※この作品はR-18です。

ヴィータちゃんは男友達が少ない(18禁版)   作:白翼

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私を構うのは

「はあぁ、何がお姉さんだよ。……てんで子供の対応じゃねえか」

 

 しばらくして我に返ったヴィータは、自ら起こした行いに深くため息をつく。

 

「で、でもカイズもカイズだ! みんなのことばっかりで、全然あたしに気を使ってくれなかったし……」

 

 だが実際に絡まれていたのは、リインとシグナムだ。八神家において蚊帳の外なのは自分だけで。もし彼にかまわれたいのなら、初めからそういった格好でくるべきだったのだ。

 

「…………一生懸命選んだんだけどな」

 

 ヴィータは腰のふりふりの部分を掴むと、再び大きなため息をつく。

 

「やっぱりこういった子供っぽいのじゃなくて、おっ、わっ!?」

 

 ヴィータが俯いた瞬間、何かが横からぶつかってくる。

 

 ヴィータは勢いのままに尻餅をつくと、目の前の男二人は『あーあ』とやさぐれた声をあげた。

 

「お嬢ちゃんのせいでせっかくの水着が飲み物で台無しだー。全くちゃんと前見て歩かないとねー」

 

「それはこっちの台詞だ。何だよいきなりぶつかってきて!」

 

 ヴィータが睨みつけると、男二人は意外そうな顔をする。ヴィータの見た目で、まさか言い返してくるとは思っていなかったのだろう。

 

 確かこんな奴去年もいたな。

 

 わざと子供にぶつかって、いちゃもんをつける。そしてその親に対して、金をセビるような最悪の輩だ。

 

 親たちはトラブルを避け、金を払ってしまう。それは当たり前だ。せっかくの子供との休暇を、こんなことで潰されたくないのだから。

 

「お嬢ちゃん、親はどこかなー。子供の不手際は、きっちり親に払ってもらわねえとな」

 

 二人組のうち、金髪の男がヴィータに手を伸ばす。

 

(ははっ、どーせ海であたしに構ってくるのなんてこんな奴くらいだよな)

 

 だがちょうどいい。こっちはいろんなことがあってムシャクシャしてたところだ。

 

 相手が触れた瞬間、顔面を殴りとばしてやる。ヴィータがそう思い握り拳をつくる。

 

 だがその手はヴィータに届くことはなかった。

 

「おおっ? なんだテメェ??」

 

「――――カ、カイズ!」

 

 ヴィータに延ばされた手は寸前のところで、カイズに押さえつけられる。彼は力の限りで男の手首を握りしめると、鋭い目で金髪を睨みつけた。

 

「…………何してるんだよ」

 

「はぁ?」

 

「いまヴィータさんに何しようとしたかって言ってるんだよ」

 

 それは小さく、そうであってもドスのきいた声だった。カイズは握りしめた手を、力づくで男の顔の横まで戻していく。

 

 いくら力を抑えていたといっても、ヴィータとは何度も模擬戦をした身だ。魔力量でなく、単純な筋力も普通の成人男性のそれとは比べるまでもないようだ。

 

 金髪の額から、暑さとは違う汗が流れ出す。

 

 だがそうとは知らず、もう一人の男が呆れたように声を上げた。

 

「おい、お前こいつの親かよ。だったら子供の責任はキッチリとれよな」

 

「ふざけるな。ヴィータさんがそんなことするわけないだろう。それに俺はヴィータさんの親なんかじゃない」

 

「だったら親戚か何かか? だったとしても――――」

 

「だから違うって言ってるだろ!」

 

 カイズは金髪の腕を振り払うと、もう一人の男に押しぶつける。そしてフリーになった右親指を立てると、自身の顔をビシッと指した。

 

「俺はヴィータさんの親でも親戚でもない。――――俺はヴィータさんの恋人だっ!!」

 

 怒号と共に放たれた言葉が、周りに響きわたる。

 

 二人の男は、カイズの姿とヴィータの姿の間を世話しなく移動させる。

 

 そしてあんぐりと口を開くと、困ったように声を上げた。

 

「お、おぉ……。なんか、ごめんな」

 

「恋人、恋人って。……ま、まあ人それぞれだよな。ああ」

 

 男たちの気性が一気に冷めていくのが見て取れる。

 

 二人は訳も分からずなぜか頭を下げると、そのまま人混みの中に消えていってしまった。

 

 だがポカンとしてしまったのは、男だけではない。遠巻きに状況を見ていた人からは喧噪があがり、『恋人って、やばいんじゃない』『もしかして誘拐とか』など聞こえる始末だ。

 

「ヴィータさん、大丈夫でしたか」

 

「どちらかといえば、こっちのほうがやべえぞ! と、とにかくここから移動するぞ!!」

 

「へっ、あれ、ヴィータさん?」

 

 ヴィータはカイズの手首を握りしめると、そのまま人混みから駆け抜けていくのだった。

 

 

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