ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
タートル号は超光速空間を抜け出し、ワンピースの星を眼下に収める。
コブラはオープンチャンネルで通信をかけられていることに気付いた。
「宇宙エレベータの真ん中に宇宙ステーションがあるでしょ? あれに着地しろって放送よ。全方位に自動でかけてるの」
ジェーンが言った。
「なんでそんな面倒なことを?」
「この星はまだまだ未開だからね。未知のウィルスや生物兵器を恐れているの。もしふつうに大気圏に入ったら問答無用で攻撃されるわよ」
「ふーん。堅苦しいこったね、どうも」
コブラはげんなりしながら船をエレベーターへ動かした。その後方では、海賊ギルドの幹部2人が様子を伺っていた。
「コブラはエレベーターに向かったか。やつは海賊。捕まってしまう可能性もあるはずだが、何か策があるのか?」
「どうします? ボーイさん」
「待機でいい。我々はコブラが刺繍を集めたところで奪えばいいのだからな」
クリスタル・ボーイは宇宙空間で静観することにした。
「エレベーター? 面倒だが、行くべきだろう。我々は脱走した囚人を捕まえに来た真面目な職員だからな」
対して、シュルツはエレベーターに乗ることにした。彼は表向き、シドの刑務所の所長。しかし裏の顔は刑務所を隠れ蓑にした奴隷商人、そして海賊ギルドの幹部だった。
コブラはエレベーターの中心にある宇宙ステーションにタートル号を止めた。大きさは2キロ四方くらい。ここは遠心力と重力が等しく、ちょうど加速度ゼロとなっている。コブラが外に出ると、ゾロゾロと制服姿のサイバンマンが出てきた。彼等はポンプを手に持ち、コブラ達へ霧状の消毒液を吹き掛ける。
「メディカルチェック装置に入ってください。拒否なされた場合、入星を許可しません」
一人だけ、身長6mを超える巨大な職員がいた。
コブラには知りようもないことだが、こいつはバーソロミュー・クマを再現しようとしたロボットだった。
「入ればいいわ、コブラ」
「やれやれ、これじゃあまるで指定細菌感染者だな」
メディカルチェック装置は、フリーザ軍のメディカルマシーンを参考に量産したものだった。数は5つあり、今は全て空いていた。コブラ、ジェーン、キャサリン、レディがなかに入っていく。服は着たままで良かった。
コブラはメディカルチェック装置の中で、別の宇宙船が宇宙エレベーターに着地し、中から若い連中が降りてくのを見た。
「よおし! 悪い海賊出てこい! ぶっ飛ばしてやる!」
「ちょっと待って。ここで戦闘していいのかしら? エレベーターを壊すと怒られそうだけど」
「ほっとけ! 宇宙船さえ手に入ればこっちのもんだ!」
「困りますね。ここで戦闘してもらっては」
と、どこからか別の職員がやってきた。身長はサイバンマンより少し大きいくらいで、全身真っ白な戦隊スーツのようなものに身を包んでいる。
しかし驚いたのは、コブラはそいつの動きが全く見えなかったことだ。一瞬でここに移動したように感じた。
「チェック終了しました。異常なしです」
コブラ、ジェーンがメディカルマシーンから出る。レディはアンドロイドのために、入星は保留となって外に出た。キャサリンは「耳に発信器のようなものが着いています。取り除いてください」と言われてしまった。
「シュルツのやつ、まさか追ってきてないでしょうね?」
「いや、来てるだろうな。わざわざそういうのをつけていたってことは」
コブラはタートル号にキャサリンを運び、レディの外科手術でキャサリンに付いていた発信器をとりのぞいた。
その後、レディはタートル号に残り、船の見張りをすることになった。船を星に降ろすためには職員の検査を受ける必要があり、それは時間がかかるので、ちょうど良かった。
「うっせー! 邪魔すんな!」
「従っていただけないのなら、3番ゲートに落とさせていただきます」
「ルフィ、別にここじゃなくったっていいじゃない」
「そうだぜ。ええーっと、あんた。俺達は宇宙の悪い海賊を退治するために来たんだ。どこで戦ったらいいか教えてくれるか?」
