ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
ナメック星に到着した。まずはツーリ長老の下へ行き、カッタツを中心に帰還の挨拶をした。地球の神やビビ等の新参者は初めましての挨拶だ。
「こ、ここが私の故郷か……」
神はボーっと空を眺めることが多かった。年甲斐も無くジーンと来ている感じだった。
次に来たメンバー全員で最長老の下へ向かった。彼はこの星の代表者であり、神の力も持っているとのことだった。
そこへ近づきながら、かなり大きな気があることに気付いた。ネイルだろう。俺ほどではないが、オンオンより大きい。原作の4万のままではない。俺達がこの星を去ってから修行していたのだろう。
カリン塔のような細長い岩場の先に彼の住居はあった。近づくとネイルらしき男が出てきた。
「最長老様がお待ちだ。本来お前達のような邪な者は会わせないのだが、特別に認められた」
「なんだこいつ。偉そうにしやがって」
久しぶりにキャベスの口を塞ぎ、会話を中断させる。
キャベスに殴られながら、ネイルに従って建物に入る。
「お、大きい」
コニスの言葉通り、最長老は5mを超えるような巨体だった。そして独特の神秘的なオーラがある。それが一層彼を大きく見せていた。表情は柔らかく、いかにも優しそうなのだが。
最長老はのっそりと椅子から立ち上がった。この時期はまだ動けるようだ。目は閉じたままだが。
「初めまして、異星の皆さん。そして久しぶりですね。と言ってもあなたは私のことを覚えていないでしょうが」
「さ、最長老様は、私のことをご存じで?」
「ええ。あなたが赤子や幼児の頃に少し会ったくらいですけどね。しかしあなたの生みの親のことはよく知っていますよ。すばらしい人、そして天才でした。名はちょうどそこのカッタツと似てカタッツです」
「は、ははあ」
神が感激したような顔で平伏した。やはり彼はこの星に来るべきだったと思った。
次いで最長老は俺の方を向く。目は閉じたままだが、周りがどうなっているかは完全に分かっているようだ。
「あなたがサイヤ人の王を名乗っている方ですね」
「ええ」
何を聞きたいのだろう。彼の未来予知はどの程度見えるのだろう。原作知識をこの場で暴露されたら困るのだが。
「前回は私の子ども達がいらぬ気を使ってしまったようで、挨拶が遅れて申し訳ありませんでした」
「い、いえいえ」
善人なのは知っていたが、このオーラで謝られると強縮してしまうな。
「それと、遠い星で迷子になっていた我が同胞を連れ戻していただいたことに感謝します」
最長老はゆったりと会釈する。本当に巨体に似合わず人がいいな。
「いえ、自分達の目的のためでもありますから」
「それでもですよ。あなた達には何かお礼をしたいと思っています。ご希望はありますか?」
おっと、これはラッキーな展開。
しかし希望か。ドラゴンボールの話をこの場ではできない。全盛期の神と戦うというのは、最長老に頼まなくてもやってくれると思う。ならば、考えていた俺達の修行を話してみようか。
「えーっと、僕達の修行を手伝っていただけないでしょうか?」
「ええ、構いませんよ。何をすればいいのです?」
「精神の修行と戦闘訓練がありまして。まず精神の修行というのは、精神支配系の攻撃に対する耐性を高めるものです。それと、僕達サイヤ人は月を見ると大猿になるのですが、恥ずかしながらここのオンオン以外大猿の状態では理性を維持できないのです。ですからそれを維持できるような修行もできればいいと思っています。戦闘訓練は、ここの地球の元神の全盛期と戦うことを考えていましたが、よければ最長老様の全盛期の力もお見せしていただいてよろしいでしょうか? こちらのジュエリー・ボニーの力で若返っていただき」
「な、なんだと!」
「ハラベコさん!」
ネイル、カッタツ等が俺に詰め寄る。
「ええ、構いませんよ。お役に立てるかは分かりませんが」
