ドラゴンボール超H 作:ドラゴンボール超記念
クルーゼがやられる以前に、敵母艦ヴェサリウスはアークエンジェルの主砲で爆散していた。良からぬことを考えていたイザークとディアッカも、俺のワンパンで沈んだ。戦闘は完全に終わった。
損傷の激しい敵パイロット、クルーゼ、イザーク、ディアッカは医務室に連れて行き、治療した。奪い返したモビルスーツは急いで修理を始める。
ごたごたしながらも、アークエンジェルは月に出発する。しばらく暇になる。
そしてなんとはなしに、全員医務室に集まった。
「アス、ラン……。ウソ、だよね? アス、アス、ア、アア、アアアアアアア!」
その目的の第一は、傷心のキラ・ヤマトを慰めようという物。だが今は話しかけない方がよさそうだ。
アスラン・ザラは死んだ。顔は残っているが、ビームサーベルの直撃で主要な臓器が沸騰して即死した。
これがドラゴンボールだ。シリアスではふつうに死ぬ。あの気弾に非殺傷設定はない。肉体が残っていても、恐怖に引きつった顔で死んでいたりする。その代わり『でぇじょうぶだ、ドラゴンボールがある』ですぐに生き返ることができるが。
キラ・ヤマトにもドラゴンボールを使う機会があるかもしれない。やつは優秀なコーディネーターだから、望むなら箱舟に乗せてやってもいい。ちょうどパソコンが得意な人間が欲しかったところだしな。
「アスラン、そんな……」
「くっしょおおお! アホめえ! こんな戦場で死にやがってええええ!」
プラントのラクスとイザークも泣いている(ラクスが乗るはずの民間船はなぜか戦場から逃げず、アークエンジェルをかばうように動いて流れ弾に当たり、宇宙の塵となっていた)。ディアッカは、空しそうな感じでぼけーっとしている。
クルーゼは、泣いている少年達を見ながら、にやにや笑っている。しかし趣味の悪い仮面の下が老人の顔だったのには驚いた。ムウに似ていたのにも驚いた。そのムウ曰く、ムウの父親にはもっと似ていて、瓜二つらしい。それもそのはず、クルーゼ本人曰く彼はムウの父親のクローン。それゆえの短命。出生への怒りはすさまじく、途端に饒舌になって、「呪いの家系」とか「人類は自身が生み出した業によって滅ぶ」とか詩的なことを言った。ちょっとかわいそうだなって思った。ムウやマリューは気味悪がるだけだったが。
「そろそろ月に着いてからの話をしよう」
「悲しいわね。友人の死を悲しむ時間もないなんて」
マリューも悲しそうに目を細めている。しかし涙は出ていない。
「そうだな。子どもにはきついわな。だが実を言えば、ここからが本番なんだ」
「ん? どういう意味?」
「月にはうちの精鋭が集まってるんだ。プラントに総攻撃を仕掛けるためにな」
「え?」
ちょっと申し訳ないな。疲れ切ったところにこんな話を聞かせてしまうのは。
しかし俺が続きを話す前に、ラクスが力強く叫んだ。
「まだこのような悲しみを繰り返すと言うのですか! 戦いは何も生み出しません!」
詩的な表現だな。『何も』『絶対』とかはアジテーターの手法だから止めて欲しいが。
「戦いでしか解決できないこともある」
ナタルが冷たい口調で言う。極論っぽい言い方をしたのはラクスに釣られたからだろうか。
「そんなことはありません! 話し合いで解決することを諦めれば、前に進むことはできません!」
それっぽくはあるが、美しい表現で濁しただけだな。
「とにかく早く戦争を終わらせる。それから話し合う。それが最も犠牲者が少なくて済む方法だろう」
少なくとも今回はな。
「いけません! それ以外の方法もあるはずです! 考えましょう!」
「おい、俺のも全否定か?」
自分でも完全な正解とは思ってないが、そんな厳しく否定されるとは思わなかった。
「ラクス、お前本当に話し合う気があるのか? 俺の言った方法でどれくらいの犠牲者が出るとかちゃんと計算したか? 戦場で話し合ってる間にも人が死ぬわけだが」
「人の命を数で考えてはいけません! どれも尊い命なのです!」
「それは全く別の問題だろう。それとも、犠牲者が少ない方がいいってことも否定するのか?」