「悪い海賊ですか? それでしたら3番ゲートの雲の道の先に、ナナクサ王国第二訓練所があります。暴力目的の方はそこに集められます」
「なんだ。結局3番かよ」
若者、ルフィ達は船に乗って旅立った。
コブラはタートル号でしばらく待った。準備ができたらしく、発進まで5分と放送された。
「じゃ、俺達もちょっくら出掛けるかね」
コブラ、ジェーン、キャサリンが船から降りていく。
「1番ゲートはアラバスタって砂漠の国に行けるわ。2番ゲートは、信じられないかも知れないけど、真っ白な雲の海に浮かぶ島に行ける。3番ゲートはナナクサ流に用があるやつが行くのよ。仕事の依頼、道場破り、弟子入り志願。なんでもね」
「で、俺は弟子入り志願するってわけだな」
「ええ、私達はドミニクに会いに行くわ。問題はドミニクにもハラベコにも目的を悟られないことね」
「全くできた妹さんだね。財産を銀河パトロールに管理してもらおうとするだろう、なんて姉に思わせるとはね」
コブラ達は3番ゲートのエレベーターに乗った。直径10m、高さ4mくらいの円柱形で、全体が雲のような素材に覆われていた。
出発地点は高度約3万6000キロメートル。始めは電気で、以後は重力を利用しながら落下し、最高速度時速1500キロ程で進む。到着まで1日の予定だ。料金は、下り一人あたり100ドルほど、登りは1000ドルほど。
あまり居心地がいいとは言えない空の旅。食事は自動販売機で買い、寝床は簡易なベッド。コブラはナイスガイなので、女とパコパコやって時間を潰した。
そうして1日後、エレベーターは目的地に到達した。
そこは高度1万メートルにある空島だった。リフトはいつの間にかエレベーターから離れ、雲の道に沿って斜めに空島へ伸びていた。
コブラ達が降りてすぐ、空港の売店のような場所があり、そこを抜けると広場があった。
「お前ら悪人かあ!? 悪人ならぶっ飛ばしてやる!」
いきなり麦わら帽子の若者に突っかかられた。宇宙ステーションにいた若者だった。
「とんでもない。俺はジェームズ・ボンド。俺の星じゃ知らないやつは田舎者扱いされる程の正義のヒーローさ」
「なんだ。いいやつなのか」
それだけで若者は笑顔になり、去っていった。
「なんだったの? 彼」
「君と同じ賞金稼ぎだろうね」
「とてもプロとは思えないわね。あんなに簡単に人を信じて」
広場では子連れの夫婦が遊んでいたり、ナナクサ流の弟子らしき若い集団が、ダッシュを繰り返したりしていた。女が多いのはハラベコの趣味だろう。
「これはまずいな。弟子であのレベルか」
少女達が自分と同じような速さで動くことに、コブラは愕然とする。
「ハラベコと戦おうなんて思わない方がいいわ。彼はおかしいもの。あのフリーザ軍の艦隊をたった10人で壊滅させたって噂もあるの」
「フリーザ軍。一騎当千の戦士だけで1億人を超えるという宇宙の支配者か。気に入らないね」
広場の右側には田畑、左側には果樹園があり、若い女達があくせくと働いていた。そして真正面を降りていくと雲の海がある。それは50mくらい先で途切れているが、その途切れた先に人が集まっていた。
「長さ30キロの雲の道があるのよ。弟子入り志願者はこれを渡って第四訓練所まで行くの。そこで試験に受かったら合格よ」
「あのスキーみたいなのに乗るのかい?」
「もらえたらね」
若い女、というより女児達が、両足にスキー板のようなものをつけ、雲の先ではしゃいでいる。
そして今、雲の向こうに落ちていった。
「もらえなかったら泳いでいくしかない」
「泳ぐ!? 30キロをかい?」
「下りだから放っといても勝手に進むわよ。但し落ちたら1万メートル下の海に叩きつけられるから気をつけてね」
「なんてこったい。弟子入りで死人が出るぞ」
「大丈夫よ。体力のない人は泳がせてくれないから」
コブラは唖然としながら雲の先を見た。
ふと、子どもの声が聞こえたと思ったら、その雲の先からボートが飛び出してきた。
「ラッキーね。私とキャシーはあれに乗せてもらうわよ」
「俺は?」
「たぶん乗せてもらえないと思う」
