鏡の前にはいつもとは違う自分がいた。
おへそが出たノースリーブの服に、膝上のスカート。もこもことした帽子に、ふわふわのぬいぐるみのようなブーツ。
最後に髪を下ろすと、一般的サンタクロースとは明らかに違うミニスカサンタの完成である。
「うぅ、やっぱりこれ短けえよ」
ヴィータは早々に着替え終えていたが、なかなか脱衣所からでることができずにいた。だがカイズの「早く、早く」という声に出ざるを得なかった。
ヴィータは完全に観念すると、ゆっくりと扉を開ける。
だがもじもじと足をこすりあうだけで、その場で止まってしまった。
「な、なぁ、もういいだろう」
「もういいってまだ始まったばかりですよ。……でも地球の文化ってなかなかすごいんですね」
「どこ見て言ってるんだよ! うぅー」
カイズに血走った視線を向けられると、体中がむずがゆくなる。カイズはゴクリとつばを飲み込むと、頬を緩めていく。
「なんかいいですね。透明の紐で止まってるってわかってても、肩が出てるのは艶めかしくて。それにスカートも体にぴったりするタイプだし、ちょこっとでたおへそがもうなによりも」
「は、恥ずかしいこと言うなよ! それに体のラインって言ったって、あたしは出てるところでてるわけじゃねえし」
「それがヴィータさんのラインなんですよ! 真っ白な肌に、普段は見ることの少ないミニスカート姿。もうそれだけでやばいです」
カイズはじりじりと近づいてくると、バッと両手を広げる。そのままヴィータを抱きしめようとするが、彼女はその手から逃れていく。
「ほら、この服に着替えたんだからそろそろ真面目に掃除するぞ」
「ほ、本気ですか! そんなヴィータさんを見せつけられて、このまま掃除をしろと!!」
「本気も本気だよ。ほら、続き続き」
パンパンと手を叩くと、ヴィータは片づけの続きを始める。カイズはがっくし肩を落とすと、しぶしぶと自分の分担に戻った。
先ほどの続きと、荷物の仕分けをしていく。
(これはもういらないだろう。あっ、これは前に自分の部屋で使おうと思ってて、結局使わなかったカーテンか。――――カイズの部屋はカーテンないし、ちょうどいいかも)
ヴィータはカーテンのビニールから出すと、片方を手に持つ。木製の椅子を用意すると、その上に乗りカーテンを当てて見せた。
「ちょっと長いかもな。おーい、カイズ、もう片っぽを持って。…………何してるんだ」
ヴィータがジト目を向けたその先には、もちろん彼の旦那様がいた。だがその体勢は明らかにおかしかった。
土下座の体勢で左頬を床に着けた形と言おうか。カイズは必死に目を細めギリギリの角度でヴィータを見上げていた。
ヴィータの視線に気づくと、カイズはゆっくりと目を見開いた。
「い、いえ、これは床のフローリングがどうなっているか肌で感じようと思いまして」
「ほぉー、それで床はどんな感じだった」
「まるで白銀の世界のような真っ白でした」
「…………って、完全にのぞいてるじゃねえかよ!!」
ヴィータは一度椅子から降りると、カイズの右頬をぐりぐりと足蹴にする。
カイズはどこか嬉しそうな表情しながら、なされるがままだった。
「人が真面目に掃除してるのに、カイズは何をしてるのかな~」
「い、いや、無理ですって。だってそんな格好をしたヴィータさんが同じ部屋にいたら、ムラムラするに決まってるじゃないですか。――――そうですよ。ヴィータさんがこんなに可愛すぎるのがいけないんですよ! ヴィータさんが天使のように可愛くなければ、俺だってこんなにムラムラすることなかったんですから!!」
「な、何だよその開き直りは」
「開き直りじゃありません。これは俺の真摯な思いです。もう今更着替えたって、俺の欲望は抑えられないですよ!」
カイズはその場で転がると、勢いよく立ち上がる。そして先ほどのように、ヴィータを捕まえにいく。
「それが開き直りなんだよ!」」
ヴィータはカイズの手から逃れる。だがカイズはまるでその動きを予測していたかのように、方向転換をすると、そのままヴィータに覆い被さった。
「恥ずかしがってるときのヴィータさんは、真正面から向かうと、73パーセントの確率で右斜め後方に避ける。――――長年のデータが役立ったようですね」
「ひゃ、ひゃあっ!?」
勢いそのままにベッドに押し倒される。カイズはヴィータの胸に顔を埋めると、ごろごろと顔を動かした。
「いやー、安物の生地ってのもたまにはいいですね。ヴィータさんの胸がほとんど直と変わらない感触です」
