ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
フリーザ軍の後始末と12人のザーボン
フリーザ軍の一部を捕虜とし、フリーザが支配する全宇宙に中継をつながせた。ビビがフリーザに己の影を入れ、操った。
「ボクはカス共を支配することに飽きてしまったんだ。軍はもういらないから、やりたい人がトップになればいい。困ったら戦って決めればいいんじゃないかな? ボクは口出ししないよ。これからはゆっくり穏やかに生きるんだ」
数日後、コルドやフリーザに忠誠を誓う部下が慌ててやってきた。コルドは本人の強い希望によりキャベスに戦わせ、他はハラベコ等が抹殺した。その後軽く復興支援してから、その星を離れた。フリーザ軍のエリートが何百万も集まり、金を落としていたことから、星は全体的に好景気で、問題は少なかった。
次にザーボンの故郷に行った。青い肌の女達を降ろすと、彼女等はハラベコ等に涙交じりに抱きつき、感謝の言葉を述べた。ハラベコはこっそりお尻や胸を揉んだが、その女は文句を言わなかった。その後、フリーザ軍が少し残っていたので蹴散らした。これで星は解放されたが、次の支配者を決める戦争が始まりそうになった。ハラベコは過激派だけ殺し、今すぐ戦争が起こることを避けた。が、これが一時しのぎにしかならいのは明らかだった。
長々とフリーザに支配されていたので、奴隷上等、殺人上等の思想が子供にまで根付いていた。奴隷側も、盗んだもの勝ち、騙したもの勝ち、という感じだった。しかし、彼ら全てを殺すのは躊躇われた。
ハラベコは青い肌の美女達を気に入っていたので、彼女達と、性格の良さそうな好青年を集め、鍛えてやることにした。カッタツは科学を教え、ビビは政治を教えた。
そうしながら、ビビの銀河赤十字の活動も手伝った。具体的には、農地を増やし、廃品を処理し、貧しくてどうしようもない者に食料を分け与えた。
与えた途端に子どもから物を盗む大人がいたり、復興資金で酒や女を買ったり、嫌なやつがたくさんいた。ビビは何度も怒鳴り、しかし逆に笑われた。そうするとキャベスや子供達が悪いやつを懲らしめようとするが、ビビは「暴力はダメ!」と言って認めなかった。目の端から涙を流しながら。もちろんキャベスはそんなもので止まらないので、ハラベコが体を張って止めた。しかし止めながら「やるならビビが見ていないところで殺せ。正体を隠してな」と言ったのだった。
また、落ち込むビビに近づき、慰めることも多かった。
ある日、夜遅くのこと。ハラベコは女達と性交を楽しんだ後、小腹が空いたので食堂に向かった。その途中、まだビビの部屋に明かりが点いていることに気付いた。ドアに耳を着けると、ページをめくる音が聞こえた。
「なるほど。つまりあの時は引いてみるべきだったのね。相手の意見も取り入れつつ……」
何やらぶつぶつ言っている。勉強しているようだ。
しかし、日中の活動は決して彼女にとって軽い物では無かった。しっかり休憩しないと壊れてしまう。勉強熱心なのはいいが、無理をしては逆効果というもの。
ハラベコはビビに早く寝るよう言うことにした。
ノックする。「ひゃっ!」とビビが声を漏らす。
「俺だ」
「えっ、ええっ!」
ビビの驚き方が、必死な感じだった。襲われるとでも思ったような。ハラベコはそう思われる自覚があるので傷ついたりはしないが。
「早く寝た方がいい。疲れを残してもいいことはないぞ」
「え、ええ。でも、あまり時間がないので。ってええ!」
ハラベコは許可も得ずドアを開いた。ビビは顔を赤くし、胸を押さえながらハラベコと反対側の壁へ逃げた。
「じょ、冗談か何かですよね?」
「何が冗談だ?」
「お、大きな声で叫びますよ!」
ハラベコは段々苛立ってきた。自分がそういうイメージを持たれるのは仕方ないが、長年面倒を見てきた娘が全く信用しないのはどうかと思った。
「ビビ、早く寝た方がいい。それが言いたかっただけだ」
「そ、そうですか」
ハラベコはトーンを落として言った。ビビはまだ警戒した体勢のままで動かない。
「早くベッドに横になれよ」
「え、ええ。ハラベコさんが出て行ったら」
「お、俺は一応いい話を聞かせてやるつもりだったのに!」
「へ? 寝た方がいいと言いたかっただけでは?」
「チッ」
ハラベコはビビの部屋から出た。しかし食堂には向かわず、ドアの近くで待機した。
