ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
負けてしまったが、コブラはかっこよく、なかなかの強さなので試験なしで合格になった。サンジは料理ができるというので作らせてみたところ、美味しかったので合格になった。
目覚めたルフィとゾロは「なにやってんだ!」とサンジに詰め寄った。
「コブラを監視するなら弟子になった方がいい」
サンジはそう言った。ただし、女達の胸や尻をチラチラと見て鼻の下を伸ばしながら。
ルフィとゾロも弟子になろうとしたが、キャベスに断られた。
「身の程知らずのザコは嫌いなんでね。生きているだけでラッキーだと思えよ」
そう言うとキャベスはゾロとルフィをつかみ、ぶん投げた。
「なっ」
「くぐっ」
二人は音速を遥かに越えた速度で飛び、数秒後に何かにぶつかって止まった。
「キャベスを怒らせるのは止めてくれよ。たいてい俺に当たってくるんだ」
ハラベコだった。近くにロイヤル三姉妹とハラベコの5人の子供、そしてランチとラディッツがいた。
「あっ、お前は!」
「話の邪魔だよなあ」
ハラベコもルフィとゾロをぶん投げた。今度はアラバスタの宇宙エレベーターを狙っていた。もっと言えば、そこにあるスペースサニー号を。
「て、敵襲!? 速すぎる!」
エレベーターの防衛をしている空軍兵達が、気配を感じ取って慌てる。しかしルフィ達の前に黒い影が猛スピードで突っ込んでいく。
「クジャッキー・ストッパー!」
突然黒い影から、同じように黒い何かが伸びる。それがルフィとゾロをつかみ、クッションのようにして止めた。
「ミス・デザートマンブラックだ!」
「性別年齢不詳の正義の味方! 助かった!」
黒い影は、身長3mくらいで、全身黒いパイロットスーツのようなものに包まれていた。頭に角があり、尻尾もあるが、それがスーツだからか元々生えているのかは分からない。
彼の正体を知る者はこの星に30人ほど。
「この方向は、ハラベコさんね! なんでこんな危ないことをするのかしら!」
一般人には考えもつかないだろう。元銀河の帝王の親子の死体を、この国の王女が操っているなどと。
なお、死体を操りながら影を飛び出させる技は、悪魔の実を覚醒の段階まで持っていかなければ使えない。ビビは長年の修行でそれが可能になっていた。
その頃、ハラベコは子供達と話をしていた。
「お前達、宝探しは好きか?」
「宝探し? どんな?」
「海賊の隠し財産だ」
「海賊? うーん」
「お金もらってもねえ。外で遊ぶ方が楽しいんじゃないの?」
5人の子供達は首を捻った。物欲を刺激しないよう育てていたので、ある意味教育の成果だった。
「お、俺は興味あるぞ」
「オレもちょっと気になるな」
しかしラディッツと金髪ランチは興味を示した。そのことにラディッツが喜ぶ。
「なっ、ランチもか!」
「あん? てめえ喜んでんじゃねえよ! 気持ち悪いじゃないか!」
「ぐっ。そ、そうか。すまん」
しかしランチはラディッツの色目を嫌がった。ハラベコは内心喜んだ。
「うーん、じゃあまあランチだけでいいか。お前達は、興味ないなら遊んできたらいい。呼び出して悪かったな」
「うん。じゃあそうする」
「お父さん、後でどんな宝だったか教えてね」
「ああいいぞ」
「お、俺は?」
ラディッツは無視して、ハラベコはランチを連れてロイヤル三姉妹の下へ移動する。
「驚くかもしれないが、大きい声は出さないでくれよ」
「ええ。でも言いたいことは分かるわ。聞こえてたもの」
ドミニクが言った。
「いや、別に金に困ってるわけじゃないからな。宝見つけたらお前達に返すよ。泥棒する気はないからな」
「返してくれなくてけっこうよ。私は銀河パトロールに預けるべきだと思うの。ネルソンは正統派気取りの海賊で、貧しい人からは決して奪わず、富を独占する権力者や残酷な海賊から奪っていた。だけど、それだって結局は搾取された側の人間が持っているべき財産だったわけでしょう?」
「あー、もう! あんたならそう言うと思ったわ! だから隠し財産の話はしないつもりだったのに!」
