ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
俺達の存在が銀河パトロールとフリーザ軍に認知され始めてきた。
銀河パトロールに勧誘されたり、表彰に呼ばれたりしたが、全て断った。隊員になって自由を奪われるのは論外。表彰も面倒だし正体を探られそうで嫌だった。
フリーザ軍は、俺達を見るや逃げ出したり、逆に自信のありそうなやつが襲い掛かってきたり、街ですれ違いざまに切りかかって来たり、食事に毒を盛ったりしてきた。食事には十分気を付けていたことと、神の修行でオンオン等も僅かな殺気を感じられるようになったことで、全て撃退出来た。
が、徐々に気が重くなってきた。やはり有名になるのはいいことばかりでない。顔を撮られてフリーザ軍に指名手配されたらしんどいから、サイヤ人以外の女とカッタツにも普段からフルフェイスマスクをつけてもらうことにした。
フリーザ軍の艦隊に宇宙で待ち伏せされ、無防備な宇宙船を狙われたこともあった。なんとか回避と内側からの気によるガードが間に合い、俺とオンオンが外に出て気候波で殲滅した。しかしこの騒動は、銀河パトロールの中に俺達の経路をフリーザ軍に横流しした裏切り者がいることを示唆していた。もっとも、内通者の存在はオンオンから聞いて知っていたので、そこまでは驚かなかったが。しかし、単純に銀河パトロールから情報を得ることに問題が出てきたことには違いなかった。信頼できる情報網がいる。
宇宙船も強化する必要があった。宇宙空間の戦闘で、俺が外に出る間だけでも確実に宇宙船を守りきれるように、カッタ3も重力装置付き宇宙船も作り直すことにした。
製作を依頼するのはやはりブリーフ博士のカプセルコーポレーション。カッタツもやる気になっているのでチームに参加させた。また、アズラエルが銀河パトロールからバリアーの技術を買っており、それも欲しかったのでSEEDの技術者も呼んだ。
俺とオンオンの大猿化に対応できる宇宙服の開発もしてもらった。困難かと思われたが、ブリーフ博士は全く悩まず「そんなもんなら今すぐ作れる」と言った。彼が提案したのは、2つのポイポイカプセルで小さな宇宙服と大きな宇宙服を入れ替えるものだった。聞いてみれば単純なことだった。グレートサイヤマンの発想に似ている。宇宙服の基本生地はフリーザ軍の戦闘服で、ワンピースの星の硬い雲を混ぜることによりさらに強化してもらった。
宇宙船の完成を待つ間、ハンコック、コニス、フレイ、の出産が近づいて来たので、カッタツを残しワンピースの星に行くことにした。フレイはSEEDの星で産むべきかとも思ったが、本人が「サイに会いたくないからここでいい」と言った。レイとサイとフレイの父は戦争を防ぐためにナメック星からSEEDの星に戻っていた。
ワンピースの星では軌道エレベーターが完成しており、宇宙開発が着々と進められていた。SEEDの星からも科学者が大勢来ており、技術指導を行っているようだ。逆にワンピースの星からは、空軍と海軍の志望者が戦力として送られている。ドラゴンも、五老星解任後の裁判で星外追放処分となったので、SEEDの星にいるそうだ。しかも、ワンピースの星を代表する外交官として。センゴクは上手い判断をしたと思う。
とりあえず帰還の挨拶をと、アラバスタの宮殿の近くの広場に着地した。
「ふぅー。ここの飯食うのも久しぶりだなあ」
「コニスさんがあんな状態ですし、しばらくは食べ歩きですわね」
女サイヤ人の興味は料理だった。戦闘は期待できないので仕方ないのかもしれない。それと、彼女達も妊娠して、急激に大人しくなっていた。食欲は微増したが。
女9対男1という見事なハーレムで街を歩くと、めちゃくちゃ注目された。初めランチは顔を出して俺が肩車していたのだが、途中で恥ずかしがって降りて、マスクをつけて大きな女サイヤ人達の間に入った。
「ビビ様! ビビ様だわ!」
「なんだあの美女たちは!」
「やっと帰って来られた!」
「ビビ様ー! もっと早く帰ってきてくださいよー!」
「あの顔は男根H! まだ生きてやがったか!」
「お、おい! あの黒髪の色っぽい女は海賊女帝だ! 間違いない!」
「ほ、本当だ!」
「しかも妊娠してるじゃないか! 男根のやつ女帝まで!」
「うらやま死ね! 無駄に背が伸びやがって!」
「ビビ様ー! 男根などと一緒にいて大丈夫なのですかー!