「そうではありません! 人の命を数で考えてはいけないのです!」
いかん。頭がこんがらがってきた。決戦の前に余計な心労が。
「そもそもナナクサ大尉。部外者がいるこの場で軍事情報を話すのは非常識ですよ」
「うっ。それもそうだな。ミスったぜ」
問題無い情報だとは思うが、ちょっと間抜けだな。
多少マニュアルを読んだ程度の初心者だから許してほしい。
その後、傷心のキラを含めた学生達と、主だったメンバーを集めて艦橋へ移動する。
「あなた達には、これを」
マリューが学生達に除隊用の書類を手渡す。いかなる理由でも民間人が兵器を扱うことは禁じられているので、遡って入隊していたことにしておき、改めて月で除隊するのだ。
手渡してから、マリューは謝罪と感謝を口にする。その後、質問はないか尋ねる。
「あの、ラクス達はどうなるのですか?」
キラはマリューに言ったが、マリューは俺を見た。
「ラクスってクライン議長の娘だったわけだろう? 医務室にいるパイロット2人も政治家の子供だそうじゃないか。そりゃあ取引材料として丁重に扱われるじゃないか?」
「そんな……」
「いやいや、それほど悪い話じゃないぞ。捕虜としてはかなり、というか最大級の敬意を持って対応されるだろう」
「でもそれって、結局人質じゃないですか!」
当たり前じゃないか。捕虜ってそういうもんだろう。怒るとこか?
「ラクスは民間人なのに!」
「クラインの娘では民間人と言わん」
ナタルが冷たく言い放つ。
「くっ……」
キラはすごい勢いで俺達を睨んだ。
なんだ? ラクスに惚れたのか? ないとは思うが、面倒なことは起こさないでくれよ。
「待って。この船にラクス・クラインが乗ってるってことは、まだ地球に伝わっていないわ。上手くいけば、オーブの民間人に紛れ込ませることができる」
「だったら!」
おいマリュー、余計な希望を持たせるな。
「アホか! あの娘1人で交渉がずっと楽になるかもしれないんだぞ! そんなこと認められるか!」
「あなたは!」
ほら、余計なこと言うから反抗的になった。今にも飛び掛かって来そうだ。
「あ、あんたさっきからねえ! なんでコーディネーターの味方してんのよ! あいつらは敵なの! 戦争中なのよ! 分かってんの!」
おおっ、赤い娘が突然しゃべった。けっこういいこと言うな。
「うっ、だ、だけど」
あれ? 面倒そうなキラがいきなり静かになったぞ。
このムキムキ軍人の俺にも臆せず物を言ったのに。 女性に甘い? それにしてはナタルに対して反抗的だった気がするが。
「だけども何もないわ! あなたコーディネーターだからって、土壇場で裏切るつもりじゃないでしょうね!」
「ち、違うんだ! そんな、つもりじゃ。……ううっ」
「ふん!」
娘はキラを一睨みすると、反転。申し訳なさそうなこちらを向く。
「ごめんなさい。急に話を遮ってしまって」
「いや、いいよ。ありがとう。助かった」
「なら良かったです」
娘はホッとしたように笑った。
いい子だな。そしていい笑顔だ。縁があったら箱舟への切符をあげよう。
その後学生たちと別れ、士官だけで話し合い。
「さっき言ってた総攻撃って、アークエンジェルも含まれるのかしら?」
「たぶんな。これが連邦で一番いい船だし」
方舟を除けばな。
「俺達はどうなるんだ? アークエンジェルで戦うのか?」
「うーん、どうだろうなあ。そうなればいいが、アズラエルがどこまで軍を動かせるか。ブルーコスモスとは仲がいいが、ハルバートン准将がなあ」
「ちょっと待って。総攻撃って、そんなに簡単にできるものなの!? そもそもG兵器のデータを元にナチュラル用のモビルスーツを開発して、それから反撃って話だったでしょ!」
「そこは前倒しになったんだ。まあ、だからこそ、ハルバートン閣下の艦隊は動かせないかもしれないんだが。そうするとお前達は戦わなくて済むかもしれないな。ムウは是非欲しい戦力だが」
「おいおい、勘弁願いたいぜ。そんなグダグダな状態で何が出来る? 死ににいくようなもんだぜ。アズラエルってのはバカなのか? ザフトを舐め過ぎだ」