ドミニクはジェーンの予想通り銀河パトロールに預けると言った。キャサリンもそれに同意するようにうれしそうに目を開く。しかしジェーンの反応から、ジェーンは財産が欲しいのだろうなあとハラベコは思った。
「ジェーン、金が欲しいならやってもいいぞ。一生困らないくらい」
「はあ、やっぱりあなたじゃダメだわ。ロマンを分かってない」
「地図くれないか? ドミニク」
「私はかまわないけど、その前に地図がどういう物か説明する必要があるわね」
ドミニクはそう言うと後ろを向いた。彼女が手で長髪を横に寄せると、びっしりとタトゥーが掘ってある背中が露わになった。
「この刺繍が隠し財産の在りかを示す地図だと聞いてるわ。ジェーンとキャシーにも似たようなものが掘ってある」
ハラベコ達の視線がジェーンに集まる。
「み、見せないわよ!」
ジェーンはピッチリしたタンクトップ姿だった。その布の上から背中を隠すような動作をする。キャサリンはおろおろとジェーンとドミニクを交互に見る。
「うーん、まあ無理矢理見る気はないからな。どうだランチ? どうしても見たいか?」
「いや別に」
「じゃあ、まあいっか。だが、この星にお前達を狙う連中がいることは伝えておく。海賊ギルド、海賊麦わらの一味、そして左手にサイコガンを持つ男、海賊コブラだ」
「な、なんですって!?」
三姉妹が三様に驚いた。ジェーンとキャサリンはハラベコの情報収集能力の高さに。ドミニクは出てきた3つの名にだ。
「銀河パトロールに匹敵する力を持つと言われるギルド。この星の政治と軍を裏で操るドラゴン、その息子である麦わらのルフィ。そして銀河パトロールとギルドが躍起になって探して、とうとう捕まえられなかったコブラ」
「ドミニク。奪われる可能性を危惧しているなら刺繍なんか剥してしまえばいいんじゃないか? メディカルマシーンを使えば20秒くらいで済むぞ」
「うーん。それもいいかもね。写真にだけ撮っておいて、あなたにでも預けておけば安全だろうし」
「くぅーっ! わ、分かった! 分かったわ! 私の背中は見せてあげる! その代わりにドミニクの刺繍は消さないで!」
ジェーンが両手を出して必死にストップをかける。
「なんでそんな話に乗らないといけないの?」
「こうなったら私の体、いいえキャシーの体も自由にしていいわ! どう! ストロングHマンさん!」
「ええっ!? 私も!?」
「うーん。まあ地図がもらえて、体もくれるなら悪くはない。あいつらが宝を見つけるより前に俺が見つけられないとはとても思えないしな。というわけでドミニク。乗ってくれるか?」
「条件があるわ」
「なんだ?」
「手に入れた財産はあなた達で厳重に保管して。銀河パトロールよりあなた達の下にあった方が安全そうだから。それと、ジェーンとキャシーを鍛えて欲しいの。海賊ギルドに襲われても撃退できるくらいに」
「俺は構わないが、本人にやる気がないと無理だぞ」
「いいわ。私は弟子入りするわよ。賞金稼ぎにも限界を感じ始めていたからね」
「キャシーは?」
「わ、私もお願いしていいですか? もうあんな目には遭いたくないんです」
そうしてロイヤル三姉妹はナナクサ流に入った。
ハラベコは三姉妹の刺繍を撮影し、コンピュータで3つの写真を重ねてみた。しかし真っ黒で、特に意味は得られなかった。
その後、写真ごとに色を付けてみたり、向きを変えてみたりしたが、ダメだった。
「ダメだ。全然分からない」
ハラベコはブリーフ博士の下で研究をしているカッタツに画像データを送ってみた。
カッタツは2日もいろいろやってみてくれたが、結果は不明だった。しかしさらに3日後、カッタツから連絡があった。
「ブリーフ博士に相談してみたんですが、ジェーンさんとキャサリンさんの背中には外科手術の跡があるそうです。模様が完全に変わってしまっているかもしれません。ジュエリー・ボニーさんの能力で若返らせてみれば、ひょっとすれば正しい地図が出てくるかもしれませんよ」
