※この作品はR-18です。

ドラゴンボール超H   作:ドラゴンボール超記念

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圧倒的な気の力

「報告遅いよ、何やってんの!」

 

 アズラエルらしからぬ怒声。相当焦っているらしい。

 

「悪い。ちょっとごたついてしまって。作戦は単純に総攻撃ってことになりそうだ。制圧部隊を用意してくれないか? 主だった敵は俺が掃除するから」

 

 もう俺も覚悟を決めた。破壊しよう。ザフトの兵器を。

 モビルスーツなら人じゃないんだ! というかここってガンダムの世界だよね! どのガンダムかは思い出せないけど!

 

「それはいいけど早くこっちに戻って来てくれよ。君達がいないと作戦の細部が纏まらないんだ!」

「それは月で決められないか? 今ちょうどそこに向かってるんだ。お前もどうせ一旦月に部隊を纏めるんだろう?」

 

 ここで俺達が離れたらこいつら死ぬよなあ。せっかく助けたのに。

 

「何を言っている? 君のポッドならすぐ地上まで来れるだろう」

「理事、アークエンジェルは戦力になります。今ブリッツとストライクもあるのです。それに、ここを狙うザフト艦の中には他のG兵器が全てそろっています。月に向かう途中に捕獲できると考えます」

「ザフト艦にG兵器? どういうことだ?」

「盗まれたんだ。連邦の間抜け共が」

「そういうことか。G兵器。確かに欲しい戦力だ。宇宙船の開発で僕の所もいっぱいいっぱいだからね。これ以上の消耗は避けたい」

 

 そうして、月に向かいつつザフトが襲ってきたらG兵器を頂くことに決まった。

 

 アークエンジェルはふつうに直進し、アルテミスを横切った。ザフトは襲って来なかった。

 

「クルーゼの野郎、外しやがったな。ざまあみろ」

 

 ムウ筆頭にアークエンジェルクルーはとても喜んだ。2人を除いて。

 

「来ないのなら残った意味なかったじゃん」

「いえ、ブリッツを運ぶという目的は達成されます」

 

 確かに。でもなあ。

 

 アークエンジェルは順調に進んでいく。しかしハラべコのサイヤ人の食欲のせいもあって、水と食料が急激に減った。

 月まで持たないので、廃棄コロニーユニウスセブンから拝借することに。

 

 しかし、そこでアークエンジェルが熱源を感知。近くで戦闘が始まったようだ。

 ちょうど姿を消せる機体があるのでナタルがブリッツで偵察に向かう。

 

「連邦軍の船がザフトの民間船を襲っています。どちらかに加勢しますか?」

「ちょ、ちょっと待って! どういうこと! 民間船への攻撃は禁止されているはずよ!」

「時間がありません。ザフトの民間船はもう持ちそうにありません」

「待って! 連邦の船に通信をつなぐわ! 急いで!」

 

 そうして連邦の戦艦に通信をつないだ。アークエンジェルは船籍登録されておらず、向こうの艦長はとても訝しんだ。マリューが若い女性というのもよくなかった。

 エースとして有名なムウとブルーコスモスつながりでナタルの顔が知れていたので、かろうじて交渉は可能となった。

 

「民間船を襲うことは条約で禁じられているはずです!」

「あれは民間船ではない! 非常に政治的な目的で活動するアジテーターだ! 今回もナチュラルが悪だとしつこく煽るために、危険を知ってこの宙域へ来たのだ! ユニウスセブンの残骸のみでやつら全ての悪行を正当化するつもりなのだ!」

「それは曲解です! 一部はそうなのかもしれませんが、彼等の中にも、きっとただ平和を望むだけのつもりで」

 

 などと返答している時だった。突如向こうの艦長の叫び声と共に通信が乱れた。そして程なく、戦艦は爆発した。

 

「敵です。ジンが一機。どうやらただの民間船では無かったようですね。戦闘開始します」

「そ、そんな……」

 

 マリューは自分の失態を呪った。彼女は正義のつもりで行動したのだが、結果的に多くの友軍を失うことに。

 ブリッツの攻撃でジンはあっけなく散った。ブリッツは流れるような動きで民間船の艦橋に銃口を向け、静止した。

 

「敵船無力化しました。指示をお願いします」

「そうね。とりあえず責任者を捕えましょうか。民間人が兵器を扱うことはいかなる理由でも許されていないから」

「責任者以外は逃がすのですか?」

「ええ、それでいいわ。今は先を急ぐからね」

 