「もしそいつが妙な気を起こすようなら我々が懲らしめますんでー!」
ビビが戻ってきたことに対する喜びの声が一番大きかったが、ハンコックに惹かれる声と、俺を妬む声もけっこう聞こえた。俺達は見世物になるのは嫌いだったが、一応俺が王を名乗っていることと、ビビが皆に顔見せすることを望んだので受け入れたのだった。
空軍の本拠地だけあって城の付近にも基地があり、多数の兵がいた。ビビに駆け寄ろうとする民衆を彼等が押さえ、道を作ってくれていた。いよいよ城門に近づくと、大勢の空軍兵が左右に並んで敬礼してきた。中には将校バッチを着けた者もいた。
「おおビビよ! よくぞ戻った!」
「パパ!」
門を開けた途端、コブラ王がビビに抱きつかん勢いで駆けてきたが、イガラムがサッと間に入って邪魔をした。
「国王様、皆が見ております」
「ええいっ! 邪魔をするな! 久しぶりに帰ってきた娘と抱擁することもできんのか!」
少しごたついたが、皆で食堂に行き、そこで話をすることになった。
初めビビが今までの大冒険を語った。ドラゴンボールの地球での武道大会巡り。未来的な都市での生活。ジェットフライヤーの乗り心地。料理の味。ナメック星での修行の日々。カリン塔の挑戦。銀河パトロールとの共闘。フリーザ軍の悪辣さ。フリーザ軍を撃退した後の星の住民の笑顔。もらったお礼とお土産の数々(実際にポイポイカプセルに保存していたものを見せた)。不思議な異星人の見た目や文化。
「悪いやつはフリーザ軍以外にもいるけど、やっぱり圧倒的に厄介なのはフリーザ軍ね。数が多いし、戦闘員が強いし、銀河パトロールにも内通者がいる」
「なんと……」
「私は戦闘じゃあほとんど役に立たなかったけど、情報戦とか復興支援とかだったらできることがあると思うの。土地をボロボロに荒らされてしまうと、せっかく生き残っても飢えてしまうでしょう?」
「それはすばらしいお考えですね」
ビビは赤十字のような物を作りたいらしかった。異星に行ってまで人助けしようと考える人間はそう多くないだろうが、俺達がフリーザ軍を撃退した星には、俺達に憧れる子どもがけっこういた。弟子にしてくれと頭を下げてくる青年もいた。だから10年くらいしたら人が一気に集まるかもしれない。
次いでコブラ王から新政府の話があった。俺達が去ってから小さなテロや海賊たちの破壊活動はあったが、海軍と空軍が連携して上手く対処できたらしい。ドラゴンの星外追放はどちらかと言うと「やり過ぎでは?」「あの人は英雄なのに」という反応が多かったが、革命軍と戦って死人も出ている海軍などでは「妥当だ」「死刑じゃないなどおかしい」「センゴクさんも老いたな」という声もあったようだ。
新五老星には、旧政府側からリク王、人魚・魚人からジンベエ、海軍から黄猿、空軍からイワンコフ、海賊から白ひげが選ばれた。選挙の結果こうなったわけだが、白ひげは一度もマリージョアに現れていない。たまに部下を使いにやって「酒を寄越せ」「船を寄越せ」「医者を寄越せ」などと要求してくるらしい。そのほとんどは復興支援が目的なので、受け入れることもあるようだ。
「ところでビビよ、この国にはどのくらい……」
王が尋ねた瞬間、部下達に緊張が走った。皆ビビが大好きなのだ。俺に取られてしまうかもしれないという懸念もあるだろう。
ビビもその緊張を感じ取ったようだった。困ったように俺の方を見てきた。