ハラベコはSEEDの星で食べ歩きグルメツアーをやっていたジュエリー・ボニーを捉まえ、ワンピースの星に連れて来た。そこでジェーンとキャサリン、とついでにドミニクも若返らせ、写真を撮る。そしてパソコンにデータを入れ、色を変えたりしてみる。結果、ビンゴだった。
「砂の惑星ザドス。その座標と財産を隠している経度と緯度が書いてある」
ハラベコとランチは惑星ザドスに向かった。
ランチはロイヤル三姉妹と交わるハラベコにやきもちを妬いていたので、この2人っきりの旅で積極的にアプローチを仕掛け、何度も交わったのだった。
地図の示す場所にはエジプトそっくりのピラミッドがあった。ネルソン・ロイヤルはコブラと同じ星の地球人なので、彼がピラミッドを真似たのだろう。
ハラベコとランチは戦闘スーツでピラミッドの中に入って行った。落とし穴は武空術で回避し、難しい謎かけは力づくで壁を破壊して突破した。そして一時間くらいぐるぐる回り、ようやっとそれらしき場所を見つけた。
しかし棺型の宝箱の中身は空。いや『宝はいただいた。海賊コブラ』と書かれた紙が置いてあった。
「な、何!? ジェームズ・ボンドと名乗った男がコブラのはず。だがやつは、ずっと第二訓練所でトレーニング中だった。怪しい動きも無かった。麦わらの一味に至っては、サンジ以外を完全隔離。攻め込んでくる度に撃退した。そのサンジも俺の嫁達に料理を作るだけで、ロイヤル三姉妹に近づく手立てはなかった。何よりスペース・サニー号ではここまで来れない」
コブラはどうやってハラベコを出し抜いたのだろうか。時間を5日前まで戻す。
体力測定の結果では、コブラは第二、ジェーンは第三、キャサリンは第四訓練所がふさわしかった。しかしハラベコはジェーンとドミニクを接触させないために、ジェーンを第四訓練所に行かせた。ジェーンの戦闘力が24くらいなので、そこまで問題があるわけではなかった。サンジは妃達の要望で宮殿のコックとなり、第一訓練所で鍛えさせた。指導役に彼等を厳しく監視するよう言い、また監視カメラやサイバイマンも利用して万全な監視体制を引いた。
コブラ、ジェーン、キャサリンはひたすら真面目に訓練し、怪しい動きは無かった。サンジは妃達に料理を振る舞い、気に入られて、直々に訓練してもらい、大喜びだった。
一日後、ルフィ達がスペースサニー号と共にエレベーターの宇宙ステーションへ到達した。そこでシュルツの宇宙船を見つけ、動かそうとしたが、入り口を開けることもできなかった。キーはシュルツから盗んだが、パスワードがかかっていたのだ。
ルフィ達はシュルツを脅して船の動かし方を聞くことにした。しかしそのシュルツ達は一人残らず死んでいた。海賊ギルド、奴隷商人、さらにハラベコの女を泣かせたとあっては、生かせて貰えるはずもなかった。
「キキィー!」
下手人は船に忍び込ませたサイバイマンだった。
「て、てめェ!」
ルフィはサイバイマンと戦おうとしたが、そこへ例の白い戦闘スーツの職員がやってきた。
「エレベーターでの戦闘はお止め下さい」
「知るか! この野郎うちの船に勝手に忍び込んでやがったんだ!」
「いけませんね。地獄のメマーイダンス!」
白い戦闘スーツの職員がルフィに両手を向け、それぞれ逆回転でぐるぐる回しつつ、円形に何層にも連なったオーラを飛ばした。ルフィは一瞬でその場から全く動けなくなり、酔っぱらったように目を回し、白目を向いて意識を失った。
もともと催眠術の素養があったビビが、超能力を使えるフリーザの肉体を利用して編み出した技だった。
「ル、ルフィ!?」
「なんだこいつは……」
「まだ抵抗なされるようでしたら、皆さん3番ゲートに叩き落します。今なら特別サービスで船長さんも落とさずにおきますよ」
「くっ」
残ったゾロ達は耐えた。今は宇宙船と宝の地図の問題を優先するべきだったからだ。
死体はサイバイマンが船の外に運び出し、星へ捨てて行った。大気圏で燃え尽きるので地上に危険はない。
ナミとフランキーは結局シュルツの宇宙船をどうすることもできなかった。レーザーで入り口を壊そうとしても「爆発の危険があるので認められません」と白いスーツの職員に止められた。
