「ハアァァァァ」
ベンチで隣に座っているカイズは、これで何度目であろうか。大きなため息をつくと、落ち込んだように頭を下げる。
「ハアァァァァ」
「お、おいもういいじゃねえかよ。あの男だって女の子達に相当なことしてたわけだし、あたしのために怒ってくれたんだろ」
「それはそうなんですけど。…………あまりにも大人気なかったと言いますか、なんと言いますか」
「でも暴力振るったわけじゃないしよ。逆にどうしてそんなに落ち込んでるんだ?」
力任せに手を挙げてしまったのならまだわかる。だがカイズは自分には見せられないような形相と言葉で子供を納得させたのだ。
喧嘩をふっかけてきた子供に対して、逆にこれ以上穏便な決着があったであろうか。
そうヴィータは何度も何度も、説明をした。だがカイズはそれで納得しようとはしなかったのだ。
ヴィータの疑問の声を聞くと、カイズは下げていた視線を上げる。だがまるでヴィータにそっぽ向くように、視線をはずしてしまった。
「おーい、カイズー。話してくれなくちゃわからねえぞー」
「…………引いたりしませんか」
「引くって、まあそんなことはないと思うけど。そんな酷い内容なのか」
「……それはヴィータさん次第です」
「じゃあとりあえず話してみろよ。それで判断するからよ」
ヴィータに促されると、カイズはようやく覚悟を決める。しかし視線はヴィータから外したままだった。
「たぶん。いや、きっと、えっと、確実にだと思うんですけど。…………あの男の子、ヴィータさんに惚れてましたよ」
「ふーん。…………はぁっ!?」
流れるように納得しようとして、思わず声をあげてしまう。いったいあの状況のなにをどうみたらそうなるのか。ヴィータはカイズの肩を掴むと、ガクガクと揺らした。
「そんなわけないだろう。だって最終的にあいつは殴りかかってきたぞ」
「でも随分と遅かったでしょう。きっと年上でも殴りかかればそれだけで怖がると思ったんでしょう」
「だ、だけど、あたしのこと暴力女だとか言ってたし」
「ああいう子はそういう愛情表現しかまだ知らないんですよ。それにヴィータさんは俺のほう見てたから、気づいてなかったでしょう」
「なににだ?」
「……あの子が、そんな暴力女じゃ絶対彼氏できないぞっていった時の顔。めちゃめちゃ真っ赤でしたよ。多分あの子なりに勇気を振り絞って彼氏の有無を聞いたんだと思いますね。――――ああいうガキ大将はいつもちやほやされてるから、自分と対等かそれ以上の存在がでてくるとライバル視するか。……コロっと惚れちゃうかのどっちかなんですよ」
「だ、だけど顔が赤いのだって怒ってただけじゃ」
「いえ、あれは恋する男子の目でした。俺もそういう時期があったからよくわかるんです」
「そ、そうか…………」
一から説明されても、理解も納得もしにくいものである。だがそこまで聞くと、ヴィータはさらになぜと疑問符を浮かべる。
「でもそうだとしても、それでどうしてカイズが落ち込むんだ。キツく叱ったのだって、あたしが馬鹿にされたからだろ」
「いえ、それは四分の三ほどの想いです」
「えっ、じゃあ残りの一は」
ヴィータは今までの話を頭の中で総括する。どうしてカイズが子供に強く叱りつけたことで落ち込んでいるのか。
あの男の子の恋心がわかっていたことに関係するのか。
「………………へっ? えっと」
ま、まさかそんなことあるはずがない。ヴィータはそう思いながらも、ゆっくり口を開いた。
「えっと、その、まさかだけどよ。そんなことないとは思うけどよ。あたしが男の子に恋慕されてるのみて。……嫉妬してたのか。――――い、いや、まさかそんなことねえよな。相手は小等部なわけ、だ、し……」