雲に登ったボートは猛スピードで岸に突っ込んできた。少し遅れてもう1つのボートが上がり、追いすがるように突っ込んできた。結果は、先に上がったボートがそのまま先に岸に着いた。
「ぷはあっ」
しかしコブラを驚かせたのは、ボートを押していたらしい人間が7歳くらいの男の子だったことだ。
「おいおい。こんなチビちゃんが運んでるのかよ」
もう1つのボートを押していたのも同じくらいの男の子だった。
「はあ、はあ、はあ、はあ。一番乗りー! イエーイ!」
「くっそー! 最初は勝ってたのに!」
コブラは知るよしもないが、彼等はハラベコの息子のタマオンとシロナだった。
二人はコブラ達の視線に気づいた。
「あれ? また弟子入りかな?」
「そうみたい。あれ? この女の人達ドミニクって人に似てない?」
「似てるね。そっくり」
「僕ちゃん達、私達はその妹のドミニクに会いに来たの。こっちの男は弟子入り志願。船に乗せてくれる?」
「うん、いいよ。女の人には優しくするようにって、お父さんに言われてるんだ」
「まあ、できたお父さんね」
タマオンのボートにジェーン、シロナの方にキャサリンが乗った。コブラは乗せてくれなかったので、生身で降りることになった。
「弟子入り志願の男の人は、ここを一人で降りられるかどうかが初めの試練だよ。まあおじさんなら簡単だろうけどね」
「へえそうかい。そいつは心強い」
「ふふっ。無敵のコブラもここの子どもにとってはただのおじさんね」
その後、ジェーンはタマオンの後ろで、「やっほおーーっう!」と風が気持ち良さそうに降りていった。キャサリンは「慎重に、ゆっくりでお願いします」などと言ったので、ジェーンに比べればゆっくりだった。それでも加減の分からないシロナは時速200キロは出した。キャサリンはスピードだけで十分恐怖したが、さらに下を見てしまい、あまりの高さに「きゃああああ!」と悲鳴をあげて、シロナに抱きついた。シロナの頬が赤くなったのだった。
コブラは独特のタイツで泳いでいく。
初め慎重に、時速20キロくらいで進んでいたが、空気が薄く、また寒いので、意識が朦朧として来た。
「お嬢ちゃんに浮き輪を貸してもらえば良かったね。全く」
コブラは苦笑いしながら呟き、一気にスピードを時速50キロほどまで上げた。ウォータースライダーを落ちていくような感じだった。稀にカーブや雲の薄い場所があるので、コーナーに寄ったり、じたばたと浮かぶ必要があった。
その頃、シュルツ達がエレベーターから降りていた。コブラと同じように広場に向かい、麦わら帽子の若者に話しかけられる。
「おいおっさん! お前悪い海賊か?」
「なっ、口を慎めよガキ。俺は惑星ダグザードの大都市、シドの刑務所の所長だぞ!」
「うるせえ! んな長え名前覚えられッか!」
「名前じゃないわバカもんが!」
「やっぱお前悪もんだな! ぶっ飛ばす! 宇宙船寄越しやがれ!」
「なんだと!? きちがいめ! 公務執行妨害、並び威力業務妨害で逮捕してやる!」
その後、シュルツの部下達と麦わらの一味の戦闘になった。光線銃によってウソップが焼け焦げたが、命に別状はなし。他はダメージなしでルフィ達が勝った。
「なぜだ。なぜ当たらん」
「遅えんだよ。体の動きがな。狙いも甘え」
ルフィ達はいつも通り、彼等を戦闘不能にしても殺しはしなかった。しかしナミの雷が当たった男だけはショック死した。ワンピース世界の人間は一人も死ななかった技だが、殺傷力はあるのだ。
「オラ! 宇宙船寄越せ!」
ルフィはシュルツの襟首をつかみ、持ち上げ、脅した。
しかしシュルツはまだ余裕がある。
「おい貴様等! 何を訓練などやっている! 早くこの狂暴なきちがいを殺せ!」
シュルツは周囲を見ながら叫んだ。訓練を指導している一人がピタリと止まり、シュルツに近づいた。
「あなた方が邪な目的でこの星にやってきたことはわかっていました。彼等が捕まえずとも我々が処分していたところですよ」
「な、何を言っている! 俺は善良な一般市民! どころか刑務所の所長だぞ!」
「そうですか。ではそれは何かの間違いだったのでしょうね」
