ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
ランチと共に第19回天下一武道会に出ることにした。亀仙流の農作業で黒髪ランチの戦闘力は8程度まで上がっている。ここでクシャミをすれば超サイヤ人0.5みたいなもので、100を超える。十分に優勝を狙える。俺と決勝で当たったら負けてやってもいい。
大会2日前にドラゴンボールの地球に移動し、1日前にパパイヤ島へ移動した。
朝早くから金髪ランチと組手をし、本戦前の最終チェック。昼は山菜集めと素潜りで海の幸を手に入れ、食べた。その後、黒髪ランチとゆっくりお昼寝。
夕方になると、金髪ランチを肩車し、屋台を歩いた。子どもらしく「タコ焼き食べる!」「あれくれ!」「射的やるぞ!」と次々と注文してくるのを、全て笑顔で応じる。金髪ランチは元気で、「美味い! やっぱたこ焼きは美味いな!」「なんでえ、安っぽいガラクタじゃねえか」「2発で落としたぜ! どんなもんだい!」と素直に感情を述べる。俺が「そうだな」「失敗だったな」「お見事!」と相槌を打つと、「へへ」と照れたように笑う。
大人しい黒髪ランチもかわいいが、感情豊かな金髪ランチもかわいいと思う。不良になったらしんどいけどね。おだて過ぎると我がままになるかもしれないが、黒髪ランチは大人しいし、金髪ランチもけっこう働かせているから、この程度の褒美ならいいと思う。
大会当日の朝も、なんだかんだ組手でチェックを行った。体力を失わないように技術面を重視して、軽くだが。
2人とも覆面をして試合に出ることにした。優勝して有名になった後のメディアのうざさ(特に浮気だとかホテルに消えただとか書くのが好きなゴシップ誌)を、ランチに説明するのは難しかったが、特に反対は無かった。
「ストロングHマン」
「キューティお食事レディ」
「えっ、エッチマン? キューティ、ハニー?」
係りのお坊さんが困っていた。俺の名前は有名なはずなのに。そしてランチには俺のネーミングセンスが移ってしまったようだ。すまんな。
予選参加者は114名。ゴツイ人間が多く、ランチは不安になっていたが、戦闘力100を超えるような人間はいなかった。悪魔はいたが。ちょうど金髪ランチと同じくらいの強さの悪魔が。
「ま、またあいつが出るか」
「やつは強過ぎる。というか、悪魔が出ていいのか?」
「わーっはっはっは! 優勝は正義の悪魔、アックマン様のものだー!」
アックマンは圧倒的な強さで対戦相手を瞬殺していた。ランチは気も体もそこまでうまく扱えないし、体格差もあるから、彼には勝てないだろう。俺が倒すしかない。悪魔ナイト光線は殺人禁止のこの大会では使えないだろうし、使うにしてもその前に瞬殺できるから、俺なら問題はない。
「ううー、緊張するー」
金髪ランチは意外と照れ屋なので、武舞台に出るとカチコチになっていた。その様子を見て、対戦相手の小太りのおっさんがため息をつく。
「けっ。なんでおめえみたいなガキが出てんだよ」
「な、なんだその口の利き方は!」
「うるさいガキだぜ。はあ」
「て、てめえ!」
しかし、煽ってくれたのでランチの緊張は解けた。
「試合始めてください」
「舐めんなこの野郎!」
「えっ? うわああああ!」
おっさんはランチの体当たりでぶっ飛び、勢いよく壁に叩き付けられた。場外でランチの勝ちとなった。
そして次に俺の番となる。
「あ、あいつは!」
「エッチマンだあああああ!」
「うわああああ! 変態だああああ!」
俺も有名になってきたようだ。チラホラと見覚えのあるやつもいる。過去の対戦を思い出したか、恐怖しているな。
「し、試合開始してください」
「ふふふっ」
俺の戦い方は、はっきり言ってひどい。対戦相手が真面目なやつだったら素直に戦ってやるが、意地悪そうなやつは心を折るときもある。キャラ作りでな。
「気味悪い笑みを浮かべやがって!」
相手は遊んでそうなイケメンだった。開始早々突きを放ってくるが、最少の動きで躱し、そうしながらイケメンの両乳首を人差し指で一突きする。
「ぐ、ぐううっ」
「で、出たあああ! 局所突き!」
「卑猥だああああ!」
イケメンは両腕で胸を押さえながらダウンする。
「ワン、ツー、スリー、フォー」
「い、痛たたた。クソッ、クッ」
しかし大したダメージは無いので起き上がる。
「はあ、はあ、はあ。この野郎!」
青年は目に涙を浮かべながら怒り、飛びかかってくる。しかしもう一度乳首の同じところを突いてしまう。
「あ、ああああああっ!」
もう一度ダウンする青年。再び立ち上がるが、今度は腕で胸を隠しながら突っ込んでくる。
