
「そう」
また引かれてしまった。だが徐々にこれが快感に思えてきている。ヒールらしくなってきたな。
苦い顔のニコ・ロビンが、不意に悪戯っぽく笑う。そして演技っぽく、申し訳なさそうにうつむいた。
「……私って、罪な女なのね」
なんだそれ。シャレか?
「意外と余裕があるんだな」
「ふふっ。いいじゃない。このまま黙って処刑されるだけなんて退屈でしょ? 最期の時くらい笑っていたいわ」
なるほど。意外とルフィに似ているのかもしれないな。ただ、時折不安そうな顔をしているから、恐怖を紛らわしたいだけかもしれないが。
む? いかん! キャベスが起きやがった!
「くそっ。時間切れだ。おいニコ・ロビン。今から急いでガッツリやらせてもらうが、気持ちよかったらちゃんと幸福だと思えよ。そしてできれば、最期に幸福を与えてもらえたことに感謝してくれ。間違っても俺を恨んだり地獄に落ちろと思わないように」
「何それ? 遠回しに地獄に落ちろと思って欲しいって言ってるの?」
「話の時間は終わりだ。考えるんじゃない。感じるんだ」
ピッコロさんも悟飯にそう言ってたしな。ただしセックスについてじゃなくてサイバイマンの速度を見切るためだけど。
俺はスポーンとズボンとパンツを脱ぎ、早速挿入しようとする。ニコ・ロビンの服を脱がせる手間も惜しいからパンツの股の部分だけ横にズラそうと思う。
「えっ。嫌よ! ちょ、ちょっと! アッ」
入った。よし、ちゃんと気持ちいいぞ。ビラビラは黒かったがな。
「あ、ああっ。うっ。うううっ」
2人共立ったまま、ゆっくりと腰を振っていく。ニコ・ロビンは後ろ手を拘束されているので無駄な抵抗さえできない。目を閉じ、力無く喘ぐのみ。
このままゆっくり楽しみたいところだが、時間はあまりない。いきなりマシンガンでやらせてもらう。
「はあっ!」
「ひっ。う、ううっ。ぐはっ。はぐっ。ひいいっ! い゛いいいいいいっ!」
ニコ・ロビンはびっくりしたように目を開け、歯を食いしばる。
声を出さないように粘っているのがかわいい。全身に力を入れ、俺に倒れ込みながら我慢しようとしている。
「ぐうっ! ああっ! くうううっ! んっ! は、はああああああん!」
しかし、耐え切れなかった。海楼石の手錠のせいで力を入れずらかったというのもあるだろう。
「はあ、はあ、はあん! はあん! はあん! はあん!」
一度声を出した後は目をつぶり、思いっきり叫ぶ。
叫びながら、体を激しく捩り、揺さぶる。それでも耐え切れなかったようで、今度は背中を後ろに大きく反らした。
「ああああああっ! は、はあああああん!」
海楼石で力が入らないだろうに、足首はピンと張って、首もギュッと後ろを向いていた。さらに、どびゅっと愛液が膣を満たしていく。もうイってしまったようだ。速いな。まあ一般人に俺のマシンガン突きを耐えろというのが酷なのだが。
というか、イッたまま眠ってしまったぞ。これではハナハナの分身セックスができないではないか。キャベスがそろそろ暴れそうだから、早く戻らないといけないのに。
で、でもこいつ放っておいたら確実に侵入者はバレルよなあ。イってるし2人気絶してるし。もう正直どうにでもなれだよなあ。セックスより重要なことって人生にあるか? あったとしてもそれはワンピースの腐った政府に女を差し出すことか? 否!
「よ、よし! こうなったらやけだ!」
俺は気絶しているニコ・ロビンをお姫様抱っこし、穴に入った。そして証拠隠滅のために穴を破壊しながら元の出入り口に戻った。
戻ってから、ニコ・ロビンを担いだまま急いで方舟に移動する。ナタルの気を探る。
……ん? この近くにいるぞ。クロコダイルの件で来ることにしたのか?