「なんだとお!? 貴様等! おい! 誰か助けろ! おい! 殺すぞ! こう見えて俺は……」
シュルツは怒り任せに海賊ギルドの名で脅そうとして、止めた。証拠さえ見せなければまだ挽回できると思った。しかし、目の前の麦わら帽子の若者がつぶやく。
「なんだおめえ、海賊なのか」
「な、何!?」
なぜバレた。いつバレた。シュルツは激しく思考してしまい、それがルフィへ伝わっていく。見聞色の覇気だ。
「ふんふん、海賊ギルド。うわあーっ、ひでえやつらがいっぱいいるんだなー。あっ、おめえ奴隷売ってるのか! 所長のクセに罪人を勝手に売って!」
「な、なんのこと、だ……!? ま、まさかお前!」
シュルツはルフィがあまりにも詳しいので、海賊ギルドの回し者かと思った。ならば、自分はギルドの雇った殺し屋に処刑されようとしているのだ。おそらく、キャサリンを捕獲しながらギルドに報告せず、ネルソンの隠し財産、そして最終兵器を独占しようとしていたことがバレて。
そしてこの思考が、ルフィにうれしい情報を与えた。
「お宝!? お宝があんのか!?」
「くっ。そこまで知っていたならどうしようもないか。いや待て。お前も財宝はギルドなどに報告せず、俺と山分けしないか? そうすれば一生遊べるだけの額が!」
「うるせえ! んなことには興味ねえ! さっさと宝の地図を寄越せ!」
「ぐっ、いや、お前も知っていると思うがキャサリン・ロイヤルには逃げられたのだ。しかしこの星にキャサリンとジェーンがいるという情報は得ている。だから俺と協力して」
「野郎共! 次の冒険の行き先が決まったぞ! ネルソン・ロイヤルっつうおっさんの三つ子だ! そいつ等がすんげえ宝の地図を持っている!」
こうしてルフィ達もネルソン・ロイヤルの隠し財産争奪戦に加わった。
その頃、ジェーンとキャサリンは雲の道を渡り終え、ドミニクのいる第三訓練所へ移動していた。
ちなみに、第一訓練所が女ヶ島にあり、第二が空島、第三が元無人島、第四がレッドラインを削って作った無人島である。数字が低いほど戦士のレベルが高く、第四は素人や子供用で、戦闘力はだいたい3~20。第三が亀仙流に食らいつけるか否かくらいで、戦闘力20~100。第二はカリン島から神の訓練あたりまでで、戦闘力は100~800。それ以上は第一。4000を超える程になれば、アラバスタで300倍が最高の重力装置を使ったり、レッドラインで組手を行ったりもする。また、第一のメンバーから最低一人ずつ、第二、三、四に指導者が送られる。ハラベコは全体的に見回りをし、気に入った女の子に多めに教えていた。
「あっ、ドミニクさん!」
「おーい! ドミニクさーん!」
そして、遂にタマオンとシロナがドミニクを発見する。彼女は際どいタイツで格闘訓練を行っていた。
ジェーンとキャサリンも妹を見つけ、手を振る。
「え?」
「隙あり!」
「ぐっ」
声に気を取られたドミニクは対戦相手にタックルされ、馬乗りで殴られる。しかし隙を見て背中を反らし、ブリッジからの後方移動で脱出。追い討ちを掛けようとした相手には、両足をあげて顎を蹴飛ばす。これがかなりいいところに決まり、相手はダウンした。
「す、すごっ」
「はあ、はあ、はあ」
ドミニクは息を切らせながら、唖然としている姉二人を見た。
ドミニクの目蓋が、徐々に開いていく。信じられないとでも言うように。
「ジェーン、キャシー! 生きてたのね!」
「ええ、ドミニク」
「ドミニク。会えてうれしい」
そして三姉妹は抱き合った。
その頃、ルフィ達は二手に別れていた。
ルフィ、ゾロ、サンジはスペースサニー号からミニメリー号を取り出し、雲の道を降りていく。
「コブラだ。あいつが地図の場所を知っている。左手にサイコガンだ」
ルフィはそう言った。コブラは強いらしいので、一味の中で戦闘が得意な三人が向かったのだ。
残りのナミ、ウソップ、チョッパー、フランキー、ブルック、ミス・バレンタインはシュルツ達を縄で縛り、スペース・サニー号に連れていった。そしてスペース・サニー号でシュルツの宇宙船へ向かうところだった。
