食事を終え、まずはカイズがシャワーを浴びた。
ヴィータは彼がでると同時にそそくさとシャワーを浴びる。ほどいたウェーブのロングヘアーを丁寧に洗いながら、体の隅々にシャワーを染み渡らせる。
今日は髪の毛を結う必要はない。ヴィータは白いバスタオルを体に巻くと、そのままなにも着ることなくシャワー室をでた。
「あっ、ちゃんと電気消してくれたんだ」
裸は何度か見せたことがある。だが今日という日がヴィータのなかではなんだか恥ずかしくて。
自分がシャワー室に入った後に、消してもらうように頼んだのだ。
だが電気が消えていても、窓から差し込む月明かりが部屋を照らしてくれた。ヴィータはベッドの前に立つと、カイズと視線を合わせた。
「こう改まってると。な、何だか恥ずかしいな」
「…………俺は緊張でいっぱいいっぱいです」
「緊張って。カイズは学生時代にそれなりにやってたんだろ」
緊張するなら、今日が正真正銘初めての自分の方だ。
ヴィータがそう非難の声をあげると、カイズは真顔のまま言葉を続けた。
「い、いえ。えっと、確かに俺は何人かと、その、エッチなことしてます。……でも学生の頃はただエッチなことしたいってガッツいてた感じといいますか。……その、緊張よりもずっと肉欲のようが強かったんですよね」
「お、おお」
「あー、引かないでくださいよ。でも、でもですよ。今はこれからヴィータさんとエッチなことする肉欲よりも、緊張のほうが全然大きくて。その、こんな感じ初めてでなんとも……」
「ふ、ふーん。緊張のほうが大きいのか。……でもカイズのここは、もっと大きくなってるけどな」
いっしまとわぬカイズの股間に視線を向ける。カイズはカァーと顔を赤くすると、思わず手で覆い隠してしまった。
「い、いえ、それはこれからヴィータさんとエッチできるって思うと興奮も止まらなくて。し、仕方ないことなんです」
「へぇー、仕方ないことなんだ。……安心した」
「――――えっ? どうしてですか??」
「…………だってさっきのカイズの言い方だと、あたしの体には興奮しないって言ってるようにもとれてよー。ちょっと心配になっちまったんだよ」
「――――そ、そんなことないですよ! 俺はヴィータさんがいてくれれば、それだけで何度だっていけますよ!!」
「本当かよー」
「本当ですって。その証拠に、俺のここはもう大変なことになってますし。そ、その、早くそのバスタオルとってほしいってずっと思ってます」
「へっ!?」
まさか矛先がこちらに向かうとは思っていなかった。カイズは自身の欲望を口にすると、食い入るようにヴィータのバスタオルを見つめる。
ヴィータはその視線を痛いほど感じると、少しだけ身をクネらせた。
「で、でもあたしの裸は何度か見てるじゃねえか」
「それでも見飽きることなんてありませんよ! …………タオルとってもらっていいですか」
「お、おぅ……」
どちらにしても、いつかは取らなければいけないのだ。
ヴィータは恐る恐るバスタオルを外していく。そうやって肌が露わになるたびに、カイズの目が血走るのを見て、ヴィータは頬を赤く染めた。
「ほ、ほら。……これでいいだろう」
ヴィータは両手でバスタオルを広げると、生まれたままの姿をカイズの前にさらけ出す。
薄い青色の月明かりにヴィータの体が照らされる。ベッドから立ち上がったカイズはその姿を見ると、息を飲み込んだ。
「……綺麗です」
「あとは」
「…………今めちゃくちゃ興奮してます」
「……どうしてこんなお子さま体型に興奮してるんだよ。…………変態」
「だってヴィータさんの裸ですから。興奮しないわけないじゃないですか。といいますか、これ以上は本当にやばいです」
きっと今まで我慢してきた分もあるのだろう。血管が浮かび上がったカイズのそれは、今にも爆発しそうなほど力強く脈を打っていた。
ヴィータはその姿を見ると、どこか満足したような顔をする。そしてベッドに寝転がると、目を潤ませながらカイズを見上げた。
