ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
センゴクの裁判長就任。裁判制度見直し。天竜人の有罪判決。天竜人の廃止。インペルダウンの囚人の裁判見直し。天竜人の財産分配。カッタツによる奴隷の治療と希望者の故郷への送還。空軍の創設。海軍の新編成。七武海の解体。世界政府加盟国すべてにおける首長者の解任。並び新首長の選挙。外宇宙の脅威の発表。SEEDの地球人、サイヤ人の紹介。闇のブローカードフラミンゴの処刑。自殺志願者の四皇カイドウのかめはめ波による消滅。赤犬率いる旧政府軍の鎮圧。世界は目まぐるし動いた。
サボとティーチの戦いは、初めオンオンの武術を学んだサボが有利だったが、ティーチは密かに隠し持っていたゴロゴロの実の力を使用し、形勢を逆転。2人同時にノックアウトした後、ティーチが先に立ちあがった。これにキャベスは大喜びだったが、続くオンオン対ティーチは、開始早々腹パン一発でティーチがノックアウト。約束通りティーチはキャベスに殺されてしまった。
「二度目はないと言ったのに、また力を隠してやがったからだ。従うフリをして寝首をかこうなんざ卑怯もんのしやがることだ」
そう言うキャベスはどこか寂しそうだった。
マリージョアの資料に、能力者が死んだら近くの木に悪魔の実が成るというものがあった。ティーチが汚い花火となった付近を探していると、ヤミヤミの実とゴロゴロの実を見つけた。ゴロゴロをサボに食べさせ、ヤミヤミは海軍の誰かにあげることにした。
七武海のゲッコー・モリアも処刑し、やつが食べたカゲカゲの実も回収した。カゲカゲはビビに食べさせた。
空軍の本拠地はアラバスタ。第一支部はスカイピア。第二支部は新世界のドレスローザとした。アラバスタ、スカイピアはハラベコ等との関係の強さのため。ドレスローザは新世界であること、王族がドフラミンゴ討伐の感謝の果てに従順になったこと、周辺国のリク王(選挙によって選ばれた)に対する信頼、ヴィオラ王女のギロギロの実がレーダーとしてとても優れていたこと、等が理由である。こうして空軍はギロギロの実、ゴロゴロの実、気の感知、空島からの監視、による強力なレーダー網を得た。
しかし、俺にとって重要なのは女のことだった。
ボア・ハンコック。色んな美人がいて、それぞれに良さはあるが、最も性欲を刺激するのは彼女だった。顔と体を見ているだけで、とにかくやりたくなってくる。女性であるビビやオンオンでさえ一目見て顔を赤くしていたから、悪魔の実の効果もあるのかもしれない。
俺がキャベス等とマリージョアに帰還した時、ドラゴン等はまだ演説中だったが、他の革命軍メンバーは天竜人の奴隷達と共に宴をやっていた。キャベスとレタツは食事の匂いに釣られてそちらへ向かったので、俺は早速ハンコックを探すことにした。
凛々しく苛烈だが、甘ったるい感じもする戦闘力200くらいの気。天竜人の居住区から少し離れた場所に見つけた。近くにカッタツの気もある。2人で何をやってるんだろう。
2人は巨大な牢の前にいた。牢には捕えた天竜人達が入っている。牢に近づこうとするハンコックを、カッタツが両手を広げて止めている。
「退くのじゃ! あいつらは殺してやらぬと気がおさまらぬ!」
「ま、待ってください! 彼等は法で裁かれるべきです!」
「法の加護を受けてぬくぬくと生きてきたやつらじゃろうが! その法などにいいところを持って行かれてたまるものか! 何より、わらわがわらわの手で殺したい!」
ハンコックは相当天竜人を憎んでいるようだ。何かあったのかもしれないな。というか、天竜人が石になってるんだけど、誰がやったんだ? まさかハンコック? なんか怪しげな力を持ってたからなあ。
「あ、ハラベコさん! いいところに!」
「そちか……」
俺はスーッとカッタツの横に降りる。
「話は聞いたよ。天竜人を殺したいんだって?」
「そうじゃ! 邪魔をするならそちから殺すぞ!」
「まあ落ち着いてくれよ。あれだ。天竜人を法で裁くってのは、ショーみたいなものでさ。スカッとするような演出はすると思うよ。センゴク元帥がどう判断するかってことで、世間に新政府のやり方を示すのが主目的だけどさ。でもたぶん、ほとんど死刑になるんじゃないの? 子供は財産没収くらいだろうけど」
「何がたぶんじゃ! わらわはこの手で殺したいんじゃ!」
「じゃあ、刑が決まってから死刑執行人やる?」