ミス・バレンタインは、頂上決戦の時に赤犬のマグマパンチの流れ弾を食らいそうになり、ミスター・ファイブに庇ってもらってギリギリ助かった。しかしミスター・ファイブは「鼻くそほじる、こんな俺と、ペアでいてくれてありがとう」と言い残して息絶えた。ミス・バレンタインはその後、チョコレート屋を開いて頑張っていたが、売り上げ不振で破綻。ガックシ来ていたところへ、ルフィ達がやって来た。ナミが「悪魔の実には覚醒という段階があって、あなたの能力であなた以外の物、例えば船を軽くすることもできるようになるはず。そうすれば宇宙に行けるはず」と説明し、もう一度仲間にならないかと誘ってきた。それを了承したのだった。2年前のことである。ミス・バレンタインに覚醒の気配はない。
とかく、ナミ達はスペースサニー号でシュルツの宇宙船を目指そうとしていた。しかし、入り口を閉じ、窓を閉じ、密閉具合の確認をしていたら、やつの声が聞こえた。
「よお、ナっちゃん。久しぶり」
ハラベコだった。彼はいつの間にか船内に入っていた。
一味に緊張が走る。以前、サイヤ人はキャベスの一味だと思っていた頃に、ルフィ達は一瞬で全滅した。あれから強くなったとは言え、宇宙でトップレベルの彼等に通用するかは分からない。しかもルフィ達がいない。戦闘になったらやられる。
「な、なんのようかしら? それと私はナミよ」
「いや、お前達が俺の庭でちょろちょろしてるって聞いたからな。何の用かと思って」
「別にあなたに用はないわ。早く出ていってよ。ここは私達の船よ」
「そう言われてもな。お前のとこの船長がドラゴンの息子だから、皆いらぬ気を遣ってな。俺に何とかしてくれって言ってきたんだよ。ところでルフィ達は何をしてるんだ? 雲を渡っているようだが」
「なんであなたに説明しなくちゃならないの?」
「そ、そそそ、そうだぞ! 早く出ていけ!」
ウソップとナミが必死にハラベコを睨む。他の一味は初対面なのでポカーンだ。敵だという認識はしているようだが。
「なんか怪しいんだよなあ。まあいっか。出ていくよ。ハッチを開けてくれ」
フランキーがハッチを開き、ハラベコは出ていった。
しかし実は、置き土産があった。
「キキィー」
懲りずにサイバイマンである。しかも前回と同じやつ。パワーアップした通信機を持たせていた。
「ぷはあ、はあ、はあ、はあ」
「ぞーっ、としたぜ。心臓が止まるかと思った」
ナミが大粒の汗をかきながら四つん這いになり、ウソップはへなへなと尻餅をつく。
「そんなにすげえやつなのかあ。ハラベコ」
「ヨホホホホ。政府を潰したのは彼等だと言われてますからねえ」
「ドラゴンさんが言ってたわ。あいつがその気になれば政府どころか星だって壊せるだろうって」
「星? そりゃあまたぶっ飛んだ話だな」
「キャハハハ。いなくなったやつの話なんてもういいじゃない。それよりも、お宝の話をしましょうよ」
サイバイマンがその声を拾った。ハラベコは、彼等の目的がシュルツの船の強奪と海賊の隠し財産入手だと知った。
海賊の隠し財産。ハラベコは正直あまり惹かれなかった。既に大金持ちだし、物より女の方が好きだからである。恵まれ過ぎて感動が薄れるのも寂しいなあ、とハラベコは思った。
また、自分は惹かれないが、子供達はそういう話が好きそうなので、教えてやることにした。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
コブラは息も絶え絶えに雲の道を渡りきった。弟子達がコブラを迎え、パチパチと拍手をした。
「おめでとう。生身で渡りきるなんてすごいね」
「見たところ地球人なのにね。あなたならすぐに第二訓練所へ行けるでしょう。ひょっとしたら、何年も鍛えれば、第一へ届く可能性もあるかもね」
「はあ、はあ、はあ、はあ。ほどほどに頑張るよ」
コブラは弟子達に水を飲ませてもらい、弟子入り志願者の列に並んだ。ワンピ人とSEED人が多く、彼等はコブラのようなことはできないので、コブラを一目置いていた。
「コブラはどこだあああ!」
しかしそこで、ルフィ達のミニメリー号が表れる。
「弟子入り志願、じゃないわよね」
「道場破りでも無さそうね」