方舟はアラバスタの港に来ていた。この短期間で移動したということは、飛んだのだろう。アズラエルは「目立つことは避けたい」と言っていたが、俺達が自重しないから諦めたのかもしれないな。ニコ・ロビンは、カッタツに任せておけばいいだろう。穏やかだし、戦闘力3000近くあるからな。
港には現地人がけっこういる。俺はニコ・ロビンを抱えたまま、人に見られないように高速で移動する。そして方舟の中に入る。
「あっ。ハラベコ大尉。盟主が呼んでましたよ」
技術者の1人が気付いたが、放っておいてカッタツの気を探る。トレーニングルームだ。珍しいな。
そこに行くと、ナタル、三馬鹿、カッタツ、ラクス、技術者等が日本語の練習をしていた。講師はキャッシュマン。
「あっ、ハラベコさん。アズラエルさんが……、その女性は?」
「だ、大丈夫なんですか!? 気を失っていますよ!」
「き、貴様あ! やっと正体を現したなサイヤ人!」
「ハラベコ大尉。その女性は捕えたはずのニコ・ロビンでは……?」
「えっ」
ナタルがボソリと言うと、ニコ・ロビンの手当に来ていたカッタツの動きがぴたりと止まった。
「ふむ。まあ助けることにした。隠しといてくれ」
「えええっ!」
カッタツにニコ・ロビンを託し、俺はアズラエルの気を探す。コントロール・ルームにいるな。
ついでにキャベスの気は……、こちらに向かってきている。俺の気を探れるというのは本当だったようだ。
だったらいい。アズラエルと話していればそのうち入ってくるだろう。黙っていればニコ・ロビンとの関係は秘密にできるはずだ。
「アズラエル、何の用だ?」
モニタールームに入りながら言う。アズラエルは通信機を手に誰かの応答を待っているところだった。たぶん俺だろう。俺のポケットの通信機は現在震えている。
「ああハラベコ大尉、困ったことになってね。この前に君達が麦わらの海賊を捕まえただろう?」
ルフィ? クロダイルのことじゃないのか?
「3000万の新人のことか?」
「ああ。それで、その新人の祖父を名乗る人が会いに来てね。なんとその祖父は、この世界じゃ1,2を争う有名な海兵だったんだ。位も中将」
「いいっ! そんな有名な海兵の孫が海賊だったのか!?」
いや、なんとなくそんな記憶はあるけどさあ。そしてワンピースというマンガの性質を考えると家族愛に溢れていて公私を混同してもおかしくない。つまり俺達が目の仇にされる可能性がある。
「まあ君も何となく察せたと思うけど、出会って初っぱなから、思いっきり握手されたのさ。手がバキバキに折れちゃったよ。海兵達と別れた後にカッタツに治してもらったけど、偽装で包帯を巻いてるんだ」
なるほど。それでぐるぐる巻いてたのか。
「その中将は謝らなかったけど、部下は必死に謝ってね。僕はいいと言ったんだけど、いろいろあって、政府のお偉いさんが謝りに来るとまで言い出してね。たぶん僕達の船を調べたかったんだと思う。もちろん調べられたら困るから、僕達は逃げてきたってわけさ」
「逃げたってことは政府に飛べることがバレたわけだな。よかったのか?」
「しょうがないさ。あのまま海兵達に囲まれるよりはずっといい。もともと煙の大佐さんにバレてたしね」
「お前達は俺の仲間だからコブラ王は匿ってくれると思う。だけど結局は世界政府より立場が下だから、いずれは押し切られると思う」
「はあ。君達にはもう少し慎重に動いてもらいたかったよ。政府と接触するのはしっかりした拠点を作ってからにするつもりだったのに」
「どうするんだ? これからは」
「どうせ君達は言っても聞かないからね。暴れてもらったらいいよ。こっちも割り切って金と力で解決することにしたからね。元々そっちの方が性分に合っていたしね」
アズラエルは笑いながら眉をヒクヒクさせていた。俺達の勝手な行動もそうだが、それ以上に手を折られたことに腹を立てているのは間違いないだろう。
「工場はどうするんだ? 作ったら攻められるんじゃないか?」
「ミラージュ・コロイドで隠すことにしたよ。もちろん方舟もね」
「なるほど。ところでさっきの暴れるってのは、政府にケンカを売ってもいいのか?」
「いずれはぶつかるだろうけど、今は待って欲しい。ウォーター・セブンというこの世界で最も造船技術の発展した都市を見て回りたいんだ」
「いいだろう。それはいつ頃終わるんだ?」