そういいながら、カイズはぐいぐいと腰を押しつける。するとカイズの興奮を表すように、下半身の猛りがふとももに当たる。
ヴィータはそれを感じると、ボッと顔を赤らめた。
「普段裸見てるくせに、ど、どれだけ興奮してるんだよ」
「それは海の時にも言いましたよ。裸だからいいってわけじゃないんですよ。男は単純であり難しい生き物なんです。んー、いいですね。やっぱり上から見える鎖骨がたまらないです」
「にゃ、にゃにマニアックなこと言ってるんだよ。ん、ひゃ」
鎖骨に唇を当てられると、むずがゆさが全身に広がる。だが首もとに集中していると、突然スカートの中に違和感を覚えた。
「やっぱりこのスカート短いですよね。ちょっと動いただけで下着見えちゃうんですから」
「だ、だからそれは始めに言っただろ!」
「いやー、でもパッケージを見てるときは全然興奮しなかったんですよ。でもヴィータさんが着た瞬間、一気に振り切れちゃいましたね。……あれ、でもヴィータさんも結構興奮してますか。…………ここ、染みできてますよ」
「―――――んんっ!」
人差し指が秘部の上を軽く擦りあげる。ヴィータは何とか声を抑えようとするが、その姿が逆にカイズの心を興奮させた。
「なんだー。ヴィータさんも、何だかんだいって俺と同じ気持ちだったんじゃないですか」
「ち、違うあたしはそういうんじゃないぞ。た、ただ」
「ただ?」
カイズがそう問い返すと、ヴィータは視線を逸らす。だがどちらにしてもこの状態からは逃げる手だてはない。
ヴィータは「うぅ~」と声を漏らすと、ぼそぼそと声を出す。
「…………てたらなっちまったんだよ」
「何ですか?」
「だ、だからカイズにじっと見つめられたら自然と体が熱くなっちまったんだよ。し、しかたねえだろ。あんな食い入るように見られたら意識しちまうし。…………それとも」
ヴィータは目に少し戸惑いの色を見せると、困惑したように声を上げる。
「…………それともやっぱりあたしがエッチなのかな」
涙ながらのその言葉。その瞬間、カイズの体に電流が走る。
カイズは秘部に添えていた手を離すと、両手で自身の顔を覆う。そして悔い改めるように天井を見上げる。
だが今は自身のことはどうでもいい。カイズはクワッとヴィータの方を見た。
「そんなことありませんよ! 俺が、俺が全部悪いんです。こんな野獣のような目で視姦されたら、そりゃ誰だって変な感じになりますよ! ヴィータさんは決して悪くありません。俺が。俺が愚かなだけなんです……」
自分は何をしているのか。カイズは「おおぉ……」と嗚咽をもらしていく。ヴィータはそんな彼を見ると、なぜか顔を赤らめた。
「それは、ち、違うからな!」
「…………何がですか」
「その、だからよ」
ヴィータはスカート越しに塗れたそこに触れると、再び太股を擦り合わす。そんな行為を数秒繰り返すと、意を決したように口を開いた。
「別に食い入るように見られたから感じたわけじゃなくて、カイズだから。…………カイズに見られたから恥ずかしかったり、嬉しかったり、切なかったりして。だから誰だってじゃなくて、カイズだけだからな。……こんなになるのは」
ヴィータは頭のてっぺんまで赤くすると、ぷいっと横を向いてしまう。そんな彼女を見て、彼はプルプルと体を震わせた。
「………………前言撤回です。やっぱり俺の言うとおりでした」
「カイズ?」
「ヴィータさんがこんなに天使すぎるのが全部いけないんです! 俺は何も悪くない。全てはヴィータさんの可愛さがいけないんです!!」
「どうしたんだ急に、やっ、下着おろすなよ!」
ヴィータの言葉など聞く耳持たず、カイズはミニサンタスカートに手を突っ込むと、さっと白い下着を奪っていく。さらに指を伸ばすと、先ほどより塗れた割れ目に指を添えた。
「やっ、本当に、んにゅ、どうしたんだよいきなり」
「ごめんなさい。もう無理です。だからお願いします」
「ん、あむ、んんっ! それは頼む態度じゃないだろう」
秘部に指を突っ込まれると、ビリビリとした刺激が体中を走り抜ける。それと同時に貪るようなキスをされると、上下からの感覚にくったりしてしまう。
「やっぱりヴィータさんには赤が似合いますね。その服とても似合ってます。…………もう、自分でもどうにもならないくらい、刺激的です」
カイズはズボンに手をかけると、一秒でも我慢できないとそれをおろす。ずっとズボンに押さえつけられた猛りが外に飛び出ると、ヴィータは思わず手で顔を覆ってしまう。
「な、何でいきなりそんな元気なんだよ。ば、ばかぁ」