「何!? …………拷問してよいか?」
「こっそりとなら」
「ふむ」
ハンコックの表情がやっと和らいだ。話している内容は残酷だけど。
「ハ、ハラベコさん! なんてことを! 拷問なんて絶対にダメですよ!」
「うーん。でも俺等部外者だからさあ。あんまり強要するのも悪くないか?」
「強要してでも止めるべきことはあると思います! 弱い者苛めや命を弄ぶようなことです!」
真面目なカッタツが見逃すはずがなかった。かと言って俺はハンコックに嫌われたくない。改心できればいいが、もう30歳近いからな。厳しいだろう。
「うーん」
「ハンコックさんのためでもあるんです! 憎しみに囚われてはいけません! ここで許すことができれば、もっと朗らかに、人生を豊かに生きられるはずです!」
言うなあ。さすがにナメック星人は人間ができてるなあ。
「な、何をのうのうと! 何も知らぬくせに! もう我慢ならぬ!」
ふと、ハンコックが両手でハートマークを作った。30歳とは思えないおちゃめな挙動だ。ハートマークの間にはちょうど豊かな乳房の谷間があり、見入ってしまう。
「メロメロ甘風!」
ふと、手のハートマークに怪しげな気が集まる。程なくピンク色のオーラが飛び出す。それは俺とカッタツを覆い尽くすように広がり、やがて俺の体を突き抜ける。
「うっ」
精神が支配されるような感覚に陥る。性欲が増す。まだまだ増す。だけど気持ちいい。この女を食べたい。食べるだけでは足りない。絶頂でも足りない。女、女、女。思考が女だけに染まる。
――ハラベコは石になってしまった。
「うわあああ! な、なんてことを!」
「な、なぜわらわのメロメロ甘風が効かぬ? ナメクジのゾオン風情が。もう一度、メロメロ甘風!」
カッタツが頭を抱えて悲鳴を上げる。ハンコックはカッタツがナメクジに変身する能力者で元は男だと考えたが、実際はオスメスの概念がないナメック星人なので性欲を刺激して生物を石に変えるメロメロ甘風は効かないのだった。
「ハラベコさん! ど、どうしよう? どうやったら戻るのです!?」
カッタツは石になったハラベコの周りであたふたする。その姿を見てハンコックは嗜虐的な笑みを浮かべる。
「ふん。わらわの気分次第じゃ。それ以外に方法はない」
「そんな……」
カッタツはドラゴンボールが頭に浮かんだ。最長老の強力な魔術でも治せるかもしれないと思った。しかし目の前の女に詰め寄るのが先だと考える。
「だ、だったらすぐに治してくださいよ!」
「嫌じゃ。なぜそのようなことを。よいか、わらわは何をやっても許されるのじゃ」
「そんなことはありません!」
「くうっ、黙って聞け! なぜなら、わらわが美しいから! 頭が高いぞ貴様!」
ハンコックは見下げすぎて見上げるポーズをした。しかしカッタツにはまるで通用しない。真顔で反論される。
「美しい? 今のあなたにそのような言葉は似合ませんよ。むしろ黒く濁っています。大きすぎる自尊心と、傷つきたくないという恐怖のために」
「な、なんじゃと貴様ァ!」
ハンコックは自身の魅力に全く影響されない存在に恐怖を感じていた。自身の心を言い表されてしまったことも焦りにつながった。それら認めたくない感情を、怒りでそれを塗りつぶそうと躍起になる。
「決闘じゃ! アマゾン・リリーの戦士として決闘を申し込む!」
カッタツは一瞬ドキリとした。彼は暴力が嫌いだ。しかしハラベコを元に戻すため、またハンコックの心を救うためには、それしかないかと思い至る。唾をのみ込み、覚悟を決める。
「いいでしょう。それであなたの気が済むのなら」
「わらわを舐めておるな? 死んでから後悔しても遅いぞ」
「約束してください。僕が勝ったらハラベコさんを元に戻し、天竜人を徒に苦しめるようなこともしないと」
「ふん、いいじゃろう。じゃがお主も約束しろよ。負けたらわらわがあの下衆共を殺すことを認めるとな」
「いいでしょう」
ハンコックが脅すような顔をすると、カッタツは決意を秘めたような目で彼女を睨む。カッタツは人生で初めて人を睨んだのだった。
ハンコックはジャンプして付近の木に登り、決闘に良さそうな場所を探す。湖に浮かぶ小島を見つけた。
「幸いわらわもあやつも悪魔の実の能力者。落ちれば死ぬデスマッチじゃ」
ハンコックは凶悪な笑みを浮かべた。
「降参すれば負け。死んでも負けじゃ」
「気絶すれば?」
「もちろん負けじゃ」
