※この作品はR-18です。

ヴィータちゃんは男友達が少ない(18禁版)   作:白翼

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彼の初めて

 行為が終わり、二人は裸のままベッドで身を寄せ合っていた。ヴィータはカイズの腕に抱きしめられながら、涙声で先ほどから同じことを口にしている。

 

「…………痛い。まだ股に入ってる気がする」

 

「本当にお疲れさまです」

 

「…………痛いからもっと頭撫でて」

 

「仰せのままに」

 

 行為が終わるとヴィータはひたすらカイズに頭を撫でさせていた。そうすると、少しずつだが痛みが引いていく気がした。

 

 こうやって裸で抱き合ってるだけなら、気持ちいいんだけどなー。……こういうのって本当に慣れてくるのかな。

 

 トラウマとは言わないが、きっとこの痛みは当分忘れることはできないだろう。

 

 だがカイズにずっと頭をなでなでしてもらったおかげか、涙も痛みもある程度引いてきていた。

 

 ヴィータが「もう大丈夫だぞ」というと、カイズは抱きしめていた手を解いた。

 

「ん? どっか行くのか??」

 

「いえいえ。ちょとした準備と言いますか、何分初めてのことなんで緊張しているといいますか」

 

「んん? 何だ初めてのことって??」

 

 初体験といえば、ついさっきすんだはずだ。いや、それはヴィータにとっては初めてのことであり、カイズにとっては初めてではなかったはずだ。

 

 それなのに今更なにが初めての体験なのだろうか。

 

 カイズは腰にバスタオルを巻くとタンスの引き出しを開ける。ヴィータは毛布で胸元を隠しながら、そんな彼を不思議そうに見ていた。

 

「すーはー、すーはー。――――よし」

 

 カイズは何度も何度も深呼吸をすると、ヴィータの元に戻ってくる。そしてそのまま膝立ちになると、ごくりと唾を飲み込んだ。

 

「え、えっと、ヴィータさん!」

 

「は、はい!」

 

 カイズの面もちに思わずこちらも緊張してしまう。

 

 カイズは背中で手を組んだまま、言葉を続けた。

 

「本当は海の見えるホテルで言おうと思ってました。というか、海の見えるホテルもあったからこそ、こんなに時間がかかってしまいました」

 

「時間がかかったって、どういうことだ?」

 

「俺はヴィータさんより給料がかなり低いです。でも可能な限り節約してましたし、海の見えるホテルに行くだけならもっと早く行ける予定でした」

 

「……うん、確かにそうかもしれねえな」

 

 思えばカイズと付き合い初めてからは毎日がイベントだった。付き合い初めてどれだけ経ったかも忘れるほど、長い月日を過ごして気もする。

 

 始めはカイズが相当高いホテルを予約しているのでは。そう思っていたが、どうやらそれは違っていたようだ。

 

 そう思うヴィータの顔を見て、カイズも理解してくれたとわかったのだろう。ヴィータを真っ直ぐに見つめると、話を続ける。

 

「……正直、俺はまだまだ半人前です。教導官にはまだなれていませんし、貯金だってそんなにありません。でも必ずヴィータさんに見合う男になります」

 

 そこで言葉を切ると、カイズは背中に隠していたものを取り出す。その高級感がある正方形の箱は、何かで見たことがあるきがした。

 

 カイズはその箱を開くと、想いを続ける。

 

「でも言えるうちに言わないときっと後悔すると思うんです。だからもし俺が一人前になったその時は、俺と、俺と」

 

 開かれた箱からは月夜で輝く小さなリングがあった。重厚感のある金色のそれを見て、ヴィータは目を大きく見開いた。

 

「――――俺と結婚してください。必ず、必ずヴィータさんのことを幸せにしますから」

 

 カイズは目を閉じると、ズイッと指輪を前に出す。

 

 ヴィータは目をパチパチさせると、今ある現実をまだ飲み込めないでいた。

 

 そんな彼女を見て、カイズは慌てたように声を上げる。

 

「も、もちろん今すぐってわけじゃないですよ。あくまで俺が一人前になったらってことで、その日がいつくるかわからないですし、くるかもわかりませんし。ヴィータさんも突然こんなこと言われても困りますよね。でもこの前の事件があって、言えるうちに言った方がいいかなって―――――」

 

「――――はい」

 

「えっ!?」

 

 ヴィータの肯定の単語に、言い訳をしていた口が止まる。ヴィータはカイズの手から指輪を受け取ると、目に涙を浮かべながら、笑顔で答えた。

 

「幸せに。…………いっぱい幸せにしてください」

 

 ヴィータは左手を差し出すと、カイズは震える手で指輪を受け取る。

 

 だがガチガチに震えながらも、カイズはゆっくりとヴィータの薬指に指輪をはめていった。

 

 ヴィータは金色の指輪を様々な角度からのぞき込む。そしてその嬉しさを表すように、彼を抱きしめていった。

 

「ありがとうカイズ。…………大好き」

 

「――――俺も。俺も大好きですヴィータさん」

 

 淡色の月夜に照らされながら、二人は再び口づけを交わす。

 

 今日という日を決して忘れないように。

 

 これから先も貴方と共に過ごしていけるように。

 

「ん、ちゅ、んん、んー」

 

 様々な願い込めた口づけを、二人は飽きることなく何度も、何度も重ねていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

「あれ、何だかご機嫌だねヴィータちゃん」

 

「ん~、そうか~」

 

 教導の仕事前。ロッカールームで着替えるなのはは、ヴィータに声をかける。

 

 謹慎処分を受けて落ち込んでいるかと思ったが、どうやら心配には及ばなかったようだ。

 

 二人とも教導官の服に着替え、ロッカールームから出ようとする。だがヴィータは何かを思い出したように、自分のロッカーに戻った。

 

「そうだ、そうだ。教導中はこれ外しておかねえとな」

 

「ん、これってなにー?」

 

 あまり装飾っけのないヴィータが、何かお洒落でもし始めたのだろうか。やはり彼氏ができると違うなと、なのはは思う。だが薬指からはずされるそれを見てギョッとしてしまった。

 

「ヴィ、ヴィ、ヴィータちゃん。それってもしかして!」

 

「これでよしっと。ほら、早くいかねえと遅刻しちまうぞー」

 

「それどころじゃないよ! ヴィータちゃん、ヴィータちゃあああん!!」

 

「~~~~♪」

 

 後ろから叫び声をあげるなのはのことなど気にすることなく。

 

 ヴィータは鼻歌を鳴らしながらロッカールームを後にしていくのだった。 

 




※ヴィータちゃんは男友達が少ないEX1 ピンクの水着と逸した視線(18禁版)に続きます。
https://syosetu.org/novel/5616/28.html
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