しかし思った通り本人は受けてくれた。
「最長老様! このようなふざけた願いなど!」
「ふざけてなどいませんよ。彼等サイヤ人にとっては戦闘こそが幸福の大部分を占めるのです。価値観の違いと言っていいかもしれない」
「あの、なんでしたら、カゲカゲの実の能力でそちらのネイルさんに力を集めるという形でもいいですから」
というか初めからそのつもりだった。最長老を殴るのは訓練と分かっていても抵抗がある。
「ああ、そうですね。そちらの方がいいでしょう。私は闘い自体はあまり得意ではありませんから」
最長老は説明せずともカゲカゲの実の能力を理解してくれるので、すいすい話が進む。
ピッコロ大魔王をジャーから出す前に最長老を全盛期に戻した方が安全だろうから、今すぐ若返ってもらうことにする。
「では、早速ですが若返っていただけますか?」
「そうですね。彼に訓練をつけることを考えてもその方がいいでしょう」
最長老が神の方を向くと、神はまた恐縮した。
「わ、私などのために、そんな」
神は手を前に出して断るようなポーズをするが、最長老はフッと笑むだけだった。
ジュエリー・ボニーに「頼んだ」と言って、最長老に近づいていってもらう。彼女も最長老の巨体とオーラに面喰ったようだった。
「ほ、本当に若返らせるぞ。いいんだな」
「ええ、構いませんよ」
「や、や、やるぞ。え、えいっ」
ボニーが目をつぶると、彼女の体から不思議な気があふれ、最長老に注がれていく。最長老の気が少し増え、顔色が若干よくなった感じがした。
「お、おい。変わってねえぞ」
「そんなはずは」
キャベスが指摘すると、ボニーは焦った風になる。しかし最長老はまたフッと笑う。
「いえ、50年ほど若返りましたよ。しかし私はカタッツの子が赤子だったころには既に長老だったので」
「げっ!」
「コラ! 失礼だぞ!」
レタツが声を漏らすと、神がレタツの頭をポンと叩いた。
しかし俺も今の情報には驚いたぞ。なんせこの神は原作で寿命が近かった。ナメック星人の平均寿命は神くらいだと思っていた。実際たぶんそうなのだと思う。この最長老が異常に長生きなのだ。
「えっと、もう200年くらい戻していいのか?」
「おそらく全盛期は600年から700年くらい前ですよ」
「700!?」
ボニーは驚き声を上げた。俺も驚いた。他のメンバーも茫然としている感じだ。
「こ、怖いから100年ずつ戻すぞ」
「ええ、それでもいいですよ」
最長老は100年ずつ若返ることになった。100年前では顔色と気の大きさが少し変わった程度。200年前では少し痩せて、気が倍くらいになった。300年前ではお腹周りがかなり減って、気がさらに倍くらいになり、目が薄ら開いた。400年前では背筋が伸び、目がはっきり開き、手足の筋肉が盛り上がってきた。気は抑えているので変化はなかった。500年前ではさらに背筋が伸び、顔は生気で満ち溢れ、厚い胸板が盛り上がった。そして、600年前。
「こ、これは…」
身長は少し縮んだ。しかし厚い胸板。浮き上がった腹筋。屈強な足腰。牛のような二の腕。生気であふれる瞳。しかしおだやかな笑み。
勇者、英雄。そういう言葉が浮かぶ、とてつもない存在がそこにいた。
「懐かしいですね。皆がいた頃はこういう体でした」
「あ、あわわっ」
ボニーが最長老のあまりの威圧感に尻餅をつく。ナメック星人等も、女サイヤ人等も言葉を失っている。
見るからにとてつもなく強い。
「最長老様。どうなのです? もう100年戻した方が強いのですか?」
「気自体は大きくなると思います。しかし技が優れていたのはこの時期でした。と言っても、こちらの娘さんの力で若返った場合は技がそのまま使えそうなので、もう100年戻した方が全てにおいて優れるでしょうね」
「そうですか。ボニー、頼む」
「えっ? あっ。ああ」
ボニーが再び最長老に触れる。そして最長老が変化する。
「うわっ」