まさかだとは思っていた。だがヴィータの言葉を聞くと、カイズの耳が一気に赤くなるのがわかる。
カイズのその反応を見れば、言葉などいらなかった。
「ほ、ほんとかよ。だ、だってよ」
「じ、自分でも心が狭いって思ってますよ。で、でも仕方がないじゃないですか。そ、その、ヴィータさんが迫られてる姿を見たら、なんか頭の中がカァーっとしちゃって。……それで」
それであんな形相で子供を叱りつけてしまったのだろう。最後まで言わずとも、もう全てがわかりきってしまうと、ヴィータはお腹を抱えて笑いだした。
「あ、あっはっはっは、本当かよ。しょ、小等部に嫉妬ってどれだけなんだよ」
「で、でもそれだけヴィータさんのことが好きってことで」
「それでもあまりにも心が狭すぎだろ。どうしてそんな心配するかなっはっはっはっは」
ヴィータは左手でお腹を押さえながら、何度も何度もカイズの肩を叩く。
本当にうちの彼氏は心配性だ。だけどこれでスッキリした。ヴィータがそう思ったときだ。カイズはようやくこちらを向くと、これでもかと言うくらいの満面の笑みを見せた。
「…………ヴィータさん。キスしていいですか」
「あっはっはっは、えっ、キス? どうしたんだよいきなり」
「いえいえ、急にしたくなったんです。駄目ですか?」
「い、いや、別に駄目じゃねえけどよ。だけど真っ昼間の公園だぞ」
急にどうしたのだろうか。何だか眩しすぎる笑みに少し恐怖を感じる。
カイズは突然ベンチから立ち上がると、ヴィータの右手をギュッと握りしめた。
「人がいない場所だったら大丈夫ですよね」
「お、おう。それだったらいいけど。……どうしたんだカイズ?」
「いえいえ、何でもないですよ。それじゃあいきましょうか」
カイズはそういうと有無言わさずヴィータの腕を引く。ヴィータは訳が分からないと言った顔のまま、導かれるままについていくのだった。
公園の外れの林の中。この公園にこんなスペースがあったのだろうかというほど、整備のされてない空間。それは切り取ってみれば森と言ってもいいほどだ。
さすがにそこまで用心する必要はないのでは。ヴィータがそう思っている間に、彼女の背は一際大きな木に預けられた。
「な、なあ、どうしてさっきからそんなにニコニコしてるんだ」
「さあ、なんででしょうか。――――それよりもキスしますね」
「お、おう」
ヴィータは目を閉じると、ん、と唇を突き出す。だがしばらく待っても、カイズの唇が重ねられることはない。
「んん、カイズ? ひゃっ!」
首筋に何か生温かいものを感じる。驚きのあまり目を見開く。するとカイズはまるで吸血鬼のように、ヴィータの首筋に吸いついていた。
「にゃ、にゃにしてるんだよ!」
「なにって、キスですけど。してもいいって言ってましたよね」
「そ、それはいったけど、それは口だと、ひゃう!」
首筋から降りてきた唇が、ヴィータの鎖骨をチロリと舐める。普段舐められることなど想定してない場所の感覚に、ヴィータの顔はすでに真っ赤になっていた。
「や、やめろ、ストップ! 誰かきたらどうするんだよ!」
「大丈夫ですよ。ヴィータさんのこんな姿、絶対に誰にも見せたくないですから。デバイス二本刺してきました。誰かが半径十メートルまで近づいたら、すぐに感知できます」
「そ、そういう問題じゃなくて、って服めくるなよ!」
ヴィータの抵抗も虚しく、カイズはヴィータの服に手を突っ込むと、ショーツも一緒に託し上げた。
小等部の女の子とさほど変わらない小振りな胸。カイズは先ほどの続きと、鎖骨のしたから何度も口づけをした。