 重い空気のまま粛々と艦長の引き渡しが行われる。ちなみに出向いたのはハラべコだった。今まで活躍していなかったからだ。

 船内は異様な雰囲気だった。コーディネーター達はハラべコをこれでもかと睨みつける。戦争中だからそれはまだ分かるが、そわそわして、何か落ち着かない感じだった。

 その時、キラが救難信号を見つける。

 

「あっ、救難信号」

 

 特に考えず、マリューに報告もせず、ストライクをそこへ移動させる。

 そして、発信源に触れようかという、その時。

 

 窓の外を見ていてコーディネーターが、大きく目と口を見開いた。

 

「ら、ラクス様が!」

「きゃああああ! ラクス様あああああ!」

「おのれナチュラルめええええ!」

 

 叫んだかと思うと、男も女も同じように目と歯をひん剥き、全ての恨み辛みをぶつけるようにハラべコに襲い掛かった。

 

「は? なんで急に怒ったの? 外になんかあるの?」

「きええええ!」

「しゃあっ! ひゃあっ!」

 

 奇声を上げて襲い掛かってくる。ハラべコは怖くなってついつい力を入れてしまう。

 ボカーンと吹き飛ぶコーディネーター達。しかし多少驚くだけで、戦意は全く衰えない。むしろ先ほど以上の勢いで襲い掛かる。

 

「しゃひゃあ!」

「ぎゃおおおっす!」

「えええっ!?」

 

 しかし当然ハラべコの相手にはならない。積み木をただ倒すように腕を振るい、足を伸ばし、バッタバッタとコーディネーター達をなぎ倒す。

 

「ちょっ、ナナクサ大尉! 何を!」

「いや、本当に分からない。急に襲い掛かってきたんだ。うわっ、奥の部屋からもどんどんくる!」

「暴力はやめてください! 言葉で無力化するように!」

 

 驚いていたマリューはコーディネーターの集団の危険さ、またそれらを素手で無力化できるナチュラルの異常さに気付かなかった。

 

「無理! 無理ですよ! なんかもう意志を持たないゾンビみたいで! うわっ、女性なのに噛みついて来ましたよ! 今度はナイフ持ったおっさんまで!」

 

 マリューは埒が明かないと思い、ムウに民間船へ乗り込むよう伝えた。ムウは心底嫌そうな顔で応じた。しかしムウが付くころには全員床に寝そべっていた。

 

「え? 全部お前がやったの?」

「いやあ、数が多くて疲れたよ」

 

 精神的に、だが。

 

「お前、コーディネーター?」

「違うけど」

「へー。そっかー」

 

 ムウはまるで信じていなかった。

 そうこうしている内に、キラが救難信号を出していた小型船を持って帰ってきた。ハラべコ等をアークエンジェルに戻し、一旦民間船と離れて、ハッチにストライクを迎える。キラはまた拾いものをしていた。慎重に船を開けると、そこから飛び出てきたのはピンク。ピンクのハロとピンクのお嬢さん。

 

「ありがとう、ご苦労様です」

 

 あらあらあらー? ザフトの船じゃありませんのね。とか言っていたが、きっと近くの民間船から脱出した少女なので、戻してあげることになった。

 

「おやさしいのですね。キラ様は」

「いや、別に。僕は艦長に従っただけだから」

 

 俺がその役目をもらってやってもよかったんだぜえ! 一番頑張った俺が報われてないんだぜえ!

 と思ったが、もちろん口には出さなかった。

 

 しかしその時、再び熱源反応。

 

「今度は何?」

 

 途端に艦橋があわただしくなる。しかしオペレーターが告げる前に俺は正体に気付いた。

 

「おいナタル! 獲物だぞ!」

 

 クルーゼ隊がやっと後方から追いついてきたらしかった。1人分かりやすい気の男がいるから離れていても気付ける。

 ナタルも気付いたらしく、俺が叫ぶ頃には移動を始めていた。

 

「今度は逃がさん!」

 

 俺もポッドを呼び、宇宙で戦うことにする。

 ストライクが発進する一瞬の隙を突き、ポッドで宇宙に出る(ポッドは船内に置いていた)。

 アークエンジェルの頭上5キロへ移動。そこから、ポッドの壁の向こう側へ、気弾を作る。

 

「繰気弾!」

 

 ただの動く気弾だが言ってみる。

 狙い定めて、発射! ……当たらん。

 宇宙は距離感がつかみにくい。地球では空気があるから遠いものほどぼやけるのだが、宇宙ではそれがなく、近くに見えてしまう。

 ならば、見るのではなく感じる。その修行にはちょうどいいと言える。

 

 ここだ!