「言っておくが、俺は勝てると思っているぞ。ナタルと近いレベルのパイロットが3人いるんだ。そいつらをG兵器に乗せる。たぶん楽勝だ」
マリューとムウがギョッと驚く。
「でも無理よ! 戦いは数なのよ!」
「楽勝ってことはねえだろう。言い過ぎだ。勝敗は微妙になったが……」
「フラガ大尉! 本気!?」
マリューが大きく目を開けてムウの顔を覗き見る。
「ところでよ、あの光の球とビームみたいなやつはなんだ? あのちっこいポッドから出てたみたいだが」
「あれは軍事機密だ」
「チッ。そうかよ」
「そう言えばあのポッドはどうして飛ぶの!? 推進剤も何も入ってないように見えるんだけど!」
「それも軍事機密だ」
「そんな」
「クソッ。妙な出し惜しみしやがって。こっちは命がかかってるっつーのに」
そうして話が終わると、俺とムウは腹が減ったので食堂へ。ナタルはG兵器を修理しに格納庫へ向かった。
学生たちが言い争っているのが聞こえた。
「フレイ! 持っていけよ!」
「嫌よ! あの子ザフトなのよ! なんで私がそんな危ないことをしなくちゃいけないの!」
「ザフトじゃなくて民間人だ! コーディネーターってことだけで敵視するのはやめろよな!」
「だから、コーディネーターなんだから私じゃ相手できないでしょ! 人質に取られたらどうするのよ!」
「チッ、だからそうじゃないって言ってるだろ! さっきもキラにありもしないことを言って、傷つけて! ちゃんと謝ったのか!」
「謝るですって!? 私は間違ったこと言ってないわ!」
「なんだと!?」
「さ、サイ。僕のことはいいから」
「ダメだ! いい加減にしていいことじゃない!」
「いい加減も何も私は明らかに間違ってないのよ! サイが頭を冷やすべきなの!」
赤い娘フレイと、一番年上で一番まともそうだった男子学生サイが、ヒートアップしている。ここらで止めに入るべきか。
「まあ落ち着けよお前達。冷静に話そうぜ」
「痴話喧嘩なら他所でやれと言いたいところだが、まあ話してみろ。何があった?」
ここで学生たちの大半はムウの方を見た。キラ、サイ、ミリアリアである。
フレイだけは俺を見た。
分かりやすい。確かに、頼るべき大人の組み合わせは、そうなるだろう。考え方が近いという意味で。
「まず、私がフレイにラクスのご飯を持って行ってって頼んだんです。だけどフレイが断っちゃって」
「当然ですよね! もしものことがあったら大変です! だけどそれを言ったら、ミリアリアが怒ったんです!」
「だってそれは、キラがいるのにあなたが……」
ミリアリアは続きを言わなかった。だが察せられる。フレイがコーディネーター全体を蔑視するような発言をして、知らぬうちにキラを傷つけてしまったのだろう。
「キラを含めるような形でコーディネーターの悪口を言ってしまったわけだな? そんじゃあフレイがキラに謝ったらそれで終わりか?」
「え? いや、だけど」
フレイが少し驚いたように俺を見る。俺もフレイの味方をしたかったが、さすがに非を是と言うことはできん。間違いを正すのも年上の務めだ。
「わ、分かりました。私も問題があったことは認めますよ」
フレイはおもしろくなさそうにキラを見る。ボソリ、と俺でも聞き取れない声量で謝る(キラは聞こえたらしい)。そしてミリアリアに向き直る。
「だけどね! あなたが私に危ないことをさせようとするから、私も必死になって断ろうとしたのよ! あなたも非を認めなさいよ!」
「え? どうしてよ? あなたコーディネーターに対する偏見があったことを認めたんじゃないの?」
「どうしてラクス・クラインを信用できるのよ! あの子は地球を滅茶苦茶にしたシーゲル・クラインの娘なのよ!」
「父親がどうかなんて関係ないわ! あの子はただの歌手なのよ!」
あらら、またケンカになっちゃった。
「おいおい。もうやめてくれよ。さっきいい感じで終わりそうだったじゃねえか」
ムウもげんなりしている。
「でも、フレイがまだ!」
いや、明らかにフレイが正しいでしょ。なんでこいつらラクス・クラインが無害だと思ってるの?