「あっ、やっ、んん! ど、どうしたんだよ。なんかおかしいぞ、カイ、アウッ!」
その文句を黙らせるように、カイズはヴィータのピンク色のさくらんぼにキスをする。するとあの時お風呂で感じたようなビリビリとした感覚に、思わず腰が引けてしまった。
カイズは何も口にしない。ただ執拗にヴィータの胸を弄くり続け、何度も何度も口に含み続けた。
「や、やめ、あっ、んんッ! こ、声がでちゃうだろ!」
「それは困りましたね。さすがに俺のデバイスでも声まではシャットダウンできないんで」
「こ、困りましたねって。だったらやめ、お、おい! それはさすがに、ヒャッ!」
カイズは胸から離れると、スカートの中に手を入れる。まさかとヴィータは思っていた。だがカイズは下着に指を突っ込むと、それを一気にズリ降ろしていった。
「ヴィータさんのここ。すっごく綺麗なピンク色ですね。あっ、こんなところにホクロも」
「ば、ばかあぁ、な、なに言ってるんだよおぉ」
こんな明るい時間に、ここまで間近で見られることになるなんて思ってもみなかった。
今カイズの視線にはきっと自分のそれだけが映し出されているのだろう。見なくとも、カイズの呼吸を感じると羞恥心が膨れ上がる。
カイズはスカート持ち上げると、上目遣いでヴィータを見る。
「それじゃあヴィータさん。キスしますね」
「キスしますって。えっ、ま、まさか、嘘だよな」
「いえいえ。観覧車でヴィータさんがしてくれたことを、今度はこっちがするだけですよ」
「そ、それって、くうぅぅぅぅっ!」
カイズは唇をヴィータの割れ目に押し当てると、そのまま舌を這わせた。乳首の比などではない。今にも倒れてしまいそうなほどビリビリとした感覚に襲われると、ヴィータはカイズの肩に手をついた。
「い、一回やめろよ。そ、その何だかよくわからない感覚で、へ、変な感じに」
「それ、気持ちいいってことなんですよ。それじゃあ続けますね」
「だ、だから一回止めて、んんッ! やっ! あぁん!」
声など止められるはずもない。ヴィータは舌を動かされる度に、艶めかしい声を上げ続ける。
もう今の状況に恥ずかしがってるのか、気持ちよくなっているのか、困惑してるのか、怒っているのかわからない。
だが何よりもわからないのは、今のカイズの気持ちだった。
「ど、どうしたんだよいきなり。ふ、普段は、ひゃう! こんな無理矢理」
「いえいえ。今日の俺は心が狭いみたいなんで。ちょっと独占欲が丸だしになってしまったといいますか、なんといいますか」
「も、もしかしてさっきあたしが笑ったこと根に持ってるのか!」
「そんなことないですよ。俺の心がただ単に狭いだけですから」
白い歯を見せると、これでもかというほどの笑顔を見せる。
絶対根に持ってる。ヴィータはその笑顔でそれがわかると、そうじゃないと声を上げようとする。
「カ、カイズ、た、確かにあたしは心が狭いって言ったけどよ、そ、それは」
「いいんですよ。……自分でもそうだとは思いますから」
ズ、ズズズとわざと音を立てながら、ヴィータのそこを刺激し続ける。ヴィータはこのまま崩れ落ちてしまいたい気持ちと戦いながら、必死に立ち続けた。
するとカイズの口がヴィータの割れ目から離れる。彼はヴィータと同じ目線に立つと、奪い去るように唇を重ねた。
「ん、あっ、はっ、なに? 舌が??」
「ヴィータさんも舌だしてください」
「んん? んんっ!」
言われるままに舌を伸ばすと、粘膜同士がくちゅくちゅと艶めかしい音を出しながら絡まりあう。まるで咥内を犯されるような感覚に、ヴィータはポーッと惚けてしまう。
ゆっくり十秒。二人の口が離れると、だらしなく唾液がこぼれ落ちた。
そして、ディープキスを終えた直後。