ビビが動く音がする。しかし明かりは消えない。ページをめくる音がする。
ハラベコは再びドアを開け、部屋に入った。
「おい!」
「きゃあああっ、うっ。んぐっ。うううっ」
ビビが悲鳴を上げたので、ハラベコは一瞬でビビに接近し、手で口を塞いだ。
「寝ろって言ったのに」
「ううん! むむー、むうー!」
ビビは『私の勝手でしょ!』とでも言いたげにハラベコを睨んだ。
ハラベコはビビの後ろに回り込み、抱きつき、手足でガッチリホールドした。ビビは暴れようとするが動けない。ハラベコはビビを抱えたまま武空術で浮き、電気を消し、2人でベッドに横になった。
「今日は一緒に寝てやる」
「むむーっ! んむー! んむむーっ!」
「お前に言っておきたかった。お前は自分でなんでもやり過ぎる。もっと他人を信用して、自分は気楽にやった方がいい」
ハラベコはビビの口から手を離す。
「気楽になんてやってられませんよ! 今、苦しんでいる人がいるんです!」
「だからお前も真似して苦しもうとするのか?」
「そ、そういうわけじゃあ」
「俺の子供がお前を見ている。お前の真似をして、苦しんでいる人を見たら一緒に苦しむようになってしまうかもしれない」
「そ、そんなことには……」
ビビは歯切れを悪くする。思い当たる節はあるようだ。子供達は共感しやすい。実際、身勝手な住民をかばって涙ぐむビビを見ると、いつもつられるように目に涙を浮かべていた。
「全員が悪人ってわけじゃない。ビビを慕っている人もいる。重要なのは、自分達がなんでもしようとするのではなく、この星をよくしようとしている現地人の背中を押してあげることなんだと思う。俺達は、彼等が彼等自身の力で問題を解決できるように、ほんの少し手助けしてやるだけでいいんだ」
「それは、ですけど」
ハラベコは安心させるようにビビの頭を抱きしめる。しかしビビはまた「ひっ」と驚いてしまう。
「お前は誰よりも幸せになれ。そんなお前を見て皆が幸せな気分になるんだ。お前が苦しんでいたら皆も悲しい。少なくともこの船にいる人間はそうさ。苦しむ人間を見て喜ぶやつのことは、悪人と言うんだ。そんな連中は放っておけばいい」
ビビは何も言わない。しかし体の力が抜けたので、受け入れている感じがした。
「明日はナナクサ王国の建国宣言の映像を見せてやろう。いいことを言ってるからな」
ハラベコはそれ以上言わず、そっと目を閉じた。女達に何度も中出ししていたので眠かったのだった。しかし下半身は再び勃起し始めており、ビビはそれに気付いていたので、恐ろしくてしょうがなかった。なかなか眠ることはできなかった。
なんてことをやる少し前、SEEDの地球で影の支配者が動き始めていた。
「フリーザが生きているということは、ハラベコ達は死んだと見ていいだろう。そして、理由は定かでないが、フリーザは完全に軍を辞めてしまったようだ」
「理想的な展開だな。エンゲルシリーズは行けるのか?」
「はい。キラツーのスカウターの数値は、ワンピ人最高のドラゴンを遥かに上回る3500を記録しています。他のシリーズも総じて2500前後。ワンピ人の星にラディッツというサイヤ人がいますが、こいつは1500程度です。問題ありません」
「よし。では、エンゲルリバース計画を発動する。全てはSEEDの下に!」
「SEEDの下に!」
その賛同者の中には、盲目の導師もいた。
約2週間後、初めにレイが気付いた。
「なんだこれは。1、2、3、4…………12! 大きな力が急速に近づいてきている!」
方舟のブリッジで思わず叫んでしまうくらい、危険を孕んでいた。
全て同じような気だった。邪悪さはそれほどない。しかしこのねっとりした感じに覚えがある。それほど最近ではない。気を覚えてすぐの頃だったような気がする。
「そうか分かったぞ! この感じは……」
「レ、レイ!? 大きな力って!? ハラベコ達じゃないの!?」
気の感じはザーボンにそっくりだった。しかし、それにしては弱い。しかも12もある。
「何故だ! まるでクローンのように!」
「クローン!? どういうこと!?」
レイは言いながら、自分をクローンにした連中を思い出した。その当事者が作ったとは限らない。しかしSEEDの地球人が原因ではないかと思った。クローン技術はある。ザーボンのDNAも、取ろうと思えば取れただろう。ならば作れる。そして作りそうなやつがいる!