 

「オラオラオラオラオラ!」

 

 ここだとか思ったわりに数撃ちゃ当たる戦法。

 おおっ、イージスに一発当たった。でもほとんど無傷だ。PS装甲固いな。

 

 おっ、ナタルがバスターを仕留めたようだ。もらいに行くか。

 

 

 ――バスター付近――

 

「きしゃまあああああ!」

 

 仲間をやられ、己もいいようにやられていることで、イザークは発狂する。しかしいたずらに撃っても弾の無駄。姿を隠したブリッツには当たらない。

 ピピッ。イザークはハッと計器に反応して回避行動を取りつつ銃口を向ける。

 

「ぐわっ」

 

 しかしブリッツはその場を移動しており、逆に向こうの攻撃はこちらの移動を読んでいるので当たる。ビームライフルに当たって激しく爆発した。

 

「くっそおおおお!」

 

 目を血走らせながら周囲をうかがう。まだ逃げるとかは考えていない。

 しかしその時、同僚の悲鳴が響く。

 

「うわっ、なんだっ! うわあああ!」

 

 ディアッカの声だった。バスターの四肢を破壊されてこれ以上戦えず、逃げていたはずの。

 

「どうしたディアッカ! 何があった!」

 

 尋ねながらバスターへ視線を向ける。すると、何か点がこちらに近づいてくるのが見えた。黒い点。いや、動いている。回転している。クロでは無く白。宇宙服を着た人型!

 それがディアッカと気付くのとほぼ同時、イザークは急いで後方に加速していた。

 あの勢いでぶつかればディアッカはつぶれて死ぬ。さらに言えば、この接触でディアッカを捕まえられなければ、永遠に発見できなくなるだろう、とも。だからイザークは慎重だった。全神経をここに傾けた。

 戦いの中で戦いを忘れるほどに。

 

 ディアッカに触れる直前に衝撃が来た。ブリッツからの攻撃と気付く頃には両腕がもげていた。それでもディアッガを救うチャンスを逃すことはできなかった。振動に意識を乱されながらも集中力はさらに高まり、コクピットを開け、自分の目の前にディアッカを捉え、両手を伸ばした。

 

 ガン、ガン。しかし無情にも攻撃は続く。両足ももぎ取られる。ディアッカを受け止めた時にはデュエルは完全に無力化されていた。

 

 そして再び衝撃。ほぼ動けないはずのバスターがデュエルにぶつかり、そのままアークエンジェルへ進む。

 

「おいナタル! こいつらは船に入れとくぞ! お前は戦ってこい!」

「了解です」

 

 お肌の触れ合い回線でナチュラルの声が聞こえた。イザークとディアッカは不思議な気持ちになった。

 負けた衝撃と、生き残れた喜びと、現在の静寂。

 

「おいイザーク。このまま船に行けたらチャンスだぞ」

「分かっている。貴様も準備を怠らないようにな」

 

 その頃、アスランはキラを圧倒していた。

 アスランは数々の仲間の死や敗北を目の当たりにしたことで激高し、種割れを発動する。対するキラは戦う決意すらあいまいな状況。仲間も誰一人死んでいない。

 

 ストライクをズタボロにし、フェイズシフトダウンを起こさせたアスランは、不思議な動きでふらつくバスターとデュエルへ向かう。

 その時、両機体の微妙な隙間から、謎の光球が次々と飛び出した。

 

「くっ、なんだこれは!」

 

 毒づきつつも、以前攻撃を受けてそれなりに危険だと感じたので全て避けていく。種割れ前なら不可能だったかもしれないが今はできた。

 そこで反撃、と銃口を向けるが、まだ仲間の2人が機体に残っているかもしれない。撃つことはできない。

 

「ならば掴んで母艦に持っていく!」

 

 思ってすぐ急接近する。しかし再び光球の嵐。

 

「くっ、ぐぐっ」

 

 今度は近すぎて避け切れなかった。避ける角度が無かった。

 機体はダメージを受けたが、さして影響はない。だがどうするか。

 

 相手は卑怯にも人質を取った。だから手が出せない。目には目を。だったらこっちも人質を。そう言えばあそこにキラがいる。ちょうどいい。人質に取りつつキラを仲間にしつつイザーク達を取り返そう。

 反転してキラの下へ。しかし再び後方から熱源。

 

「デカッ」

 

 今度は光球では無く、戦艦の陽電子砲のような巨大な何かだった。スピードも先ほどよりずっと速い。

 かろうじて回避、したつもりが、ビームと思っていたそれが少しだけ曲がり、右腕を持っていかれた。

 

「くっ、ナチュラルのクセに次から次へと!」

 

 毒づきながら、今度ははっきりと後方に注意しつつ。ストライクへ向かう。

 しかし、突然激しい衝撃。ガンガン頭が揺さぶられる。

 

「な、なんだ?」

 

 気合で意識を保ちながら、荒れるモニターを注視する。目の前の宇宙の深淵が歪む。いや、これは、ミラージュコロイド!