「今回はフレイが正しいと思うぞ。ラクス・クラインは政治家の娘なんだ。護身術は習得しているだろうし、その上コーディネーターだ。きっとその辺の男子学生より強い。ひょっとしたらキラより強いかもな」
さすがに言わせてもらった。わけの分からない安全神話でフレイが叩かれまくってかわいそうだった。
「えっ」
「ほ、ほらね! やっぱり私が正しかったでしょ!」
「じょ、冗談ですよね」
「いや、だいたいキラと同じくらいだな。筋肉と身のこなしでなんとなく分かる」
ついでに気の大きさでもな。
ふと、ミリアリアはムウを見る。俺からの返答は期待しないらしい。
「だとしても、ラクスを危険視する理由にはなりませんよね? 彼女は民間人だから」
「なるじゃん! 銃やナイフを持ってるようなもんなんだぜ!」
また言ってしまった。しかしミリアリア達は不快そうに眉を顰めて、俺の言葉には反応しなかった。
ムウは面倒そうに肩をすくめた。
「まあ、今回はよ。あのぽわんとした娘っ子が何かをするとは思えねえってことでいいんじゃねえか? だけどケンカは終わりにしてくれ。あれだ。両方とも言い分は正しかったってことだ。悪気がないのも分かっただろう? だったら口汚く非難する必要もねえ。仲良くやろうや。俺は早く飯が食べたい」
まあ、そうだな。それでいい。俺も腹が減ってるんだ。
「あららー? こちらが食堂で合ってるんでしょうか?」
「は!?」
いい感じで収まりそうなところへ、突然現れたピンク。なぜこのタイミングで。というかなぜここに来れた!
「あなた、どうしてっ」
「見張りとかいないわけ!? 誰が許可を出したの!」
「あのー、私、のどが渇いてしまいましたの。だけど呼んでも誰も返答してくれなくて。3回呼んだから、もういいかなって」
「いいわけないでしょ! 勝手に出てきちゃったの!?」
「でもどうやって出れたんだ!」
「ピンクちゃんはいろんなことができるのです」
「ハロ、ハロ、スゴイ」
ラクスの足元にはよく分からん丸いピンクのロボットが。ムカつくな、こいつ。
俺は一瞬でラクスの足元に移動し、そいつを拾う。そして、握りつぶす。
「ハ、ハロ……。ラ、ララララ、クス……」
ロボットは火花を立てながら、逃げるように暴れる。しかし程なく絶命したように動かなくなった。
「ああっ! なんてことを!」
「ピンクちゃん!」
キラ達が俺を睨む。ムウは片手で目を覆って、大きくため息をついた。
「また逃げられては敵わんからな」
必要なことだろう。
「彼女の大切なものだったのに!」
ん? キラの気の感じが変わった? 戦うのか? めんどくせえなあ。
「いけませんキラ! いいのです!」
しかし、そのキラの腕にラクスが抱きついて止める。
「だけどラクス! あれはアスランがっ!」
「いいのです、キラ。アスランとの思い出は、心の中に残っていますから」
ラクスは心底辛そうだった。皆静かになり、ケンカとかの雰囲気ではなくなった。
俺は程なく食事を始めることができた。
食べ終わってからは、G兵器の修理を手伝った。
しばらくすると、アークエンジェルに連邦軍から通信が入った。月から迎えを寄越したらしい。しかし何故かモニターの正面に、見覚えのあるブルコス幹部がいた。大西洋連邦の事務次官と名乗った。さらにはそいつは、フレイ・アルスターの父親だと言う。
なんて偶然だ。
「フレイ!」
「パパッ!」
睦まじい親子愛を見せつけてくれたが、事務次官は向こうの人間に公私混同しないでくださいと怒られていた。