カイズはヴィータを力強く抱きしめていった。
「いえ、ヴィータさんの言うように。俺、本当に心が狭いんですよ」
「カイズ……?」
先ほどまでの強引さのない声に、ヴィータはキョトンとしてしまう。カイズは抱きしめる力をさらに強めると、耳元で弱々しくつぶやいた。
「昔はこうじゃなかったんですけどね。別に自分がなんて言われようが、そのとき付き合ってた奴がどんなこと言われても気にならなくて。――――でも変なんです。学生の頃からある程度感情の制御はできてたはずなのに、ヴィータさんのことになると、どうしても抑えが効かなくなっちゃって……」
カイズは自分の言葉に自己嫌悪すると、贖罪するように言葉を続ける。
「ほんと、心が狭いですよね。あんな小さな子にでもヴィータさんが迫られてると嫉妬して、独占欲がでちゃって。ヴィータさんが嫌がるってわかってるくせに、すぐにでもヴィータさんに触れたくなって。それでこんなことしちゃって。……これじゃ誰が子供だかわからないですよね」
そう言うと、ヴィータを抱きしめるカイズの腕がゆっくりと緩まっていく。だが逆にヴィータがカイズのことを精一杯抱きしめると、思い切り声を張り上げた。
「ああ、そうだよな。確かにあたしの言ったとおり、お前は心が狭い男だ」
「は、はい…………」
「でも受け取りかたが違うんだよ。確かにあたしはカイズのことを心の狭い男だって言った。だけどそれは子供相手に嫉妬したからじゃねえよ」
ヴィータは腕をほどくと、カイズと向かい合う。
今度はこちらからと唇を合わせると、先ほどとは逆にヴィータがカイズの咥内に舌を這わせた。
「えっ、ええっ」
「ん、ん、じゅる、ぷはっ!」
「ん、あっ、ヴィ、ヴィータさん?」
「んーんー、あむ」
まさかヴィータからこんなことをしてもらえるとは思っていなかったのだろう。
カイズは目を白黒させながら、ヴィータを見る。
ヴィータはさらに声を張り上げると、説明を続ける。
「心が狭いっていったのはな。どうしてあたしのことをもっと信用できないかって意味でだよ」
「ヴィータさんを信用してない? いえ、俺はヴィータさんのこと――――」
「いーや、信用してないな。本当に信用してるなら、あんな子供相手に嫉妬する必要なんてねえんだよ。あ、あたしはカイズのこと、す、好き。……大好きなんだから嫉妬するなんて心の狭いこと言ってるんじゃねえって意味だよ!」
ヴィータの言いたかった本当の言葉の意味。カイズが自分を思ってくれているように。いや、それ以上にカイズのことを愛しているのだ。
「ヴィ、ヴィータさん。……俺、その、す、すみませんでした」
ヴィータの言葉の本当の意味を知ると、先ほどまで殺気立っていたカイズの笑顔がゆっくりと消えていく。
そしていつもの柔らかな顔に戻ると、「あははは」恥ずかしそうに頬を掻いた。
「ヴィータさん、俺のことこんなに信用してくれてて。それでこんなに気にかけてくれてるのに。……それなのに俺、無理矢理こんなことしちゃって。ほんと、ご、ごめんなさい!」
カイズはその場に座り込むと、顔が汚れることなど気にも止めず、額を地面にこすりつける。
「お、おい、やめろよ。あたしのこと思ってだろ。そんな気にするなよ」
「いえ、気にしますよ。だって俺、嫌がるヴィータさんに無理矢理あんなことを……」
カイズはヴィータの下着に両手を伸ばすと、すぐにでも持ち上げようとする。だがその手はヴィータによって止められた。
どうしてと、ヴィータを見上げる。すると彼女はまるでトマトのように顔を真っ赤にし、ぼそぼそと口を開く。
「ベ、別にいいんだよ」
「えっ、何がですか?」