レイは宇宙船が飛んでくる方向に意識を向ける。その奥まで感知網を伸ばす。地球圏外、太陽圏外、さらに奥。
「いた! この感じはやはり地球人か! 愚か者共め!」
この地球人達は、濁っていた。しかし心の奥底だけ濁っていて、表面は綺麗な使命感で満たされている。それゆえに分かり辛い。人を騙すのが上手い。そんな嫌らしい印象を受けた。
レイはやっと己だけの思考を止めて、ブリッジのオペレーターに指示を出そうとする。しかしそこでマユ・アスカの姿が見えた。一瞬ザーボンの名を出すことを躊躇する。しかし迷っている時間はないと判断する。
「俺が指示する方向へジェネシスを撃て! 敵だ! おそらくザーボンのクローンだ! 数は12!」
「えっ!」
「ザ、ザーボン!?」
「信じられないならスカウターをセットしろ! 1分以内には戦闘力が見えるようになるはずだ! だがジェネシスはさっさと動かせ! 間に合わなくなるぞ! 各員は戦闘配置に着け!」
その後、レイはアズラエル、ドラゴン、五老星の順に敵の存在を知らせていった。しかしそこでオペレーターが叫ぶ。
「ジェネシスシステムにウィルス侵入! 強制シャットダウン始まりました!」
「何イ!」
その頃、とある宇宙船の中でキラ・ヤマトがつぶやいた。
「こんな兵器はあっちゃいけないんだ。そうだよね、カガリ」
パソコンの画面の向こうで、金髪の勝ち気そうな女がうなずいた。
「ああ。そして、ブルーコスモスや宇宙人にはこの星を渡さない。人は人らしく自由に生きる権利を持っているんだ!」
キラはカガリの発言に頷くと、世界中に強力なウィルスをバラ撒いた。テレビ電波はジャックされ、パソコンの画面にもある動画が映し出された。
「世界中の皆! オーブの首長カガリ・ユラ・アスハだ! 知ってる人もいるだろうが、私は一度ザーボンに殺され、奇跡によって蘇った。だがあれは、アズラエルが宇宙の神秘的な力を利用したのではない! SEEDという、我々の遺伝子の奥底に眠る不思議な力が発露したものだ! 皆、自分の限界を自分で定めちゃいけない! 他人が定めるのはもっといけない! 私達には無限の可能性があるんだ! だから、コーディネーターを徒に辱めるアズラエル、私達の思いを力で捻じ伏せてきたハラベコ、そしてその傀儡であるワンピ人。私達は彼等から自由を取り戻さなければならない! だけど安心してほしい! ハラベコとサイヤ人の3人の女、以下に続く凶悪な幹部達は皆死んだ! 残るは私達と同じ人種であるブルーコスモスと、NH部隊と、一部のワンピ人のみだ! だけど、NH部隊とワンピ人は私の心強い助っ人がなんとかしてくれる! 相手にするのはブルーコスモスのみでいい! 皆、力を貸してくれ! 自由はすぐそこにある!」
そして同じ頃、宇宙で戦闘が始まる。
「撃て! 感じ取れるはずだ! 今のお前達なら!」
レイ、シン、ルナマリア、メイリンの4人は同型のガンダムタイプに乗っていた。
オーロラガンダム。サイコミュによって搭乗者の力を機体に反映し、バリアーや巨大なビームサーベルを展開することができる。ビームライフルにも気を反映し、強化することができる。さらにミラージュコロイドを応用して残像を作り出すこともできる。
レイの指示によって、NH部隊のメンバーが向かってきている12の悪意にビームライフルを放つ。それは視界どころかレーダーの関知範囲の遥かに向こうだったので、レイ達は敵がどういう宇宙船に乗っているかも分からない。
しかし、レイの一撃は確かに宇宙船を捉えた。奥の方がパット光る。無力な命が散ってくのを感じる。しかし強力な12は全て生きている。3つはそもそも別の宇宙船で、ワンピ人の星に向かっている。残り9つが乗っている宇宙船が爆発したようで、悪意のスピードはかなり落ちた。さらに、2つ悪意が急速に弱まっている。
その頃、9人の小さなザーボン達は、爆発していく船の中で右往左往していた。
「う、撃たれたぞ! まだレーダーにも映ってないのに!」
「スカウターで捉えたのだろう! 我々には無駄に3500もあるやつがいるからな!」
「無駄口叩く暇があったらモビルスーツに乗れ! こちらも仕掛けるぞ!」
「で、でも! ブリッジの皆が!」
「放っておけ! 今はそのようなことをしている暇はない!」