「赤子が2歳になるくらいまではゆっくりしていようと思う。オンオンとキャベスが今3カ月だから、あと2年半くらいだな」
俺が言うと、アラバスタの面々はホッとしたような、悲しいような顔になった。
そこでキャベスが口に物を入れながら横槍を入れる。
「おいハラベコ、サイヤ人は赤子がいるからって大人しくはしないぞ。2年は長すぎる」
「まあ多少は動くさ。だが、フリーザを倒すにはそれくらいの時間がいる。何より黄金化できなければ話にならない」
「チッ。相変わらず弱気なやつだぜ」
キャベスは食事を再開した。
ビビが国中を視察して回ると言うので、俺達はその間にハンコックの故郷に行くことにした。
女ヶ島のアマゾン・リリー。この島ではなぜか女しか生まれず、男子禁制で他所から男が入ることも禁じられている。だから女しかいない。
俺は「止められるもんなら止めてみろ」と言って無理矢理入ったが。
ハンコックはこの国の皇帝であり、国民の憧れでもある。彼女を奪った俺はここでも恨まれていた。露出の多い女達がワラワラ出てきて「男Hが来たぞー!」「蛇姫様の仇ー!」と、けっこうな勢いで攻撃された。もちろん俺はノーダメージだったが。美女に囲まれて気分がよかったので、おっぱい揉んだりお尻を揉んだり、強く抱きついたりして無力化した。不細工な女は投げ捨てたけどね。
終わった後、ランチがぽかんと口を開けていた。
「どうしてハラベコさんは攻撃されているの? 仲間じゃなかったの?」
「ここは男が入っちゃいけない場所なのさ」
「それに、皆ハンコックさんのことが好きだから、やきもちを妬いたのかもしれません」
「へ、へえ」
ビビがいない間、コニスとボニーがランチの話し相手になっていた。俺も同じくらい多いが。
女達は俺を追い出すのを諦めた。そこでサロメという名の蛇がやってきた。サロメはハンコックのペットらしく、うれしそうにハンコックに絡みついた。女達は頬を赤くしてエロい動きをする蛇とハンコックを見ていた。
「ところで、ソニアとマリーはどこじゃ?」
しかしハンコックがそう尋ねた時、女達は急に顔色を変え、うつむいた。
「実は……」
美女の中でも一際かわいらしい、18歳くらいのマーガレットという女が語り出した。
新政府が七武海を解散させてからも、九蛇海賊団は海賊行為を続けていた。主に海賊船と旧政府派の生き残りを狙っていたが、半年ほど前になると世間が安定してきて、それだけでは生活が苦しくなってきた。そこで通常の商船を襲ったのだが、そこを空軍に見つかった。海賊団はバーソロミュー・クマによってボコボコにやられ、全員捕まってしまった。ハンコックの妹であるサンダーソニアとマリーゴールドも。
「な、なんてことじゃ。クマ如きに……」
いや、初対面のクマはハンコックよりきっと強かった。悪魔の実の能力もめちゃ強いし、そこらの海賊が束になっても勝てはしない。
「海賊団がなくなって生活はどうやってるんだ? 食べ物に困っているようには見えないが」
俺は女達の健康的な尻や胸を眺めながら言う。女達はさらに気まずそうになった。
「実は、そのクマさんが支援を……」
ここでハンコックが怒った。
「き、貴様等ァ! 仇に餌付けされるような真似を! 戦士の誇りはどこへ行ったァ!」
女達はうつむいて身を縮まらせた。歯を食いしばり、涙を流している者もいた。
「そう責めてやるな。蛇姫よ」
「にょん婆!」
女達の後ろからひどく背筋の曲がった婆さんが出てきた。そこそこ偉いらしく、女達は慌てて道を開けていく。