「ふっ」
しかし隠しながら攻撃できるものではない。蹴りを躱し、腕が上がったところでもう一度乳首を突く。
「はわああああああっ!」
スリーダウン。また立ち上がられたら面倒なので蹴飛ばして場外にやった。
「ひ、酷過ぎる」
「ストロングHマン! 武道家の恥さらしだ!」
「悪魔だ!」
「ん? 俺がどうかしたか?」
「えっ」
途中でアックマンが入って微妙になったが、いつも通り俺がヒールとなった。この空気が気持ちいい。
以後、予選は押し飛ばすだけで簡単に勝って行った。対戦相手がイケメンじゃなかったのもあるが、あまり弱い者イジメするのは趣味じゃないのでね。観客の前で、演出でやるのはいいんだが、ここは予選会場だし。
当然のように俺、アックマン、ランチは勝ち上がった。そして本戦トーナメントへ向かう。
残念ながら俺に抽選を操作する能力は無く、ランチとアックマンが準決勝で当たり、俺は決勝でそのどちらかと当たることになってしまった。今のランチではアックマンには勝てない。本戦までの僅かな時間で光明を見出すべく、2人で特訓することにする。
「油断している隙に小回りを活かして足を取り、押して行って場外に落とす。それ以外に勝機は無い」
「ああ」
俺は金髪ランチのタックルを何度も受けた。筋力は伸びないかもしれないが、動きの鋭さなら多少は上がる。技術もだ。軽く叩いたり、押し返したり、足を動かしたりして、それでも突っ込めるように練習させた。
「はあ、はあ、はあ」
「お食事レディ選手ー! 武舞台に上がってくださーい!」
ランチの名前が出た。心もとないが、ここまでか。この試合の後は休息と準備運動に費やした方がいいだろう。
後はぶっつけ本番だな。
ランチ、アックマン、共にあっさり勝ち上がる。俺はランチのことも考えてゆっくり勝利する。具体的には局所突きでいたぶったり、ギリギリ入っていない関節技を繰り返したりした。最後には、立ち姿勢の残像を残しつつ高速で動き、対戦相手を内股にして座らせる内股落とし。これで相手は「な、なぜ立ち上がれない。太ももに謎の重圧が! くうっ」という感じで10カウントになり、勝った。観客からは両者にブーイングが響いたのだった。
そしてランチとアックマンの対決となる。
「その小さな体で大男を吹き飛ばす少女、キューティお食事レディ選手。前々大会優勝の正義の悪魔、アックマン選手。素晴らしい戦いが期待できそうです。では準決勝第2試合、始めてください」
ゴングが鳴ると同時に、ランチが構える。
「俺は悪魔だから子供にも容赦はしないぞ。いい子いい子してや、るっ?」
アックマンはにやにやと笑いながら手を出している。その隙を突き、ランチが一気に飛び出す。首をひねって頭へ伸びる手を躱し、足元へ一直線。
左足へ到達し、両腕で抱え、低い体勢のまま押して行く。
「おっ、おおっ?」
アックマンは右足で踏ん張ろうとするが、体勢が悪くバランスを取ることしかできない。体は勢いよく後退していき、あっと言う間に武舞台の端へ。
「はっ! しまった!」
「よし! 一気に落とせ!」
アックマンは後ろを見ながら慌てた顔をし、ランチはにやりと笑う。アックマンはとうとう武舞台から両足を踏み出す。しかし、落ちることは無かった。
「なあんてな。がっはっはっは! 俺は悪魔だぞ! 浮くことだってできるのだ!」
しかし、それも織り込み済みだ。
「今だ! 翼を攻撃するんだ!」
ランチはアックマンが得意げに笑っている内に、尻尾をつかんで後ろに回り、さらに尻尾を引っ張って上昇し、すぐさま翼を掴む。そしてバッと両足を広げ、翼の根元へ股を近づけ、その根元を締め付けるように両足を閉じる。
「なっ、貴様! 後ろに!」
アックマンは後ろに手を伸ばし、ランチの顔を殴ったり腹を鋭い爪で引っ掻いたりする。ランチの服が裂け、その中の白い肌も切れる。鮮血が舞う。しかしランチはアックマンを離さなかった。翼(+魔術)で飛ぶアックマンは徐々に落下していく。
「じょ、場外! QOレディ選手の勝利です!」
略称に疑問はあったが、見事ランチが勝利した。
「ク、クソー。悪魔みたいな卑怯な手を使いやがって」
「へ、へへ。油断しやがるからだ。いつつっ」
「すげえぜ嬢ちゃん! あのアックマンに勝っちまうなんて!」
「もうお嬢ちゃんの優勝でいい! 俺は感動したぜ!」
アックマンはくやしがったが、観客が勢いよくランチを賞賛していたので、空気を読んで引き下がったのだった。
「QOレディ選手、決勝は大丈夫でしょうか。必要でしたら30分の休憩を取ることができますが」
「いや、血だけ止めてくれたらいい。体力は別に減ってねえからな」
