行為を終えると、二人は岩場で腰を落ち着かせていた。
ヴィータは繋がれた手を見ると、嬉しそうに笑みを浮かべる。だがしばらく考えたような顔をすると、「ん、んん」とワザとらしくせき込んでいった。
「な、なぁ、あたしの水着ほんとーに可愛いか?」
「もちろんですって。そうじゃなかったら、あんなことにはなってないですし」
「シグナムやリインよりもか?」
「当たり前じゃないですか!」
「でもよー、カイズは二人のこと随分と褒めてたじゃねえかよー」
「それに関してはちゃんと言ったんですけどね。『周りの男からしたら』って。……それに俺、ヴィータさんにしか興味ないんで、別に周りはどうだっていいんですけど。――――い、いや、八神さんたちは別ですよ。ヴィータさんの大切な家族ですし、どうでもいいってことはもちろんありませんからね! だけどそういった目で見てるかと言われれば、それは全くないということで」
「あーもー、わかった、わかった。カイズはあたしのことが大好きなんだよなー」
ヴィータは繋いでいた手を離すと、カイズの前に座る。そして体全体を彼に預けていった。
「ヴィ、ヴィータさん。だから、それは、その」
「…………でもやっぱり嫌だな」
「えっ?」
ヴィータは小さく声をあげると、前を向いたまま言葉を続ける。
「理由はわかったけど、それでもカイズにはやっぱりあたしのほうを見て欲しい。って、やっぱりワガママかな」
誤解は全て解けたが、それでもカイズが自分のことを見てくれないのはやはり嫌だった。
カイズはヴィータの耳がほんのり赤くなっているのを見ると、包み込むように彼女を抱きしめる。
そして耳元で余裕のない声をあげた。
「あ、あの、そんなこと言われれると俺、また……」
「……うん、いいよ。はやてにはもう少し遅くなるって伝えておくから」
ヴィータはカイズの肩に手をおくと、それを下へ下へと移動させていく。カイズもまた彼女を抱きしめる力を強める。そしてどちらかれでもなく、口づけを交わしてくのだった。
◇◆◇◆
帰りの車の中。夕暮れに照らされたカイズの横顔を、ヴィータは柔らかな笑みで見ていた。
今日誰よりも気を使い、誰よりも走り回ったカイズは、最後の最後で力つきてしまったようだ。
(……まああの後も何回かしてたからな)
二人に気を使ってか、アギトもリインも通常のサイズに戻っており、三列シートの後ろにはカイズとヴィータしかいない。
ヴィータはポスン彼の体に頭を預けると、夕日に染まる海を眺めていく。
そしてあの時の約束を思い出していった。
「……初めては海の見えるホテルでか」
予定よりも早く海に来てしまったが、自分達のそれはまだまだ先のことであろう。
ヴィータはカイズの顔をのぞき込むと、その手をギュッと握りしめる。
そして『早くその日が来るといいな』言葉に出すことなくそう思うと、ゆっくりと瞳を閉じていくのだった。