「最大戦力であり精神的支柱であったお主が抜けてからというもにょ、そこいらの海賊相手でも以前のように完勝することはできなくなっていたにょじゃ。そこへ来てお主は新政府側についたように見えたからにょ。こういうにょも来ておるじょ」
そう言うと婆さんは一枚の紙切れをハンコックに手渡した。
「空軍への誘い……?」
「そうじゃ。しかも空軍に入れば九蛇達の罪も帳消しになると言ってきた。期限はあと1月。それまでにお主が帰ってきて助かったじょ。どうする? 受けるか受けぬか」
「聞くまでもないじゃろう! こんなもの破棄じゃ! 今すぐ戦士を集めい! 九蛇達を取り返しに行くぞ!」
「いやいやいやいや」
まずい雰囲気になってきたので、ハンコックの乳房を揉んで止めさせる。ピュッと白いお乳が出て妙な気分になった。
「あんっ、んっ。……な、なんじゃ!」
「俺は空軍側の人間だぞ。せっかく平和にしたのに、海賊行為で捕まった人間を取り返すために攻め込んだらダメだろう」
「な、なんじゃとっ、くうっ。あっ。も、揉むな!」
ハンコックがお腹をかばいつつポカポカ殴ってくるが、全く痛くないので無視する。
「だいたいさ。助けたって海賊をしないと生活がもたないわけだろう? だったらまた捕まるじゃん」
「ぐうっ。こ、今度はわらわがおる!」
「いや、お前は戦ったらダメだろう。その体で」
「クマ程度に遅れは取らぬ!」
「や、やめた方がいいんじゃないの。あんたはよくても赤ちゃんがさ」
なぜかレタツが止めに入った。珍しい彼女の登場にハンコックも戸惑う。
ここで、キャベスが腕を組んで言う。
「ハラベコよお。お前がやっつけりゃあいいじゃねえか。なんなら私がやってもいいぞ。ハンコックは元々私の部下だったしな」
「やめてくれよ。新政府はビビ、くいな、アズラエルも関わってるんだぞ。味方を潰してどうする」
「じゃあどうするんだよ」
「そりゃあ、空軍に入ったらいいんじゃないの? 戦士として生活できるだろう」
「そうなのか?」
俺達はハンコックに視線を向ける。
「蛇姫様……」
「私達、蛇姫様のご決断なら……」
女達も縋るようにハンコックを見る。
ハンコックは俺達と女達を見比べ、わなわなと震えている。
「マ、マリーとソニアを取り返っ……ぐくっ」
また最初に戻りそうだったので、俺は急いでハンコックの口を閉じた。
「もういいよ。俺が穏便な方法で女達を取り返してくる。だから新政府を攻めようとするな」
「面倒なことをするんだな」
「しかし取り返してどうしますの? 彼女達は海賊行為せずには暮らせないのでしょう?」
「まあ、あれだ。俺が面倒を見よう」
「えっ」
女達が驚く。俺も苦渋の決断だが、これだけ美女が多いならかまわないとも思う。
金は、エネルの黄金の船やら武道大会で集めた賞金やら助けた星でもらった財宝やらで、呆れるくらいある。この小さな国くらいなら大丈夫だと思う。それに亀仙流で鍛えれば、農業や仕事もできる。下手したら金が増えるぞ。
「どうせだから俺の国民にしよう。皆戦士だからちょうどいいだろう」
「だが、戦闘民族の仲間に入れるには弱すぎる」
「鍛えればいいだろう。2年くらいはゆっくりするんだから、その間にでも」
「自分の訓練が疎かになるのでは?」
「初めのうちはな。だが、王を名乗るなら国民が欲しいし、お前達が子供を産んだら預ける場所がいるだろう。2歳や3歳の子供を連れて訓練はできまい」
「それはそうですけど」