ただ若返っただけなのに、眩しく光ったような気がした。
実際肌つやがよくなったために反射光は増している。しかし、今俺を驚かしたのは最長老から溢れ出るエネルギーだった。異常気象に襲われた星で、たった1人生き残った老人。しかもその後100人近いの子を産み、再び一族を復興させた。その全盛期の生命力は、一個だというのに大自然を思わせるものだった。
「ああ、こんな感じでしたね。当時トレーニングに没頭していたので」
当人はなんでもないことのように言い、己の体を懐かしそうに見回す。その言葉通り、肉体はかなり鍛え上げられている。力強く、しなやかで、無駄のない筋肉。この巨体からどれほどの力が産みだされるのだろうか。
「ハラベコ、お前あいつに勝てるか?」
ふと、キャベスが尋ねてきた。彼女は眉間を寄せ、冷や汗を流していた。
「お互い気を全開にしてみないと分からないが、たぶん無理だろうな」
逆に勝ててしまったら申し訳ない。こんなに神聖なオーラを出している人に、俺みたいな小物が。
「お、おいテメェ! 何弱気なこと言ってやがる!」
「別に今勝てなくてもいいじゃないか。修行を積めば。逆に自分より強い相手がいて好都合だろう? 修行の効率が上がる」
「な、何余裕ぶっこいてやがるんだよ! 調子に乗るなよ! お前なんぞすぐに追い抜いてやるからな!」
キャベスは力強く握りこぶしを作った。俺も気を抜いてはいられない。
最長老が全盛期の姿になったところで、次に神に若返ってもらった。こちらは300年前の姿。見た目は原作のピッコロとほぼ同じだ。声も似ている。戦闘力は1000くらいだが、気を抑えているから実際のところは分からない。キャベスやオンオンより上ということはないと思う。
ここで一旦最長老の家から出る。いよいよピッコロのお出ましだ。
神が電子ジャーに付いた紙を外し、ふたをあける。ジャーの周囲の空間が揺らぎ、中から細長い何かが飛び出す。
「ぷはあっ。はあ、はあ」
先程の老人だった神にそっくりの男だった。ただし歯が剥き出しだったりして、より悪人っぽい。
「や、やっと出られたぞ! 誰かは知らんが感謝してや……」
ピッコロ大魔王は歓喜の顔で見上げる。若返った神と目が合う。
「か、神!? 貴様何のつもりだ!」
ピッコロは慌てて戦闘態勢に入り、神を睨む。そうしながら俺達を見回す。
「武闘家か。しかもこれだけの数」
忌々しそうにつぶやく。しかし、最長老のところでピタッと視線が止まる。
「あっ、ああっ、ああっ」
その巨体、纏う空気に、格の違いを感じ取ってしまったようだ。ピッコロは後ずさりし、尻餅をつき、動けなくなってしまう。
「安心してください。あなたに危害を加える気はありませんよ。そちらから何かをしない限りは」
「な、なんでも言うことを聞く! 命だけは!」
「そうですね。まずは話を聞いてもらいましょうか」
最長老は困ったように笑い、ピッコロに説明を始めた。まずここがナメック星で、ピッコロの生まれ故郷であること。神はピッコロと分離した反省のためにこの星に戻ってきたこと。神の目的は自分自身の力で悪の心に打ち勝つこと。ピッコロも同じ修行を受ける必要があること。
俺は気付いた。最長老はピッコロを更生する気でいる。おそらく神と融合させ全盛期に戻す気はない。少なくともそれを強制する気はない。だがそうなれば、当初の目的である全盛期の神との試合はほぼ不可能になる。最長老が強い分問題ないかもしれないが、少し気になる所だな。
「な、なぜわしがそんな面倒なことを」
「でなければ、強制的にあなたの半身と同化させます」
「いっ。そ、それだけは! 分かったやる! やるから勘弁してくれ!」
「いいでしょう。すみませんねサイヤ人の皆さん。そういうことでお願いできますか?」
「ええ、いいですよ」
「ありがとうございます」
俺がうなずくと、最長老は笑顔で頭を下げた。
それぞれの修行が始まった。