「だ、だからよ。その、さっき言ったじゃないか。あたしに触りたいって。カ、カイズがそうしたいなら、いいぞ続けて」
「で、でもヴィータさん嫌がってたはずじゃ」
「そ、それはいきなりだったから戸惑っただけで。……カイズにだったらいくらでも触られたっていいんだよ。――――っていうか、さっきからずっとむずむずしてて変なんだよ! 言わせるなよ。……ばかぁ」
膝をついてるカイズの頭を、ポコポコと何度も叩いていく。ヴィータは半分涙を浮かべながら、股をもじもじとさせていった。
カイズは改めて視線を上げる。目の前に見えるまっさらな割れ目が、うっすらと塗れている姿を見ると、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「ほ、ほんとにいいんですか」
「い、いいって言ってるだろ。そ、それにあの時言っただろ。――――あたしに、え、エッチなこと教えてくれって」
「――――ヴィータさんッ!」
「やっ、んっ! いきなり激しすぎだ!」
「ふや、ふりです。ふぉんなふぉといふぁれたら、ぎゃまんでふぃません!」
「そ、そんなところでもごもご喋るなよ。―――――ッ!」
またあの時の感覚だ。ヴィータは体を走るビリビリしたものを感じると、カイズの肩に手を乗せる。
「やあっ、あ、そ、そこ、なんか、すごく、んんっ!」
「ヴィータさん、その、さっきよりも声が」
「う、うるせえよ。こんな声出さしてるのは誰だよ」
「――――俺です! 失礼します」
「あひゃ! ど、どこ触ってるんだよ!」
「ヴィータさんの可愛いお尻です」
「ハッキリと口にするな――――! アアッ!」
割れ目を舐められ吸われながら、同時にお尻を揉みくだされる。すると下半身に伝わる熱は、ドンドンと膨れ上がっていった。
「すごいですよヴィータさん。さっきからずっと溢れでてきて、気持ちよくなってくれてるんですよね」
「し、知らねえよ。こんなことされたの初めてで、き、気持ちいいとかそういうの全然わからねんだ」
「じゃあその感覚に身を合わせてください。じゃあラストスパートかけますね」
「えっ、あ、そんないきなり強く! ア、アアァァァ、ヤアァァァ!」
先ほどよりもキツく吸引されると、気持ちよさでヴィータの腰が砕ける。ヴィータは倒れないようにとカイズの顔を抱きしめると、その場で必死に耐えた。
「アッ、アッ、アッ、ヤ、ヤダ。くる、また、なにか、昇ってくる」
――――コリ。
不意に何か突起物を押された気がした。自分も知らないそれを下唇で刺激された瞬間。
ヴィータの体で絶頂の快楽が一気に弾け飛んだ。
「アッ、アアァァァッ!!」
恥も外聞もない。快楽の波に飲まれるままに、ヴィータは声をあげる。もうこれ以上我慢はできなかった。
割れ目から、トイレで出すそれとは違う何かがいっきに飛び出すのを感じると、カイズの顔を汚していく。
ヴィータは緊張の糸が途切れると、その場にくたりと腰を下ろしていった。
「は、はぁ、や、ああ。やだ、あんな大声だしちゃって」
「あっ、それなら多分問題ないですよ。半径十メートル以内に誰か入った様子はないですし。公園の端っこのほうですしね。まあもちろん百パーセントじゃないですけど」
「それじゃあ、今はとりあえず大丈夫だけど、もしかしたらこの後は危ない可能性があるってことだよな」
「まあそうですけど。ヴィータさん? 何ですかその顔は」
「……いやよ。あたしだけが気持ちよくなって、カイズがそのままじゃ不公平だと思ってよ」
「えっ、ま、まさか」
――――ピコン、ピコン。
カイズが何かを感じ取ると、その瞬間胸の端末が電子音をあげる。