しかし、その隙に、ゾロが船の反対側から船を真っ二つにぶった切った。
「あ、あなたっ! なんて危ないことを!」
「デカい蚊がいたんでな。切っちまった」
「そのような言い訳は通用しません! 3番ゲート送りです!」
その後ゾロは地獄のメマーイダンスで眠らされ、3番ゲートに放り込まれた。リフトが通るのとは別に悪人を放り込むための穴があり、そこに落とした。ウソップ等は仲間の危険に怒ったが、白い戦隊スーツの職員が恐かったのと、ゾロだから大丈夫だろうという考えで、攻撃まではしなかった。
ナミとフランキーはいそいそと船の中を調べ初める。それを理解できないルフィとウソップとブルックはゾロとサンジの援護に行くことになった。チョッパーとミス・バレンタインはある程度宇宙船を理解できるので残った。
ゾロは勢いよく落ちていき、わずか1時間で上空50km程まで来て、斜めに伸びる雲の道へ入る。これはエレベーターから離れ、ゆるやかに第二訓練所を目指す。そして、空港のような場所に出る正規のルートとは違い、第二訓練所の実力者がいる闘技場へ送られる。落下の勢いを殺すために、この雲の道は最後の方でとぐろを巻いている。万一雲が破れて落ちても訓練所へ行かず、海に叩きつけられるように計算されている。
ゾロは激しく体を揺さぶられ目を覚ますが、あんまり激しいので脳の血が暴れまわり、激しく酔ってしまう。第二訓練所に投げ出された時には、立つことも難しい状態になっていた。
「また麦わらの一味か。ハラベコさんが俺に任せろとか言ってたのに」
指導役の女は面倒そうにため息をついた。しかし、ふとコブラの存在に気付く。
「そう言えばあなた、こいつらの一人にやられたんだってね。いい機会だから手本を見せてあげる」
この女、オレンジの肌、白い長髪で、実はギニュー特戦隊のジースと同じ星出身だったりする。
「見てなよ。いや、見るよりも感じて欲しい。今のは私はほぼ完全に気をゼロまで下げている。心を無にし、全てを戦闘に注ぐ。集中すると言っても感覚を鈍らせちゃあダメだよ。むしろ全てを研ぎ澄ますんだ。そうすると気配が読めてくる」
「はあ、はあ、はあ。うおえっ。はあ、はあ、はあ」
ゾロはふらふらっと立ち上がり、刀を抜く。周囲の敵意は感じていた。
そして、危険な存在に意識を向ける。見聞色、を使いたいが頭が鈍って上手くいかない。いや、体調が万全でも目の前の女には通じないかもしれない。ゾロはくいなの動きを読めたことがない。目の前の女からも似たような雰囲気を感じた。
「動かないときは完全な無。そして動くときは雷のように鋭く!」
「なっ、かかっ」
女は一瞬で消えたように見えた。ゾロが気づいたときには、女の拳がゾロの鳩尾に入っていた。
「ヒューッ。こりゃあすごい」
「足や手、必要な部位だけに気を集めればあなたもあれくらい動けるようになる。あなた筋がいいし、飲み込みも早いから、1年もやってればこいつらぐらい倒せるようになるよ」
「そうかい。ありがとうよ。俄然やる気が出てきたね。1年と言わず10年くらいご享受してもらいたいね。いろいろとさ」
「おいおい、私もなんだかんだ王妃を狙ってるんだ。妙な噂は立てないでくれよ」
「全くここの女性は向上心が高くて素晴らしいね。見習いたいよ」
コブラは軽口を叩くが、意欲はあった。サンジに呆気なくやられたことはひどく彼のプライドを傷つけていた。訓練など何年もやっておらず、ここ3年に至ってはサラリーマン暮らしで運動すらろくにやっていない。しかし、コブラはその状態でもオリンピックのメダルでオセロができる程の天才だった。陸上に限らず、スキーや卓球でもである。やったことがない競技でも、見ただけで真似をし、あっという間に一流選手以上の技術へ昇華する巧みさが彼にはあった。
そんなコブラが、本気で訓練に打ち込む気になっていた。戦闘力53万の男が4ヶ月で1垓になるようなとんでもないことが起こっても不思議ではない。ここには優秀な指導者と、切磋琢磨するべきライバルと、男の闘争本能を刺激する美女他達も揃っているのだから。