「それに、黄金化の条件は純粋な怒りだ。激しいトレーニング一辺倒よりも、いろんな刺激があった方がいいと思う」
というわけで、俺が女達を取り返すことになった。俺からアズラエル、ドラゴン、クマと渡って女達の場所が分かった。空島にいるようだ。座標をもらったが(空島であり動くため、だいたいの位置)、ちょうどクマもそこにいるらしいので、気を探った方が早い。
俺はどの女が九蛇か分からないので、ハンコックにも来てもらうことにした。彼女を背中に乗せ、お腹の子供に気遣いつつ飛ぶ。
女達は空島で農業をやっていた。国内と変わらず露出の多い格好で。近づくと向こうも気付き、「蛇姫様ー!」「姉(あね)さん!」「男H!」と言って手を振ったり中指を立てたりしてきた。
ここは空島の俺が持ってきた大地で、しかし監獄にするためか他の雲とは切り離されていた。女達は日中畑を耕し、夜はテントで寝ていたようだ。作物はけっこう育っていて、大きな実が成っているものもある。空島ではなぜか作物がとても大きく育つ。農業には効率がいいだろう。
クマは女と一緒に作物の収穫をしながら、それを能力でどこかへ飛ばしていた。方向は俺がいる斜め下。
「もしかして、女ヶ島に飛ばしているのか?」
「ああそうだ。女達に農業をさせ、作った作物を俺が飛ばしていたんだ」
俺に気付いたクマが言う。
「ずいぶん気を遣ってくれているんだな。忙しくないのか?」
「忙しいさ。だが彼女達をどう扱うかは政府にとっても悩みの種だった。妙なことをしてお前達を敵に回してはコトだが、あからさまに贔屓しても世の中が立ち回らなくなるからな。お前達が何も言わずとも、彼女達が空軍に入ったら宇宙方面軍と銘打って海賊女帝に預けるつもりだった」
やけに光を遮断するメガネのために、クマの表情は知れない。しかし疲れている感じがした。
とかく、クマ、というか政府は元々彼女達を俺達にくれるつもりだったようだ。俺達の危険性は十分理解しているだろうから、安全性を考えるとその判断も妥当か。
「蛇姫様! また一緒に!」
「蛇姫様ー!」
女達にも話は通っているらしく、希望の目で俺とハンコックを見上げてくる。ハンコックは久しぶりに偉そうな雰囲気になった。
「言っておくがなお前達。宇宙は広い。敵はそこのクマより遥かに強い。今の前達では少しも役に立たぬどころか、足手まといになるだけじゃ」
ハンコックが脅すように言う。女達はゴクリと唾をのみ込む。
「よいか。2年じゃ。お前達に地獄のような訓練を課す。それで使い物にならぬようなら置いてゆくぞ」
女達は無言で立ち尽くした。場が緊張に包まれる。
しかし、不意に誰かが吠える。
「うおおおおおおお!」
それに誰かが続く。
「やああああああ!」
「うおりゃああああ!」
「だりゃああああ!」
熱血っぽい雰囲気だ。汗臭い女の子っていいよね。
「うるさい!」
しかし、ハンコックには通じなかった。女の雄叫びがピタリと止まる。
「覚悟ある者はただついて来ればよい。ハラベコよ。大猿になってくれ」
「応よ」
俺は手のひらに気を集め、空気を交ぜたりして、空に放つ。
「弾けて混ざれ!」
神の訓練を受けた俺が、エリートサイヤ人の気のコントロール如きで使用可能な技を、使えないはずがなかった。オンオンにコツを教えてもらったけどね。
途端に大猿になる俺。女の悲鳴が聞こえる。クマも冷や汗をかいている感じがする。
「早く乗れ! 置いてゆくぞ!」
ハンコックの声に女達が一斉に背中に乗ってゆく。最後の1人を確認し、クマに尋ねる。