「や、やばいですって。誰か近づいてきてますよ」
「べーつにこんな林の中誰も入ってこねえだろ。それにここ、こんなにパンパンにしてても説得力ねえぞー」
「いや、これはその、あうっ!」
何とか言い訳をしようとするが、ズボン越しにいきり立ったそれを撫でられると、思わず声が止まってしまう。
――――ピコン、ピコン。
「や、やばいですって。まだ十メートル以内にいますって」
「あー、あー、聞こえませーん。それにヴィータさんは心の狭い女だから、カイズの言うことなんて聞きませんよーだ」
ジーっとチャックを開くと、トランクス越しに限界まで我慢していた亀頭がチラリと見える。
ヴィータはトランクスのボタンを外すと、彼の欲望を解放してやった。
「あはっ♪ やばいって言ってる割には、すげえ元気じゃねえか」
「そ、それは、その。……はい」
縮こまる気持ちとは違う。ずっと押さえつけられていたカイズのソレは、外に解き放たれるとグググっと角度をつけていった。
ヴィータは亀頭に、ちょんと人差し指を当てると、指につく液体をカイズに見せる。
「なんだよー。カイズだって、ここめちゃめちゃ塗れてるじゃんかよ。……もしかして、誰かが来ると思って興奮してるのか?」
「そ、そんなことないですよ! あくまでヴィータさんにされてるからであって、そ、そんな趣味は俺には……」
「ふーん。……まっ、やめる気はねえけどな。あむっ」
「――――ッ!」
何の予告もなしに、亀頭が温かい咥内に含まれる。
ヴィータの口に深く侵入したためその快感は、前回以上だ。
「ん、あむ、じゅじゅ」
「あ、やば、ヴィータさん。この前よりずっと、その」
「あん? んん。ああ、この前は初めてだったし、観覧車の中暗いし、狭かったしな。でも、んっちゅ、今日は明るいし広いし。それにカイズにもしっかり気持ちよくなってほしいからよ」
「そ、その気持ちは嬉しいんですけど。うおっ」
「~~~~♪」
ヴィータは小さな舌を伸ばすと、舌先でカイズの尿道を軽くノックする。そのこそばゆく、快楽に溺れきれない感覚はかなりもどかしかった。
――――ピコン、ピコン。
――――ザッ、ザッ。
「や、やばいですって。誰かこっちに来てますって」
「別に誰も来てねえよ。……それにこんな中途半端でやめちまっていいのか~。ん、ちゅ」
ヴィータの小さな唇が、カイズのソレにバードキスする。さっきからのもどかしすぎる感覚に、正直もう理性の限界が見えていた。
だが草木を分ける音が、カイズを欲望に溺れさせてはくれなかった。
――――ザッザッ、ガサガサ。
「(やばい、やばい、やばい、やばい。こんなところ誰かにみられたら。ってか、ヴィータさんの容姿じゃ、俺捕まっちまうんじゃないのか!)」
恋人同士のただのアオカンとは違う。子供が賑わう公園で、この容姿のヴィータにフェラチオをしてもらっているのだ。
カイズの額にいやな汗が、ダラダラと流れる。
「ん、んんー、ちゅぱ、あんむ、ズズズズッ」
「…………もうどうにでもなれ」
男として、ここまできて引きさがれるはずもない。もうこのまま欲求に身を任せてしまおう。
カイズは諦めることを覚悟すると、林の先を見つめた。
――――ザッ、ザッ、ザッ。
南無三。目と鼻の先までその足音を感じると、その存在に目を向けた。
「…………ん、あれ?」
足音は聞こえる。だがその場には誰もいない。
しかし動物などというオチでもない。本当にその場には誰もいないのだ。
ザッ、ザッ、ザッ。
未だに聞こえる足音。カイズは「んん」っと首をひねると、ヴィータがにこりと笑みを浮かべた。
「教導だったら、減点1だな」