なお、気を失ったゾロは雲の端から外へ投げ落とされた。いつもは海に落とすのだが、気を遣って無人島に落としたのだった。その後ルフィ達があやって来たが、やはり返り討ちにされ、無人島に落とされた。
コブラが訓練に明け暮れ、ルフィ達が復讐に闘志を燃やしている頃、第四訓練所付近の弟子入り志願の列に、ある美しい女が並んだ。長い手足。形よく膨らんだヒップとバスト。金の長髪に茶色の瞳。力強く、しかしどこか儚さがある優しげな眼差し。
この美女がたくさんいて、王妃達の美しさには女さえキャーキャー騒ぐほど。しかし負けず劣らず美しい彼女に対し、女達は静になり、ただ見つめる。話すにしてもヒソヒソとだった。彼女は雰囲気が違った。俗世間からは離れたような、静かな、大人の空気を醸し出していた。
当人は、『見られてるわね。大丈夫かしら? ふつうの志願者っぽく振る舞わないとね』なんて考えていて、ちょっとちょっと眉間に手をやったりする。しかしそれが若い女達の創造力を掻き立て「悩んでらっしゃる。きっと人の未来に関わるような崇高な問題を考えてらっしゃるんだわ」「なんて慈悲深い。私たちのようなしもじものことを真剣に考えてくださっている」「やっぱり大人の女性は違うわ」と余計注目を浴びてしまった。
「受験番号5番、エメラルダ・サンボーンです」
体力測定の結果、エメラルダは第三訓練所がふさわしいと出た。その後ハラベコがやってきて、「うひょおおお! 合格!」となったが、彼はロイヤル三姉妹のことで嫁達の怒りを買っていたので、彼女にアプローチを仕掛けることはなかった。昼間からセックスの予約が入っていた。
エメラルダは真面目に訓練に励んだ。回りの人間は「どんな崇高な考えがあってこんな美女が修行を?」などと考え、彼女を見ているようで見ていなかった。
エメラルダの美しさ、これまでとは違う雰囲気に、ランチが、いやキャベスやハンコックさえ恐れた。ハラベコの愛情を独占してしまうのではないかと。プライドの高い彼女達はそんなことは認められなかった。浮気性なだけならまだしも、女として劣ったように見られるのは嫌だった。コニスやフレイのようにタイプが違うならまだしも、お互い長身のかっこいい系なのだ。
よって女達はいつも以上にハラベコを求めた。ハラベコはせっかくの機会だからロイヤル姉妹丼を食べたいし、さらに嫁達が来るのである。これに加えてコブラとルフィ達と海賊ギルドの監視も頭に過るから、エメラルダの相手をする余裕はなかった。
第三訓練所には巨大な露天風呂があり、男女で別けてあった。銀河パトロールが多くいるので、さすがのハラベコも女の承認なしにバレるような覗きをしたことはなかった。承認があったら風呂でセックスもするし洗い合いもする。また、バレないように高速で覗くことはある。しかし、エメラルダが来てからはキャベス達の監視があるので中を覗くことはなかった。
エメラルダはそれとなくドミニクに近づき、ベルトの中央をを彼女の背中に向けた。その後は何事もないように風呂に入った。
ドミニクが別の銀河パトロールの隊員と海賊ギルドをどうするかという話をしていた。殺すだけなら容易いが、生け捕りにして情報を吐かせたり捕虜交換に使うのもあり、だとかそんな感じだった。
翌日、エメラルダは動くことにした。彼女はラディッツが自分をチラチラ見ていたことに気付いていた。まだ10代前半に見えるが、服装はハラベコやキャベスと同じなので、幹部の一人だと思った。
エメラルダは、ラディッツが自分を見ているタイミングで、悩ましげにため息ついた。それっぽくラディッツに助けを求めるようにちら見したりした。
ラディッツは顔を赤くし、照れ笑いを浮かべながらエメラルダに近づいた。
「何かお困りですか?」
「ええ。実は仕事があるのだけど、この星の付近に海賊ギルドがいるらしいでしょう? 私の船じゃあ見つかったら一瞬でやられちゃう。どうしようかと思って」
「えっ!? そんなことですか!? ならばこのラディッツにお任せください!」
「本当!? ありがとう!」
エメラルダはやさしげに微笑み、ラディッツの頭を撫でた。ラディッツはにやにや笑ったのだった。