ハンコックは楽勝だと思っていた。カッタツからは小さな覇気しか感じていなかった。適当になぶり、ごめんなさいと謝らせ、もう二度と舐めた口は利かないと約束すれば、特別に命だけは助けてやるつもりだった。天竜人を殺してからハラベコも元に戻すつもりだった。天竜人に一泡吹かせたドラゴン達に彼女なりに感謝しているからだった。
「覚悟はよいか?」
「ええ」
2人は小島で向かい合い、構える。
「では、始めじゃ!」
ハンコックがそう言った瞬間、カッタツの体から凄まじい覇気が溢れ出た。
「なっ」
ハンコックが驚愕している間にもカッタツの姿は消え、後頭部に衝撃を感じる。ハンコックの視界が揺れる。意識が持っていかれる。
「くっ、くうっ」
ハンコックは一撃で気絶させられ、倒れたのだった。
しかし程なく意識を取り戻す。カッタツの魔術によって。
「わらわは、負けたのか」
「はい」
「そうか。強いなお主。怒る気にもならぬ」
その後、ハラベコは元に戻った。――
いきなり目の前が白く光る。すぐさま瞳が明順応していく。
「あれ? 何が……?」
寝ていた時のような感覚がある。だが、立ったまま? おかしいな。俺は何をしていたんだろう。ハンコックを追ってここまで来て、彼女が天竜人を憎んでいるらしいと聞いて、それからどうなった?
「よかった。何ともないみたいですね」
「当たり前じゃ」
カッタツが俺に向かって笑い、次にハンコックに向かってほほ笑む。ハンコックはプイとカッタツから視線を逸らす。しかし、頬が若干赤くなっていく。
何? どういうこと? 乙女っぽい反応なんだけど。どういうこと? あいつオスメスなかったよね?
「そうだ! ハンコックさんとハラベコさん、一緒に宴に参加したらどうですか! 皆さん楽しんでらっしゃいますよ!」
やっぱり性欲は無いみたいだ。そしてナイスアシスト。
「そうだね。行こっか」
「な、なぜわらわが男などと!」
「いいではないですか! せっかくですし!」
「カ、カッタツがそう言うなら……」
あ、でもハンコックはやっぱり乙女っぽい反応なんだ。あからさまに動揺している。何があったらこうなる?
「お、お主は来ぬのか?」
「ええ、僕は彼等を守らなくてはならないので」
「そ、そうか。難儀な性格じゃな」
「いえ、そんなにお気になさならくていいのですよ。僕は宴に行っても水しか飲めませんからね」
「酒は嫌いなのか? じゃが料理はあるじゃろう」
「いえ、僕はナメック星人なので、水以外は必要ないのです」
「ナメック星人?」
「はい」
その後カッタツはつらつらとナメック星人について説明していった。ハンコックは宇宙人という言葉を理解するのに数分を要した。しかし「カッタツのためじゃ!」と気合で受け入れた。しかしカッタツは、戦闘能力、魔術、性格、と来て繁殖方法まで話してしまった。
「僕達はオスとかメスとかはないんです。こう、口から卵を産んで、子を増やすんです」
「は?」
ハンコックは固まってしまった。恋か愛か知らないが、それが始まることはないことを納得するまで数十分を要した。
ハンコックは膝をつき、うなだれた。失恋。かわいそうだが、俺にとってはチャンスでもある。悲しみにつけ込むというやつである。
「ハンコックさん! 僕と一緒に踊りましょう!」
「さ、触るな! 男など!」
「そう言わずに! さあハンコックさん!」
「ええいっ! 近づくな! 私を一人にさせろ!」
「さあ! さあ!」
俺はにこにこと笑顔でハンコックのお尻を追いかけ続けた。殴られたり蹴られたりすることもあったが、笑顔で受け止め、それとなくボディタッチした。SEEDの地球人等とすれ違うと、またやってる、と呆れられた。
「ん? おいハラベコ! その女って確か!」
しかし、残念なことにキャベスに見つかってしまった。海軍本部での約束も覚えているようだった。
「おい! その女貸せよ! 戦わせてくれる約束だったろ!」
「き、貴様ぁ! 何をわけの分からんことを! わらわを誰と心得る!」
俺は通訳してやる。
「知らねえよ。雑魚の1人だろ」
ハンコックに通訳しようか迷ったが、彼女は理解できたらしかった。見聞色の覇気だろう。
「な、なんじゃと! ……ふ、ふふふふ。わらわは今気が立っておるのじゃ。許さん! 許さんぞそこの女ぁ! 石にして粉々に砕いてくれる!」
あ、やっぱり石にするのはハンコックの能力だったんだ。天竜人を石にしたのは彼女。もしかして俺の記憶が変だったのも?