ヴィータはカイズの肉棒から口を離すと、スッと手を挙げる。するとその足音の正体がヴィータの手に戻った。
「ヴィータさん、それって。えっ、鉄球!?」
「ああ。この二つの鉄球を交互に地面に落としながら、ゆっくりと近づかせたんだ。足音で反応するのもセンサーとして悪くないけど、もし相手が飛べる相手なら無意味だぞ。あと熱源でも引っかかるようにしたほうがいいかもなー」
「の、覗きにそこまで高等技術を使ってくるなんて思いませんよ。というか、ヴィータさんも人が悪いですよ」
とりあえず一安心したと、ホッと息をつく。だがヴィータは何を言ってるのだと、肩をすくめた。
「人に見られる可能性があるのに、あたしがこんなことするはずないだろう」
「そ、それはまあヴィータさんだって恥ずかしいですもんね」
「い、いや、そうじゃなくてよ」
ヴィータは一度言葉を止めると、モジモジと両人差し指を絡ませ合う。だが特にためらうことなく、その答えを口にした。
「だ、だってよ。あたしもカイズと同じだから」
「俺と同じって?」
「え、えっとよ。…………あたしだって、カイズのエッチな姿ほかの奴に、み、見られたくねえから」
「――――ヴィータさん!」
「ふぇ? えっ、おお、いきなり突っ込むな。ってか、なんでさっきより大きくなってるんだよ」
「ヴィータさんが可愛いすぎるからです!」
「あっ、ふぁっ、の、喉にあたりゅ」
カイズはヴィータの後頭部を押さえつけると、フェラチオからイマラチオにシフトさせる。
さすがに全部は入りきらない。それでも大部分がヴィータに包まれていると思うと、その征服感で背筋がブルルと震えた。
「ヴィ、ヴィータさん。お、俺、ご、ごめんなさい、ごめんなさい!」
「あ、ありゃまりにゃがら、こしうごかちゅな!」
「でも腰止まらなくて、あっ、うっ」
「――――んんんんっ!」
最後にさらに奥へと突っ込まれると、カイズの欲求が爆発する。ヴィータはビュビュビュと熱いものが注ぎ込まれるのを喉で感じた。
「あ、ありゅい。……それにいっひゃいでてりゅ」
「だっ、はっ、はっ、はっ」
最後の一滴まで出し切ると、ヴィータの口から肉棒を抜き取る。ヴィータは小さくせき込みながら、精液を吐き出した。
「こほっ、こほっ、ん、んん」
相当苦しかったのだろう。目に涙を浮かべながら、懸命に耐えるヴィータを見て、カイズの中に罪悪感が沸く。
「ご、ごめんなさい。本当にごめんなさい。俺、その、またヴィータさんを傷つけるようなこと」
「こほっ、こほっ、あ、謝るなよ。あたしは苦しかったけど。カイズは、こほっ、気持ちよかったんだろ」
「は、はい…………」
「だったらいいんだよ。あたしはエッチなことってあんまり知らないからよ。だからカイズが気持ちよくなってくれるだけで嬉しいんだよ。――――ほら、もっと近づけろよ。綺麗にしてやるからさ。あむっ」
観覧車の時のように、汚れたカイズの肉棒を口を添える。ヴィータは満遍なく舌を這わせると、精液を舐めとっていった。
「ヴィータさん、あっ、それじゃ、また」
「ん、ちゅ、よしこれで綺麗になった。……って、あれ?」
綺麗になったのはいいが、カイズの肉棒が再び大きくなっている姿に、キョトンとしてしまう。
ヴィータは視線を上げると、恥ずかしそうに震えているカイズと目があった。
「ど、どうしたんだカイズ?」
「そ、そのヴィータさん。俺、まだ…………」
「なんだ、まだしてほしいのか。本当、普段のカイズと違って、ここは暴れん坊さんだな。あむっ、ちゅ」
「うっ、うぁ……」
再びヴィータの口に含まれると、カイズはうめき声をあげる。ヴィータはそんな彼の反応を見ると、嬉しそうにフェラチオを再開するのだった。