 

「くっ!」

 

 第二撃は神業的な反射速度で回避した(勘で動いただけで見えてはいない)。しかし避けた先に飛んでくる第三撃への反応は遅れる。ジュッ、とフェイズシフト装甲の表面をレーザーがあぶる。致命傷には程遠い。

 そして両者の近接戦闘が始まる。腕、足、頭部。あらゆる武器を使う。

 両者の実力はほぼ互角だった。しかし五体満足のブリッツと、片腕が無くモニターにダメージもあるイージスが互角ということは、パイロットの腕としてはイージスが勝っていることになる。

 

「チッ」

 

 そう思い、ナタルは毒づいた。怒りが集中力を狂わせた。

 少しの反応の遅れ。重心の乱れ。アスランそれを見逃さず左腕のビームサーベルをコクピットに向ける。

 

「舐めるなああああ!」

「なっ」

 

 しかし、ビームサーベルは謎のオーラにバチッと弾かれた。

 驚く暇も無く、ブリッツがビームサーベルを振るってくる。

 集中力の高まったアスランは、最低限の動きでそれを避け、攻撃に転じようとして、機体が動かなかった。

 

「何、が……」

 

 機体が爆発する間際、アスランは100メートルにも伸びたビームサーベルを見た。夢としか思えない。非現実的過ぎることだった。

 

「アアアスラアアアアアン!」

 

 イージスの爆発にキラが絶叫する。種割れを起こし、フェイズシフトダウンしたままの機体を推進剤で動かす。そして見た。コクピットブロックが飛び出すのを。

 

「はっ、アスラン!」

 

 キラは急いでコクピットブロックへ移動。速度を合わし、両手で大事に受け止める。そして急いでアークエンジェルへ。

 

 これで残すはクルーゼのみ。第六感の冴えわたるクルーゼとムウもそれには気付いていた。

 

「あとはお前のみ! 俺達の勝ちだぜ!」

「ふっ。ならば、お前だけでも地獄の道ずれにするだけだ!」

「独りで死にやがれ! 疫病神が!」

「私は死神だ! 私だけが人類を裁く権利を持っているのだ!」

 

 激しい銃器の応酬。互いに動きを読むのでなかなか当たらない。

 しかしクルーゼの方が有利だった。ムウのメビウスゼロの中核を担うガンバレルはあと一基。対してシグーは五体満足で1つのモニターと装甲の表面を傷つけた程度。

 

 だがここで横やりが入る。

 

「ブリッツ! 貴様私とムウの因縁を!」

 

 ミラージュコロイドで完全に姿を消したはずのプリッツのレーザーだったが、シグーは完全に避けた。

 

「やはり強い。貴様は気を理解しているようだな」

「すまねえな。迷惑かけちまった」

「構わん。連携して倒すぞ」

「ムウ、貴様まで! この戦いに何の価値も感じていなかったというのか!」

 

 ラウ・ル・クルーゼはムウが一対一に拘ってくれなかったことに自分の生きる意味を全否定された気がして、勝手に絶望する。

 それで動きが悪くなるわけではなかったが、2対1では分が悪く、防戦一方になっていく。

 

「くそお! タダでは終わらんぞ!」

 

 クルーゼは一瞬集中力を極大に高め、2機の武器に機関銃を命中させる。しかしその隙に追撃はせず、アークエンジェルに突っ込んだ!

 

「報いを受けろおおおお!」

 

 艦橋へ銃口を向けるクルーゼ。アークエンジェルは避けようとするが、クルーゼにはその方向が予想できるので、外すはずは無かった。

 しかし銃口の先は複数の光球に遮られた。

 

「またか! なんだこれは!」

 

 苛立ちながら避ける。しかしそのうち一個が避けた方向に曲がってきて足をもぎ取る。

 

「くそおっ!」

 

 回転してしまい、うまく動けない。

 今度はブリッツから殺意。分かっていても機体が思い通り動かせず、被弾。さらにメビウスゼロからも被弾。謎の光球も再び被弾。ジリ貧に。

 

「くっそおおおおおお!」

 

 クルーゼは叫びながら衝撃で気を失った。

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