「一応空軍に入ってから宇宙軍に入ったってことにするのか?」
「そうすればこちらが給料を払うことができる」
なるほど、その辺も気を遣ってるんだな。
「だが、その場合そちらのルールに従う義務が出てくるのでは?」
クマは焦ったように両手をあげた。
「そちらと敵対する意志は無い。金に問題が無いのなら、一瞬だけ空軍に入れて、今ここでそちらに譲ったことにできる」
「じゃあそうしてくれ」
「分かった」
話が早くていいな。有能なやつだ。
「この空島は、金で買ったのか?」
「そうだ」
「今すぐ譲ってもらっても?」
「この任務が終われば売りに出すことになる。その後は好きにすればいい」
「分かった。じゃあ買おう」
女達が不思議そうな顔になる。
「どうするつもりじゃ?」
「亀仙流の修行で使おうと思ってな。食料の自給自足もできるしちょうどいい」
金は有り余るほどあるが、節約したいし、食料自給率が低い国はしんどいからな。
一旦女を乗せて女ヶ島に戻った。
城の中庭に女達を全員集め、整列させる。対面するように、ランチ、コニス、レタツ、キャベス、俺、オンオン、ハンコック、ボニー、フレイの順に並び、俺が一歩前に出る。珍しくかっこいい感じの演出で。
「諸君、既に知っていると思うが、ボア・ハンコックは私の妻となり、この国は我が王国の最初の領土となった。名はナナクサ王国とする。私はサイヤ人だが、諸君等を種族によって差別する気はない。認められたければ強くなれ。それがサイヤ人のやり方であり、諸君等の慣習にも合致するだろう。しかし、私は強さが全てだとは思っていない。諸君等には人生を豊かに、おもしろおかしく生きることを至上としてもらいたい。訓練はその手段の1つである。強くなることそれ自体に喜びを感じると共に、健康的で溌剌とした心身を手に入れ、余裕を覚えることで、何事も楽しんでこなせるようになる。それを念頭に訓練に励んでもらいたい。手を抜けと言いたいわけではない。むしろ物事とは、本気で楽しもうとしてこそ、本気で打ち込めるようになるのだ。よって私の国はどこよりも笑顔で満ちていて、且つどこよりも活気があり、どこよりも強くたくましい。これを目標とする。以上だ」
決まったな。亀仙流を思い出していいことを言ってみた。
コニスがすごい勢いで拍手してくれる。それにオンオン、フレイ、ハンコック、ボニーが続く。キャベスは舌打ち。ランチとレタツは顔ポカーンだが、拍手はやっている。
む? 女ヶ島の女達の拍手が少ないな。ほとんどが顔ポカーンだぞ。もしや、あいつらアホなのか? 狩りとトレーニング以外ろくにやって来なかっただろうからな。しょうがない。学校教育、はあんまり好きじゃないから、講師役を作ってちまちまと教えさせそう。
その後、全員に体力テストを受けてもらった。気でだいたいのことは分かるが、本人たちのやる気のために一応ね。上位3%くらいは城でオンオン、キャベス、ハンコック、レタツが直々に鍛え、重力装置の使用も認めることにした。幼児とその母親と、お婆さんも本国残り。他の大半は空島行きで、ピチピチの若い子を俺が指導してしまう。コニス、フレイ、ボニー、ランチもこちら。コニスとフレイが出産するのは、順当に行けば空島の空軍基地付近の病院になる。しかしキャベスとオンオンは女ヶ島で産ませろと言ってくる。女ヶ島では女しか産まれないので、そうやって第一王子を自分の子にするつもりなのだろう。