ラディッツはハラベコに土下座をし、宇宙船を借りた。さらに自分が女の護衛を買って出た。しかしハラベコはラディッツとエメラルダが上手く行ったらムカつくので、サイバイマンをエメラルダの護衛とし、ラディッツは丸ポッドで移動させた。
「こいつはスケベなんだ。間違いがあったらいけないからな」
ハラベコは自らを省みず言った。
エメラルダはハラベコに貸し出し出されたカッタ4に乗り込んだ。その船の中で、自身のノートパソコンを開いた。仕事内容を調べているフリをして、前日風呂場で写し取ったドミニクの背中の写真をパソコンに入れた。そして事前に入れていた、外科手術前のジェーンとキャサリンの画像データも抜き出し、3つを重ねてみる。真っ黒でよく分からない。それぞれに色をつけてみる。ちょうど光の三原色である赤、青、緑。組み合わせは6通り。
「ビンゴね」
そしてエメラルダは宝の地図を得た。
急いでザドスに向かい、示されている座標にあったピラミッドに入った。サイバイマンが護衛についてきたのは好都合だった。墓の番人や危険なトラップを先に排除してくれた。
エメラルダはそうしてネルソン・ロイヤルの隠し財産を手に入れた。彼女一人では運べなかったが、サイバイマンがあいたので助かった。
「これはお礼よ」
エメラルダはサイバイマンのおでこにキスをし、財宝の一部を手渡した。
ラディッツにも同じことをして、再びワンピースの星に戻った。
彼女は何事もないように訓練を再開し、ハラベコが星を出るのを待った。彼なら宝の地図を完成させられるはずであり、その時が脱出のチャンスだと思っていた。
そして数日後、ハラベコはランチと共に移動を開始する。エメラルダはまた仕事が入ったと言って訓練を抜け出す。付近の人魚へ財宝の一部を渡し、近くの無人島へ運んでもらう。そこに、タートル号があった。彼女はタートル号を動かし、第四訓練所を目指す。
その頃、コブラは修行で格闘訓練中だった。戦いの最中、わざと隙を作り、相手の攻撃を受け、海雲まで吹き飛ばされた。そのまま海雲へ落ちる。
「おいおい、何やってやがる」
対戦相手はコブラが海雲から上がってこないことを不振に思った。しかし気を感じる方へ近づくと、コブラが一瞬大きな気を発露し、その方向の雲がカッと光った。対戦相手は、コブラは気功波で雲の上まで復帰する気なのだと思った。しかし、しばらくしてから、コブラは明後日の方向へ飛び始めた。
「動いた! 逃がすか!」
監視を指示されていた指導役も動き始める。二人の距離は、彼女にとって意外なことに縮まらなかった。
「な、なぜだ! なぜやつがあれほどの武空術を!? 不可能だ!」
彼女の方が気は数倍も大きい。コブラは武空術を習い始めたばかりで、少し浮くのが限界だった。ありえないことだった。
「気配を感じる、か。探せるかね。あの島の中で」
コブラは目を閉じ、ジェーンとキャサリンの気を探った。まず、ほどほどに大きいドミニクの気配は分かった。第三訓練所なので関係ないが。必要な二人の気は小さいので難しい。
先に、第三、第四訓練所の監視役がコブラが動き始めたことに気づいた。彼女達はコブラを迎え撃つべくジェーン達の回りに集まっていく。その気の動きで、コブラもジェーン達の居場所を知った。しかし数が多く、奪還は困難であることを知る。
しかしここで、麦わらの一味が第四訓練所に強襲をかけた。彼等もハラベコがいなくなったことに気付いており、チャンスだと思って隙をうかがっていたのだ。第四訓練所に向かったのは、ルフィが見聞色の覇気でそこに重要なものがあることを知ったからだ。
麦わらの一味と指導役、監視役達の混戦になる中、コブラも第四訓練所に到達する。
「なんだあいつは!?」
「速い! 何かに乗っているぞ!」
「腕だ! 腕に乗っている!」
「落とせ!」
コブラは自身の片腕、しかし実は義腕、に乗り、高速で移動していた。桃白白の柱とは違い、腕は動き、コブラはスノーボードを操るように気弾を躱していく。
なぜ腕が自由に動くのか。その秘密は彼の現在の左腕の状況にあった。