「1カ月でいい」
「1カ月か。だったらギリギリ押さえつけられるだろう」
その言葉の意味する相手がちょうどコントロールルームに入ってくる。
「おいハラベコ。勝手にいなくなるんじゃねえよ。さっさと次の戦闘行くぞ。あんな雑魚じゃ全然満足できないんだ」
「ああ、いいだろう。ただし4人一緒にだ」
「チッ。妙な馴れ合いは勘弁してほしいぜ」
馴れ合いじゃなくて監視なんだがな。主にお前の。もちろん口には出さないが。
それから、4人で近くの海賊を狩りまくった。ミスター・ワン、ミス・ダブルフィンガーらしきコンビ、巨人のドリーとブロギー、大猿兄弟を名乗っていたマシラ、ショウジョウ等を捕まえた。
しかし彼等は弱かった。女サイヤ人達はイライラし始めていた。こういう時には美味い飯に限る。俺達はリゾートっぽい場所の酒屋に入った。
「おいクソ親父ぃ! この肉はうまめじゃねえか! 追加だ!」
「おいマスター! この肉は死ぬほどマズイな!」
「ん?」
「ん?」
何故かキャベスと汚らしいなりのデカいおっさんの発言がハモった。お互い言語が違うので理解はできていないが。
「ぷふふっ。さすが芋娘ですわね。年季の入ったおじさんと通じ合うものがあるようで」
「あんだとてめえ!」
オンオンが煽るが、料理が出てきたので2人共そちらを優先し、ケンカにはならなかった。
しかし、キャベスが突然机を殴り、破壊する。
「おいクソ野郎ぶっ殺すぞ! このチェリーパイはゲロの味がするじゃねえか!」
「おいマスター! このチェリーパイは格別にうまいな!」
「あ? おっさんケンカ売ってんのか?」
「嬢ちゃん、ケンカ売る相手は選んだ方がいいぜ」
ただでさえ不機嫌になったのに、またハモってしまった。2人してケンカ腰で立ち上がってしまう。おっさんは、地味にこの世界で感じた気では2番目に大きいから、自信はあるのだろう。とてもキャベスの相手にはならないが。
「ぷ、ぷくくくっ」
オンオンが笑いに耐えているのが一層キャベスの怒りを誘う。
「ぷすっ」
あっ、レタツまで笑っちゃった。終わったな。
「てめえコラ! ガキィ!」
「いっ、違っ、料理がおいしくって! だから笑顔に! ひ、ひいいいいいい!」
キャベスはレタツの首元をつかみ、片手で持ち上げる。
「お、お客さん。暴れるなら外でお願いしますよ」
「ああ?」
キャベスは手に持っているフォークをおっさんに投げた。おっさんの髪がバサッと刈り上げられ部分的にハゲができたようになってしまう。
「ひ、ひえええっ!」
「キャベス、今は目立つ時じゃない。俺が戦ってやるから落ち着け」
「チッ、またそれかよ。はっきり言ってお前にはガッカリだぜ」
「まあこれから楽しくなるからさ」
そう言って俺達は2人で店外へ歩く。途中で2m50センチくらいの若者に肩がぶつかった。
「おいおい姉ちゃん、ごめんなさいもなしかァ? ハハッハァ!」
若者は笑いながら地面に埋まった。一瞬で若者の後方に回ったキャベスが頭頂部を手で押し、地面にめり込ませたのだった。
「何しやがったてめえ!」
「お、おいベラミー!」
「気をつけろ。能力者だ」
ベラミーと呼ばれる男の仲間達がキャベスを囲んだ。キャベスはレタツを解放し、一瞬で若者達の周囲を高速移動。今度は次々と上方へ投げ飛ばしていく。地上からでは俺の視力でもほとんど点であり、この高さでは風で流されたら海に落ちるだろう。かわいい女の子達がいたから彼女達だけは後で回収してやろう。
また、この時レタツはキャベスから逃げようとしていた。気を消し、現地人には見えない速さで人垣を縫うように動いていた。
しかしキャベスの目を誤魔化すには至らなかった。キャベスの両目がギロリと動く。
「ふひひっ。どうせハラベコと戦ってるうちに私のことなんて忘れるだろう。後は何食わぬ顔で戻れ、ばっ!」
逃げ切れたと思い、白い歯を見せていたレタツは、上方に現れた凶悪な気に一気に表情を曇らせる。
ドン! という巨大な音がした。それからメキメキという地響きがして、建物が揺れ、突風が吹く。
「ううっ。痛いよお、痛いよお」
レタツは地面にめり込み、身動きが取れない状態になっていた。右頬にはキャベスの拳の跡が大きく残っていた。
「この戦い、嬢ちゃんの勝ちだな」
さっきキャベスと言い合いになっていた大柄のおっさんが、鼻水を出しながら言った。