「エンゲル様方! フォウ様とシックス様が爆発に巻き込まれっ、ぎゃあああ!」
ザーボン達に窮状を伝えに来た修道服の男が、爆発に巻き込まれ爆散する。
「おじさん!」
肉片に近づこうとする不安げなザーボン。しかし、別のザーボンが後ろから羽交い締めにして止める。
「やつはもうダメだ! そんなことをしている暇はないぞ!」
「その通りだファイブ! そしてトゥエルブ! お前達二人が急いでフォウとシックスを救助しろ! モビルスーツの戦闘力計測装置を使えば探せるはずだ!」
「はい、マスター! 行くぞトゥエルブ!」
「う、うん。どうしてこんなことになっちゃったんだろうね」
「弱音を吐いている暇はないぞ!」
その後、全てのザーボン達はモビルスーツで飛び出そうとしたが、3つ壊れていたのでフォウ、シックス、トゥエルブの分はモビルスーツなしで行くことになった。
モビルスーツに乗るファイブが指示を出し、自身と生身のトゥエルブが、宇宙に放り出された2人のザーボンの回収に行く。
彼等は宇宙服が燃え尽きたようで、肌が剥き出しだった。胸を押さえ、苦しんでいた。息が持たないのだろう。
「い、今すぐファイブの下に連れていくから!」
トゥエルブはフォウを抱え、ファイブの乗るモビルスーツへ飛ぶ。ファイブもシックスをコクピットに入れ、トゥエルブの下へ移動する。
「うわっ!」
しかしそこでビームライフルが飛んできた。トゥエルブとファイブは慌てて回避し、しかしそれによって二人の距離が離れてしまう。
「じゃ、邪魔するなよおおおお!」
トゥエルブは怒り、虚空に向かって気候波を放った。もちろん誰かに当たるわけではない。が、その戦闘力は4000に迫り、残るザーボン達を一瞬怖じ気づけさせた。
「トゥエルブのやつ、どうしてあんな力を?」
「はったりだ。最強はツーのはずだ」
そこでファイブがハッとする。
「バカかトゥエルブ! さっさとフォウを寄越せ! 死んでしまうぞ!」
「あっ! う、うん!」
トゥエルブはフォウを連れてモビルスーツに入った。元が一人用のコクピットなので、幼児5人とは言えそこそこ狭い。そこで急いでフォウ、シックスの様態を確認する。
「ぷはあ。ひい、はあ、ひい、はあ。た、助かったぜ。ひい、はあ、ひい、はあ」
シックスは意識があり、呼吸も戻り始めている。
「ぜひゅ、ぜひゅっ、かひゅっ、かひゅひゅっ。ゴハッ」
フォウの方は深刻だ。肺にダメージがあるようで、血を吐いてしまった。
「い、急いで病院に連れていかないと!」
トゥエルブが慌てたように言う。
「いや、こりゃあもう無理なんじゃねえか?」
「な、何を言ってるんだ! なんで諦めてるんだよ! 兄弟のピンチだろうが!」
苦い顔で言うシックスに、トゥエルブが激昂する。それでファイブとシックスは怯むが、ファイブは真面目な顔になって言う。
「争っている時間はない。フォウには俺の宇宙服を着せるから、トゥエルブ、お前が近くのコロニーに運べ」
「僕が?」
「ああ。モビルスーツで行くよりその方が速いはずだ。できるな?」
「う、うん」
その後ファイブは宇宙服を脱ぎ、フォウに着せた。その間シックスがモビルスーツを操縦し、ビームライフルを避けた。トゥエルブはフォウを抱え、急いで近場のスペースコロニーに向かった。方向はモビルスーツ内のレーダーで確認した。
NH部隊へ先行した5人のザーボンのうち、2人はワンピ人の本拠地があるプラントへ向かった。元々ワンピ人の方を4人で、NH部隊を3人で、地球を2人で攻めるつもりだったが、4人が遅れてしまったので作戦を変更。ワンピ人を攻める2人は足止めに徹し、NH部隊の3人がNH部隊を葬るまで時間を稼ぐ。その後NH部隊の3人と合流し改めてプラントを攻める。地球へは、ファイブとシックスがオーブ軍の増援に向かうことになった。
しかし予定通りなはずのNH部隊との戦闘は、圧倒的にNH部隊が有利だった。戦闘力はザーボン達の方が遥かに高いが、モビルスーツに乗ったことで、違いは反射速度と加速度への耐性程度に限定されてしまう。しかもその反射速度ださえ、経験と気の動きによる読みで相手が動く前に攻撃するNH部隊には及ばない。モビルスーツの性能もNH部隊の量産機の方が上。よって一対一でさえNH部隊の方が有利なのだが、実際は18対3なのでNH部隊が圧倒的に優勢となっていた。