オンオンとキャベスはネイルとの戦闘。また、重力室でトレーニング(ネイル用の重力室)。
ピッコロは若返らせ、神の影を入れられた状態で、最長老と共に瞑想。神もピッコロの影を入れて瞑想。
俺、ビビ、ハンコック、くいな、ボニーは重力室でトレーニング(俺のみサイヤ人の宇宙船の重力室を1人で使う。他はツーリ長老の村の重力室を共用)。コニスも家事の合間にトレーニング。
最長老は俺に「あなたの相手にふさわしい方に心当たりがあるので、少し待っていただけませんか?」と言った。俺は女サイヤ人ほど強敵に飢えているわけではないので了承した。
そして、修行の合間でフレイの様子を見に行った。
彼女はナメック星人の村に地球人1人でいた。それも村長の家に。俺がその家の庭に着地する前に彼女が中から出てきた。服装は相変らずブラジャーみたいなタンクトップにブルマみたいな短パン。そして笑顔で手を振る。
「お兄さん、お久しぶりです」
「よっ」
遠くからでも俺の気を感じられるようになっているらしい。背も少し大きくなっている。体型も筋肉で全体的に膨らんだ。訓練は続けているらしい。
「今何やってたんだ?」
「ドラゴンボールを手に入れるための試練ですよ。今3つ集まっているんです」
約半年で3つか。順調だな。
「へえ。どんな試練があるんだ?」
「私が一個ボールを手に入れたのは、こちらが叶えたい願いを言って、その願いの長所を長老と自分とで出し合い、その良さを競うものです。3カ月かかりましたが、なんとか手に入れました。もっとも、長老との知恵比べに勝てたんじゃなくて、長老が『その願いの長所は全て伝えた』と言って勝手にくれたわけですけど」
「なるほど。長老の真の目的は知恵比べではなくて知恵を与えることだったんだな」
「たぶんそうです。レイがボールを取った試練も、私とは逆に願いの短所を出し合うものでしたが、そこの長老は『きみは十分に自省ができておる』と言ってくれたそうです」
「そうか。心を試した感じだな」
知恵を与え、心を鍛える。試練ではあるが、教育っぽい。ナメック星人らしい感じだな。
「というか、別々の人がボールを手に入れていいのか?」
「願いが同じであれば、長老が認めさえすればいいそうです」
「なるほどな。今はどういう試練をやっていたんだ?」
「心を無にする試練です。長老が私に恐いことやエッチなことを話させるんです。その直後、初めと同じ気持ちで叶えたい願いを言うことができれば合格だそうです」
「エッチなこと? あいつらエッチ分からないだろう」
「私の心を覗いて、一番興奮することを話すよう言うんです」
「へえ」
なるほど。フレイはエッチに一番興奮するのか。まあふつう誰でもそうだろうけど。しかしそれを俺に話してくれるとはなあ。ガードが緩いのか、誘っているのか。
「ところでフレイ。また空中散歩でもどうだ?」
話しの流れからして、エッチに誘うならここだと思った。フレイも次に会えたらキスの続きをやるって言ってたし。
しかし、フレイは悲しそうに眉を顰めた。
「お兄さん、私、サイとケンカしたんです」
「ほう?」
「サイにお兄さんの相手をするなと言われました。私は拘束しないでって返して、向こうが婚約者だろうって言ってきたから、それは親が決めただけって返して。そしたらサイが、じゃあ別れようって」
「なるほどな」
理想的な流れだな。
「私、もう知らないって言って飛び出したんです。だけど、サイと別れてから心にぽっかり穴が空いたようになっちゃって。気付いたんです。私、この人のことが好きだったんだなあって。今度はちゃんと好きって言おうって思ったんです」
ええー、そう来るかよ。ダメみたいな流れじゃん。
「だから、お兄さん」
フレイは申しわけ無さそうに上目遣いでこちらを見る。やはりダメっぽい。
と思いきや、不意に口端が緩んだ。
「サイには内緒ですよ」
フレイはそう言って飛び込んできた。手足を背中に回し、その勢いのままに、唇と唇が重なる。
よっしゃ!