話が終わると、ナタルは再びG兵器の修理を手伝いに行った。俺も後で向かうと言い、先に医務室に入った。奇怪な運命に左右された天才、クルーゼと2人で話がしたかった。
「よお、元気かい」
「貴様は……」
クルーゼは横になったまま目を開いた。そして少し顔を引きつらせる。ナタルとも話したが、こいつがそこそこ正確に気を感じられるのは間違いないようだ。
「貴様は何者だ?」
「そうだな。この船を降りたら話してもいい。しかしそれよりもお前の話だ。このままでは捕虜として終戦を迎え、獄中で短い人生を終えてしまうだろう」
「なんだ? 敗者を笑いに来たのか?」
「1つ質問をさせてくれ。お前は、このまま死ぬのと、戦いの中で死ぬのと、どちらを望む?」
その瞬間、わずかに気が揺らいだ。そして確かに認識した。こいつの中に眠る戦士の気質を。
「……質問の意図が分からんな」
「ふっ、既に目的は達された。お前が戦いたいらしいことは分かった。いいだろう。俺が死に場所を用意してやる」
「なんだと!?」
「そこで戦って死ね。つまらん自殺を選んでも構わんがな」
「おい貴様! 何のつもりだ!」
言いたいことは終わったので、やつに背を向ける。
やつは、口調は怒っているが、気を探ってみると内心は別だと分かる。どす黒い濁りがフッと離散していき、激しさだけが残った。かと思えば、理性的な、研ぎ澄まされた静かな気質も併せ持っている。これがクルーゼという戦士なのだろう。
俺はこいつを高く評価している。ナチュラルとして生まれ、クローンというハンデを負いながら、コーディネーターの中で最高レベルのパイロットとなった。並大抵のことではない。人並み以上の恨みつらみを持ちながら、他人に寄生する生き方は選ばず、自分を鍛え上げ、より厳しい道を選び続けた。誇り高い人間、なのかもしれない。だからこそ、俺もこいつに肩入れしようと思ったのかもしれないな。俺の中のサイヤ人の血がそうさせた。
程なく迎えに来たフレイ父等と接触した。彼等を僚艦としながら月へ進み始めた。
しかしもうあと少しというところで、ザフトはやってきた。
「コンディションレッド! コンディションレッド!」
各員急いで戦闘配置に着く。俺とナタルはもちろんカタパルトデッキで構える。今回の俺は宇宙服を着ている。
しかし僚艦の艦長が「我々は護衛任務で来ているので、前線は我々に任せて、君達は下がって援護に徹して欲しい」と言った。しかし彼等がザフトのモビルスーツとやり合えるとは思えなかった。ナタルも同じようで、マリューに発進許可を求める。マリューは少し考えてから認めた。しかし俺が待ったをかける。
「ナタル、お前は出なくていいや。出たらそれだけでメンテが必要になるしな。ちょっとでも早く修理が終わるように、G兵器は使わないってことで」
「しかし」
「俺が全部やるよ。決戦前の練習にもなるしな」
「そうですか。分かりました」
ナタルは少し残念そうな顔をした。この旅の中で戦う喜びを感じるようになったのだろうか。
「ナナクサだ。出るぞ」
「は、はい!」
船から推力を供給される必要は無く、開けてもらったデッキから勝手に飛び出す。
「ひい、ふう、みい、よお……。いっぱいいるな」
母艦の中にもいるかもしれないし、先にあっちを潰すことにする。
ポッドから出て、気を高め、構える。
「か、め、は、め、……波ああああぁぁー!」
両手から放たれた気の奔流が、敵艦隊をのみ込んでいく。