ザーボン達は自身の射程範囲に入ることすらできない。一方的に撃たれ、一機が爆散。もう一機が手足をもぎ取られ、逃げるようにコクピットから脱出する。
「ワン! もう無理だよ! 地球で体勢を立て直そう!」
脱出したザーボンが、地球に向かいながら言う。機体の爆散したザーボンは、話しもせずも無我夢中で地球を目指していた。
「くっ! こんなオモチャに乗ってるからダメなんだ!」
ワンと呼ばれたザーボンは自らコクピットを気候波で破壊し、空いた穴から飛び出す。
「行くぞイレブン! 生身なら俺たちの方が有利だ!」
「えっ、ええっ!?」
「返事はどうした!? それとも今すぐ死にたいか!?」
「いっ!? はいはいはい! やりますやります!」
そうして二人のザーボンは宇宙服で飛び回り始めた。こうすると小回りが利き、小さな動きで簡単にビームライフルを回避できた。そのままモビルスーツ達に接近していく。
「死ねええええ!」
ワンが怒り任せに巨大な気候波を放つ。しかし躱された。接近できていい気になってしまったが、まだ距離が遠すぎるのだ。そしてビームライフルの雨にさらされ、距離を取ることになる。再び接近するが、近づけば近づくほどビームやミサイルが苛烈になる。宇宙服を壊されないように全て避けなければならない。たまらず攻撃を仕掛けるが、躱される。ザーボン達が宇宙空間での生身の戦闘に慣れておらず、距離が掴めないのも一因していた。
「いいぞ! この調子だ! 決して無茶はするなよ! 相手の体力を削っていくんだ!」
レイは手応えを感じていた。こちらはダメージなしで、向こうの気は徐々に減っていく。焦りからか攻撃は単調になり、避けるのはより簡単になっていく。
ルナマリア、メイリン、シンの動きが良かった。自分達がわざと前面に立つことで、弱い方のザーボンの攻撃を集めつつ、ミラージュコロイドによる残像で翻弄する。弱い方のザーボンはほぼ3人だけで足止め出来ていると言って良かった。そして強い方は、レイとムウ2人のオールレンジ攻撃。多方向からの隙のないビームで完全に封殺できている。そして今、とうとう捉えた。
「ぐあっ」
「ワン!」
遺跡から発掘したものを発展させたファンネルという武器が、強い方のザーボンの背中を捉えた。この隙にレイはビームライフルを放ち、ザーボンの全身に巨大なビームを浴びせることに成功する。
「かひゅっ、かっ、かかっ」
ザーボンの宇宙服は完全に燃え尽きた。これで終わりかと思われた。しかしそのザーボンは地球に逃げるのではなく、比較的近かったメイリンのモビルスーツに突っ込んだ。ビームライフルで撃たれても、そのまま突っ込み続ける。肌が焼かれ、口から血が出ても止まらない。
「道連れか? いや違う! 脱出しろメイリン! やつはモビルスーツを奪う気だ!」
「き、きゃああああ!」
メイリンが慌てたことで、コクピットを射出するには間に合わなくなる。しかしメイリンはミラージュコロイドによる残像でザーボンのタックルを回避する。ザーボンはコクピットに入った途端に息を吸い込む気だったので、残像と分かった時には息を吸ってしまっていた。真空で肺を動かしてしまい、ダメージを受ける。
「かっ、がひゅっ、ぐひゅっ」
苦しみに大口を開けるザーボン。しかしここぞとばかりビームライフルが襲ってくる。
「くかかかかっ。ぐっ、ぐひゅうっ、ぐひゅうっ」
口がボロボロになり、血や肉片が飛び散る。しかし身体の原型は保っている。
「さすがに硬いな。ラウ・ル拳2倍ならどうだ?」
レイは勝負が決まったので、実験のつもりでラウ・ル拳(界王拳と同じ)を使うことにした。
しかしビームサーベルで斬りかかろうとした時、シンが二人の間にビームライフルを放った。
「なんのつもりだ?」
「いや、こいつら降伏するんだってよ」
「なんだと!?」
降伏されても、彼等を閉じ込められる牢がない。レイはそう言いたかったが、今はシンと対立したくなかった。それに彼等は幼く、自分と同じクローンで、悪い地球人に利用されているだけだったので、内心は助けたくもあった。よってレイは降伏を受け入れることにした。
「シン、ならばお前がそいつらを見張っていろ! 俺達は急いで地球とワンピ人の救援に向かう!」
なお、この戦いでNH部隊の損害は小破3機に止まった。