その後ランチは医務室に運ばれ、消毒液を塗ったり、バンソウコウを張ったりした。10分くらいで復活し、武舞台に戻ってきた。服はポイポイカプセルに代えを入れていたので、それに着替えていた。
「本気で行く。どうせ勝てないだろうがな」
「優勝させてやるつもりだったが、そういうのは望んでいなさそうだな」
「当たり前だろ! そんなのうれしかねえやい! 金だけ寄こせ!」
武道家らしくなったと思ったが、俗っぽさは残っていたか。まあその方がかわいいかな。
「ふっ。いいだろう」
そして俺は、50万ゼニーあげてしまう約束をしてしまった。かわいさのあまり甘々にならざるを得ない。まあアックマンに勝っただけで50万くらいの価値はありそうだが。
試合開始の鐘が鳴る。ランチが突っ込んできて、勢いよく攻撃を繰り返す。俺はその全てをガードしていく。隙があったら軽く攻撃して「足元がお留守だぞ」などと言ってやる。試合というより稽古だった。
「行け! お食事レディちゃん!」
「変態をやっつけろ!」
「おい変態! 幼女に触るな! 訴えるぞ!」
観客は完全にランチを応援していた。ランチの動きのすさまじさに、彼女なら俺を倒してくれると期待していた輩も多かったが、3分もするとさすがに気付いた。俺は全く本気を出していないのに、ランチの攻撃は全く通じない。勝てるはずがない、と。しかし諦めずに攻め続けるランチの姿は感動を誘った。観客は「頑張れー!」「動きはよくなってる! 大したやつだ!」とランチの心を盛りたてようとした。
6分くらいそういうのを続けた。ランチは疲れ、動きが鈍ってきていた。汗を拭おうとすると、バンソウコウが取れてしまった。タラタラと血が流れていく。
「タイムオーバーだな」
「くっ」
俺は一瞬でランチに近づき、抱きかかえ、一瞬で武舞台の端へ移動し、ランチを場外へそっと置いた。
「へっ?」
観客には俺達が瞬間移動したようにしか見えなかった。しかし明らかに勝者は俺だ。
「ゆ、優勝はストロングHマン! ストロングHマン選手です!」
当然のことだが、簡単に優勝してしまったのだった。
そのまま武舞台に残り、賞金をもらう。ランチも武舞台に呼ばれ、特別サービスで屋台の商品券1万円分をもらっていた。
例のグラサンアナウンサー、今は高校生くらいに見える、がランチにインタビューをする。
「準優勝お見事でした。今のご感想をお聞かせください」
「ふんっ。まあ、悪くはないかな。アックマンに勝てるとは思わなかったが、油断してくれたから助かった」
「おお! 小さなお子さんとは思えない、謙虚な姿勢です! さぞや立派なご両親に育てられたのでしょう!」
「あ゛っ?」
「へっ?」
しかし、グラサンは地雷を踏んでしまった。ランチは、怒鳴りそうな、それでいて泣きそうな顔になる。
俺はグラサンに向けて言う。
「ランチを育てたのは俺だ」
「へっ?」
間違えた。
「俺と俺の嫁達がキューティお食事レディを育てているんだ」
「ええーーっ!」
グラサン、近くの観客が一斉に驚いた。
「なんということでしょう! 可憐な少女の育ての親が、あろうことかストロングHマン選手だったのです! 武術の才能をHマン選手から受け継ぎ、心を奥さんに育ててもらったのでしょうか!」
グラサンは、ランチの名前を聞いてしまっただろうが、口にする気はないようだ。助かった。
「そうに決まっている!」
「お前の美人妻も思い出したぞ! うらやま死ね!」
「お前愛人もいっぱいいるだろうがあ! 何故変態がモテるんだあ!」
観客の非難に両手をあげて答える。するとブーイングが増すが、実は3分の1くらいはファンもいて、喜んでいた。世の中、ヒール好きというのがいるのだ。もちろん強ければいいというやつもいるし。
「もう1つ言っておこう。お食事レディは俺の妹だが、血は繋がっていない。だから彼女を狙っても無駄だぞ。将来は俺と結婚することになるからな」
「な、なんですとー!」
「ええーっ! 罪深すぎる!」
「それでこそ変態だー!」
とんでも発言に再び絶叫が木霊する。ランチは「ケッ、よくやるぜ」とか言って、恥ずかしそうにそっぽを向いていた。
俺はにやにや笑いながらランチの腕をつかみ、引っ張り、お姫様抱っこした。そして武空術で飛ぶ。
「さらば諸君! わははははは!」
よく分からないキャラだが、これでいい。
「不倫! ロリコン! シスコン! とんでもないことを暴露していきました、ストロングHマン選手! 誰かこいつを止めてくれー!」
グラサンはけっこうノリノリだった。俺が作ろうとしたムードを理解している。やはりプロか。