「あ、あたしは、ほ、本当にこういう経験がなくて。その、カ、カイズに任せるから。全部任せるから」
「え、えっと、それでも何か要望とかあったりしますか」
その言葉を聞くと、ヴィータは恥ずかしそうに両人差し指をちょんちょんと合わせる。
「…………優しくしてください」
「――――――――っ!」
未知の体験にヴィータは思わず敬語で懇願する。
そしてカイズは何かを押さえ込んでいるのだろう。自らの右手を左手で押さえ込むと、必死な形相で悶えていた。
「ど、どうしたんだカイズ」
「…………あ、危なかったです。いきなり要望を守れないところでした」
「へっ? なにがあったんだよ」
「…………素って怖いですね」
「お、おおぉ?」
「いえ、何でもないです。そ、それじゃあ可能な限り頑張らせていただきます」
「お、お願いします」
ヴィータはギュッと目を閉じると、その時が来るのを待つ。初めては痛いと聞いている。だが自分の小さな割れ目にあんなに大きなものが入るのだ。それは当たり前のことかもしれない。
チロッ。
だがヴィータの覚悟とは裏腹に、ぬめっとしたものが秘部に押し当たられる。それはヴィータの周りを周回すると、スッと彼女の奥に侵入した。
「えっ、あっ、な、なんで、舌をいれ、んんっ」
「あんむ、んん。ん、えっと初めての時はある程度慣らしておいたほうがいいですよ。適度に濡らしておかないと、相当キツはずですから」
「そ、そうなの、やっ、あっ、あっ」
割れ目を舐められるのはこれで三度目だ。だがたった三回でその感覚になれるはずがない。敏感になりすぎて、どうにかしてしまいそうな感覚。そんな快楽に再び襲われると、ヴィータは必死に下唇を噛んだ。
「どうしたんですかヴィータさん。大丈夫ですって、ここ結構防音がしっかりしてるので」
「そ、そうじゃなくて、や、やめ、そこばっかり、舐めない、やんっ」
「あ、ここがいいんですね。ほら、ちょっとずつ濡れてきてますよ」
「そ、そういうこと、いわな、んんっ!」
「ズッ、ズズズズ」
「んんんんっ!」
ワザと音を立てて吸引されると、その吸い込まれる感覚にまた何かがこみ上げてくる。
このままいけば、またカイズの口でイッてしまうだろう。
そう思ったときだ。ヴィータの秘部から口が離されていく。
「……ふぇ?」
「多分これだけ濡れてれば、少しは楽になると思います。……どうしたんですかヴィータさん?」
「~~~~~!! な、何でもねえよ!」
快楽に流されて、つい当初の目的を忘れてしまっていた。ヴィータは顔を真っ赤にすると、部屋が暗いことに感謝した。
だがそんなヴィータとは違い、カイズは緊張の面もちのままだ。そんなカイズの顔をのぞき込むと、彼はそのまま口を開いた。
「それじゃあ行きますヴィータさん。……痛かったら言ってください」
「わ、わかった」
痛かったら言えと言われたが、ヴィータはもとより弱音をあげる気はなかった。ヴィータは今まで幾度となく死線を乗り越え、そのたびに大けがを負ってきた。
多少の痛みでは悲鳴などあげないだろう。そんな確固たる自信の彼女を見ると、カイズは心配そうに腰を下ろした。
「…………行きますね」
ヴィータの小さな割れ目に、限界までため込まれ怒頂が押し込まれる。
ギリリリッ!
その瞬間、肉と肉が悲鳴をあげる。だが悲鳴をあげたのは、それだけではなかった。
「イッ、ツウゥゥ!!」
ほんの少し先っぽが入っただけなのに、その激痛にヴィータは声をあげてしまう。
閉じている穴を無理矢理貫かれる感覚。それは今までヴィータが感じた痛みとは全くベクトルの違うものだった。
「だ、大丈夫ですかヴィータさん!」
「えっ!? あ、ああ、大丈夫だ。ちょっとびっくりしただけだから。ほら、続けてくれよ」
「あ、は、はい」
カイズはちょっと納得のいかないような顔をしたが、それでも腰を少しだけおろした。
メリリリッ!