弟子達はどう対応すべきか悩む。ここは第四訓練所がある島で、女ヶ島までは500mほど離れている。
「困ったな。あいつはドラゴンの息子だ」
第一訓練所から派遣された指導役も、腕を組むだけだった。
ルフィは勢いよく島に上がり込み「コブラはどこだあああ!」と叫ぶ。
「コ、コブラかい? それならアラバスタにいるんじゃないかい?」
指導役の女が言う。
「なんだとお!?」
「待てルフィ。お姉さんが言ってるのは砂漠の毒蛇コブラ。それかネフェルタリ・コブラのことだ。俺達が探してるのは左手にサイコガンを持つ男だろ」
「よく分からんがそうだ!」
「雲の道を渡ってきたのなら、この島にいるはずだ」
サンジは周囲を見回すが、左手に銃を持つ人間は居なかった。先ほど指導役に尋ねることにする。
「ちょっとお尋ねしたいのですが、僕たちのすぐ前に来られた方はいらっしゃるでしょうか?」
弟子達の視線がコブラに集まる。
「お前は、ジェームズ・ボンボン!」
「ジェームズ・ボンドさ」
「えっ」
20世紀の映画マニアのSEED人が反応する。
「こいつは怪しいな。そう言やあの時も二人の美女を連れていた」
サンジがコブラの近くにいた美女を思い出して言う。
「何ぃ!? お前コブラなのか!?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
と、ここで静観していた弟子の女が出てきた。銀河パトロールの隊員だった。
「左手にサイコガンでコブラって言ったら、海賊コブラのことよね? 彼は3年も前に死んでるわ。それにこんな顔でもない。もっと目付きが鋭くて、切れ長で、キレたら何するか分からない青年って感じよ」
「死んでる? いや、だが海賊ギルドのおっさんは生きてるって」
「海賊ギルドですって!? ギルドがこの星にいるの!?」
ややこしいことになってきた。コブラはこの間に密かに離脱しようとする。しかし、ドン、と何かにぶつかった。
「逃げてんじゃねえよ。あいつ等はお前に用があるらしいんだ。別人だっつうのなら戦って捻り潰しな」
キャベスが仁王立ちしていた。
「あっ! キャベス様!」
「王妃様よ!」
弟子達がキャベスの存在に気づき、キャーキャー言う。サンジもその中の一人だった。しかしルフィとゾロは違った。
「あっ、お前えええええええ!」
ルフィは叫び、ゾロは無言で刀を抜き、キャベスに突っ込んでいく。以前にやられた借りを返すときが来た、という感じだった。
「ふんっ。身の程知らずが」
しかし、キャベスの姿が突然消え、びゅっと突風が吹く。次の瞬間にはキャベスはまた元の場所に戻っていた。
ドサリ、とルフィとゾロが崩れ落ちる。
「何をしましたか? 王妃様?」
コブラが目の前の女に尋ねる、
「なあに。高速であいつらの後ろに回り、後頭部を叩いて戻ってきただけさ」
その後、コブラとサンジで戦うことになった。
コブラは生身のサンジに生身で立ち向かった。が、弾丸のようなスピードについていけず、一方的に蹴りを食らってしまう。
「大したことないな。お前にあの美女達はもったいない!」
「調子に乗るなよ」
そこで取り出したのが、バイソン77のマグナム。初速1秒2000メートル、距離500メートルで1メートルの特殊合金をぶち抜く、銃というより小型のミサイル。並みの人間なら撃った反動で腕が引きちぎれるという代物だった。
「なっ、ぐっ」
それはサンジに命中し、足から血を流させる。
「なに!」
しかし、足を粉々にするどころか薄皮一枚しか破れず、コブラはむしろ驚愕する。
そしてサンジの方は油断しているところでケガを負ってしまったので、本気になる。
覇気を使い、一瞬で足を赤く硬化させ、コブラに飛び込む。
「ぐっ」
コブラはその足に銃弾を当て、サンジの勢いを弱めつつバックステップを踏むが、あっという間に接近され、蹴飛ばされる。
サイコガンの使用が頭に過ったが、できなかった。大勢の銀河パトロール隊員とそれ以上に厄介なキャベス達の前で、正体を明かすわけにはいかなかったのだ。コブラは500mも弾き飛ばされ、海面に落ちた。弟子の人魚が拾いに行った。