「ヴィータさんがそんな可愛い反応するからですよ。あれですね。つき合い始めたばかりの無邪気なヴィータさんももちろん最高ですけど、結婚してからのこの初々しい反応もとってもいいです」
「だ、だってよ。その、何回かエッチなことをしてたらなんか。…………カイズのおちんちん見るのが、は、恥ずかしくなっちまったんだよ」
だがその理由は何となくわかっている。結婚する前の二人は、確かにエッチなことはしていた。
だが本番行為はただの一度しか行われていなかったのだ。だからこそ、ヴィータは思わなかったのだ。
痛かったエッチになれてから、あんな声をあげるようになるなんて。
カイズが自らの怒頂をヴィータの割れ目に押し当てる。彼の亀頭が線をなぞるたびに、ヴィータは「んんっ」と目を閉じた。
スッと押し当てられたそれが離れると、いよいよかと体に緊張が走る。だが覚悟をしていた感覚は、いくら待ってもやってこない。
ヴィータはそろそろと目を開くと、満面の笑みのカイズと視線を合わせた。
こういう時のカイズはろくなことを考えていない。そう思いながらも、その続きを聞かないわけにはいかなかった。
「ど、どうしたんだよ」
「えっとですね。久しぶりにあれを言ってほしいなーって思いまして」
「あ、あれって。お前はあたしにこれ以上恥ずかしいマネをしろっていうのか!」
「お願いしますよヴィータさーん。あれ言ってもらえると、俺めちゃくちゃやる気でるんですよ。ハネムーン以来なかなか言ってくれないじゃないですか」
「やる気でるって、やんっ、あっ、喋りながらなぞるなよ」
先ほどのようにカイズのさきっぽが、ヴィータの割れ目を往復する。快楽が少し起きては、すぐに引っ込む。それを繰り返されると、ヴィータは観念したように目を伏せた。
「うっ、あぅ、ううぅ……」
サンタ服にも負けないほど頬を紅葉させると、ヴィータはサンタミニスカートを両手で摘む。そしてゆっくりとそれをあげると、ハネムーンぶりに、その言葉でカイズのことを呼んだ。
「お、お、お願いします。――――旦那様の熱くて大きなチ○ポを、ヴィータに入れてください」
「――――よくできました」
我慢できなかったのはカイズも同じだ。思い切り腰を引くと、ヴィータの秘部に一気に猛りを突き刺していった。
パンッ、パンッと腰を動かすと、急激に膨れ上がった快楽に体が戸惑う。
「アウッ! ン、アッアッヤッ、い、いきなり激しい」
「でもヴィータさんこういうの嫌いじゃないですよね。普段ずっと上官やってますし、たまには誰かに攻められたりしたいんじゃないんですか?」
「だ、だから違う! あたしは、やっ、んんんん、誰かじゃなくて、カイズ、カイズだから、あんっ、カイズだからぁー」
「それもそうですね。俺だってほかの誰かにヴィータさんが攻められてるのなんて見たくないですしね」
「だ、だから、にゃ、あんまに、イジワルいわにゃいで」
「それは難しいですねー。そんなヴィータさんも含めて全部が愛おしくてたまらないので」
「お、お前、結婚してからちょっとイジワルだぞ」
「結婚したからですよ。階級的には差があっても、俺たちは夫婦で対等ですからね。そりゃたまにはイジワルも言いますよ」
「うぅ~~」
ヴィータは恨めしそうな目をするが、カイズはそんな表情すら愛らしいと受け止めていく。
そんな顔をされては、これ以上文句を言うこともできない。いや、もとよりそんなことを考えている余裕などなくなってきていた。
「ふあぁっあ! カイズ、そろそろ、もう、あたし」
「俺もです。ヴィータさん、いく、いきますよ!」
ひときわ大きく腰を動かすと、カイズの怒頂がヴィータの一番奥の敏感な場所へと突き進んでいく。
コツン。まるで扉をノックしたような感覚が体中を走り回ると、快楽の痺れが一点に集中した。
「ふあぁ、あぁんん!!」
ヴィータが絶頂に達するとともに、カイズの欲望が勢いよく吐き出される。
これだ。この瞬間だ。何度しても慣れることのない気持ちよさに自然と声をあげてしまうことが、ヴィータはどうしても恥ずかしかった。それを彼のモノが起こしているのかと思うと、昔と違い凝視するのがとても恥ずかしくなってしまったのだ。
「ぐっ、がっ、はっ、はっ」
「んん、うにゃあぁー」
だがそれをヴィータが後悔するのはいつも行為のしばらく後のことだ。
「…………カイズ~、ちゅーして~」
「はい、ヴィータさん」
「ん、ちゅ、んん~♪」
今はただ快楽の余韻を楽しむように、唇を奪い合っていくのだった。