「おっ? なんかやんのか?」
キャベスはおもしろがってハンコックの攻撃を待っている。だが、特殊攻撃は危険だ。本当に俺達さえ石にできる能力だと言うのなら、止めなくてはならない。まずは身構える。気を高め、いつでも動けるようにする。
ハンコックが手でハートマークを作った。その手に妙な気が集まり、ピンク色のオーラを纏う。
「メロメロ甘風!」
広い! 三次元に直進か! そして速い! だが対応できない程ではないぞ!
俺は一瞬でハンコックの横に回り、謎の波の攻撃範囲から脱する。キャベスはまともに受けてしまった。すると突然苦しみ出す。
「うっ、くっ。こ、この野郎! 私はサイヤ人だ! このようなしょうもない技で、心を乱そうなどと、無駄だァ!」
キャベスが吠えると同時に気が爆発し、突風が吹く。
「はあ、はあ、はあ。小細工しやがって」
キャベスの気は正常に戻っていた。精神干渉計の攻撃らしいが、彼女には効き目が薄かったようだ。たぶん俺はやられてしまったんだろうな。油断して。ハンコックの胸とかを見ていたんだろう。
「な、なぜじゃ。なぜ2度も、わらわのメロメロ甘風が……」
ハンコックは焦り、恐怖している感じだった。才能に恵まれ、自信にあふれた子供が、初めて挫折を味わった時に似ている。
キャベスは一瞬でハンコックの目前に移動し、腹を殴る。
「か、かはっ」
ハンコックは前のめりに倒れ込む。しかしその体が落ちる前にキャベスが頭を鷲掴みする。
「ひひひっ。かわいい顔してるじゃねえか。私は女に興味なかったんだが、お前は楽しめそうだ」
「ひいっ」
キャベスは凶悪そうな顔で笑う。というか、百合!? 悪魔の実の影響かもしれないが、そういうのに目覚めたわけ!? そして今からやっちゃうわけ!?
キャベスは頭を鷲掴みしたまま反対の手でハンコックの顎を支える。そしてクイッ。自分の顔へ唇を向けさせる。
「まさか、本当に……」
そしてキャベスは目をつぶり、徐にハンコックへ自身の唇を近づけ、チュー。
「ちゅっ。んちゅっ。んんっ」
「んっ! んんーっ! んむーっ!」
なんだこれ。美しい絵と言われればそんな気はするけど、なんだこれ。
キャベスはフッとハンコックを手放す。ハンコックは「ああんっ!」とか甘い声を出しながら、ペタンと内股で地べたに倒れ込む。
「おお! いい匂いがするじゃねえか!」
キャベスは料理の香りに釣られて飛んで行った。残されたハンコックは、倒れた時の姿勢のまま、キャベスの後姿を見つめる。顔は赤く、うっとりした表情。もともと露出の多い胸元が、服をはだけたような印象を出す。
「キャベス様……」
ハンコックは甘えるように唇を指でなぞった。恋する乙女そのものだった。
だからなぜこうなる!?