まるでその音が体中に響きわたるようであった。指や舌の時とは違う。そこに気持ちよさなどは一切存在せず、ただ激痛にヴィータは目を閉じた。
「ヴィ、ヴィータさん。やっぱり痛いんじゃ」
「だ、だから気にするなって言ってるだろ。あ、あたしは大丈夫、大丈夫だから。……あれ」
スッと頬を伝う涙は誰のものだろうか。ヴィータは自身の目をこすると、それが自らが流しているものに気づいた。
そんな彼女の姿を見て、カイズは困惑した顔をする。
「ヴィータさん、やっぱり今日はやめといたほうが」
「――――いいって言ってるだろ!」
「でもヴィータさん辛そうですし」
「だったらその辛さは明日になれば楽になるのか? 月日が経てばいきなり快楽に変わるのかよ。いや、たとえそうだったとしても、あたしは今カイズと結ばれたいんだよ!」
「――――ヴィータさん」
「気持ちいいからしたいんじゃない。カイズと結ばれたいから。カイズのことが好きだからあたしはしたいと思ってるんだ! だから途中でやめようなんてもう言わないでくれよ。……カイズはあたしとは違うのかよ」
「…………いえ、同じです。俺も。俺もヴィータさんと一緒になりたいです」
「だったらもうやめようなんて絶対に口にするなよ。……もう先延ばしにはしたくないんだ」
「――――わかりました」
ヴィータの決意を聞くと、カイズは決意を胸に秘める。
ヴィータに痛い想いをさせてしまうかもしれない。だけど、そうだとしても。彼女がそれを望むなら。
「そしたらヴィータさん。位置を逆にしてもらってもいいですか。俺が覆い被さってると、何かの拍子にバランスを崩すことがあると思うんで」
「ん、そしたらどうしたらいいんだ?」
「えっと、こんな感じでお願いします」
いったん肉棒を抜くと、カイズはベッドに仰向けになる。ヴィータは彼の上になると、その場で腰浮かせ彼の欲望に秘部を沿わせた。
「これならヴィータさんのペースで入れられると思いますし。あとは辛くなったら、全体重俺にかけてもらっても大丈夫ですから」
「……うん。なぁ、カイズ」
「どうしました?」
「…………手、握って」
「――――はい」
ヴィータとカイズは両指を絡めると、恋人繋ぎをする。
お互いの覚悟は決まった。ヴィータはゆっくりと腰を下ろすと、再び肉棒を包み込んでいった。
ギチチチッ!
再び感じる肉を抉られる痛みに、腰が引けそうになる。だがカイズがいくらか舌で慣らしてくれたおかげだろう。痛みは感じながらも、少しずつだが彼の想いを受け入れることができた。
「カ、カイズ、今どのくらい入った」
「……半分くらいです」
「そ、そうか」
まだ半分ではあるが、痛みはすでに最高潮に達している。痛い。とにかく痛いと声をあげそうになる。
だがそれではまたカイズに心配をかけてしまう。ヴィータはぐっと目を閉じると、そのまま一気に腰を下ろした。
「きっ、ああぅ!」
「ヴィータさん、そんなに一気にやったら!」
「だ、大丈夫。……じゃちょっとないかも。――――お願い、キスして。痛みを忘れるくらい強くキスして」
ヴィータがそう懇願すると、カイズはぐっとヴィータを引き寄せる。そのまま口づけを交わすと、カイズは舌を伸ばす。ヴィータもまた彼の舌に自身の舌を絡ませた。
「ん、ちゅ、あん、カイズ、カイズ」
「あっ、んあ、ヴィータさん、ヴィータさん」
気分が高揚してくると、先ほどまでの痛みがほんの少しなくなっていくような気がした。
ドクンドクン。
だがカイズのそれは確かに自分の中と繋がっているのだ。体内で自分のものとは違う脈が暴れ回る。
「ヴィータさん。もう少し我慢してください。……初めっから限界だったんで、正直すぐ終わっちゃうと思うんで」
「……うん」
「それじゃあ、失礼します」
再び口づけを交わすと、それと同時にカイズは腰を動かす。一回、二回と腰が動かされるたびに、激痛がヴィータの中を駆け抜ける。
だがそれでも先ほどよりは辛くなかった。それはこの行為に気持ちよさを覚えたからではない。
「はっ、やっ、ああっ!」
ただ心の底から嬉しかったのだ。
彼と結ばれることができて。
彼が側にいてくれて。
彼が自分を愛してくれて。
その全ての出来事がヴィータには本当に嬉しかったのだ。
それはきっとカイズも同じなのだろう。何度も、何度も腰を動かすたびに彼の表情から不安がぬぐい去られていた。
「あ、うっ、やばいですヴィータさん。もう、そろそろ」
「このまま、このままでいいよ。カイズの想い全部あたしに出して」
「―――――っ、ああっ!」
合図はなかった。だがカイズのそれが一際震えると、ヴィータの中に一気に欲望が放たれていった。
二週間以上我慢していた欲望は、二回、三回と痙攣するたびにヴィータの中に吐き出されていく。
「いま、あ、あたしのなかに。……熱い」
「はっ、はぁ、はぁ、はぁ、うっ」
行為が終わると、精子のおかげで滑りがよくなったのだろう。入るときよりも、スムーズに肉棒が抜かれる。
ヴィータとカイズは息も絶え絶えに、汗だくになりながらも互いを見つめ合う。
「――――んっ、ちゅ」
そしてカイズはゆっくりと唇を重ねると、『お疲れさまでした』と彼女の頭を撫でてあげるのだった。