「ああ! 左手にサイコガン! あいつがコブラだ!」
「コブラですって!?」
ルフィがコブラを見て叫ぶ。銀河パトロール達が一瞬意識を取られ、ルフィ達の攻撃を受ける。
サイコガン。コブラの最強の武器。コブラをコブラたらしめている彼の象徴。左腕の肘から先が丸ごと銃になっており、これによって放たれるビームは彼の意思によって動く。また、義腕をロケットパンチのように放つことができ、その場合もビームの推進力を利用しているので、撃った義腕は自由に操ることができるのだ。
「調子に乗るんじゃないよ!」
「ぐっ」
ルフィ達は指導役に敵わず、押されていく。コブラがジェーンとキャサリンにたどり着く前に、指導役がコブラの前に立ち塞がる。
「できるはずだ。今の俺なら」
コブラは小さく呟き、目を閉じた。そして2人の指導役に向かってサイコガンを撃つ。
「ん?」
「外れだぞ! かっこつけて目ぇつぶったりするからだ!」
ビームは微妙に指導役から外れていた。そこで指導役はビームから視線を外し、コブラを目指す。コブラは上方に急浮上し、逃げていく。
「逃がすかよ!」
追いかける二人の指導役。コブラは彼女達にサイコガンを連射する。指導役は避けたり弾いたりで、若干スピードが緩む。最高速度は同じくらいなので、徐々にコブラに離されていく。
「きゃああああ!」
しかしそこで、後方からキャサリンの悲鳴を聞いた。
「しまった!? 伏兵か!?」
指導役が慌てて振り返る。そして目を疑った。
「ま、まさか……」
「なんて男だ。これほどの気のコントロールを、僅か5日で」
ジェーンとキャサリンは、コブラのサイコガンのビームを腹に受け、飛んでいた。
気弾には、当たって爆発するものと、形を保ったまま対象を弾くものがある。亀仙人が鶴仙人を飛ばしたかめはめ波や、繰気弾が後者だ。コブラはその弾くものをあの一瞬で作り出し、ジェーンとキャサリンに同時に当て、衝撃で二人が吹き飛ばないよう上手く調節し、気弾に乗せたのだった。
このような芸当はおそらくハラベコでもできない。指導役の二人はそう思った。
「5日じゃないさ。こいつは俺の十八番でね」
コブラとしては、長年連れ添った自分の戦い方の延長という感覚だった。敵の気配を感じ、必要な場所にサイコガンを撃ち、曲げる。射撃の正確さは万能な彼にとっても何よりの自慢だ。
もちろん簡単ではなかったが、この5日間の訓練と、持ち前の精神力で、本番一発勝負を成功させたのだった。
そしてそこに、上空からタートル号が降りてくる。ハッチが開き、コブラ達を迎え入れ、再び上昇する。
「お疲れ様、コブラ」
「宝はあったかい?」
「ええ、ばっちりよ」
「げほっ、げほっ。バッチリじゃないわ。けっこう効いたわよ」
ジェーンがお腹を押さえてコブラに愚痴を言う。キャサリンに至っては、お腹を押さえたまま横になって呻いていた。
「こいつはすまないな。レディの扱いを勉強し直さないといけないようだ」
「あ! そう言えばあなたって誰? レディは?」
ジェーンがエメラルダに向かって訪ねると、コブラは愉快げに口端をつり上げた。
「どんな心境の変化があったんだい?」
「別に、昔と変わってないわ。あなたに付き添うためにあの体を欲したのですもの。邪魔になるなら元に戻るのを躊躇う必要はないわ」
エメラルダは何もない天井を見上げて言った。
「声からそんな気はしてたけど、あなたレディなのね」
「ええ。元の名前はエメラルダよ。レディって呼んでくれたらいいけどね。この星のメディカルマシーンで人間の体に戻したの」
「俺がナナクサ流を教えようか? 概要はつかんだ。その体でも以前より強くなれるはずだ」
その発言にエメラルダが憤慨する。
「まあ! それだけ!? 女性の扱いの問題は思ったより深刻なようね」
「すまないな。冒険に連れていってくれなかったから拗ねちゃったのかもしれない」
「いえ、でもおかげでハラベコの目を釘付けにできたわ。まさかあいつも無敵のコブラがただの囮とは思わなかったでしょうね。私もこんな美女が味方にいるとは知らなかったけど」
タートル号は空へ突き進む。