「ハ、ハンコックさん! 彼女の強さに惚れたのかい? だったら実は俺の方が強いんだよ!」
「うるさい! 男が近寄るな!」
「よ、よし! 実際に見せてやろう!」
「消えろ! メロメロ甘風!」
俺はハンコックの後方に回り込むことで躱す。そして後ろから肩をとんとん。
「どうだい! これが俺のスピードだ!」
「なっ! 男が私に触るな! まだ生きていたのか鬱陶しい!」
「次は力を見せるよ。例えばそこにある岩を」
「キャベス様ー! お待ちになってー!」
俺は岩を叩き割るが、ハンコックは見ちゃいなかった。これは長期戦になるかもしれないな。
実際、長期戦になったのだった。それからのハンコックはキャベスしか見ていなかった。ティーチ以上の勢いで彼女に付きまとい、命令に従った。キャベスもその従順さに喜んでいるようだった。ティーチが消えた寂しさを忘れるどころか「あんな汚い野郎をなぜ鍛えていたのか。自分でも不思議に思うぜ」など発言する始末だった。夜、性欲が溜まると俺の部屋に来るのだが、その頻度は少し下がった。理由は、ハンコックと女の子同士でやっているからだった。気の乱れ方を見れば一目瞭然なのだ。
キャベスの愛を独占したいハンコックは、俺と彼女を離そうとしてきた。
「わらわがいるではないですか! なぜあのような汚い男と!」
「あいつはただの性処理器だ。別に愛がどうとか関係ねえよ」
「では! もうやめてくださいませ!」
「ああん? なんで私がお前のような雑魚に命令されなきゃなんねえんだよ!」
「ああっ」
キャベスにすがりつくハンコックを、キャベスは軽く払って壁に叩き付ける。ハンコックは内股で地べたに倒れ、「キィーッ!」と袖を噛む。そんな少女マンガのような光景を何度か見た。
「キャベス様に近づくな! 汚らしい男が!」
ハンコックは俺に対し、初めは言葉だけだった。しかし徐々に、拳、足、メロメロ甘風、毒とエスカレートしていった。サイヤ人の敏感な鼻と舌が無ければ死んでいたかもしれない。
しかし俺は死ななかった。気を探ればハンコックの殺気や緊張に気付けるので、罠を仕掛けたタイミングや出てくるタイミングは分かるのだった。
「はあ。はあ。はあ。はあん! はあん! う、ううっ。ふう、ふう、ふう」
ある日、オンオンがイッた時だった。オンオンが俺のベッドに横になろうとすると、突然ドアが開いた。
「わ、わらわが、男の邪気を全て吸い取れば。ふ、ふふふっ」
キャベスかと思ったらハンコックだった。裸で、体中に墨でお経を書いており、額には『悪霊退散』と書かれたハチマキを巻いていた。目的は俺の性気を吸い取ることらしい。
「よし!」
身の危険、死の危険さえ我慢していた思いがやっと実ったのだ。このタイプの女は近くにさえいれば、謎の化学反応が起こってヤレルかもしれないと思っていた。奇跡的な確率だったかもしれない。しかし奇跡は起こるものではなく起こすものなのだという言葉が頭を過ぎったりした。
「よ、喜べゲロ虫以下の男。わ、わらわが口でその粗末なものを吸い取ってやろう。ふふふっ」
ハンコックはうつろな目で近づき、ヒョウが身を屈めるように身体をくねらせてしゃがんだ。そして俺の肉棒にずいと顔を近づける。フッと表情が緩み、頬が赤くなる。
「ほ、ほう。これがそなたのチンチンか。体に似て小さいではないか。ははははは」
ハンコックは大げさに笑う。美人の顔が近くて、やりたくてたまらず、気を込めていないのに肉棒が大きくなっていく。
不意に、ハンコックが眉を寄せた。
「オー、ナンマイダー、ナンマイダー」
誰に習ったのか知らないが、意味の分からないタイミングでお経だ。しかし言い終えたハンコックは満足げに口端を歪めた。
「で、では行くぞ!」
横髪を色っぽくたくしあげながら、俺の肉棒に唇を近づけるハンコック。そのまま、唇がフッと当たる。
「チュッ」
まさかのキス。サービスの良さに驚愕する間にも、舌でカリを舐めてくる。しかも同じところばかりを執拗に。
「くううっ」
肉棒がさらに大きくなっていく。ビクンビクンと揺れる。
「ほう。んっ。んむっ」
ここで、ハンコックはとうとう肉棒を口に入れた。
「んっ。んっ。んはっ。んっ、んんーっ。むっ。ちゅぱっ」
う、上手い! 上手過ぎる! 絶妙の舌触り。同じところを執拗に攻めつつ、欲しくなった部分をサラッと舐められる勘の良さ。溶け込むような吸いつけ。のどごし。どれをとっても一級品。どこでこれほど経験を積んだのか。30近いとは言え、初々しい乙女っぽい反応だったのに。まさかキャベスが教えたのか? 本人より数段上手いのだが。
「す、すまん。もう我慢できん」
「ううっ。むぐうっ」
俺はハンコックの頭をつかみ、腰を振っていく。ハンコックのかわいらしい顔が息を求めて歪む。喘ぎ声がとてもいじらしい。
「おおっ」
「んんっ! んんーっ!」
びゅっ、びゅっ、と精液が飛び出る。もう出してしまった。まだ挿入もしてないのに。
「ぶはっ。はあ、はあ、はあ」
ハンコックは肉棒から口を離し、呼吸を整える。ふと、ゴクリと喉を鳴らした。精液を飲んだのだろう。
「ふ、ふははは。男などこんなものよ。だが、わらわは許さぬぞ。最後の一滴まで搾り取ってやる」
ハンコックは手の甲で唇を拭いながら、ヘビのような顔つきで俺を見下ろした。